倉敷アフタヌーンティー実行委員会 これまでの道のりや今後への思い
インタビューは2021年12月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
倉敷アフタヌーンティーはどのような経緯で始まったのですか
森田(敬称略)
今では地元のかたにも多く楽しんでいただいているのですが、もともとは観光客のかたに倉敷をより楽しんでもらうには、と考えて生まれたイベントでした。
岡山といえば、果物。ぶどうや桃がたくさん生産されているのに、美観地区で食べられる場所はそんなになかったんです。
ワンプレートのデザートだとどこにでもあるし、何かインパクトがあるものができないかと考えていました。
そんなときに雑談中、「この間、アフタヌーンティー食べたんだよね」という人がいて。
「アフタヌーンティーって何?」とその場でインターネット検索すると、段になったお皿に盛りつけられたスイーツの写真が出てきて、「うわー! これいいんじゃない?」と盛り上がったんです。
フルーツが味わえるだけでなく「感動体験」も生み出せるから、ぴったりだなと。
2015年にスタートして以降、倉敷アフタヌーンティーでは、夏はぶどうか桃を、冬はいちごと温かいメニューを必ず味わえるようになっています。
こだわりは新鮮な生の岡山産フルーツをメニューのどこかに使ってもらうこと。
また、ドリンクは「2杯付き or おかわり自由 or ポットで提供」というルールも、当初から変わっていません。
たとえば、キャンドル卓 渡邉邸さんでは、キャンドルの空間に身を置きながら、食事を楽しめます。
そういった時間を思う存分に楽しんでもらうには、ドリンク1杯だと足りないですよね。
そして、この感動体験を記録に残してほしいので、SNSでのフォトコンテストも毎回開催しています。
倉敷アフタヌーンティーの参加店・キャンドル卓 渡邉邸の店長でもある井上さんは、これまでいかがでしたか。
井上(敬称略)
キャンドル卓 渡邉邸は2014年12月にオープンし、倉敷アフタヌーンティーには2015年夏の初回から参加しています。
ですが、私が店長になったのは2016年で、初回にはあまり関わっていませんでした。
聞くところによると、森田さんの倉敷アフタヌーンティーへの参加のお誘いに「こんなん広まるわけないだろう」と、当時の担当責任者はなかなか厳しい対応だったようですね。
森田
何度か通ったと思います。実は、そういった対応のお店が多かったんです。
アフタヌーンティーをご存じないですし「参加をお願いします」と言ってもやはり、すぐに「参加します」とはなりません。
什器(じゅうき)を準備したり、メニューを考えたり、お店の負担も多いでしょうし。
井上
けれど年を重ねるごとに、当店には「アフタヌーンティー」のイメージで来られるお客さまが増えてきました。
「今のシーズンはないのね」と残念に思われないよう、倉敷アフタヌーンティーを開催していない秋と春にも、独自のアフタヌーンティーのメニューを作ったほどです。
同じように通年でアフタヌーンティーを提供するようになったお店がほかにもあると聞いています。
メニュー自体もどんどん進化中です。
当店では2016年頃まではデザート中心のメニューだったのですが、営業時間がランチ時の午前11時30分から午後2時ということで、食事半分、デザート半分に変えていきました。
今はオードブル、スープ、肉・魚の選べるメインディッシュ(両方も食べられるコースや牛フィレ肉コースも)、デザート10品というスタイルが確立しています。
それぞれのメニューは、シェフとパティシエが頭を悩ませながら、毎年・毎シーズンで変えているんですよ。
ゆったりとした時間を過ごしていただくために飲み物を切らさないようにと、当店はコーヒー・紅茶はおかわり自由にしています。
8杯くらい飲んでいるかたもいらっしゃいましたよ。
2020年春、実行委員会を立ち上げて民営化してからの変化を教えてください。コロナ禍も重なりましたね。
森田
まず挑戦したクラウドファンディングでは、予想よりも大きな金額での達成となり、本当にありがたかったです。
ファンのかたが多くいらっしゃることがわかり、応援の声をたくさんいただけて、とても励みになりました。
また、地元企業のかたも助けてくださって、倉敷アフタヌーンティーへの期待を身にしみて感じました。
同時にコロナ禍となり、外食そのものが貴重な体験となったと思います。
不安もありましたが、皆さんのエールのおかげでやってこられた部分が大きいです。
2020年はやはり提供食数はぐんと落ちたものの、驚いたことに、2021年夏には2019年を上回ってご利用いただけていたんです。
夜、外食や飲みに行きづらくなった分、「ランチで豪華に」と考えられるかたが増えたのかもしれません。
一人で来店できるお店もありますし、大人数でわいわいというよりも、少人数で楽しめるという点も後押しとなっていそうです。
残念ながら休業となったお店もありますが、がんばって営業しているお店も多くあります。
今回(2022年冬)は、民営化してから過去最高の27店舗の参加となりました。
井上
お客さまの層も変わってきたように思います。
当店では県外から多くいらっしゃっていましたが、今は、地元での認知度が上がったこともあってか、県内のかたからの予約が増えました。
といっても、東京、大阪、香川から、季節が変わるごとに来てくださるお客さまもいらっしゃるんですよ。
森田
お店のファンのかたがアフタヌーンティーのファンになってくださったり、アフタヌーンティーを通してお店のファンになってくださったり。この広がりがうれしいです。
倉敷アフタヌーンティーが、倉敷の食の選択肢のひとつというか、「定番」になってくればいいなと思います。
民営化してからは、新しいチャレンジもしています。
応援してくださっているピープルソフトウェアさんのアプリ「ポークン」でプレゼントに応募できるスタンプラリーを開催中です。
現在、スタンプラリーはポークンではなく、紙のスタンプカードを用いて実施
アプリを使って、1シーズンに10店舗巡ってくださっているようなかたもいらっしゃいました!
1シーズンに2店舗以上行くかたも、たくさんいらっしゃるんですよ。
そういったことが目に見えてわかるようになり、うれしいです。
そのほか、日本旅行さんとタッグを組み、倉敷アフタヌーンティーに行ける旅行プランが誕生しました。こういった冊子ができたのは初めてです。
2022年冬からはアンバサダー制度を開始しました。
特典として一部の参加店舗で使えるペア食事券を進呈したり、倉敷アフタヌーンティーのメニューを撮影する現場を見られたり、運営メンバーとのミーティングに参加できたり。
応援してくださるファンのかたたちと一緒に、倉敷アフタヌーンティーを成長させていけたらと思っています。
個人的な夢は、マルシェのような場の開催です。いろいろなお店がひとつの場に集まって、お客さまがぐるぐるまわってオリジナルのアフタヌーンティーを作っていくような。
井上
おもしろそうですね。いろいろなお店の味が味わえる!
おふたりから倉敷アフタヌーンティーへの愛情が伝わってきます。お客さまにはどんなふうに楽しんでほしいですか?
森田
お店の空間や接客など、食べているときの時間そのものを楽しんでほしいと思っています。
お気に入りのお店を見つけて、ぜひお店のファンになってほしいです。そして良かったら、アフタヌーンティーのファンにもなってほしいなと思います。
あと、何回も来てほしいんです。メニューが毎回変わるので、何度でも新鮮な気持ちで楽しめますから。
井上
新しいかたはもちろん、今来てくださっているかたの期待を超えるものを提供し続けないと、と思っています。
当店のシェフとパティシエふたりも「後ろは見ない」と言って、やる気に満ちているんですよ。
かつて提供した人気メニューのリバイバル案を出したことがあるんですが、「新しいのを出し続ける!」、「そのときそのときで、ベストを出し続ける!」と言っていて、レシピづくりにやりがいがあるようです。
森田
次々と新しくなるメニューの背景には、そのようなやりとりがあったんですね!
写真だけ見ても「すごいなぁ」と幸せな気持ちになりますが、実際お店に来ると「こんなに量があったんだ」、「めちゃくちゃおいしい」のように、何倍も感動します。
一人で利用できるお店もあるので、お一人でも行きやすいかと思います。
ぜひいろいろなかたに足を運んでほしいです。
おわりに
お話を聞き、倉敷アフタヌーンティーへの熱い思いは、実行委員会を中心にお店のかたやお客さまにどんどん広がっているとわかりました。
倉敷ならではの素敵なお店で、岡山産フルーツで彩られたデザートや食事が味わえる、倉敷アフタヌーンティー。
私もときどき「自分へのごほうび」として、こっそり「一人倉敷アフタヌーンティー」を楽しんでいます。
次はどこのお店に行こうか…。パンフレットを眺めているだけでうっとりしてしまいますが、ぜひ予約して足を運んでくださいね。
倉敷アフタヌーンティーのデータ
名前 | 倉敷アフタヌーンティー |
---|---|
期日 | 2024年夏の開催期間 2024年7月1日~9月30日 |
場所 | 倉敷市内 |
参加費用(税込) | 金額(税込) 2,000円~5,500円 店舗により異なる |
ホームページ | 倉敷アフタヌーンティー |