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倉敷市王子が岳レストハウス「トライアル・サウンディング」おためし王子が岳 〜 山と海と空がつくる雄大な景色を残すために

倉敷市王子が岳レストハウス「トライアル・サウンディング」おためし王子が岳 〜 山と海と空がつくる雄大な景色を残すために

知っとこ / 2021.04.25

不思議な形の岩や、目を見張る巨大な岩が転がる王子が岳。

山頂付近には1967年に建てられた倉敷市の施設、王子が岳レストハウスがあります。

時間の経過を感じる古い建物ですが、瀬戸内海の絶景を望むことができる魅力ある場所です。

倉敷市では王子が岳レストハウスを保持していくために、施設の活用方法を民間事業者と一緒に考える手法「トライアル・サウンディング」おためし王子が岳を実施しています。

実施に至るまでの経緯について、担当者の倉敷市 文化産業局 文化観光部 観光課 矢吹 健太(やぶき けんた)さんに話を聞きました。

さらに、「トライアル・サウンディング」のイベントのひとつとして、2021年4月10日(土)に開催された「てくてくTAKE OUT マルシェ」に参加。

マルシェの主催者 西山 まき(にしやま まき)さんに、イベントの背景について話を聞きました。

記載されている内容は、2021年4月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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倉敷市王子が岳レストハウス「トライアル・サウンディング」とは?

「トライアル・サウンディング」の概要

王子が岳レストハス外観2

「トライアル・サウンディング」は、王子が岳の山頂近くにある休憩施設 王子が岳レストハウスの活用方法を、倉敷市と民間事業者が一緒に考える手法です。

倉敷市 文化産業局 文化観光部 観光課が2020年10月1日〜2021年9月30日の期間、王子が岳レストハウスでイベントなどの事業を一時的に開催する民間事業者を募集しています。

民間企業、NPO法人、個人事業主、任意団体など、イベントを実行することができれば事業規模や法人格の有無は問わないそうです。

応募した事業者は、王子が岳レストハウスを事業実施のために無料で利用できます。

王子が岳レストハス外観1

「トライアル・サウンディング」の主な目的は、王子が岳レストハウスの有効な活用方法を検討するための基本データの収集。

イベントなどを通して王子が岳を訪れる観光客の人数やニーズを把握し、収益性や施設が抱える課題を調査します。

倉敷市のホームページに「トライアル・サウンディング」の実施要項が掲載されていますので、興味のある事業者は確認してみましょう。

不明な点がある場合には、以下の問合せ先に連絡をお願いします。

連絡先

倉敷市 文化産業局 文化観光部 観光課 施設担当

電話番号:086-426-3411

メール:kankou@city.kurashiki.okayama.jp

「トライアル・サウンディング」の実施例

王子が岳レストハス外観5

「トライアル・サウンディング」が始まった2020年10月から2021年3月の間に実施された事業は5件ありました。

以下は、実施された活用事例です。

事業実施日内容
大人のための遊び場2020年11月22日(日)20代〜30代を対象とした、個人の成長を促すための教育プログラム。王子が岳の景観を活かした体験型のイベント。
お菓子・コーヒー販売2020年11月28日(土)、12月5日(土)、12月12日(土)登山客やツーリング客を対象に、チュロスやコーヒーを販売。
コーヒー提供2020年11月29日(日)自家焙煎コーヒーの提供。事業者は、平成30年7月豪雨の際に被災地でコーヒーを提供するボランティアを実施。
山登りの相談所、コーヒー販売2021年3月14日(日)富士山の山小屋で働いた経験のある地元の登山家が山を楽しむ方法を教える座談会。
心の冒険対話の場2021年3月28日(日)「大人のための遊び場」の第2弾。20代〜30代を対象とした、個人の成長を促すための教育プログラム。施設内での対話を重視した取り組み。
「トライアル・サウンディング」の実施例

王子が岳レストハウスはどんなところ?

王子が岳レストハウスから見える景色

王子が岳レストハウスからの景色1

王子が岳レストハウスが持つ一番の魅力は、美しい眺望

山頂に近い場所にあるため、瀬戸内海を一望することができます。

筆者が訪れた日は、澄み渡った青空が広がっており、海に浮かぶ島々と瀬戸大橋、そして四国の山並みもはっきりと見通すことができました。

王子が岳レストハウスから見える景色は、瀬戸内海を代表する景色といえるでしょう。

王子が岳レストハウスからの景色3
写真提供:倉敷市 文化産業局 文化観光部 観光課

王子が岳は桜の名所としても知られています。

瀬戸内海の多島美を背景に咲き誇る桜は息を呑む美しさ。

王子が岳レストハウスは、瀬戸内海の美しい景色を満喫できる場所なのです。

王子が岳レストハウスの建物

王子が岳レストハウスの内観1

王子が岳レストハウスは、地上1階、地下1階、屋上からなる建物です。

地上1階は4面がガラス戸となった広々とした休憩スペース。

地下1階は倉庫として使われており、立ち入り不可となっています。

屋上には展望デッキがあり、屋外にある階段で昇り降りが可能。

展望デッキからは瀬戸大橋の全景や四国の山々が一望できます。

王子が岳レストハウスの屋上1

王子が岳レストハウスはどこにあるの?

倉敷市の南東部に位置する王子が岳レストハウスは、玉野市との市境にあります。

山の上にある建物ですが、ふもとから伸びる道路と接続しているため、車やバイクで訪れることが可能です。

建物から徒歩数分のところに駐車場も完備。

車やバイクで気軽に行くことができるのも魅力のひとつといえるでしょう。

王子が岳レストハス外観4

また、登山道が整備されているため、ふもとから自らの足で歩いてくることもできます。

王子が岳レストハウスは、ツーリングや登山で訪れた人が休憩する場所として親しまれているそうです。

王子が岳レストハウスの歴史

王子が岳レストハス外観7

王子が岳レストハウスが建てられたのは1967年。

旧倉敷市、旧児島市、旧玉島市が合併した年に完成したそうです。

瀬戸内の風光明媚な景観を楽しめる場所として、王子が岳の海側のふもとには国民宿舎がありました。

国民宿舎と山の上にある王子が岳レストハウスはリフトで結ばれていたそうで、建物の地下1階にはリフト乗り場が残っています。

王子が岳レストハス外観6

建物の地上1階では民間事業者が市の指定管理者としてレストランを運営していました。

2011年度末に、国民宿舎の営業が終わるとともにレストランも閉店。

その後は、倉敷市直轄の管理となり、休憩所として利用されてきました。

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「トライアル・サウンディング」の実施に至るまで

王子が岳レストハウスとの出会い

倉敷市王子が岳「トライアル・サウンディング」の担当者 矢吹さんに、企画の発案から実施に至るまでの経緯を聞きました。

矢吹さんと西山さん
「てくてく TAKE OUT マルシェ」主催者の西山 まき さん(左)と「トライアル・サウンディング」企画担当者 矢吹 健太 さん(右)

矢吹さんは、2019年に倉敷市文化産業局観光課 文化観光部 観光課へ配属されます。

異動の直前、登山で王子が岳を訪れたときに王子が岳レストハウスを見つけ、倉敷市が管理する施設であることを知りました。

王子が岳レストハス外観8

異動前の部署で、災害対策の業務に携わっていた矢吹さんは、精神的な疲れを感じていたそうです。

瀬戸内海の雄大な景色を王子が岳レストハウスから眺めたとき、涙が出そうなほどの感動を覚え、荒んでいた心が癒されたと話してくれました。

その後、観光課に配属されて、偶然にも王子が岳レストハウスの担当に。

思い出のある場所の担当になれたことに特別な縁を感じたと教えてくれました。

大切にしたい景色

王子が岳レストハウスの屋上2

王子が岳レストハウスからの景色は矢吹さんにとって大切なものになり、建物を残したいという気持ちが生まれました。

しかし、老朽化が進んだ公共施設の保持を続けることは難しい。

そこで、魅力ある建物を活用するアイディアを見つけるために取り入れた手法が「トライアル・サウンディング」。

王子が岳レストハス外観3

矢吹さんも王子が岳レストハウスの存在を知らなかったように、倉敷市民でも知らない人は多いそうです。

イベントを通じて施設の課題を整理するだけでなく、王子が岳レストハウスを知ってもらうきっかけを作ることも目的としています。

施設に足を運んで眺望の素晴らしさを実際に見てもらい、活用方法を一緒に考えていきたいと話してくれました。

てくてく TAKE OUT マルシェ

てくてくTAKE OUTマルシェのようす

マルシェの看板2

倉敷市王子が岳レストハウス「トライアル・サウンディング」のイベントのひとつとして、2021年4月10日(土)に「てくてく TAKE OUT マルシェ」が開催されました。

主催はAtelier sora design (アトリエ ソラ デザイン)。

マルシェの看板3

「てくてくTAKE OUT マルシェ」には、以下の6店が出店しました。

店舗名出店内容
溝手商店下駄職人による実演販売
パティスリー ル・ヴェール焼き菓子の販売
Naish Curryチキンカレーの販売
いきな家えびめしの販売
麺屋台 うましラーメン・そばの販売
36’Crapeクレープの販売
「てくてくTAKEOUTマルシェ」の参加店舗

入場は無料。

マルシェの会場から、徒歩数分のところに駐車場があるため車でも訪れることができます。

来場者には、マルシェを目的に訪れた人だけでなく、登山やツーリングの途中で立ち寄った人も多く見られました。

マルシェの看板4

建物内はガラス戸が開放されていて、風通しは良好

王子が岳レストハウスの建物は、新型コロナウイルス感染症の拡大対策が施されていました。

マルシェのようす1

マルシェの会場は建物内だけでなく屋外にも。

晴れ渡る空の下で、瀬戸内の絶景を眺めながら昼食を楽しむ来場者も多くいました。

てくてくTAKE OUTマルシェの背景

「てくてくTAKE OUTマルシェ」を主催するAtelier sora designの代表 西山 まきさんに、マルシェを開催するまでの背景を聞きました。

マルシェの看板4

西山さんがマルシェを主催するようになったのは、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界的規模になった2020年3月。

外出できない自粛生活を続けるなか、スーパーマーケットに出かけるだけで心が落ち着くことに気がついたそうです。

そこで、少しの時間だけ立ち寄れるような小さなマルシェを、西山さんが経営していたカフェの駐車場で企画。

ソーシャルネットワーキングサービスを利用して参加者を呼び掛けたところ、大きな反響がありました。

西山さんは、緊張を強いられる自粛生活のなかで、気持ちを緩める時間を提供したいという思いから、気軽に立ち寄れるマルシェを続けています。

王子が岳レストハウスでマルシェを開催した感想

マルシェのようす4

西山さんは「トライアル・サウンディング」を通じて、王子が岳レストハウスを知りました。

初めて王子が岳レストハウスを訪れたときには、素晴らしい景観に感動したそうです。

こんな素晴らしい場所に、なぜ他にお店がないの?」と疑問を覚えたと話してくれました。

マルシェのようす2

西山さんは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止が求められるなかでイベントを開催しているので、来場者が安心して足を運べる環境は大切だと言います。

王子が岳レストハウスの建物は風通しがよく、感染拡大対策を実施しやすい場所だと教えてくれました。

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「王子が岳レストハウス」を訪れて

マルシェの看板1

山も海もない埼玉県の都市部で育った筆者にとって、高台から海を望むことのできる王子が岳レストハウスは魅力的な建物でした。

よその土地から倉敷に移り住んだ筆者は、瀬戸内の美しい景色を眺められる王子が岳レストハウスを、日本だけでなく世界に紹介したいと感じるほどです。

一方で、倉敷市民でも存在を知らない人がいることには驚きました。

「トライアル・サウンディング」が王子が岳レストハウスに気付いてもらうきっかけとなり、多くの人に素晴らしい眺望を見てほしいと思います。

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ぱずう(後藤寛人)

ぱずう(後藤寛人)

87年生まれの埼玉育ち。倉敷に転勤でやってきて6年目。メーカーの研究員として働きつつ、週末はゴミ拾いボランティア団体の代表として活動しています。ひとりも知り合いもいなかった倉敷の街。ゴミ拾いを通じてたくさんの出会いがあり、倉敷の魅力を教えてもらいました。余所者から見える倉敷の景色を伝えていきたいです!

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