倉敷美観地区を散歩中、海外から訪れている観光客を見かけることが増えてきました。長かったコロナ禍の苦難を乗り越え、美観地区にも以前と変わらない観光客の姿が戻ってきたように感じています。
倉敷美観地区は岡山県の観光スポットとして人気が高いですが、「この機会に美観地区以外の地域の魅力もさらに知ってほしい」という想いでオープンした観光施設があります。
施設の名前は「LOGIN Kurashiki(ろぐいん くらしき)」。高梁川流域の魅力が集まった新たな観光施設で、2024年4月27日(土)にグランドオープンしました。
今回はLOGIN Kurashikiのオープニングセレモニーのようすを紹介します。
記載されている内容は、2024年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
LOGIN Kurashikiとは
「LOGIN Kurashiki」は、2024年4月27日(土)に美観地区エリアでオープンした観光施設です。
高梁川流域の魅力発信を目的としており、流域にちなんだ物販、飲食、ホテルなど、8つのテナントが集まっています。
LOGIN Kurashikiでは高梁川流域の伝統・文化・産業・自然などの魅力を観光客に伝え、実際に高梁川流域へ足を運んでもらうきっかけを作る観光拠点となる予定です。
施設全体でインバウンドにも力を入れており、店舗によっては英語で書かれたメニューの用意や、海外観光客向けのツアーデスクなども設置されています。
LOGIN Kurashikiが建設された場所は、美観地区の少し路地に入ったあたりにあります。2021年までは同じ場所で「倉敷路地市庭(くらしきろじいちば)」というマルシェが毎週土曜日に開催され、地域住民で賑わっていました。
そのような土地の背景を残すべく「路地=LOGI」に「入る=IN」を組み合わせて「LOGIN Kurashiki」という名前がつけられています。
LOGIN Kurashikiを開業したのは、倉敷市で不動産業を営む奨農土地株式会社です。以前から倉敷路地市庭の開催をサポートしていました。今回の改修をきっかけに、高梁川流域のハブとなるような施設を目指していくそうです。
オープン前から私のまわりでも話題に挙がっていたLOGIN Kurashiki。記念すべき初日のオープニングセレモニーに行ってきました。
オープニングセレモニー
2024年4月27日(土)、小雨が降るなかでLOGIN Kurashikiのオープニングセレモニーが開催されました。
LOGIN Kurashiki関係者からのあいさつ
まずは、主催者である奨農土地株式会社代表の原浩之(はら ひろゆき)さんからあいさつがありました。
原さんは、2018年ごろから「倉敷に高梁川流域の拠点となる場所を作りたかった」と話します。
倉敷には、先人のかたがたが築き上げた歴史がいろいろあります。
江戸幕府の直轄地である天領の歴史を築き、大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)氏が山陰をつなぐ伯備線のルートを作ってくださり、昭和に入ると今度はそのご子息である大原総一郎(おおはら そういちろう)氏が高梁川流域連盟を提唱しました。
「同じ高梁川の水を飲んでいる地域のみんながひとつになる」、そういう先人たちの想いが倉敷には残っていると思いました。
また、倉敷に訪れる海外のかたは、県内を旅行する際に、岡山市内の岡山城や後楽園、倉敷の美観地区の3か所くらいしか回らないんです。高梁川流域にはあれほど素敵なコンテンツが数多くあるのに、誰も行かないなんてもったいないと思いました。
そこで、高梁川流域の拠点でもあり、インバウンドの中心にもなるような施設を作ろうと、LOGIN Kurashikiをスタートさせました。
テナントも、出店者全員と面接をおこない、私たちの想いに賛同してくれた人たちを集めています。何度も全体会議を重ねて話し合い、ようやく本日、オープンの日を迎えられました。
この施設を見ていただき、楽しむことはもちろん、ここで働く人たちにも注目してもらえたらと思います。
原さんは、LOGIN Kurashikiが地域に根付いたら、倉敷以外の6市3町にも同じような拠点となる施設を作り、いつか高梁川流域をひとつにしたいという夢も語ってくれました。
また、施設内の建築物や内庭についても説明があり、内庭にある噴水や地面の装飾は、高梁川流域をイメージしているそうです。
続いて、大原芸術財団 代表理事の大原あかねさんから来賓あいさつがありました。
大原さんは「高梁川と親和性のあるこの施設に雨が降るなんて、空から水の恩恵を受けているように感じますね。晴れの国岡山なのに」と、当日の天気を交えたトークでお祝いの言葉を述べました。
大原さん、そして原さんも、古くから倉敷のまちを守り続けてきた歴史ある家柄です。大原さんは、「原さんがこのような施設を作り、地域のためにまだまだなにかをやろうとする姿を見ていると、私もさらに頑張らなきゃ!と思います」と語り、二人の関係性が垣間見える微笑ましい場面もありました。
最後は、「世界中の人たちに『美観地区に来て良かった』と思ってもらいたいという想いはみんな一緒だと思います。この場所が輝いていくことを心から祈念しております」と締めくくりました。
その後、建築や庭の制作に携わったかたからももあいさつがありました。
建築に関しては、「路地の暮らしや倉敷らしさをどうやって表現していくか」を何度も打ち合わせし、長屋で暮らす住民のように、お店同士が仲良く一緒に力を合わせていけるような場所にしていきたいという願いを込めて設計されたそうです。
全体に木材が使われているLOGIN Kurashikiの建物は、温もりや明るさを感じられ、お隣同士の距離が近い長屋の良さもきちんと残っています。
庭師の坂本さんからは、「龍」をテーマにした内庭についてのお話と、オープンまでともに駆け抜けてきた関係者への感謝の言葉がありました。小雨が降る天気について、「水の神である龍神さまが降臨した証だと思います」と語ります。
そして最後にマイクの前に立ったのは、今後の施設運営を担う、一般社団法人高梁川プレゼンターレの坂ノ上博史(さかのうえ ひろし)さんです。
坂ノ上さんは、LOGIN Kurashikiに携わる人々が「水の人」だと言います。倉敷では、観光や短期滞在で訪れる「風の人」、生まれ育った地域で根を張る「土の人」、そしてその二つをつなげる「水の人」という言葉があるそうです。
LOGIN Kurashikiに訪れた人が、他地域の人とつながったり、実際に足を運ぶきっかけにつながったりと、そのような場になっていけたらと話してくれました。
多くのかたの想いが集って完成したLOGIN Kurashiki。商品やサービスはもちろん、施設全体の建物や内庭、働く人々など、見どころが盛りだくさんになりそうです。
オープンを祝う旗揚げ
午前10時のオープンを迎える約5分前、未来への期待を込めた旗揚げがおこなわれました。
のぼり旗を持った施設関係者が集まったタイミングでちょうど雨も止み、まるで空もオープンを待ち構えているようです。
原さんの「ここに立っているのが我々の仲間でございます。LOGIN Kurashiki頑張るぞ!」の掛け声とともに、ベンガラ色の旗が高く上に掲げられました。
素敵な笑顔と活気あふれる歓声に、自然に大きな拍手が上がります。
オープン10秒前には全員でカウントダウンもおこなわれ、賑やかな雰囲気のなか、LOGIN Kurashikiがオープンしました。
店舗紹介(一部)
LOGIN Kurashikiでは、以下の8つのテナントが集まっています。
- との商店(飲食)
- 立ち飲み処 架け橋(飲食)
- 準組-甘酒スムージースタンド-(飲食)
- 倉敷帆布 LOGIN Kurashiki店(物販)
- 岡山おくりものファーム LOGIN Kurashiki店(物販)
- つなぐ倉敷(物販)
- TAKAHASHIGAWA TRAVEL(ツアー・サービス)
- HIYASAI(宿泊)
オープン後、気になるお店を回ってみました。一部店舗を紹介します。
立ち飲み処 架け橋
最初に訪れたのは、立ち飲み処 架け橋。岡山県内の地域おこし協力隊が運営する立ち飲み屋です。
ここでは高梁川流域で作られた日本酒やビール、季節で変わる地元のおつまみが気軽に楽しめます。
店頭に立つスタッフは、岡山県内の地域おこし協力隊の現役隊員やOB・OG。移住者ならではの視点で、高梁川流域や岡山県内の魅力を、お酒を通じて発信していきます。スタッフとの会話も楽しめる空間なので、ひとりでも入りやすい雰囲気です。
地物の素材にこだわったソフトドリンクもあるので、お酒が飲めない人でも立ち寄りやすいと感じました。
店内には高梁川流域にちなんだ伝統工芸品や民芸品なども飾られており、流域圏の文化にも触れられます。
今後は各地の特産品を使用したメニューを提供するイベントも開催されるので、Instagramをチェックしてください。
岡山おくりものファーム LOGIN Kurashiki店
続いて足を運んだのは、地場産の食べ物やアイテムがずらりと並んだ岡山おくりものファーム LOGIN Kurashiki店です。別店舗では岡山市内で飲食店を運営しており、高梁川流域で採れたフルーツを使ったパフェなどを提供していました。
「せっかく観光に来ていただくなら地のものを」という想いでスタッフが選んだ商品は、すべて岡山県産のものだそうです。スタッフおすすめの品しか扱っていない店舗なので、どのアイテムにも質の良さとこだわりを感じます。
「うらら」というプライベートブランドも取り扱っており、県内で採れたフルーツを使用したゼリーやジュース、アイスなども販売しています。
今回はオープニングセレモニーの記念にブドウジュースを試飲させてもらいましたが、ブドウの味の濃さとみずみずしさがそのまま残った味わいで、おいしかったです。お土産や贈り物にもぴったりだと思います。
さりげない手土産に、県外のかたへ渡す贈り物に、いろいろな場面で利用できそうなショップでした。
TAKAHASHIGAWA TRAVEL
最後に訪れたのは、旅行会社TAKAHASHIGAWA TRAVELです。
地元の旅行会社ならではのディープなまち歩き体験やツアーガイド、夜の美観地区のアクティビティなど、TAKAHASHIGAWA TRAVELでしか味わえないとっておきの旅をプランニングしてもらえます。
海外観光客のかた向けに、いろいろな言語の美観地区の地図も置いてあります。
TAKAHASHIGAWA TRAVELは、場所の魅力をただ伝えるだけでなく、各ガイドの個性・ユーモアを生かしたツアーで「またあの人に会いたい」と思ってもらえるような体験の提供を目指しているそうです。
普段は入れない地元企業の工場見学ツアーや、阿智神社のお祭りでおこなわれる珍行事の参加体験など、地元の旅行会社だからこそできる、ディープな観光プランが数多く用意されています。
有料で手荷物預かりやレンタサイクルのサービスもあるので、身軽に観光したいかたや少し遠出したいかたにもおすすめです。
おわりに
オープニングセレモニーの当日、LOGIN Kurashiki前の広場ではマルシェが開催されていました。
以前の「倉敷路地市庭」が復活したのかと思い、私も取材終わりにふらりと立ち寄ってみました。
マルシェには、地元のかたで賑わう空間が広がっており、LOGIN Kurashikiの活気がマルシェにも伝わっているような印象を受けます。LOGIN Kurashikiから倉敷を盛り上げ、そしていつかその盛り上がりを高梁川流域へ広めていく。そのような未来が少しイメージできた瞬間でした。
こちらのマルシェイベントは、毎週土曜日と日曜日に開催されます。季節や地域性に合わせてテーマが変わるらしく、毎週違った楽しみ方ができそうです。
高梁川流域の魅力は、地元住民でもなかなか把握できず、把握していても誰かに伝える機会がめったにないと感じます。LOGIN Kurashikiのように魅力を発信する拠点があるだけで、高梁川流域の認知度が観光客の間でぐんと上がるような気がしました。
LOGIN Kurashikiに訪れたことをきっかけに、高梁川流域へ足を運ぶ人が少しでも増えたら良いなと思います。
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LOGIN Kurashiki(ろぐいん くらしき)のデータ
名前 | LOGIN Kurashiki(ろぐいん くらしき) |
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期日 | 営業時間は店舗によります |
場所 | 岡山県倉敷市阿知2丁目20番9号 |
参加費用(税込) | 入館料は無し |
ホームページ | LOGIN Kurashiki公式サイト |
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