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第24回くらしき未来K塾 〜 キャリアカウンセリング力:先生の「自分」探険ワークショップ

第24回くらしき未来K塾 〜 キャリアカウンセリング力:先生の「自分」探険ワークショップ

知っとこ / 2021.10.06

先行きが不透明な社会において、かつてのように「決まった路線に従って生きればなんとかなる」というのは危うい認識。

自分らしく幸せに生きていくためには、一人ひとりが自立して生き方を決める必要があるでしょう。

学校教育の現場では、予測の難しい社会において、子どもたちが自分らしさを発揮しながら生きていく力を育てるために、キャリア教育に取り組んでいます。

2021年8月21日(土)に開催された「第24回くらしき未来K塾」では、キャリアカウンセリングについて学ぶためのワークショップが行なわれました。

「キャリア教育とは何か?」、「キャリアカウンセリングに求められることとは?」など、講義を通じて学んだことを紹介します。

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記載されている内容は、2021年10月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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くらしき未来K塾とは?

第24回くらしき未来K塾看板

「くらしき未来K塾」とは、学校と社会の包括的教育改革と志ある教師の応援を目標に、語らい座 大原本邸で開催している、月1回のセミナーです。

2021年8月21日には、教育事業を専門にするライター兼編集者である江森真矢子(えもり まやこ)さんを講師として招待し、キャリアカウンセリングについてのワークショップを行ないました。

参加者の多くは現役の小学校、中学校、高等学校の教員です。

2021年8月に発令された緊急事態宣言を考慮して、完全オンラインでの開催。

心に寄り添うコミュニケーションが必要とされるキャリアカウンセリングのワークショップを、画面越しに行なうという難しい挑戦となりました。

講師 江森真矢子さんの紹介

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講師 江森真矢子さん

講師の江森真矢子さんは、株式会社リクルートで教育専門誌の編集者として活躍した経歴を持っています。

2015年からは、岡山県和気郡和気町の地域おこし協力隊として岡山県立和気閑谷学校の教育事業に取り組み、その後、地域づくりを目的とした教育や人材育成を行なう「一般社団法人まなびと」を設立しました。

現在は和気町に住みながら、フリーランスの編集者兼ライターとして全国の教育事業についての編集、執筆を続けています。

今回のテーマはキャリアカウンセリングですが、江森さんはキャリアカウンセラーとしての経歴はないそうです。

ライター、編集者としての経験を通じて得られたキャリアカウンセリングについての知見を、教育の現場に還元したいという想いから、今回のワークショップを企画したと話していました。

大原本邸ブックカフェ1
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キャリア教育とは?

キャリア教育とキャリア発達

講義は、キャリア教育の定義から始まりました。

文部科学省は、キャリア教育を次のように明文化しています。

一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

中央教育審議会「今後の学校における キャリア教育・職業教育の在り方について」(答申) 平成23年1月31日

キャリア教育の意味を理解するために、キャリア発達という言葉についても定義を確認。

社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現する過程

中央教育審議会「今後の学校に おけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(答申) 平成23年1月31日)

文部科学省が定義するキャリア教育とキャリア発達について、江森さんが分かりやすい言葉で解説してくれました。

キャリア教育というと、職業観や勤労観を子どもたちに伝えることと認識されがちですが、社会における人の役割は多様にあります

サラリーマンとして企業で働く、教員として学校で働くなど、勤労に関することだけでなく、家事をする、地域のボランティアに参加するなども、社会における人の役割です。

個人の意思で役割を選択して、社会のなかで自分らしく役割を果していく過程がキャリア発達

つまりキャリア発達に終わりはなく死ぬまで続くものだと、江森さんは強調しています。

そしてキャリア教育はキャリア発達が進むなかで、社会で自分らしく役割を果たしていくための基礎を作る教育だと教えてくれました。

大原本邸内観2

キャリアカウンセリングとは?

キャリア教育には、二つの方向性があると江森さんは話します。

  1. 生きる力を身につける
  2. 生き方、在り方をどのようにしたいのかを考える

キャリア教育はどちらも包括しており、キャリアカウンセリングは、生き方、在り方を考える支援だと説明してくれました。

一人ひとりが、社会のなかで自分らしく生きていくためには、社会を知ることと、自分を知ることが必要です。

そして、自分を社会のなかでどのように位置づけ、輝いていくための力をつけるのがキャリア教育

キャリア教育を進める過程で、一人ひとりの価値観を言語化するサポートもキャリアカウンセリングだと話してくれました。

carrier-education-figure

ワークショップ1 〜 好きだった先生・嫌いだった先生 〜

ワークショップ1の概要

ワークショップ1では、次のテーマについて話しました。

ワークショップ1のテーマ

子どものころ、好きだった先生。

子どものころ、嫌いだった先生。

各グループ3人となり、それぞれにクライアント(生徒役)、カウンセラー(先生役)、スーパーバイザーという役割が与えられます。

カウンセラーが、クライアントに、好きだった先生と嫌いだった先生の特徴や具体的なエピソードについて質問しながら、クライアントが持つ価値観を明確にするというワークショップです。

ワークショップ後には、カウンセラーとクライアントの対話を客観的な立場で見ていたスーパーバイザーが、参加者全員に向けて感想を共有しました。

大原本邸の入り口に飾られていた花2

ワークショップ1 〜 感想の共有 〜

クライアントが、「好きか、嫌いかで先生を見ていなかった」というグループがありました。

ワークショップの開始直後、クライアントは過去に出会った先生に対しての特別な感情が思い出せなかったようです。

しかし、カウンセラーが自分の経験も交えながら問いかけることで、クライアントも話しやすくなり、意見が出てくるようになりました。

「カウンセラーの柔らかな語り口が和やかな雰囲気を作り、クライアントも自然に言葉がでるようになった」と、スーパーバイザーからの視点を共有しています。

また、他のグループからも、「カウンセラーが一緒に考えていたから、クライアントも素直に自分と向き合えているように見えた」という意見がありました。

大原本邸ブックカフェ2
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ワークショップ2 〜 今の自分を振り返る 〜

ワークショップ2の概要

ワークショップ2では、「教師としての今の自分」について振り返る対話を行ないました。

クライアントにカウンセラーが質問しながら価値観を深掘りする、ワークショップ1と同様の形式です。

ワークショップ1は、過去について思い出しましたが、ワークショップ2は現在の自分について考えるテーマとなっています。

大原本邸内観1

ワークショップ2 〜 感想の共有 〜

現役の小学校教員がカウンセラー、現役の高等学校教員が生徒役というグループからは、「普段、関わっている生徒の年齢が異なることから、見えている景色が異なっている印象を受けた」という感想がありました。

「一方で、お互いに教員として共感できるところもあり、教員という仕事の魅力を感じられた」といいます。

カウンセラーの相手に興味を持った表情や言葉がけにより、クライアントの魅力を引き出していく過程が見て取れたそうです。

また、別のグループでは、カウンセラーが小学校の養護教員、クライアントが高等学校の教員という役を担当。

「クライアントの悩みに対して、カウンセラーが自分のことのように一緒に苦しみ、考えていたようすから、クライアントが信頼を覚えていくのが感じられた」と、スーパーバイザーとしての感想を共有してくれました。

大原本邸ブックカフェ外観

講師 江森さんからの振り返り

江森さんは講師という立場ではなく、ファシリテーター(進行役)としてワークショップを進行したと話しています。

今回は、あえてカウンセリングの手法については伝えずに、参加者に対話の方法を委ねたそうです。

しかし具体的な方法を伝えずとも、ワークショップを通じてクライアントの価値観や魅力を引き出せたことから、教員として生きている人にはあらかじめ人の話を聞くスキルが身についていると感じたといいます。

ファシリテーターの基本は、答えはクライアント(生徒)のなかにあると信じ、相手に委ねるということ。

どのように、クライアントのなかにある宝石のような魅力を引き出し、輝かせるかがキャリア教育なのだと教えてくれました。

大原本邸の入り口に飾られていた花1
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キャリアカウンセリングについての学びを通して

キャリア教育やキャリアカウンセリングは、進路指導のことだと思っていました。

キャリアの意味は進学や就職などに留まらず、生き方を指していたことは新たな学びです。

筆者は高校、大学、就職と深く考えずに進路を選んできましたが、働き始めてから生きていることへ疑問を覚えたことがあります。

今は仕事も充実していますが、地域のボランティアをしたり、執筆活動をしたりするのは、人生を楽しむため。

多くの人の価値観に触れることで、見識が広がり、心も豊になったと感じています。

幸せに生きてゆくためには、何のために生きているのか、何をしているときが楽しいのかを、言語化する機会は大切です。

すべての子どもたちが自分の魅力に気がつき、楽しみながら生きていける社会を実現させることを、キャリア教育に期待します。

美観地区

第24回くらしき未来K塾/キャリアカウンセリング力:先生の「自分」探険ワークショップのデータ

名前第24回くらしき未来K塾/キャリアカウンセリング力:先生の「自分」探険ワークショップ
期日2021年8月21日(土) 午後1時〜3時
場所倉敷市中央1丁目2-1
参加費用(税込)
ホームページ第24回くらしき未来K塾 特別プログラム キャリア教育指導者育成セミナー
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ぱずう(後藤寛人)

ぱずう(後藤寛人)

87年生まれの埼玉育ち。倉敷に転勤でやってきて6年目。メーカーの研究員として働きつつ、週末はゴミ拾いボランティア団体の代表として活動しています。ひとりも知り合いもいなかった倉敷の街。ゴミ拾いを通じてたくさんの出会いがあり、倉敷の魅力を教えてもらいました。余所者から見える倉敷の景色を伝えていきたいです!

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