2020年11⽉〜2021年2⽉にかけて開催されている「⾼梁川志塾」。
SDGsビジョン編、教養編、スキル編の3つに分類された全41コマの講座を、22名の受講⽣と都度参加の聴講⽣が受講しています。
2020年12⽉13⽇(日)は、スキル編として一般社団法人はれとこ 代表理事 戸井 健吾 さんが講義を⾏いました。
戸井さんは、高梁川流域学校の理事でもあります。
会場参加者は20代の若者から子育て中の主婦、会社員など11名。Zoomによるオンライン参加者は8名。
今回、私は自宅からオンライン参加をしました。
講義の内容をレポートします。
記載されている内容は、2021年1月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
高梁川流域学校 高梁川志塾のデータ
名前 | 高梁川流域学校 高梁川志塾 |
---|---|
期日 | 本講義は2020年12月13日(日)午前10時から正午まで開催。 |
場所 | 〒710-0046 岡山県倉敷市中央2丁目13−3 住吉町の家 分福 |
参加費用(税込) | 会場受講:1,500円 オンライン受講・アーカイブ受講:500円 |
ホームページ | 高梁川流域学校 高梁川志塾 |
⾼梁川志塾の概要
「⾼梁川志塾」は倉敷市委託事業として、⼀般社団法⼈⾼梁川流域学校が運営する、⾼梁川流域における歴史・⽂化・産業、フィールドワークなどを通し、地域づくりや、「持続可能」な地域を担う⼈材育成、⾏動につなげることを⽬指す塾です。
受講コースは、以下の2種類。
- 実習やプレゼンテーションを⾏う「SDGs探究コース」
- 座学として任意の講座を受講する「聴講⽣コース」
2020年11⽉3⽇(火)に開校式が開催され、2021年2⽉14⽇(⽇)の修了式まで、41コマの講義を開催します。
テーマは、以下の3種類です。
▼SDGsビジョン編
⾼梁川流域の2030年のビジョンと課題解決のための現状の取り組みを、実践者や専⾨家のレクチャーで深く理解し、アクションヘの気づきを得ることができる講座。
▼教養編
⾼梁川流域における歴史、⽂化、産業などを学び、活動の前提となる知識を得るための講座。
▼スキル編
プレゼンテーション、非営利団体の会計、データ分析(RESAS活用)、ITツールの利活用、ブログやSNSの活用など、探求学習のためのスキル・ノウハウを習得する講座。
より詳しい内容は、「⾼梁川志塾」の特設ページを⾒てください。
月間100万PVのブロガーが取組む地域メディアのビジョン
一般社団法人はれとこ代表理事の戸井 健吾 さんは、元システムエンジニアです。
会社員をしながら副業として個人ブログを開始。
約8年間の運営を経て、当面生活できる目途がたったこともあり、2018年8月に会社を退職しました。
退職とちょうど同じころ、平成30年7月豪雨が発災。
災害ボランティアセンターの運営に関わったことにより、地域のことをより深く考えるようになりました。
2018年9月に地域メディア 倉敷とことこ の運営をはじめ、2019年11月に一般社団法人はれとこを設立。
現在は、情報発信を軸としたフリーランスとして多角的に活躍しています。
講義内容は、以下のような内容です。
- 一般社団法人はれとこ ができるまで
- 地域メディア 倉敷とことこ運営の実態
- 地域メディアのメリット・デメリット
- 一般社団法人はれとこの今後のビジネス展望
- 強みを生かした長期ビジョンを描こう
実際に参加して、筆者が気になったトピックを3つ紹介します。
地域メディアは儲かるの?継続できる仕組みづくりを
はじめに、とても気になるお金のお話がありました。
地域メディアは儲かるのでしょうか?
結論から言うと、地域メディアは短期的には儲からないそうです。
少なくとも3年間は耐えの時期として、最低でも1,000万円程度の軍資金が必要になるとのこと。
倉敷とことこの運営実態の紹介がありました。
2年間で800万円のマイナスという結果に!
ボランティアではいつまでも続かないし、個人で運営費を全てカバーし続けることには無理があります。
戸井さんは、運営当初からビジネスとして継続できる仕組みづくりに取り組んできました。
倉敷とことこの2年間の運営を経て、メディアとしての知名度が上がり、大手メディアとの連携も生まれ、ブランド力が向上。
3年目以降、長期的な運営のために収益化を目指す段階にまでメディアが育ってきているそうです。
地域メディア運営は、長期的に取り組む余裕が必要だということが分かりました。
地域メディア運営のメリット・デメリット
戸井さんが地域メディア運営をする上で実感している最大のメリットは、個人としてのブランド力がついてきたことです。
- ICT専門家
- 情報発信専門家
- 地域メディア運営者
- 行政・観光施設などからの相談
- 高梁川流域学校の理事就任
- 講師業の増加 など
地域メディアの運営を通じて戸井さん自身が積極的に現場に足を運ぶことで、地域のかたとコミュニケーションをとる機会が生まれました。
「新しい出会いが新しい機会を生み、2年前には思いもしなかったようなジャンルにまで活動範囲が拡がっていきました」と語る戸井さん。
地域内のさまざまな分野で活躍するかたがたにたくさん出会い、自分が住む倉敷という街の良さを再発見し、胸を張って自分の住む地域が好きだと言えるようになったそうです。
「お金では買えないリターンがたくさんあり、投資価値はあったのかな…」
そんなふうに語る一方で、収益が上がらないなか、代表理事だけが個人として注目を集めるようになり、運営メンバーやライターの心が離れていくという難しい局面を迎えています。
なぜ、自分がそれをするのか。長期的ビジョンを描こう
戸井さんによると地域メディア運営は、分かりやすい数字やお金儲けを目的として継続するのは難しいそうです。
- なぜ、自分が地域メディアを運営するのか
- 自分の強みは何か
- どういう形で貢献していくのか
「なぜ、それをするのか」
ジャンルを問わず、根本的な問いにしっかりと向き合い、自分が納得できる答えが出てから始めることが大切とのこと。
戸井さんには以下の強味があります。
- システムエンジニアとしての知識
- 職場でのマネジメント経験
- 個人ブロガーとしての実績
- コミュニティ運営でできた人脈
戸井さんにとっては、自分の強みを生かして地域に貢献できることが、地域メディア運営でした。
今後の展望として、以下のようなことを考えているそうです。
- 倉敷とことこをモデルとして他地域へ進出し、シリーズ化する
- とことこシリーズが触媒となり、地域のかたに新しい化学変化を起こす
- 地域のかたに都合よく使ってもらえるプラットフォームとなる
そんな長期ビジョンを描き、今後の事業展開を考えていきたいとのことです。
おわりに
講義終了後の質疑応答の時間では、戸井さんの働き方に対する質問がありました。
戸井さんは現在、子育てを生活の中心に置いた主夫を基軸として、フリーランスの仕事をしています。
会社員を経て独立し、一般社団法人を設立。
今までの実績をもとに着々と活躍分野を拡げています。
その華々しい活躍の一方で、過去には働きすぎでうつ病を患った経験があり、息の抜きどころを大切に仕事と家庭生活のバランスを意識的にとっているそうです。
会場の受講生からの「会社員を辞めて独立を急ぐべきか」という質問には、「何事も一本柱は危険であり、複数の柱を持つことは精神の安定のためにも大切だ」と、自身の経験から実感の伴ったアドバイスをしていました。
自分自身が楽しいかどうか。
何を始めるにしても一番大切なことです。
戸井さんの今のお仕事は、どんなに忙しくても仕事自体が楽しいので、仕事そのものが息抜きになっているとのこと。
自分自身が楽しいと言えなければ続かない。
お金を超えた、「意義・使命感」を持って働けるジャンルをみつけること。
「真の社会貢献へのみちしるべは、自分自身との深い対話にある」と感じた講演会でした。
高梁川流域学校 高梁川志塾のデータ
名前 | 高梁川流域学校 高梁川志塾 |
---|---|
期日 | 本講義は2020年12月13日(日)午前10時から正午まで開催。 |
場所 | 〒710-0046 岡山県倉敷市中央2丁目13−3 住吉町の家 分福 |
参加費用(税込) | 会場受講:1,500円 オンライン受講・アーカイブ受講:500円 |
ホームページ | 高梁川流域学校 高梁川志塾 |