倉敷市の南端に浮かぶ「松島」を知っていますか。周囲約1.2キロメートルの、岡山県内で一番小さな有人島です。
島民はわずか2人ですが、わかめ漁やお墓参りなどで人々が往来しているそう。
そんな松島では、ここにしかない景観や資源を活かした文化芸術を発信する場づくりが進んでいます。
どんな取り組みが行なわれているのか、実際に松島に行ってお話を聞くことができました。
記載されている内容は、2021年12月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
松島とは
松島へは、倉敷市下津井から渡船に乗って約5分で到着します。定期航路はありません。
瀬戸大橋を一望する最高のロケーション。
海の幸が豊富であることから、知る人ぞ知る釣りスポットでもあります。
マダイ、ハマチ、カワハギ、イカ、タコ、メバル、アナゴ、サバ、アジなどが釣れます。
旧下津井西小・下津井中学松島分校
松島に到着して最初に目に入る建物が、旧下津井西小・下津井中学松島分校。1902年に創設された分校です。
松島にはかつて約100人が暮らしており、この学び舎に数十人が通っていた時代もあったそう。
旧下津井西小・下津井中学松島分校は1989年に休校、2000年3月に廃校となりました。
今は松島分校美術館となり、松島ならではの景観や資源を活かし、アートを発信する場づくりが進んでいます。
「下津井・松島から芸術文化の新たな価値観を生み出したい」と約10年、活動に取り組んできたのが、一般社団法人松島分校美術館の代表理事・片山 康之(かたやま やすゆき)さんです。
倉敷市児島出身・児島在住の片山さんは、自身もアーティストで彫刻家としても活動中。
粘土を中心に、木、金属などさまざまな素材を組み合わせる手法で作品をつくっています。
鷲羽山・下津井まちづくり推進協議会とタッグを組み、行政に働きかけ、松島に関わるかたたちとの関係性をていねいに築いてきました。
一般社団法人松島分校美術館が倉敷市から活用を任されて、松島分校美術館を運営しています。
松島に実際に行ってきました!
倉敷市下津井にある田土浦公園の近くから渡船に乗れば、360度、見わたす限りの海。すぐそばには瀬戸大橋がドドーン!
約5分と短かったですが、最高の船旅です。
到着すると松島分校美術館がすぐ目に飛び込んできました。
取材をした日は1か月に1度、子どもたちが島に遊びに来る日。元気な声が響きます。
1989年に休校してから約30年間使われていなかった建物は、天井が落ちボロボロだったそう。
2018年、1年がかりで整備されました。
1階のオープンスペースはもともと3つの教室があった場所。
壁をなくし広い部屋となりました。窓はそのまま使っています。
たくさんの本が並ぶ中、よく見ると学校で使われていた実験道具や、大きなタイマーなども。
もともとトイレだった場所には、お風呂場ができました。
1階には整備されたキッチンスペースも。
宿泊が可能になり、アーティストが滞在して作品を制作する「アーティストインレジデンス」に活用されています。
2階にも1階のオープンスペースと同じくらいの広さの部屋があり、スクリーンへ映像作品の上映ができるようになっていました。
こちらはもともと講堂だったそうです。
2階の階段を挟んだ東側は、職員室だった場所。ふだんはスタッフルームですが、作品を制作するアーティストのための暗室にもなります。
校庭は公園のようにきれいに整備されていました。
すぐそばは海で、最高のロケーションです。ここではキャンプができるよう、準備を進めているのだとか。
島を歩くと海に臨む傾斜に家屋が立ち並び、人が暮らしていた雰囲気がそこここに残っています。
松島はもともと漁師さんが多い島だったそう。
訪れた日は、釣りを楽しんだあと船に迎えに来てもらい、帰って行く人もいました。
本土から約5分で来ることができる松島は、釣り人に人気の穴場スポットなのでしょう。
松島のことや松島分校美術館の取り組みについて、一般社団法人松島分校美術館 代表理事・片山 康之(かたやま やすゆき)さんと、同団体で地域おこし協力隊として活動する脇村 拓嗣(わきむら たくじ)さんにお話を聞きました。