倉敷うどん ぶっかけ ふるいち 仲店の岡田マネージャーにインタビュー
倉敷市民の心の味ともいえる、ふるいちのぶっかけうどん。
観光客など、市外・岡山県外からも注目されるようになりました。
そんな、倉敷うどん ぶっかけ ふるいち 仲店のマネージャー・岡田 将和(おかだ まさかず)さんにインタビューをおこないました。
インタビューは2019年8月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
ふるいちの起源は現在の真備町の製粉屋にある
![ふるいち仲店の看板](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-22.jpg)
ふるいちは、倉敷の住んでいるならおなじみの店ですが、歴史は古いんですか?
岡田
ふるいちの起源をたどれば、100年以上前になります。
ルーツは、吉備郡二万村(現在の倉敷市真備町の二万(にま)地区)にあるんです。
二万で製粉業を起こしたのが起源になります。
現在の「ふるいち」として創業したのは、初代代表・古市 博(ふるいち ひろし)です。
現在ふるいちは戦後のアイスキャンディーの行商から始まった
![ふるいち本店](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-23.jpg)
ふるいちとして現在地でお店を始めたのはいつごろなんでしょうか?
岡田
戦後ですね。昭和20年代前半です。
博が自転車でアイスキャンディーの行商を始めたんですが、それがふるいちとしてお店を始めた最初になります。
しかし、アイスキャンディーは夏の食べ物です。
冬は何を売ろうかと考えて、思いついたのが夫婦饅頭(ふーまん)。
現在ふるいち本店のある場所で、ふーまんのお店を始めたんです。
そのときは「古市商店」という名前で商いをおこなっていました。
このふーまんはとても人気が出て、一躍「ふるいち」の名前が地域に知れ渡るようになったんです。
その当時から、いまと同じ場所でふーまんを売っていたんですね!
岡田
実は当時の本店は、現在よりもずっと広い店だったんですよ。
ただ、旧国道2号線(国道429号線)の拡幅で土地を譲渡したので、現在のような店になりました。
倉敷名物「ぶっかけうどん」誕生秘話
![ふるいちの「ぶっかけうどん」](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-24.jpg)
うどんは、いつごろから始めたんですか?
岡田
うどんを始めたのは、昭和30年代半ばごろですね。
アイスキャンディーの販売は、ふーまんが順調になってやめていました。
だから、夏になると売上が落ち込んでいたんです。
夏でも食べやすい何かを売ろうということで、昭和30年代半ばごろからうどんを始めたんです。
ちょうどそのころ、倉敷出身の星野 仙一(ほしの せんいち)さんも、ふるいちによくうどんを食べに来ていたんですよ。
ちなみに、昔はお好み焼きの販売もやっていたこともあります。
仲店のすぐ近くにお好み焼きのふるいちという店がありますが、昔ふるいちからのれん分けした店です。
ふるいちの代名詞である「ぶっかけうどん」もそのころからですか?
岡田
ぶっかけうどんは、うどんを始めた当初はなかったんですよ。
ぶっかけうどんを出したのは、昭和30年代後半です。
当時、博は仕事が終わったあとにマージャンをするのが楽しみでした。
そのときに、うどんを食べながらやっていたんです。
特にざるうどんが好きで、まだ小さかった現在の代表で、博の息子である古市 了一 (ふるいち りょういち)にうどんをつくらせていました。
でも、マージャンをしながらざるうどんを食べるのは、とても面倒。
そこで博は了一に、ざるうどんのつけ汁や薬味を最初からうどんにかけてから出すように言いました。
このうどんを食べていたとき、博は「これは店のメニューにしたらいいんじゃないか?」と思いつきます。
その翌日に、さっそく「ぶっかけうどん」としてお店に出したんですよ。
これがぶっかけうどん誕生の瞬間です。
その後、少しずつ改良を重ねていって、現在のようなぶっかけうどんになりました。
ぶっかけうどんは、日常生活のなかのちょっとした思いつきからうまれたんですね。
岡田
でも、最初は一日5杯くらいしか売れなかったんです。
ぶっかけうどんの人気が出たのが、了一が高校生になったとき。
そのころ、了一はウェイトリフティングや音楽活動に熱中していて、広い交友関係をもっていました。
その関係で、了一の友達の高校生がたくさんふるいちに訪れるようになったんです。
やがて高校生のあいだで「ふるいちのぶっかけうどんがおいしい」と口コミで広がっていきました。
それがきっかけで、ふるいちのぶっかけうどんの人気に火が付いて、倉敷の老若男女が訪れて、ぶっかけうどんを食べるようになったんです。
ダシの素材の味がしっかり味わえるように材料にこだわっている
![ふるいち代表 古市 了一 氏](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-41.jpg)
ぶっかけうどんのこだわりや特徴はありますか?
岡田
ダシについては、素材の味がしっかりと味わえるものを提供したいと思っています。
そのために、いい素材・こだわった素材を使うようにしているんです。
ふるいちでは、ダシの素材は京都に昔からあるお店から仕入れています。
京都は、歴史的に全国からいろいろなものが集まってきた場所。
だから、いろいろといいものがそのお店から手に入るのが強みなんですよ。
カツオ・利尻コンブ・シイタケなどを厳選して使っています。
ちなみに、汁うどんのほうもかなりこだわっているので、おすすめですよ。
まずは、いろいろなぶっかけうどんを楽しんでいただき、ぶっかけを制覇したと感じたら、ぜひ「応用編」として汁うどんを味わってもらいたいと思います。
讃岐うどんはイリコダシが多いのですが、それとの違いを楽しんでみるのもおもしろいですよ。
麺のこだわりは?
岡田
うどんの麺に力強さ・歯ごたえを求めるなら、国産小麦が使うのがいいんです。
しかし、ふるいちのぶっかけうどんに合うのは、しなやかさや弾力がある麺。
ふるいちのうどん麺は、オーストラリア産の小麦をメインで使っています。
ぶっかけうどんのタレに一番合うのは、オーストラリア産の小麦なんですよ。
仲店の特徴は「ぶっかけうどんの聖地」として昔ながらの雰囲気をあえて残していること
![ふるいち仲店の外観](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-25.jpg)
ほかのふるいちの店にはない、仲店ならではの特徴はありますか?
岡田
仲店は、昔ながらの雰囲気を残しているのが特徴ですね。
もともとうどんも本店で販売していたんですが、旧国道2号線拡幅の少し前に、うどんの専門店として現在地に分離しました。
建物はその当時のままなんですよ。
だから全国のうどんファンのあいだでは、仲店は「ぶっかけうどんの聖地」として親しまれているんです。
昔のままだから、注文方式がフルサービスで料金後払いなのも、仲店だけ。
ほかのふるいちの店は、セルフサービスが基本です。
あと、メニューもほかの支店とは少し違っていて、仲店独自のメニューもあったりしますよ。
ぶっかけうどん発祥の店として、これからもできるだけ昔の雰囲気を残していきたいですね。
ただ、バリアフリー対応や小さな子供がいる人への対応が難しいのが欠点です。
バリアフリーへの対応が必要だったり、小さな子供がいたりする場合は、市内の郊外にもふるいちの店がありますので、そちらの店のご利用をおすすめしています。
参考:ふるいち店舗一覧
真備町はふるいちのルーツの地なので平成30年豪雨のときは積極的に協力した
![ふるいち仲店のメニュー](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-26.jpg)
ふるいちの初代代表は、現在の真備町出身と聞きました。真備町は「平成30年7月豪雨」で大きな被害が出ましたが、どんな思いがありますか?
岡田
真備はふるいちのルーツの地ということもありますが、純粋に近くの地域で災害が発生したので、力になれればという思いが強いですね。
災害発生から3日後、ふるいちでは被災地へうどんを提供することを決めました。
実は、東日本大震災のときに行政とともに手助けしようと、ふるいちを含む地元の有志でボランティアチームを結成し、活動していたんです。
真備町の災害も、このボランティアチームで動きました。
ふるいちの仲店でうどんをつくり、ボランティアチームが現地に運んで配布するという活動です。
仮設住宅などが整備された9月まで、うどんの提供はおこないました。
全部で約7,000食を提供しましたよ。
ふるいちのうどんの魅力は毎日食べられるおいしさ
![ふるいちの「おろしぶっかけ」](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-27.jpg)
マネージャーの岡田さんから見た、ふるいちの魅力・いいところは何でしょうか?
岡田
ふるいちのよいところは「毎日食べられるおいしさ」だと思います。
ほかのお店のうどんもいろいろと食べてきました。
すごくおいしいなと思う店もあります。
だけど、毎日それを食べたいかといったら、ちょっと違う。
でも、ふるいちのうどんは、毎日食べられて、しかも毎日おいしいと思うんですよ。
ふるいちで働いているから、出勤の日はいつもうどんを食べます。
だけど、いつ食べてもおいしいなぁと思うんですよ。
毎日食べたいと思えて、毎日おいしいと思えるうどん。
それが、ふるいちのうどんなんです。
ぶっかけうどんはふるいちの名物ではなく倉敷の食文化。それをもっと発信したい
![ふるいち「うどん天下一決定戦」全国優勝二連覇のノボリ](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-28.jpg)
今後の展望ややってみたいことをお聞かせください。
岡田
ふるいちは、地域のみなさまのおかげで今までやってこれたと思っています。
ふるいちは、アイスキャンディーの行商からふーまんの販売に始まり、いろいろものを売ってきました。
その中でうどんを提供し、みなさまから評価をいただいてうどん店になりました。
ぶっかけうどんが人気になり、倉敷名物といわれるようになったのも地域のみなさまのおかげ。
ふるいちがぶっかけうどんを倉敷名物にしたのではなく、倉敷の地域のみなさまがぶっかけうどんを名物に育て上げたのです。
ぶっかけうどんはふるいち名物ではなく、倉敷名物であり、倉敷が生んだ食文化と考えています。
だから店名も「倉敷うどん ぶっかけ ふるいち」となったんです。
ふるいちの使命は、倉敷の食文化であるぶっかけうどんを、もっともっと世に広めることと思います。
それが、ふるいちを今まで愛していただいた倉敷の地域への恩返しになるんじゃないかなと。
まだまだたくさんの人に「倉敷うどん ぶっかけ」を知って欲しい。
そんな思いから「うどん天下一決定戦」への出場も決めたんです。
おかげさまで、大会では毎回好成績を残すことができました。
倉敷のためにお役に立てたかなと思います。
また、日本国内はもちろん、海外に向けても発信したいですね。
うれしいことに、海外からの観光客もインターネット等で倉敷の食べ物を調べてふるいちを知り、お店にたくさん訪れています。
日本には、まだまだ知られていない、さまざまな地域ならではの食文化があります。
各地のおもしろい食文化が、もっともっと知られたらおもしろいと思いませんか?
倉敷のぶっかけうどんが、そのきっかけのひとつになればいいなと思います。
おわりに
![ふるいちの「天ぷらぶっかけ」](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-30.jpg)
倉敷やその周辺で育った人にとって、ぶっかけうどんといえばなじみ深いもの。
私も子供のときから今でもよく食べます。
倉敷に来たら食べるものといえば「ぶっかけうどん」というのは、だいぶ知られてきた感じがします。
そのぶっかけうどんの生みの親のふるいちは、ぶっかけうどんは店の名物ではなく「倉敷という地域の食文化」だと考えていることに感銘を受けました。
地域で育まれた食文化を味わうことは、地域のことを知るきっかけだと私は考えています。
倉敷に訪れたら、ぜひぶるいち仲店のぶっかけうどんを味わってみてください。
また、秋・冬にはふるいち本店の昔ながらの「ふーまん」も楽しんでみてはいかがでしょう。
倉敷うどん ぶっかけ ふるいち 仲店のデータ
![ふるいち仲店の外観](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2019/08/furuichi-1.jpg)
名前 | 倉敷うどん ぶっかけ ふるいち 仲店 |
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住所 | 岡山県倉敷市阿知2丁目3-23 |
電話番号 | 086-422-2389 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前9時〜午後9時 |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 不可 |
座席 | 43席 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | 子供用食器・取り皿あり。 ただしベビーカー入店や子供用イスなどの対応が必要な場合は市内の最寄り店舗の利用を推奨(中島店・堀南店・イオンモール倉敷店・松島店・水島店など)⇒店舗詳細 |
バリアフリー | バリアフリー対応が必要な場合は市内の最寄り店舗の利用を推奨(堀南店・中島店・イオンモール倉敷店・松島店・水島店など)⇒店舗詳細 |
ホームページ | 倉敷うどん ぶっかけ ふるいち |