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RESASワークショップ SDGs編 ~ 「解決できていない社会問題集」に対する活動事例から、SDGsを学ぶワークショップ

RESASワークショップ SDGs編 ~ 「解決できていない社会問題集」に対する活動事例から、SDGsを学ぶワークショップ

知っとこ / 2020.09.29

2020年9月12日(土)に、岡山県立倉敷商業高等学校で「RESASワークショップ SDGs編」が開催されました。

倉敷市が「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定され、キーワードとして「SDGs」の注目度は高まっていますが、そもそも「SDGs」はどういうものなのか。

SDGsの「そもそも」と「ならでは」

に関して、教育関係やまちづくりに携わっているかた、企業に勤めるかたが、会場・オンライン会わせて約50名が集まり学びました。

この記事では、「RESASワークショップ SDGs編」のようすをレポートします。

令和3年度(2021年度) RESAS教育活用ワークショップについて

令和3年7月10日より、令和3年度(2021年度)のRESAS教育活用ワークショップが開催されます。

▼詳しくは、公式ページを確認してください。
RESAS教育活用ワークショップ探Q!RESAS オンラインセミナー

▼なお募集フォームは、以下です。
募集フォーム

記載されている内容は、2020年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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RESASワークショップ SDGs編の概要

RESASワークショップ

「RESASワークショップ」とは、学校関係者を中心に、データを業務で扱う民間企業・行政のかたがたも加わった、地域の”今”と”これから”の見方や考え方を深めていく全5回シリーズのワークショップです。

SDGs編は第3回目としての開催で、以下の流れで行われました。

内容登壇者
RESAS教育活用について川崎好美 氏
SDGsの「そもそも」と「ならでは」石原達也 氏
坂ノ上博史 氏
情報交換参加者全員

第2回のようすは、以下の記事を見てください。

RESAS教育活用について

RESASワークショップの流れ

冒頭30分程度は、岡山県立倉敷商業高等学校商業科の教諭で、RESAS専門委員の川崎好美(かわさき よしみ)さんより、RESAS教育活用とワークショップ開催にいたる経緯が紹介されました

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」は、地方創生のさまざまな取り組みを情報面から支援するためのビッグデータです。

経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供していて、自治体職員のかたや、地域の活性化に関心を持つさまざまな分野のかたによって、効果的な施策の立案・実行・検証のためなどに広く利用されています。

いわゆる「ビックデータ」なので、「誰でも」閲覧・活用することができるのです

RESASの教育活用を2018年から検討し、地域レンタルスペースなどでワークショップなどを開催してきました。

その成果の1つは「温羅(うら)カフェ」でしょう。

学校のリソースを地域へ還元する

しかし、その後は商業高校がもつ「人間・時間・空間」のリソースを、地域に還元していきたいと考え、学校でRESAS活用のワークショップを開催するようになりました

これが、現在の「RESASワークショップ」です。

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SDGsの「そもそも」と「ならでは」

RESASワークショップ(SDGs編)

続いて、メインテーマである「SDGs」に関する紹介が行われました。

「SDGs」という言葉自体は、最近多くのメディアで目にしますし、聞いたことがあるかたも増えているかもしれません。

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2030年を年限とする17の国際目標

教育分野でも注目されていますが、教育関係者のなかでも認識に差があるのが現実のようです。

そこで、SDGs「最前線」で活動する2名が登壇しました。

SDGsは「解決できていない社会問題集=社会に必要なこと」

石原達也さん
石原達也さん

SDGsとはそもそも何なのか?

SDGsの前には、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)がありました

これはどちらかといえば「開発途上国の課題解決」を目指したものでしたが、SDGsは先進国の課題解決を含めていることが大きな特徴です。

SDGs

17の国際目標に関しては、目にしたことがあるかもしれません。

ひとつひとつの目標は、なんとなく理解できると思いますが、テーマが大きすぎて実感がわかないとも感じます……。

実はSDGsは「17の目標と169のターゲット」が掲げられており、ターゲットがより具体的で分かりやすいです

SDGs

講師の石原さんも「169のターゲットのほうが大事」と話していました。興味のあるかたは、「農林水産省」の解説が読みやすいと思うので確認してください。

そして、「先進国の課題」に関して、石原さんは以下のように表現しました。

解決できていない社会問題集

SDGsは社会問題集

解決できていないので、こうすればいいという「答え」はありません。

  • 「問い」を立て
  • SDGsと紐付けて
  • 「ロジカル」に組み立てて、プロジェクトを立ち上げる

これらを自分たちで考える必要があります。

「公園」の活用にみるSDGs

坂ノ上博史さん
坂ノ上博史さん

講演では、石原さん・坂ノ上さん双方が、「公園」を例にした社会問題の検討事例を紹介していました。

公園の場所が違うのはもちろん、アプローチも異なっているというのがポイントです。

どちらが「正解」でもありません。

倉敷市水島地区の公園利活用

公園の利活用について

倉敷市水島地区の公園利活用について相談を受けた、坂ノ上さんは以下のような意見を聞きます。

  • 地元の人が集まったりする「憩いの場」
  • かつては野球をしたりする子供もいたが、今はいない
  • 子供たちに、もっと活用してほしい

「子供たちに活用してもらうために、遊具を作ればいいのだろうか……」など考えつつ、「問い」を立てて、現状分析を行うことにしました。

  • この公園の「ならでは」
  • 「そもそも」公園は誰のものか?

そこで、RESASや行政(倉敷市)が発表している人口データを閲覧すると、一つの傾向が読みとれます

坂ノ上博史さん

全体として人口が減り、そのなかでも子供の減少と、高齢者の増加が顕著になっていたのです。

この数字から、単純に遊具を作っても利用者は増えないと思われます。しかし、周辺環境も含めると、話は変わるかもしれません。

この課題をSDGsの目標と紐付けると、3番・11番・17番が該当しそうです。

北長瀬駅前の公園利活用

JR北長瀬駅前の公園利活用

続いて、石原さんよりJR北長瀬駅前の公園利活用に関する事例が紹介されました

JR北長瀬駅前は2019年に「ブランチ岡山北長瀬」がオープンするなど、近年再開発が進み、人口が増えている地域です

昔からの住民、新しく住み始めた住民が入り交じった地域であるため、公園の利活用には、さまざまな側面があります。

  • 積極的に活用した結果、クレームが増えて禁止となる
  • 利用しない・できない状況になり、マナー・治安が悪くなる
  • 街の住みやすさが減少する

水島の公園にしても、例えば「大型遊具」を導入すれば周辺住民の利用が増えるでしょうが、騒音・ゴミ・駐車場などの問題が発生する可能性があります。

協働で運営する

このため「市民の会」を設立し、公園を「協働事業」として実践することで、解決しようとしているのです

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「誰が」「誰に」という視点をもつこと

  • 子供の減少と、高齢化が進む地域の公園
  • 再開発などにより、人口が増える地域の公園

このような公園は日本全国に多数あるでしょう。

地域が抱える課題も似ているかもしれません。2つの事例はアプローチが異なっても、自分たちで「課題解決」するべく活動している点が共通しています

誰のためにという視点

この時「だれに」という認識を持つことが重要であると、坂ノ上さんは話しました。

本当のユーザーである最初の「n」と出会うこと

「N=1」と表現していましたが、ゼロと1では見えていることが全く異なり、ゼロである限り「妄想」に過ぎないのです

  • 本当に役に立ちますか?
  • 満足度は高いですか?
  • お金を払ってもいいですか?
  • 使い続けますか?
  • 誰かに紹介しますか?

SDGsは解決できていない社会問題集なので、明確な答えはありません。万人が納得する答えもないでしょう。

そのなかで合意するには、「誰が」「誰に」という視点を持って、課題解決を図るしかないのです。

おわりに

RESAS

「公園」という身近なものを例に紹介しましたが、SDGsは自分自身の生活のどこかにきっと関わっています。

意識していないだけで、今までやっている活動・これからやろうとしている活動が、SDGsに関わっている可能性があるでしょう。

SDGsの離隔に教育は重要

「SDGs」というキーワードを知るきっかけは、特に学生は「学校の授業」が大きな割合を占めています

講演後の質疑応答においても、教育関係者から所属校での取り組みが紹介されました。

しかし、このワークショップを通じて、「座学」としてSDGsを学ぶだけでは、不十分であるとも感じます。

SDGsを知り、身近な場所で関連するもの・活動をみつけ、行動してみる。

個々の活動を積み上げて、みんなで17の国際目標達成を目指して行く必要があるのだろうと感じました。

令和3年度(2021年度) RESAS教育活用ワークショップについて

令和3年7月10日より、令和3年度(2021年度)のRESAS教育活用ワークショップが開催されます。

▼詳しくは、公式ページを確認してください。
RESAS教育活用ワークショップ探Q!RESAS オンラインセミナー

▼なお募集フォームは、以下です。
募集フォーム

RESASワークショップ SDGs編のデータ

RESASワークショップ(SDGs編)
名前RESASワークショップ SDGs編
期日2020年9月12日(土) 午前9時30分~11時30分
場所岡山県倉敷市白楽町545 倉敷商業高等学校
参加費用(税込)無料
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戸井健吾

戸井健吾

1979年生まれ、倉敷市在住
2児の父親

システムエンジニアの仕事に携わりながら、ブログ・イベント運営など様々な仕事を行っています。

現在は当メディアを運営する一般社団法人はれとこの代表理事を務めつつ、フリーランスとしても活動中。

自分自身が美観地区を楽しみながら、「行ってみたい」と思える情報を発信することをモットーにしています。

信頼できるWEBメディアになれるように、メンバーが一丸となって運営しています。

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RESASワークショップ(SDGs編)

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