歴史を振り返ると、現在の日本人の多くはかつてないほどの便利で快適な生活を送っているそうです。
しかしながら、高度経済成長や工業化が進んだ結果、経済競争や利便性のみが追及され、地域の文化や風土など、貨幣や便利さでは測れない価値が置き去りにされてきました。
また、日々の快適な生活は、文化や風土の消失だけでなく、経済格差の拡大や地球規模での環境変動を引き起こし、永久に続くことはないといわれています。
そこで国際連合は、持続可能な社会を実現するための17の開発目標としてSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を提唱しました。
高梁川志塾は、地球規模で提唱されたSDGsを、高梁川流域という地域社会で捉え直し、忘れ去れつつある流域の文化や風土を再認識する学びの場です。
2020年11月から2021年2月に高梁川志塾 第1期が開講し、そして2020年6月からは、高梁川志塾 第2期が始まります。
第2期が始まるにあたって、第1期で修了生たちの学びをサポートしてきた事務局スタッフ山本 将徳(やまもと まさのり)さんと、第1期の修了生 梶谷 昌史(かじたに まさし)さんに話を聞きました。
また、第2期の内容について紹介とともに、山本さんと梶谷さんの高梁川志塾に対する思いを紹介します。
記載されている内容は、2021年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
高梁川志塾 第2期のデータ
名前 | 高梁川志塾 第2期 |
---|---|
期日 | 高梁川志塾 第2期の期間:2021年6月27日~2021年9月12日 |
場所 | 主にコワーキングスペース「住吉町の家分福」、他に市内公共施設など |
参加費用(税込) | 詳細は高梁川志塾ホームページを確認。 1.SDGs探求コース受講生 一般 : 12,000円、学生 : 8,000円 (全プログラムヘの当日参加、アーカイブ視聴が可能) ※会場受講・オンライン受講に関わらず一律料金 2.聴講生(座学のみ参加) 会場受講:1,500円/回(人数制限あり) オンライン・アーカイブ受講:500円/回 ※後日参加者のみ閲覧できるページを案内予定。 ※講座によっては、別途、実費を徴収する場合があり。 ※講座によっては、無料公開の場合があり。 |
ホームページ | 高梁川志塾 | 高梁川流域学校 |
高梁川志塾 第2期が開講
高梁川志塾 第2期について

高梁川志塾 第2期の概要
高梁川志塾 第2期の開講が決定しました。
2021年6月27日の開校式で第2期生の学びがスタートし、2021年9月12日まで約30講義が行なわれます。
高梁川流域で活躍する経営者や事業家による歴史や文化について学ぶ講義や、プレゼンテーションやITツールの活用方法など、地域活動を推進するためのスキルを身につける講義を実施。
また、高梁市吹屋ふるさと村でのとうがらし収穫体験や倉敷市児島での染物体験など、体験型の実習も計画されています。
受講者たちは学びを受けるだけでなく、実習やレポートにより主体的に各自の取り組みや成果を報告。
2021年9月26日に開催される修了式では、各自の取り組みについての成果発表が予定されています。

講義
第1期で設定されていたSDGsビジョン編、教養編、スキル編に加えて、ローカルSDGsミッション編、フィールドワークが設けられました。
以下は、高梁川志塾で行なわれる講義の分類です。
SDGsビジョン編 | 高梁川流域の2030年のビジョンと現状の取り組みを、実際に活動している講師から聞くことのできる講座 |
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教養編 | 高梁川流域における、歴史や文化・産業などの知識を得るための講座 |
スキル編 | プレゼンテーション、ITツールの利活用、ブログやSNSの活用など、地域で活動を遂行するうえで必要なスキル・ノウハウを習得する講座 |
ローカルSDGsミッション編 | SDGsの17のゴールを高梁川流域として捉え直して目標設定するワークショップ |
フィールドワーク | 高梁川流域における地域おこしの体験学習 |

講義は1コマ2時間10分です。
1時間の講演ののちに10分の休憩、その後1時間の質疑応答もしくはワークショップの構成となっています。
対面形式だけでなく、オンラインでも受講可能。
また、ほとんどの講義では動画のアーカイブが用意されているため、講義後でも動画を視聴して履修することができます。
学業や仕事のために出席できなかった場合でも、後から学習できる仕組みとなっているのです。

講師
登壇する講師については、高梁川志塾の公式ホームページに掲載されています。
第2期の特徴は、第1期と比較して若い年代の講師がいることで、SDGsに関する取り組みを行なっている20代の講師が登壇します。
また、高梁川志塾 第1期の修了生で、地域活動を実践している2名が講師として抜擢されました。
高梁川志塾 第1期での学びから、高梁川流域におけるSDGsの達成に向けて、実践を始めている修了生から話を聞くことができるのです。

高梁川志塾 第2期生の受講方法

高梁川流域学校では、高梁川志塾 第2期の受講生を募集しています。
募集の締切は2021年6月20日(日)です。
受講を検討しているかたは、高梁川志塾の公式ホームページに、より詳しい情報が記載されているので確認しましょう。
高梁川志塾とは?
高梁川志塾の概要

高梁川志塾は、高梁川流域におけるSDGsの達成を目指し、地域活動の中心的役割を担える人材を創出することを目的とした塾です。
高梁川流域におけるSDGsを考えるために流域の文化や風土を理解し、さらに地域活動を実践していくためにプレゼンテーションやITツールの活用方法などのスキルを習得します。
高梁川流域のSDGsについて考えるための教養を身につけ、実践できる人材を育てる塾なのです。
高梁川志塾 開講の背景

倉敷市は、優れたSDGsの取り組みを実施する地方自治体として、2020年に「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」として、国(内閣府)から選定されました。
高梁川志塾は「自治体SDGsモデル事業」のひとつで、倉敷市から一般社団法人 高梁川流域学校が委託事業として運営しています。
高梁川流域の持続可能な社会の実現にむけて、新たな事業に挑戦していける人材の創出を高梁川志塾は期待されているのです。
高梁川流域学校とは?

高梁川流域学校は、高梁川流域の自然や文化、産業を教材に、地域の文化や風土を次世代に語り継ぐ取り組みを行なっている団体です。
2015年に発足し、これまでに高梁川流域の歴史について学ぶ「備中志塾」や、高校生や大学生が年配のかたから話を聞く「備中聞き書き」などを行なっています。
詳しい事業内容については、以下の記事にまとめられているので気になる人は読んでみましょう。
高梁川志塾 第1期(2020年11月〜2021年2月)

高梁川志塾 第1期の概要
高梁川志塾 第1期は、2020年11月から2021年2月の約4ヶ月にわたり行なわれました。
開校式は、2020年11月3日に開催されています。
高梁川志塾のカリキュラムを修了した20名が、高梁川志塾 第1期生として卒業しました。

講義・講師
高梁川志塾 第1期では、全41講義が行なわれています。
いくつかの講義については、倉敷とことこでも取り上げているので、興味のある人は読んでみましょう。
- SDGsと企業の社会的責任~クラモクが参画するグローバル教育プログラム~
- 地域おこし協力隊 実践事例『日本の木を使うべき理由』
- 地域おこし協力隊 実践事例『地域密着・巻き込み型の場づくり・拠点づくり』
- 幸せなこども時代をすべてのこども達に ~北欧の2週間|現場で考え方を聴いた~
- 月間100万PVのブロガーが取組む地域メディアのビジョン
以下は、高梁川志塾 第1期で登壇された講師たちです。
講義名 | 講師 | 開催日 |
---|---|---|
【半農半X】備中人の四季を通じた稼ぎと暮らし | 神崎 宣武(かんざき のりたけ) | 2020年11月1日(日) |
【備中は一円】高梁川流域の多様性とつながりやすさ | 神崎 宣武(かんざき のりたけ) | 2020年11月1日(日) |
【吉備と大和】中央と地方のあり方と古代吉備に学ぶ | 神崎 宣武(かんざき のりたけ) | 2020年11月1日(日) |
高梁川流域の地域おこし協力隊のこれまでとこれから(実践と狙い) | 藤井 裕也(ふじい ひろや) | 2020年11月3日(火・祝) |
WHYから始まる、スモールアクションと仲間作り(1) | 長野 紘貴(ながの こうき) | 2020年11月3日(火・祝) |
WHYから始まる、スモールアクションと仲間作り(2) | 井口 陽平(いぐち ようへい) | 2020年11月7日(土) |
2030年の地方での暮らしのイメージ(デジタル対応を含めて) | 佐々木 博(ささき ひろし) | 2020年11月7日(土) |
高梁川なりわい塾 | 澁澤 寿一(しぶさわ じゅいち) | 2020年11月8日(日) |
合意形成ファシリテーションとアイデア発想ワークショップ | 矢吹 博和(やぶき ひろかず) | 2020年11月15日(日) |
水島誕生の歴史と未来に向けたまちづくり | 古川 明(ふるかわ あきら) | 2020年11月18日(水) |
大原總一郎が夢見た、高梁川流域の未来 | 大原 あかね(おおはら あかね) | 2020年11月21日(日) |
とことんRESASワークショップ | 川崎 好美(かわさき よしみ) | 2020年11月21日(日) |
地域おこし協力隊 実践事例(1)岡山と新見との2拠点連携での取組みについて | 松田 礼平(まつだ れいへい) | 2020年11月22日(日) |
SDGs探求プロジェクト1 ステークホルダー | 坂ノ上 博史(さかのうえ ひろし) | 2020年11月25日(水) |
まちづくりと観光のbeyondSDGs~倉敷の歴史的都市景観が、目指す未来像~ | 中村 泰典(なかむら やすのり) | 2020年11月28日(土) |
新規事業立案の基礎 | 村上 智英(むらかみ としひで) | 2020年11月28日(土) |
SDGsカードゲーム体験講座 | 山本 亮(やまもと りょう) | 2020年11月28日(日) |
非営利団体の会計基礎 | 秋田 修一(あきた しゅういち) | 2020年12月2日(水) |
SDGsと企業の社会的責任~クラモクが参画するグローバル教育プログラム~ | 大久保 憲作(おおくぼ けんさく) | 2020年12月5日(土) |
SDGs探求プロジェクト2 ロジックモデル | 坂ノ上 博史(さかのうえ ひろし) | 2020年12月9日(水) |
大原美術館の歴史と作品 | 柳沢 秀行(やなぎさわ ひでゆき) | 2020年12月12日(土) |
体験型講座『対話型作品鑑賞(大原美術館本館を使って)』 | 柳沢 秀行(やなぎさわ ひでゆき) | 2020年12月12日(日) |
月間100万PVのブロガーが取組む地域メディアのビジョン | 戸井 健吾(とい けんご) | 2020年12月13日(日) |
地域おこし協力隊 実践事例(2)特産品開発、地域おこし | 佐藤 拓也(さとう たくや) | 2020年12月13日(日) |
高梁川流域の開発と環境再生への取り組み | 塩飽 敏史(しわく としふみ) | 2020年12月13日(日) |
SDGs探求プロジェクト3 プレゼンテーション | 坂ノ上 博史(さかのうえ ひろし) | 2020年12月16日(水) |
地域おこし協力隊 実践事例(3)テーマ『日本の木を使うべき理由』 | 佐伯 佳和(さえき よしかず) | 2020年12月19日(土) |
見せる資料のつくりかた | 岡﨑 遼太朗(おかざき りょうたろう) | 2020年12月19日(日) |
地域おこし協力隊 実践事例(4)テーマ「地域密着・巻き込み型の場づくり・拠点づくり」 | 沖村 舞子(おきむら まいこ) | 2020年12月23日(土) |
未来のために朝だけ畑をはじめた | 松原 龍之(まつばら たつゆき) | 2021年1月23日(日) |
幸せなこども時代をすべてのこども達に ~北欧の2週間|現場の考え方を聴いた ~ | 赤木 美子(あかぎ よしこ) | 2021年1月30日(日) |
11年目を迎えた高校生による『聞き書き』の魅力を語る | 森光 康恵(もりみつ やすえ) | 2021年1月30日(土) |
SDGs達成の具体策を考える | 石原 達也(いしはら たつや) | 2021年1月30日(土) |
修了生のようす
修了生のなかからは、学んだことを活かして自ら団体を立ち上げたり、イベントを実施したりする人が現れ、高梁川流域の担い手が誕生しています。
講師や修了生のつながりも生まれ、高梁川流域を盛り上げる人たちとの関係を構築することができました。

続いて、高梁川志塾 第1期の事務局スタッフとして修了生をサポートしてきた山本 将徳(やまもと まさのり)さんと、第1期の修了生 梶谷 昌史(かじたに まさし)さんに話を聞いてみました。