「日本酒」ってどんなイメージがありますか?
私たち鷲羽高校のメンバーは、まだ未成年なのでまったく馴染みがなく、「おじいちゃんがこたつで飲んでいるお酒で、どこか古めかしいイメージ」を持っています。
倉敷鷲羽高校ビジネス研究部の「児島を元気にしたい!」という想いと、酒蔵の若き跡取りである、前畠眞澄(まえばたけ ますみ)さんとの想いがマッチングし、倉敷市児島下の町にある「三冠酒造(さんかん しゅぞう)」を訪問しました。
この記事では、三冠酒造へ酒造見学に行った内容を紹介します。
この記事は倉敷鷲羽高等学校ビジネス科の生徒による寄稿記事です。一般社団法人はれとこ編集部が再編集し、公開しています。
記載されている内容は、2021年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
創業210年を超える老舗「三冠酒造」
三冠酒造は江戸の末期である文化3年(1806年)より、倉敷市児島下の町で酒造業を営んでいる、創業210年を超える酒蔵です。
高梁川系水脈の水を使用し、使用する米(朝日米・雄町など)はすべて岡山県倉敷市産にこだわっています。
精米歩合は60パーセント以下に精白し(米を磨き上げ)、飲み飽きしない辛口の芳醇な味わいで地域に愛される地酒造りに取り組んでいるのです。
精米歩合60パーセント:玄米を削り60パーセントの白米を使っている
児島地区には他にも酒蔵がありますが、そのなかでも飲み口は濃厚辛口であり、他の酒造会社とは味もコンセプトも異なります。
あくまでも、瀬戸内の小魚・青魚に合うような醸造となっているそうです。
三冠酒造の仕込水「みこえの水」
「そもそも児島には、酒造に使える水があるのか?」というのが私たちの素朴な疑問でした。
児島地域は海の近くなので、使用する水には塩分がありそうです。
ですが実際は、地下の花崗岩(かこうがん)などの地質で磨き抜かれ(ろ過され)、水質は硬水。
素材の味を十二分に引き出す、とてもすっきりとした水です。
その昔、児島の沿岸は塩田(えんでん)で埋め尽くされていました。
炎天下の塩田で働くひとたちの間では「みこえの水」と呼ばれ、列をなし喉を潤す”冷たいうまい水”として重宝されていたそうです。
縁起のよいお酒「三冠」
「三冠」と聞いて思いつくのが、野球でよく聞く「三冠王」という言葉。
なかでも「酒趣深遠(しゅしゅしんえん)」という種類は、なんと水島新司(みずしま しんじ)さんの野球漫画「あぶさん」の48巻で、主人公である景浦安武(かげうら やすたけ)が劇中で呑み、見事三冠王を獲得したという縁起のよい名前の酒です。
日本の文化を語れるように
自称「そのうち七代目」と語る前畠さん。
若いころには、バックパッカーとして世界各地を巡っていたとのこと。
海外の若者は自国の文化について熱く語ることができ、当時の前畠さんには衝撃だったそうです。
日本酒は、日本が生んだ文化ともいえます。
「日本の文化について自信を持って語れるようになりたい」と感じたのが、酒造を継ごうと思ったキッカケだそうです。
そこから若き後継者、前畠さんの挑戦は始まったのです。
酒蔵という昔ながらのイメージを大切にしながらも、酒造ギャラリーの整備など多くの人に日本酒文化、または日本の文化を知ってもらいたいと、熱い想いを表現している空間が三冠酒造にはありました。
酒造ギャラリー
酒造ギャラリーでは、地元下津井産の「酒の肴」とのマリアージュを楽しみながら、蔵の歴史や酒造工程がわかりやすく見られ、日本酒文化に触れることができます。
下津井で水揚げされる魚介の加工食品と、日本酒を楽しめるような空間が用意されているのです。
これこそ「こじまっちんぐ」ではないかと、新たなマッチングのヒントがたくさん埋もれていました!
また「三冠酒造の酒造り」について、わかりやすいパネルが展示されており、多くの工程を経て日本酒ができているのだと驚いたものです。
いざ、醸造現場へ
私たちは、日本酒を醸造している場所に入らせていただくことに。
もちろん人生で初めてのことです。
いろいろな工程で、日本酒が醸造されていることに驚き!
そして作業は ほぼ手作業で行われ、手間暇かけて醸造されていることを知りました。
菌が混入するとダメなため、納豆菌などは大きな敵であり、普段の食生活にも気を付けて醸造しているということにも驚きです。
出会いは鷲羽山ハイランド
三冠酒造の前畠さんとの出会いは、鷲羽山ハイランドでの無料開放デーでした。
▼以下の写真、よく見ると後ろに前畠さんの姿が…!
そう、しっかり背後でアピールしていたのです(笑)
実は無料開放デーでジェラートを販売した日、隣のブースが三冠酒造だったのです。
このご縁で、今回の訪問に至ることになりました。
新たな「こじまっちんぐ」誕生!
「風美堂」と「シーサイドファームなんば牧場」の若き後継者のマッチングに続き、新たなるマッチングが誕生です!
今度は「三冠酒造」と「シーサイドファームなんば牧場」で、またしても若き後継者のマッチング。
過去のこじまっちんぐではジェラートの開発が多かったのですが、今回もジェラートで「日本酒」を使ったものになるのでしょうか?
…そうではなく、今回は「酒粕」です!
なんと!牛が食べているのが、その酒粕。
必須アミノ酸が多く含まれている酒粕は、牛の発育に良い影響があるのではないかと考えられています。
餌場に酒粕を置いたところ、牛たちは猛(モウ)ダッシュで食いついてきました(笑)
酒粕は今までお金を払って産業廃棄物として処分していたそうです。
しかし餌として与えてることによって、フードロス問題や環境問題にも対応したマッチングとなりました。
酒粕の餌で育った牛のミルクを使ったジェラートは、栄養満点でとてもおいしそうです。
鷲羽山ハイランド無料開放デーで、偶然にも隣のブースで販売していたのが縁でした。
熱い想いを持った後継者のかた同士の話しは速く、とんとん拍子でマッチングが進展していったのです。
話しの場に居合わせた私たちも驚きましたが、ビジネスの世界にはスピードが大切なのだと、生きた学びをすることができた瞬間でした!
「こじまっちんぐ」は児島という限られた地域から、また新たな一歩を踏み出します!
「こじまっちんぐ」プロジェクトって?
岡山県立倉敷鷲羽高等学校ビジネス科とビジネス研究部では、「こじまっちんぐ」プロジェクトと称して、児島地域にすでにある産品同士をマッチングし(組み合わせ)、新たなる価値を生み出すための取り組みをおこなっています。
第1弾は純児島産スイーツ「いちじくジェラート」で、2020年9月から約1か月間限定で販売され売れ行きも好調で大好評でした。
第2弾の老舗和洋菓子店「風美堂」とのマッチングで誕生した「なんちゃって?いちご大福」は2021年2月現在、絶賛販売中です。
第3弾の「名曲喫茶 時の回廊」とのマッチングで誕生した「ブラジリアンコーヒージェラート」も絶賛販売中!
第4弾の「Boulangerie Bleu ciel(ブランジュリ ブルーシエル)」とのマッチングで誕生した「児島産いちじくを使った手ごねパン」は2021年9月頃から期間限定で販売されます。
- 第1弾「いちじくジェラート」
- 第2弾「なんちゃって?いちご大福ジェラート」
- 第3弾「ブラジリアンコーヒージェラート」
- 第4弾「児島産いちじくを使った手ごねパン」
そして三冠酒造とも新たなるマッチングを計画中です。
今後も、倉敷鷲羽高校ビジネス科の生徒が書く記事をお楽しみに!
「こじまっちんぐ」プロジェクト参加者募集中
私たち倉敷鷲羽高校ビジネス科では、「こじまっちんぐ」プロジェクトを実施するにあたり、まずは「地域を知ること」を大切にしています。
これからも児島地域にあるスポットを紹介していきたいと思います!
ぜひ、興味のあるかたは、鷲羽高校までご連絡ください。