「くらしき未来K塾」は、倉敷美観地区にある国指定重要文化財の「語らい座 大原本邸」で月1開催しているセミナーです。
2020年度は、倉敷市委託の「高梁川流域未来キャリア教育セミナー」としても開催されています。
第20回は2020年のセミナーの振り返りとして、「地域が変わる 教師が変わる 子どもが変わる ~地域・学校協働による新たな価値創造~」をテーマに、3人の講師が実践発表を行いました。
2020年12月26日(土)に開催された「第20回くらしき未来K塾」に参加し、私が一人でも多くの人に知ってほしいと感じたことを紹介します。
記載されている内容は、2021年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
第20回くらしき未来K塾/第5回高梁川流域未来キャリア教育セミナーのデータ
名前 | 第20回くらしき未来K塾/第5回高梁川流域未来キャリア教育セミナー |
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期日 | 2020年12月26(土) 午後1時~3時 |
場所 | 岡山県倉敷市中央1丁目2-1 |
参加費用(税込) | 無料 |
ホームページ | 高梁川流域未来キャリア教育セミナー |
「高梁川流域未来キャリア教育セミナー」とは
2020年度の「くらしき未来K塾」は、「高梁川流域未来キャリア教育セミナー」としても開催されています。
「高梁川流域未来キャリア教育セミナー」とは、倉敷市の事業と連携し、教師・企業・地域のつながり作りを応援する月1回のセミナーです。
全5回のセミナーで、今回は5回目の最終回。
第3回と同じく参加者数を絞った上で、会場参加・Web参加のハイブリッドセミナーとして開催されました。
過去回のレポートは、以下の記事を見てください。
- 第1回:学校と地域でつくる、持続的な教育のかたち
- 第2回:キーワードから読み解くSDGs
- 第3回:withコロナ、ポストコロナ社会にあっての学習指導要領の『活かし方』
第20回くらしき未来K塾/第5回高梁川流域未来キャリアセミナーの概要
今回のテーマは、「地域が変わる 教師が変わる 子どもが変わる ~地域・学校協働による新たな価値創造~」です。
セミナーの流れは以下のとおりでした。
- 3人の講師による実践発表
- ブレイクアウトセッション
- 話し合いの内容を発表
参加者はリアル・オンラインあわせて約20人。
教育関係者をはじめとした、さまざまな立場のかたが参加しました。
山﨑好美さんの講演
最初に実践発表を行ったのは、岡山県健康の森学園で障がいのある子供たちの教育に関わっている、山﨑好美さん。
山﨑さんからは、分身ロボットOriHime(オリヒメ)の教育現場での活用についての発表です。
呼吸的疾患があるために校外学習に参加できない生徒が、OriHimeを通じて校外学習に参加したときのことを、写真の記録とともに教えてもらいました。
また、健康の森学園と同じ敷地の中にある障がい者支援施設でも、新型コロナウイルス感染症の感染により対面の接客ができなくなったためにOriHimeを通して接客をしている、とのこと。
現在、OriHimeを岡山県内で使用している機関は多くないそうです。
私自身、山﨑さんの講演ではじめてOriHimeのことを知りました。
コロナ禍において人と関わることが難しくなってしまった今、OriHimeが活躍できる場所は増えているのではないかと思います。
川崎好美さんの講演
次に発表を行ったのは、倉敷商業高等学校で教諭として働きながら、地域経済分析システムRESASの普及活動や、地域の中で活動をしている、川崎好美さんです。
川崎さんからは、『探求を棚卸する』というテーマで、2020年度の活動を通しての気づきや探求テーマについての発表がありました。
高校では自分の進路について、以下のような探求の特徴があるようです。
- 普通科高校:自分の進路決定に活かすための「生き方探求」
- 実業科高校:就職を見据えた「行き先探求」
私は普通科高校に通っていたため、探求学習といえば進路探求、といった考えがあったので、普通科高校と実業科高校の探求学習の内容が違っていることに興味を持ちました。
どちらも探求学習のなかで地域について学ぶことはありますが、特徴があるのです。
実業科高校の生徒と普通科高校の生徒がそれぞれの学びを活かして、ともに学ぶ機会ができれば、お互いの視野がもっと広がっていくのではないか、と思いました。
戸井健吾さんの講演
最後に発表を行ったのは、一般社団法人はれとこ代表理事の戸井健吾さんです。
戸井さんは、高校との協働で感じたことや、自身が運営している「倉敷とことこ」と教育のつながりについて、講師のなかでは唯一の教育関係者ではない立場から発表しました。
今回の講師である川崎さんからの依頼を受けて、高校の授業で話をすることになった時に、学校に対するイメージが変わったそうです。
それまでは、学校にはお堅いイメージがあったけれど、実際には思っていたよりも「なんでもあり」だと気づいた、と話してくれました。
戸井さんは、自身が運営する「倉敷とことこ」を高校での地域活動の発表の場として活用することについて、Webメディアで成果発表をすることに意味がある、と言います。
報道としての記事ではなく、生徒が自分たちで書いた記事を掲載することで、活動の成果を多くの人に見てもらうことができるのです。
さらに、掲載された記事はインターネット上に残るため、卒業後も簡単にアクセスすることもできます。
高校生が、自分たちだけでインターネット上に情報を発信できる場所を作ることは、簡単ではありません。
また、Webメディアに自分の書いたものが掲載される、という経験も、誰もができることではないでしょう。
「倉敷とことこ」のような地域の情報を発信している場所を使うことで、高校生の活動のようすを多くの人が見られます。
活動のようすを自分たちでまとめた記事が掲載された、ということは、高校生にとって大きな自信となるだろう、とも感じました。
ブレイクアウトセッション
今回のくらしき未来K塾でのブレイクアウトセッションでは、「地域と学校の協働で、今できていることはなにか?また、課題はなにか?」という質問に対して、4~5人で1つのグループを作り、話し合いを行いました。
全部で4つのグループがそれぞれに話し合いをします。
私が参加したグループでは、高校生が地域活動をしていること自体が、地域と学校の協働でできていることだという意見がありました。
また、活動のようすを「倉敷とことこ」に掲載することで、校内で発表するよりも多くの人に活動を知ってもらうこともできていると話す人も。
一方、活動に必要なお金がなかなか集まらないことが課題として挙げられました。
たとえば、運動系や文化系の部活動が全国大会に出場すると補助金が出るのに対し、商工系のコンテストで全国出場を果たしても補助金が出ない、ということがあるそうです。
現在、倉敷市では商工系のコンテストで全国出場を果たした学校に対して奨励金を交付する制度(倉敷市若手技能者全国大会等出場奨励金)があり、それが倉敷市以外にも広まってほしい、という声もありました。
他のグループでは、校外学習は普通科、専門科関係なくできているが、チャンスが平等ではないという課題があるという話をしたそうです。
また、学校内では地域活動をできているが、その活動について保護者や社会の理解があまりないのではないか、という意見も。
地域や生徒を受け入れる企業と学校との間に、地域活動に対する考えの違いがあることも、話題に上がりました。
まとめ
第20回くらしき未来K塾では、地域と教育の協働について、3人の講師の実践発表から学びました。
セミナーに参加して、地域と教育の協働は、「地域のこれからを考えること」なのだと思います。
今、地域を支えているのはおとなです。
しかし、地域の未来を担っていくのは、未来のおとな、つまり現在の若者なのです。
私は、今回のくらしき未来K塾で、「学生の活動を発信することの大切さ」を知りました。
高校生のころ、同級生が総合的な学習の時間に地域で活動していることは知っていましたが、どのようなことをしているのかまで知る機会はほとんどなかったことを覚えています。
活動のようすをまとめた冊子が学校の図書館に置かれていましたが、活動報告のスピード感はWebメディアにはかないません。
今後、Webメディアなどの開かれた場を使った、学生の活動の発信が増えてほしい、と思います。
くらしき未来K塾は、気軽に参加できる学びの場です。
年齢や立場は関係なく、参加者みんなが対等に話し合い、未来について考えられます。
参加者のなかで唯一の大学生という立場から、そう感じました。
第20回くらしき未来K塾/第5回高梁川流域未来キャリア教育セミナーのデータ
名前 | 第20回くらしき未来K塾/第5回高梁川流域未来キャリア教育セミナー |
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期日 | 2020年12月26(土) 午後1時~3時 |
場所 | 岡山県倉敷市中央1丁目2-1 |
参加費用(税込) | 無料 |
ホームページ | 高梁川流域未来キャリア教育セミナー |