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RESAS教育活用ワークショップ ~ 農業の視点から見た岡山県を、データで読み解くセミナー

RESAS教育活用ワークショップ ~ 農業の視点から見た岡山県を、データで読み解くセミナー

知っとこ / 2021.10.11

2021年8月21日(土)に、「RESAS教育活用ワークショップ 探Q!RESAS オンラインセミナー」が開催されました。

RESAS教育活用ワークショップは、RESAS(地域経済分析システムのデータ)を活用して、さまざまな分野のプロから学ぶワークショップです。

全6回のオンラインセミナーで、対象は岡山県内の高校生や学校関係者、高梁川志塾の受講生など。

キーワードは、「データのMIKATA(見方)を深めれば、データはMIKATA(味方)になる」です。

第4回となる今回は、農業について3人の講師からの講演がありました。

「RESAS教育活用ワークショップ」の内容をレポートします。

記載されている内容は、2021年10月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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RESAS教育活用ワークショップの概要

第4回「RESAS教育活用ワークショップ」の流れは、以下のとおりです。

内容登壇者
岡山県はなぜ果物王国と呼ばれるのか、RESASのデータから読み解く
岡山県での六次産業化の例について
平田英之氏
カンナくずから胸章を作った高校について室貴由輝氏
里山果樹園で農業体験会小林勝祐氏
「玉結び」プロジェクトについて野間海里氏

オンラインで開催され、配信は住吉町の家 分福から行なわれました。

商業科の高校生や教育、農業に関わるかたが参加。

参加者は、それぞれのパソコンからセミナーに参加します。

川崎好美さんのお話

配信会場で話す川崎好美さん

講演に入る前に、岡山県立倉敷商業高等学校の教諭であり、RESAS専門委員でもある川崎好美(かわさき よしみ)さんから、セミナーに参加している高校生に向けた、物事の見方や考え方のポイントについてのお話がありました。

地域について学ぶときに使う教材のなかには、小学生向けのものがあり、倉敷市では『みんなのまち くらしき』という教科書が使われています。

筆者が小学生のときにも、『みんなのまち くらしき』を使って社会科の勉強をしていました。

ですが、地域について学ぶための教材は小学生向けの副教材だけではなく、高校生向けのものもあります。

ワークショップでは、長野県と東京都の副教材を例に挙げて、高校生も地域について、副教材を使って学ぶのだということを知りました。

また、地域の農業については副教材以外にも、RESASの産業構造マップやWebサイトからも知ることができるそうです。

事実をデータから取り、そこから自分がどう考えるかという意見を問うことが必要だと川崎さんは話します。

平田英之さんの講演

平田英之さんの講演

1人目のゲストスピーカーは、岡山県農林水産総合センター 農業大学校の校長である平田英之(ひらた ひでゆき)さんです。

平田さんは岡山県庁の職員で、2021年現在は農業大学校の校長として勤務していますが、これまで新規就農の支援や移住対策にも取り組んでいたそうです。

平田さんからは、RESASのデータを用いて、全国の果実の農業産出額のなかで岡山県の産出額の位置づけから、なぜ岡山県が果物王国と呼ばれるのかについてのお話がありました。

2018年の果実の農業産出額の全国1位は青森県で、828億円です。

岡山県は第10位で、果実の農業産出額は245億円。

第1位の青森県とは、583億円もの差があります。

多くの果物が生産されているイメージの岡山県が、なぜ果物王国と呼ばれるのでしょうか。

スライドのスクリーンショット

平田さんは、岡山県の果物を「作り手のなみなみならぬ努力と伝統技術が詰まった芸術品」と表現しました。

岡山で果物をつくる生産者は、技術や知恵を先人から受け継ぎ守るとともに、果物の力をさらに引き出すための研究を重ねています。

岡山県は晴れの国と呼ばれるほど天候に恵まれており、果物を育てやすい土壌ではありますが、それだけで果物王国と呼ばれるようになったのではありません。

先人が培ってきたブランド力や、その根底にある農家のかたの卓越した栽培技術、流通業者や行政のマーケットへのPRの努力が組み合わさって、岡山県が果物王国と呼ばれるようになったのです。

また平田さんからは、岡山県内で6次産業化を行なっている企業とその商品についてのお話も。

高梁市吹屋で赤い柚子胡椒「吹屋の紅だるま」を作っている元地域おこし協力隊の佐藤紅商店、総社市で岡山県育成品種の赤米「あかおにもち」の栽培をしているレッドライスカンパニーの「赤米甘酒はれのひ」。

商標を取得し、「果潤」としてストレートぶどうジュースを販売しているスコレーの取り組みから、6次産業化がどのような取り組みなのかを詳しく知ることができました。

講演後には、受講者からの「農業分野での最近の事例について知りたい」という質問に対し、ファシリテーターの坂ノ上博史(さかのうえ ひろし)さんは、備中三品と薄荷に注目しているとのこと。

備中三品とは、米、塩、綿のことで、玉島や笠岡で特に多く生産されていたそうです。

また、薄荷の一大生産地であった倉敷で、もう一度薄荷を復活させようとしている、倉敷薄荷陳列所についての紹介もしていました。

室室長のPic upコーナー

室室長のPic upコーナー

岡山県教育庁高校教育課高校魅力化推進室の室貴由輝(むろ たかゆき)さんからは、カンナくずで作った胸章についてのお話がありました。

高校の新しい建物の完成式で来賓につける胸章をカンナくずで作り、それをSNSで発信したところ、興味を持った高知県の人から「胸章を売ってほしい」と連絡があったそうです。

カンナくずの胸章 スクリーンショット

さらに「環境系の全国大会でも使いたい」との声もあり、追加生産をしました。

情報発信をしたことで、ひとつのきっかけやアイデアから取り組みが広がっていった例だ、と室さんは話します。

カンナくずと聞くと、捨てるもの、いらないもの、などの印象を持ちますが、実際には商品になったり、こだわりが詰まったものになったりするのです。

小林勝祐さんの講演

小林勝祐さん

2人目のゲストスピーカーは、小林農産の小林勝祐(こばやし かつひろ)さんです。

小林さんは里山果樹園を世話しながら果樹収穫体験会を行なっており、講演では農業をしている人の目線でのお話がありました。

小林さんは父親から引き継いだ果樹園を、頑張っている人にのんびりと里山を楽しんでもらえるような場所にしたいと考え、農業体験会を始めたそうです。

小さなころから両親の手伝いをしていたため果物の栽培の段取りはわかっていたものの、見ているのと実際にやるのとでは違いがあるため、今でも試行錯誤しながら果物を育てている、と小林さんは話します。

なかでも、出荷するためのブドウと農薬の話は印象的でした。

出荷するために栽培するものはブドウの大きさに決まりがあり、花が満開になってから3日以内に農薬を、房に花がついてから3~5日以内にホルモン剤をつけなければなりません。

ですが農薬をつけずに育てたブドウがきちんと育ち、それをSNSで情報発信すると、農薬をつけていないブドウを欲しがる人が現れたそうです。

講演のようす

また、農業とSDGsについても話してくれました。

農業は陸の豊かさがないとできず、またおいしいものをつくれません

小林さんの果樹園でも、過去には草を枯らすために農薬を使っていましたが、畑の草の中には人にとっていい効果をもたらすものもあります。

草の名前がわかればその草が持つ効果もわかるため、むやみに草を枯らすための農薬を使うことをやめたそうです。

農薬を使わないということは、食べる人の安心につながるだけでなく、豊かな農地を守り、また農業をする人の健康も守ります

小林さんは講演の最後に、「多様性を守るためにも里山に興味を持ち、実際に里山果樹園に足を運んでほしい」と話しました。

野間海里さんの講演

会場の一室でZoomに参加する野間さん

3人目のゲストスピーカーは、岡山商科大学4年の野間海里(のま かいり)さんです。

野間さんは高校生のころ、玉野市で生産されるものでおむすびを作る「玉結びプロジェクト」を行なっていました。

近隣の高校の農業科の生徒から米作りを教わったり、宇野港で行なわれるマルシェイベントなどに積極的に参加したりすることで、玉結びプロジェクトをより大きなものにしていったのです。

さらに自分たちでイベントの企画、実行を行なった「玉結び de ご縁 marche」では、近隣の高校と協力して海外のお客さんにも楽しんでもらえるような工夫をしました。

またイベントに参加した人同士だけではなく、高校生同士の結びも大切にした、と野間さんは話します。

スライドのスクリーンショット

野間さんは玉結びプロジェクトを通じて、地域の特産品を理解し、食が持つパワーや地域の魅力創造について学び、またチャレンジすることや課題設定を行ない、解決することの面白さ、マネジメントの大切さを実感したそうです。

高校での経験を活かし、大学では地域探求やフィールドスタディを大切にした野間さん。

旅行研究サークルを設立し、実際に旅行をしながら真庭市北房地区を中心に地域の魅力を調査するなどの活動も行ないました。

高校や大学での活動を通して、野間さんは「地域の魅力を掘り起こして伝えられる仕事がしたい」と感じるようになったそうです。

高校などで行なわれる探究活動は、自分の引き出しを増やす活動であり、自分から積極的に活動することが大切だ、と野間さんは話します。

ワークショップに参加して

セミナーのようす

岡山県が果物王国と呼ばれる理由について、筆者は考えたことがありませんでした。

農業産出額における果物の割合や市場単価だけではわかりにくい果物のブランド力を、今よりもわかりやすくはかれる指標ができればいいのではないか、と考えます。

その際にRESASのデータを活用することもできるかもしれません。

ブランド力とデータはあまり関係がないのかな、と思っていましたが、そのようなものとRESASを結び付けて考えることで、RESASが持ちうる力は想像しているよりも大きいのかもしれないと感じます。

普段、農業についての話を聞くことがない筆者でも、楽しみながら学べるワークショップでした。

RESAS教育活用ワークショップ探Q!RESAS オンラインセミナーのデータ

住吉町の家 分福の外観
名前RESAS教育活用ワークショップ探Q!RESAS オンラインセミナー
地域
季節
期日2021年8月21日(土) 午後1時30分~4時
場所倉敷市中央2丁目13-3
参加費用(税込)無料
ホームページRESAS教育活用ワークショップ探Q!RESAS オンラインセミナー
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ありづか そら

ありづか そら

2001年生まれ、文学と写真と音楽が好きな大学生です。倉敷市に住んでいます。学生の目線から、地元の魅力を伝えていきたいです!

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