倉敷とことこ 「倉敷の今」を伝えるWEBメディア
高梁川志塾「高梁市フィールドワーク」 ~ 町を歩いて「吹屋ふるさと村 令和産業革命」を体感するワークショップ

高梁川志塾「高梁市フィールドワーク」 ~ 町を歩いて「吹屋ふるさと村 令和産業革命」を体感するワークショップ

知っとこ / 2021.08.26

高梁川志塾は、高梁川流域におけるSDGsの達成を目指し、地域活動の中心的役割を担える人材を創出することを目的とした塾です。

2021年6月から2021年9月にかけて高梁川志塾 第2期が行なわれており、高梁川流域で活躍する講師たちによる約30講義が計画されています。

2021年7月11日(日)は、高梁市の吹屋ふるさと村でフィールドワークと座学による講義を行ないました。

講義のようすをレポートします。

記載されている内容は、2021年8月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

Ads by Yahoo! JAPAN

高梁川志塾 第2期のデータ

名前高梁川志塾 第2期
地域
季節
期日高梁川志塾 第2期の期間:2021年6月27日~2021年9月26日
場所高梁市内
参加費用(税込)詳細は高梁川志塾ホームページを確認。
1.SDGs探求コース受講生
一般 : 12,000円、学生 : 8,000円 (全プログラムヘの当日参加、アーカイブ視聴が可能)
※会場受講・オンライン受講に関わらず一律料金
2.聴講生(座学のみ参加)
会場受講:1,500円/回(人数制限あり) オンライン・アーカイブ受講:500円/回
※後日参加者のみ閲覧できるページを案内予定。
※講座によっては、別途、実費を徴収する場合があり。
※講座によっては、無料公開の場合があり。
ホームページ高梁川志塾 | 高梁川流域学校

高梁川志塾の概要

高梁川志塾
画像提供:高梁川流域学校

高梁川志塾は、倉敷市委託事業として一般社団法人高梁川流域学校が運営する、高梁川流域における歴史・文化・産業・フィールドワークなどを通し、地域づくりや、持続可能な地域を担う人材育成、行動につなげることを目指す塾です。

受講コースは、以下の2種類。

  • 実習やプレゼンテーションを行なう「SDGs探究コース」
  • 座学として任意の講座を受講する「聴講生コース」

2020年11月から2021年2月にかけて高梁川志塾 第1期が開催され、2021年6月からは第2期が始まりました

開校式が2021年6月27日(日)に行われて、2021年9月26日(日)の修了式までに約30講義が予定されています。

講義の内容は、以下の5種類です。

分類内容
SDGsビジョン編高梁川流域の2030年のビジョンと現状の取り組みを、実際に活動している講師から聞くことのできる講座
教養編高梁川流域における、歴史や文化・産業などの知識を得るための講座
スキル編プレゼンテーション、ITツールの利活用、ブログやSNSの活用など、地域で活動を遂行するうえで必要なスキル・ノウハウを習得する講座
ローカルSDGsミッション編SDGsの17のゴールを高梁川流域として捉え直して目標設定するワークショップ
フィールドワーク高梁川流域における地域おこしの体験学習

第1期では、SDGsビジョン編、教養編、スキル編の3種類でしたが、第2期からローカルSDGsミッション編フィールドワークが新たに加わりました。

より詳しい内容を知りたいかたは、「⾼梁川志塾」の特設ページを確認してみましょう。

高梁市フィールドワークのようす

吹屋ふるさと村について

吹屋のまち並み

吹屋ふるさと村は、「『ジャパンレッド』発祥の地~弁柄と銅(あかがね)の町・備中吹屋」として2020年6月19日に日本遺産の認定を受けました

弁柄(べんがら)は「日本最古の赤」とも呼ばれ、神社仏閣、歴史的建造物、工芸品の塗料として使われた顔料です。

吹屋の町並みはほとんどの建物に弁柄色の外観と赤銅色の石州瓦が使われています。

筆者が吹屋に行くのは2度目ですが、赤がとても印象的な町だと改めて感じました。

吹屋の町並みを歩く

まち歩きのようす

フィールドワークでは、はじめに吹屋の町並みを歩きながら、歴史や建物についての話を聞きました。

吹屋の建物の瓦は左右で色が少し違うのですが、それは修繕をしているかどうかの違いによるものだそうです。

瓦には弁柄は使われておらず、原料となる赤土と瓦を加工するときの液の関係で赤くなっています。

吹屋の赤はどれも弁柄で色づけられているものだと思っていたため、瓦の話を聞いて驚く参加者も。

弁柄染めについての説明

また、弁柄染め体験のお店の人が、弁柄染めのやりかたについて話してくれました。

弁柄の赤が「ジャパンレッド」と呼ばれることから、弁柄の色は赤だけだと思っていましたが、弁柄の原料となる鉄鉱石からは赤以外の色の顔料も得ることができます

弁柄は、鉱石からとった色なので紫外線などの自然環境には強く、日焼けをすることもほとんどないため、「ものが朽ちても色が残る」といわれるそうです。

伊万里焼などの赤色をつけるときに吹屋の弁柄でしか鮮やかな赤色が出せなかったことから、吹屋の弁柄のブランド力、取引の値段が上がり、吹屋が弁柄の町として栄えることになりました。

吹屋は弁柄で儲け、弁柄商人が作った町なのです。

その歴史は、町並みのいたるところに見ることができます。

建物の奥行きの深さ

建物は間口が狭く奥行きがあり、「うなぎの寝床」と言われる商人の家の作りになっていたり、米や鉄などの問屋がやってきたときに牛馬をつなぐための輪があったりするのです。

旧吹屋小学校校舎

旧吹屋小学校校舎の説明

旧吹屋小学校の校舎は明治33年(1900年)に東西平屋校舎が、明治42年(1909年)には2階建ての本館が建てられました。

江川三郎八(えがわ さぶろうはち)によって設計された建物です。

吹屋小学校は平成24年(2012年)3月に閉校するまで現役最古の木造校舎として使用されており、令和3年(2021年)現在、保存・修理のための工事が行なわれています。

町歩きのときに案内をされたかたは吹屋小学校に通っていたらしく、自分が小学生のころの思い出を、写真とともに教えてくれました。

本山山神社

本山山神社の説明

「この神社の鳥居や玉垣には、皆さんが知っているあるマークが入っています。探してみてください」

その言葉を聞き、参加者ひとりひとりが鳥居をすみずみまで観察すると、「あった!」という声が続々と上がります。

筆者も一緒に探してみると、鳥居には三菱のロゴマークが。

鳥居にある三菱のロゴマーク

本山山神社の鳥居や玉垣は、明治時代に三菱から寄進されたものだそうです。

玉垣にある三菱のロゴマーク

明治時代になり、三菱の創設者である岩崎彌太郎(いわさき やたろう)が最初に手を挙げたのが吹屋の運営であり、三菱を大きくしたのは吹屋と高島炭坑だといわれている、と話してくれました。

階段を上ると、吹屋の町並みを見下ろすことができます。

古民家改修ワークショップ

ワークショップを行なった吹屋ぼっけえ屋

町歩きのあとは、古民家改修ワークショップを行ないました。

改修したのは、「吹屋ぼっけえ屋」という古民家です。

ワークショップでは、主に2種類の作業をしながら古民家の改修の体験をしました。

古民家改修ワークショップでやること
  1. 家の軒下にめぐらされている木に塗装をして、その上に敷いている板を固定する
  2. 固定した板の上に新しい板を張る

軒下の木を塗装するのには、弁柄と柿渋を混ぜた塗料を使います。

弁柄と柿渋を混ぜた塗料

弁柄はきれいな赤を発色するだけでなく、塗った木を防腐、防虫する役割も持っているため、湿気がたまりやすく虫も集まりやすい軒下の木に塗るのにとても向いているのです。

狭い軒下の空間で、暑いなか真剣に作業をすすめます。

狭い軒下の空間

「木によって塗りやすさが違い、けばけばした木の方がたぶん古くて、塗料が塗りにくいです」という参加者のかたがいました。

弁柄は鉱物からとれる顔料であるため柿渋と混ぜても底に沈みやすく、よくかき混ぜたり、柿渋の液体をつぎ足したりしながら塗っていくことが必要です。

参加者同士、塗料の減り具合や作業の進み具合を確認しながら、協力して改修を進めていきます。

休憩中には、着ていた服に塗料がついているようすを他の参加者に見せ合う姿が、とても印象的でした。

服についた塗料

塗料を塗り終えたら、一度はがした板を釘で固定していきます。

木を釘で固定するようす

板を固定する際には、できるだけもとの状態と同じように戻さなければならないため、建物と板のどちらも見ながら慎重に作業を進めていました。

板を固定するようす

さらに、その上から新しい板を張っていきます。

新しい板を張るようす

板の大きさは部屋の広さに合わせなければならないため、必要な大きさに合わせて板を切らなければなりません。

ほんの数ミリメートルでもずれてしまうと板がきちんと入らないので、板を切るときにも注意が必要です。

座学「吹屋ふるさと村 令和産業革命」

座学のようす

町歩き、古民家改修ワークショップの後は、高梁市の元地域おこし協力隊で、現在は佐藤紅商店店主の佐藤拓也(さとう たくや)さんによる座学の講義です。

過去、現在、未来の観点から吹屋を見ることで、何が起きているかをわかりやすく話してくれました。

吹屋は、江戸時代には弁柄の一大産地として栄えましたが、工業用弁柄の登場により昭和の終わりには最後の弁柄工場が廃業。

ふるさと村として観光の町へと生まれ変わっていきます

もっとも栄えていたときの吹屋は、当時の倉敷と同じくらいの人口が住んでいましたが、現在では高齢化率は50パーセントを超え、人口は約130人、建物の2軒に1軒は空き家になっているそうです。

座学のようす

佐藤さんが協力隊だったころには、吹屋の特産品となる紅だるまの製作だけでなく、吹屋の通りでみんなで踊るイベントや居酒屋のような酒場を提供するイベントを行なっていました。

協力隊だったときには、吹屋にないものを作っていくということをしていた、と佐藤さんは話します。

ないものを作っていくことは、1人ではできません。

そのようなことができたのは、吹屋にいるキーマンや団体の後ろ盾があってのことだ、とのことでした。

吹屋にいる人たちは、自分たちにできることと、自分たちだけでは実行するのが難しいことの区別がきちんとできているため、新しく吹屋に来た人と新しいものを作っていくことがしやすいのです。

講義のようす

次に、「吹屋ふるさと村 令和産業革命」と題して、吹屋の現在と未来について話してくれました。

吹屋では、佐藤さんが地域おこし協力隊として活動していたころから現在までの9年間で、10店舗が新たにオープンしたそうです。

吹屋は山奥にあり、他の観光地のように人があふれかえるほど来ることはなかなかない場所ですが、お店ができ皆が楽しみながらゆるやかに続いている事例は面白い、と佐藤さんは話します。

現在吹屋にあるなかでも特徴的な5つの店舗の事例から現在の吹屋ふるさと村について知り、その後2022年4月に旧吹屋小学校校舎がオープンすることや、ワークショップで改修を行なった吹屋ぼっけえ屋の活用のことなどを通して、吹屋の未来づくりについて話してくれました。

おわりに

吹屋の建物

いつもは倉敷市を中心に講義を行なっている高梁川志塾ですが、今回の講義では吹屋まで実際に行きフィールドワークを行なうことで、高梁川流域をより身近に感じることができたのではないかと思います。

筆者は高梁川志塾 第1期の卒業生で、講義を受けるだけでなく実際に高梁市まで行く体験を含めて、改めて高梁川流域の広さや川の上流と下流はつながっているのだと感じることができました。

青空と赤い町並みのなかで、充実した学びの時間を過ごせるフィールドワークでした。

高梁川志塾 第2期のデータ

名前高梁川志塾 第2期
地域
季節
期日高梁川志塾 第2期の期間:2021年6月27日~2021年9月26日
場所高梁市内
参加費用(税込)詳細は高梁川志塾ホームページを確認。
1.SDGs探求コース受講生
一般 : 12,000円、学生 : 8,000円 (全プログラムヘの当日参加、アーカイブ視聴が可能)
※会場受講・オンライン受講に関わらず一律料金
2.聴講生(座学のみ参加)
会場受講:1,500円/回(人数制限あり) オンライン・アーカイブ受講:500円/回
※後日参加者のみ閲覧できるページを案内予定。
※講座によっては、別途、実費を徴収する場合があり。
※講座によっては、無料公開の場合があり。
ホームページ高梁川志塾 | 高梁川流域学校
Ads by Google
ありづか そら

ありづか そら

2001年生まれ、文学と写真と音楽が好きな大学生です。倉敷市に住んでいます。学生の目線から、地元の魅力を伝えていきたいです!

高梁市フィールドワーク

この記事が気に入ったら

最新情報をお届けします。

  • ホーム
  • 知っとこ
  • 高梁川志塾「高梁市フィールドワーク」 ~ 町を歩いて「吹屋ふるさと村 令和産業革命」を体感するワークショップ