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RESASワークショップ 観光編 ~ データで読み解く観光の現状とこれからを考えるワークショップ

RESASワークショップ 観光編 ~ データで読み解く観光の現状とこれからを考えるワークショップ

知っとこ / 2020.09.02

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)は、地方創生のさまざまな取り組みを情報面から支援するためのビッグデータです。

経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供していて、自治体職員のかたや、地域の活性化に関心を持つさまざまな分野のかたによって、効果的な施策の立案・実行・検証のためなどに広く利用されています。

そのRESASを活用し、データ分析でできることや地方創生を考える大人の探究学習「RESASワークショップ」が企画されました。

「RESASワークショップ」とは、学校関係者を中心に、データを業務で扱う民間企業・行政のかたがたも加わった、地域の”今”と”これから”の見方や考え方を深めていく全5回シリーズのワークショップです。

今回は、全5回のうちの2回目として開催されました。

テーマは観光

RESASなどのデータから読み解いた観光の現状とこれからについて、さまざまな立場のかたから講演があり、活発な意見交換が行われました。

2020年8月8日(土)に開催されたセミナー「RESASワークショップ 観光編」のようすをレポートします。

令和3年度(2021年度) RESAS教育活用ワークショップについて

令和3年7月10日より、令和3年度(2021年度)のRESAS教育活用ワークショップが開催されます。

▼詳しくは、公式ページを確認してください。
RESAS教育活用ワークショップ探Q!RESAS オンラインセミナー

▼なお募集フォームは、以下です。
募集フォーム

記載されている内容は、2020年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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RESASワークショップ 観光編の概要

RESASワークショッププログラム

第2回目となる、「RESASワークショップ 観光編」の流れは以下のとおりでした。

形式 内容 登壇者
講演 RESAS教育活用について
新設科目「観光ビジネスなど」
川崎好美氏
講演(オンライン) 日本の魅力を、日本のチカラに
インバウンド観光客動向調査
コロナ禍の観光から考える
小松原早貴氏
講演 観光のまち 倉敷の今とこれから 倉敷市役所観光課
講演 県内観光動向と観光戦略 岡山県観光連盟誘客グループ
操作実習 RESAS活用で見る観光
~RESAS観光マップ
観光教育に使えるコンテンツ紹介
時間のため、後日
フォローアップ予定

今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大予防のため、会場とオンライン、両方の形式で参加者を募集。

教育関係やまちづくりに携わっているかた、企業に勤めるかたなどが参加しました。

会場である岡山県立倉敷商業高等学校のパソコン実習室には、席に1台ずつパソコンが設置されており、パソコンの画面上にはRESASのホームページが出ていて、その場でRESASを使ってみることができます。

2回目ということもあって和やかな雰囲気のなか、ワークショップが始まりました。

川崎好美さんによる講演

川崎好美さん
川崎好美さん

岡山県立倉敷商業高等学校商業科の教諭で、RESAS専門委員の川崎好美さんから、商業科でのRESASを活用した授業についてお話がありました。

商業科では令和4年度から「観光ビジネス」という新科目が設置され、授業として地域の魅力をマネジメントする学びの時間が設けられます。

以下の画像は、生徒がRESASを使っているようすです。

RESASを使った授業のようす

それぞれ生徒が、RESASから地域の経済状況を数字やグラフとしてデータを出し、レポートとしてまとめたり、発表したりします。

探求学習の説明スライド

倉敷商業高等学校では生徒が3年生になると、RESASを活用し地域課題を分析、地域を元気にするような政策アイデアを提案する「地方創生 政策アイデアコンテスト」に、探究学習の集大成として挑戦するそうです。

地方創生政策アイデアコンテストに挑戦するようすを示したスライド

また新型コロナウイルス感染症の地域経済への影響や、地域再活性化施策の検討に活用できるデータを見やすく提供している「V-RESAS」というサイトがあり、コロナ禍での探究学習の活用例などの紹介がありました。

V-RESAS、新型コロナウイルス感染症の日本経済への影響を説明したスライド
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小松原早貴さんによる講演

小松原早貴さん
小松原早貴さん

JNTO(日本政府観光局) 企画総局 調査・マーケティンググループに所属の小松原早貴さん。

東京からオンラインでの講演です。

小松原さんからは、インバウンド観光客動向調査とコロナ禍の観光についてお話がありました。

「インバウンド」とは外国人が日本に訪問する旅行のことを指します。

JNTO(日本政府観光局)は訪日観光を専門とする政府の機関であり、外国人誘致のみを取り扱っている機関です。

外国人旅行者が日本へ訪れるよう、国際学会などの誘致や市場分析による自治体支援、国内観光案内所の支援・整備などを行なっています。

近年の観光産業は世界的に見ても右肩上がりで、日本においても同様の傾向のようです。

たとえば2019年の日本のGDP(国内総生産)は、観光産業が7.0%(39.1兆円)を占めており、観光が高い経済効果となっているため重要視されています。

世界と日本の観光効果を示したスライド

インバウンド観光客調査から動向をみると、訪日外国人の国籍はアジア人が8割で、そのなかでも中国がもっとも多いとのこと。

国/地域別訪日外国人旅行者数

しかしながら、政治的な問題やその年にあるイベントによって、インバウンド動向は変動します。

たとえば2019年はラグビーワールドカップがあったため、ラグビー好きな国民性があるアイルランドからは、前年比5倍以上の訪日があったというお話がありました。

また、都道府県別でもインバウンド動向に違いがあり、岡山県はここ数年で8倍以上にもなっているそうです。

岡山県のインバウンドの動向

新型コロナウイルス感染症による観光への影響としては、 コロナ禍前は毎月250万人程の外国人観光客が来日していたそうですが、次の資料の写真のように激減。

月別訪日外国人旅行者数

出入国が制限され、ニュースでも観光地が大変であることは報道しています。

実感はありましたが、データとしてみるとよりわかりやすいですね。

このように新型コロナウイルス感染症により、観光産業は苦境に立たされていますが、今後どのようなことを考えていく必要があるのか、以下の着眼点を共有されていました。

  1. 自分の地域に来ている外国人はどんな人なのか?
  2. 自分の地域の観光魅力は何か?(それを磨き上げるには?)
  3. 日本の他地域や世界ではどんな地域、観光魅力が選好されているのか?

倉敷市役所 観光課からのお話

倉敷市の観光課のかた
倉敷市観光課のかた

倉敷市役所観光課のかたから、倉敷の観光の現状とこれからについてお話がありました。

コロナ禍前までは、倉敷市に毎年約500万人観光客が訪れていて、倉敷全体の観光客数の65%が倉敷美観地区に足を運んでいたとのこと。

倉敷美観地区は、岡山県全体で見ても1番観光客が訪れることが多い観光地です。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症により、倉敷美観地区をはじめ、倉敷市内の観光地はどこも観光客が激減。

倉敷市は、次のような事業者支援策を講じているとのことでした。

  • 倉敷市事業継続支援金
  • 倉敷市ふんばる事業者応援事業費補助金
  • ぼっけえ お得な 倉敷みらい旅
  • お店を応援☆キャッシュレスでお得
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岡山県観光連盟からのお話

岡山県観光連盟のかた
岡山県観光連盟のかた

岡山県観光連盟(岡山観光WEB)のかたからは、岡山県内の観光動向と観光戦略についてお話がありました。

たとえば「どこの地域の旅行者なのか」、岡山への旅行は「宿泊を伴う圏内から来たのか」それとも「日帰りできる圏内から来たのか」など、以下のような円グラフとしてデータを出せます。

宿泊圏と日帰り圏の年別動向

宿泊と日帰りとでは旅行中の消費額も変わってきますし、旅行先でのスケジュールも変わってきます。

岡山県は、近畿地方などの大都市圏を狙ったプロモーションが多いそうです。

しかし、どこから来るのかで旅行の内容も変わるので、それぞれの地域に適したプロモーションを打ったほうが良いのではないか、とのこと。

最後にまとめとして、次のような内容を言っていました。

「コロナの影響もあって、マイクロツーリズムといった近距離の旅行が多くなっています。

地域や近距離の人の満足度が高いほうが観光の魅力度が高いそうで、今は県外や国外の人を誘致するための準備をするチャンスかと。

今、地域の人たちに楽しんでもらって、観光の魅力をどんどん伝えて、自分の地元っていいところなんだなと思ってもらえるほど、県外のかたの満足度も上がってくると思う」

地元の人は距離が近いからこそ、リピーターになる可能性が十分あります。

そして地元の人がおすすめするお店や場所は、本当に魅力的で素敵なところが多いです。

今は誰でもSNSを通じて、行った場所を共有して紹介できる時代なので、私も好きなお店や場所だからこそ、今後も紹介していきたいなと改めて思いました。

おわりに

川崎先生まとめ

RESASワークショップ 観光編」では観光データをもとにした観光動向と、その動向を踏まえてどんなことを考えて今後旅行者を誘致していくのか、さまざまな立場のかたの切り口から学び考える機会となりました。

2020年春以降、新型コロナウイルス感染症によって日本のみならず世界中の人が移動を制限されています。

これまで旅行に行けていたことは貴重だったのだと、このコロナ禍によって再認識しました。

そしてコロナ禍のなか、観光に関わるさまざまな立場のかたが再起に向けていろいろな対策をしています。

今回、登壇されたかたたちが、コロナを踏まえてそれぞれ前向きな提案や提起をされていたことが、大変心強く感じました。

令和3年度(2021年度) RESAS教育活用ワークショップについて

令和3年7月10日より、令和3年度(2021年度)のRESAS教育活用ワークショップが開催されます。

▼詳しくは、公式ページを確認してください。
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▼なお募集フォームは、以下です。
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RESASワークショップ 観光編のデータ

名前RESASワークショップ 観光編
期日2020年8月8日(土) 午前9時30分~11時30分
場所岡山県倉敷市白楽町545 倉敷商業高等学校
参加費用(税込)無料
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むぎちゃ

むぎちゃ

岡山うまれ岡山そだち。
15年ほど県外での生活を経て2017年にUターン。倉敷の魅力を再発見しています。

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