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大原美術館ミュージアムショップの新グッズ「デニム絵画ジャガードマット」 ~ 青木被服とのコラボレーションで制作

大原美術館ミュージアムショップの新グッズ「デニム絵画ジャガードマット」 ~ 青木被服とのコラボレーションで制作

買っとこ / 2022.07.29

倉敷市、そして岡山県を代表する美術館のひとつである「大原美術館」。

作品の鑑賞はもちろん、大原美術館の隣にはミュージアムショップが併設されており、所蔵している作品にまつわるグッズを買うことができます。

グッズは日常生活のなかでアートを身近に感じられるものばかり

そんな大原美術館ミュージアムショップでは新たに、「デニム絵画ジャガードマット」の販売を開始しました。

本物の絵画のようで本物とは違う、家庭のなかのあらゆるシーンで使える新しいグッズです。

大原美術館ミュージアムショップと青木被服株式会社(以下、青木被服)とのコラボレーションで作られました。

一体どのようなグッズなのでしょうか。

グッズ制作の経緯やこだわりとともに、大原美術館ミュージアムショップマネージャーの中山美香(なかやま みか)さんに話を聞きました。

記載されている内容は、2022年7月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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大原美術館ミュージアムショップとは

大原美術館ミュージアムショップ_外観

大原美術館ミュージアムショップとは、名前のとおり大原美術館に併設されているお店です。

大原美術館所蔵の作品をモチーフとしたグッズや美術書などを販売しています。

アートを日常に取り入れられる品がたくさんあり、倉敷を訪れたときのお土産を購入する場所としてもおすすめです。

▼詳しくは、以下の記事を見てください。

青木被服とは

青木被服は、岡山県井原市に本社を構え、デニム生地を中心に衣服などライフスタイル商品を制作・販売している会社です。

1961年にデニム製品・ユニフォームの受注生産を開始し、1970年代には国内外に自社工場を増設しました。

2010年に立ち上げた「FAGASSENT」をはじめ、青木被服には現在4つの自社ブランドがあります。

その技術やデザイン性は世界でも高く評価されていて、フランスのパリ、イタリアのミラノにてメンズコレクションを発表しているほど。

井原市で作られたデニム商品は「井原デニム」の愛称で親しまれていますが、その名を世界に広めたきっかけのひとつが青木被服のブランドなのです。

倉敷には、2つの実店舗「青木被服 倉敷本店」と「青木被服 倉敷SOLA店」があります。

また各店舗やブランドごとのオンラインショップもあるので、世界に誇る青木被服の商品にぜひ触れてみてください。

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新グッズ「デニム絵画ジャガードマット」とは

デニム絵画ジャガードマット」は、大原美術館ミュージアムショップと青木被服とのコラボレーションで制作されました。

4,950円(税込)で販売中
4,950円(税込)で販売中

大原美術館ミュージアムショップの新商品として、2022年4月より実店舗のみで販売されています。

「デニム絵画ジャガードマット」は、商品名のとおり“ジャガード織り”で制作。

ジャガード織りとは、縦糸と横糸の“織り”の組み合わせで柄を表現する織り方です。

昨今は生地に直接印刷するプリント生地が多いなか、ジャガード生地は繊維の色そのものでデザインしていくため、手間や時間をかけて制作しています。

またジャガードデニムとは、デニムに使用する繊細かつ力強い太さのある糸を使用し、ジャガード織りで織った立体的な素材のこと。

実際に触ってみると厚みがあり、糸を何層にも重ねて織っているのがわかります。

ミュージアムショップの中山さんによると、ジャガード織機自体が今は貴重な存在のよう。

「ジャガード織りの商品自体どこでも作れるわけではないのに、『絵画』という複雑な色合いのデザインまでできるのは、高い技術を持っている青木被服さんだからこそ」と、話をしていました。

制作したジャガードマットにデザインされている作品は、「夕暮の小卓」(ゆうぐれのしょうたく)です。

アンリ・ル・シダネルが描いた作品で、大原美術館に所蔵されています。

画像提供:大原美術館
画像提供:大原美術館

ジャガードマットの特徴は、さまざまなシーンで使えること。

食卓で使うランチョンマットとして、玄関のテーブルマットとして、額に入れて楽しむインテリアの一部としてなど、日常に馴染むグッズとなっています。

もちろん洗えるので、家庭で末永く活躍するジャガードマットです。

デニム絵画ジャガードマットの上に、花瓶を置くのもおすすめ
デニム絵画ジャガードマットの上に、花瓶を置くのもおすすめ

本物にどれだけ近づけるか、ジャガード織りでの挑戦

そもそもなぜ、青木被服とのコラボレーションでグッズを作ることになったのでしょう。

中山さんに聞くと「青木被服の代表取締役社長である青木茂(あおき しげる)さんから、熱烈なオファーをいただいて」実現したとのことでした。

青木さんは大原美術館のファンで、所蔵している一つひとつの作品に惚れ込んでいたそう。

ぜひコラボレーションしたいんです!」と、ミュージアムショップに声を掛けていました。

ミュージアムショップとしても、地元のかたと何かを作りたい気持ちは強くあったと話します。

両者の思いが一致したことで、グッズ制作でのコラボレーションが実現したのです。

デニム絵画ジャガードマット_引き

「夕暮の小卓」をデザインとして選んだのは、2つの理由があります。

ひとつは、青木さんが好きな作品であること。

もうひとつは、ジャガード織りでのデザインが合っている作品だと考えたことです。

「夕暮の小卓」は、タイトルのとおり辺りが真っ暗になる前の、夕暮のようすが描かれています。

全体的に暗い印象があるものの、黒色一色で描かれている箇所はありません。

濃い色の箇所では黒に近い青色を重ねている、繊細な色使いが特徴の作品なのです。

全体的に青みがかっていることで、建物や椅子などの影が描かれ、夕暮の描写を細かく表現されています。

「ジャガード織りの技術で『夕暮の小卓』にどこまで近づけるかは、青木被服さんと一緒に挑戦しました」と、中山さんは明かしていました。

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本物に近づけるためのこだわりは、全体的な色のバランス

デニム絵画ジャガードマット_額_トリミング

こだわったのは、全体的な色のバランス

ジャガードマットを使うとき、「夕暮の小卓」のデザインを近い距離で見るのではなく、ある程度離れた距離で見ることがほとんどであることを念頭に入れていました。

それは、本物の「夕暮の小卓」を鑑賞するときも同じです。

マットの上に花瓶を置いたとき、額に入れて壁に立てかけたときなど、ジャガードマットがパッと目に入ったときに本物の色合いを感じられるようなグッズにしたかったそう。

たとえば「赤みをもう少し減らしたい」とオーダーし、織った赤い糸を数本引いてもらうという工程を何度も繰り返して作られました。

制作過程を振り返り、中山さんはこう話します。

「一部の赤い糸を引くと全体的な色のバランスが変わるので、代わりに違う色を足したり引いたりとかなり複雑なことをしていただきました

青木さんの作品を愛してくださっている思いと、ジャガード織りの高い技術力の両方があって、前例のないようなグッズを制作できたのだと思います。

引きで見たときに、本物の『夕暮の小卓』の色バランスにかなり近づけることができました」

何層もの糸を複雑に織っているのは、実は裏面を見るとわかります。

デニム絵画ジャガードマットの裏面
デニム絵画ジャガードマットの裏面

織った糸の重なりを、意図的に隠さなかったそうです。

裏面もとても美しく、青木被服の高い技術はあらゆるところから感じることができます。

ジャガードマットの魅力は、いい意味で本物ではないこと

本物の色合いにどこまで近づけるか挑戦して作られた、思いの詰まったジャガードマット。

ただ、中山さんにはもうひとつ、伝えたいことがあるそう。

あえて、本物とは別物であると言いたいんです。普段、お客様にここまでの話はできないので」

ジャガードマット_花瓶2

その言葉の背景には、「日常生活のなかにアートを取り入れることで、アートを身近に感じる人が増えてほしい」という、大原美術館ミュージアムショップとしての思いがありました。

「ジャガードマットを見てもらうとわかるのですが、マットの左側には多くの余白があります。

全面に『夕暮の小卓』をデザインするのではなく、あえて余白を作りました。

これはジャガード織りがデニム生地であることの特徴を一目でわかるようにしたかったからです。

あくまでもこのグッズは、青木被服さんとのコラボレーションだからこそ実現したもの。

本物とは別の形にしようと、制作していました。

純粋にマットとして、末永く使っていただきたいですね」

マットの左側には余白がある
マットの左側には余白がある

また余白には、「大原美術館ミュージアムショップ」、「≪夕暮の小卓≫アンリ・ル・シダネル(大原美術館所蔵)」の文字が入っているのがわかります。

「余白に何か書かれていると、『何だろう?これは』と思いませんか?

『夕暮の小卓』だけが描かれているより、デニム生地が見えたり、文字が入っていたりするほうが目を引くグッズになるのではないかと考えていました。

ジャガードマットの前で立ち止まった人がいたら、誰かが説明しなくても『夕暮の小卓』は大原美術館に所蔵されている作品だと知ってもらえます。

『本物を観に、大原美術館に行ってみようか』と思えるきっかけになれたらいいなと思いますね。

さらに理想を言うと、ジャガードマットを置いている家庭で育った子どもが、成長したら大原美術館へ来てほしいなって。

うちにあるマットの本物は、大原美術館にあるんだ!』と思ってもらえたら、こんなにうれしいことはありません」

このジャガードマットは、いい意味で本物とは別物

アートとともに生活できる、日常的に使いやすいグッズです。

本物はぜひ、大原美術館へ観に来てください」と話す、中山さんの笑顔が印象的でした。

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おわりに

デニム絵画ジャガードマット_アップ

デニム絵画ジャガードマットを初めて見たとき、私は自然と引きで見たり、近くで見たりをくり返していました。

「どのように作られているんだろう」と思うのと同時に、ジャガード織りならではの美しい作りに、本物の絵画と同様じっくりと見てみたくなったのです。

また本物のアートに触れることはできませんが、ジャガードマットならもちろん触れることができます。

見て触れて、ジャガード織りの技術を感じていると、描かれている作品自体に愛着が湧いてきました。

本物とは別物だけれど、本物ではないからこそのよさがある

クリアファイルやポストカードなどの定番グッズとはまた違う、本物に近いグッズとして魅力的に思いました。

大原美術館で本物の「夕暮の小卓」を鑑賞したあとは、ぜひミュージアムショップにも足を運んでみてください。

デニム絵画ジャガードマットは、生活をより豊かにしてくれるアイテムになるはずです。

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こあ(小溝朱里)

こあ(小溝朱里)

岡山市在住のフリーライターです。21年5月に岡山へ引っ越してきた、新米岡山県民。倉敷のことをもっと知りたくて「くらとこ」ライターになりました。訪れた先の雰囲気や、取材先のオンリーワンな魅力を丁寧に伝えていきます!

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デニム絵画ジャガードマット_アップ

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