倉敷とことこ 「倉敷の今」を伝えるWEBメディア
倉敷とことこ リリース5周年 〜 ゼロから始めた地域メディア運営の裏側とこれから

倉敷とことこ リリース5周年 〜 ゼロから始めた地域メディア運営の裏側とこれから

くらとこからのお知らせ / 2023.09.22

2023年9月22日で、Webメディア「倉敷とことこ」はリリース5周年を迎えました。

平成30年7月豪雨(西日本豪雨)をキッカケに個人で立ち上げて、現在はその後設立した「一般社団法人はれとこ」という団体の運営メディアとなりましたが、リリース当初から「チームで運営する」ことを目標にしていました。

つまり5年続いたのは、取材を通じてかかわっている地域の皆さま、ライターなどとして運営にかかわってくれる皆さまのおかげです。

深く御礼申し上げます。

この記事では、設立者であり、一般社団法人はれとこ代表理事 戸井の目線で、「倉敷とことこ」の5年間とこれからについて紹介しようと思います。

記載されている内容は、2023年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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5年継続することは目標の一つだった

倉敷とことこOGP画像

倉敷とことこをリリースした、2018年9月22日に以下の記事を書きました。

実はこのときから「5年」を一つの節目と考え、5年間は設立時のコンセプトを崩さず、自分たちの力で頑張ろうと決めていました。

このとき考えていたコンセプトの一つは、地域のために立ち上げたメディアだから、地域の人が嫌な思いをするような発信はやめようというものです。

具体例の一つとしては、まとめ記事などの形で比較・ランキング付けをする記事を書かないというものでした。

2018年当時も今(2023年)も、「数字を取れるコンテンツ」のセオリーは大きく変わっていません。

しかし、倉敷に住みながら情報発信をおこなう以上、取材相手のかたに街中でばったり出会うことはあるわけで、そのとき気まずくなるようなことはやめようと決めていました。

数字が取れるセオリーをあえて無視するのは一見格好良く見えるでしょうが、広告収入による運営を諦めることを意味します。

そんな状態で5年続けられるかは、大きなチャレンジでした。

挫折も多かったが、そのなかで見つけた「活動の支え」

初めての緊急事態宣言中(2020年4月下旬)の倉敷美観地区
初めての緊急事態宣言中(2020年4月下旬)の倉敷美観地区

5年間運営するといろいろなことがありました。

  • ライターさんの相次ぐ離脱
  • 増え続ける赤字

この二つはとくにキツかったです。

2018年のリリース当時は、友人のブロガーさんに記事を書いてもらう形で運営していましたが、2020年あたりからメンバーが相次いで離脱します。

当時はコロナ禍に入って間もなくで、多くのかたが環境の変化などに苦しんでいた時期です。

理由は理解できるものの「辞めたいです」と言われるのは、メンタル的にもキツいものがあり、「もう無理かもしれない」と何度も思いました。

そのうえ、運営費の捻出にも苦労しており、増え続ける赤字に頭を抱えていたので余計にです。

「倉敷とことこ」を継続する価値はあるのだろうか……

そう思っていた時期に、現在の活動ベースになる気づきをもらいます。

  • より多くの人にかかわってもらう「コミュニティメディア」という考え方
  • ライターとして地域の情報発信をすることで、暮らしが豊かになった

より多くの人にかかわってもらう「コミュニティメディア」という考え方

より多くの人に関わってもらう「コミュニティメディア」という考え方

ブログ的な個人の情報発信をベースに、メディアという「パブリックな存在」を名乗るのは、矛盾した考えだとずっと思っていました。

そのため、ライターの勧誘など広げる活動は控えていたのですが、倉敷のメディアとしては大先輩にあたる「エフエムくらしき」大久保憲作(おおくぼ けんさく)さんのお話を聞いて考えが変わります。

平常時は放送を通して、街の賑わいを創り、災害時には緊急告知や災害放送という公共的分野の役割を果たす。
この二つがコミュニティ放送局の社会的責任だ。

住民がメディアにかかわれるのは一つの理想像と考えたとき、Webメディアは最適な媒体だと思いました。

「じゃあ、かかわってくれる人を増やしていこう」

それ以来、倉敷とことこは「地域コミュニティWebメディア」と名乗るようになります。

ライターとして地域の情報発信をすることで、暮らしが豊かになった

倉敷市立美術館の屋上。通常は立ち入り禁止だが、取材ということで許可をいただいた
倉敷市立美術館の屋上。通常は立ち入り禁止だが、取材ということで許可をいただいた

また、私自身の経験としても、「地域の情報発信をおこなうメリット」みたいなものを感じる機会が増えました。

自分で取材に行ってまず感じることは、普通ではいけない場所にいけたり、会えない人に会えたりする楽しさです。

そして何より「ありがとう」と感謝されることが多いこと。

社会人としての仕事はある意味「できて当たり前」なので、感謝されることは意外とありません。

「やりがい」みたいなものを感じられる活動だと思いました。

そして、気がつけばほとんどいなかった「倉敷の知り合い」が増えました。

今や美観地区を歩いていれば高確率で知り合いに会い、「こんにちは」と声をかける世界観。

小さなことかもしれませんが、40年近く倉敷に住んでいて初めて「倉敷に住んでいて良かった。ここにいたい」と感じました。

しんどい事もあります。

それでも今は、人生を楽しんでいると胸を張って言えます。

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同じ志を持つ仲間を増やし、情報発信を増やしていく

高梁川流域ライター塾
高梁川流域ライター塾

より多くの人にかかわってもらい、地域を楽しみながら情報発信する人を増やしていく

この考えを形にしたのが、二つのセミナーです。

今、倉敷とことこで活動するライターは、大半がこれらのセミナーを受講したかたです。

皆さん、志を同じくする仲間なので、楽しく活動ができています。

設立時からのコンセプトを曲げることなく、続けられる

ようやくそう実感できるところまで来ました。

しかし、その一方で問題も発生しています。

メディア運営の資金問題が顕在化

はれとこ代表理事・副代表理事(左から西山博行・戸井健吾・岡本康史)
はれとこ代表理事・副代表理事(左から西山博行・戸井健吾・岡本康史)

「掲載料も取らず、ライターには報酬を払って、どうやって運営しているのか?メディア運営はそんなに儲かるのか?」

この5年間で何度も受けた質問です。

メディア運営は儲かる仕事ではありません

私たちはホームページ制作など他の仕事をおこない、その利益をメディアの運営資金にまわしながら何とか継続してきています。

つまりメディア運営は「副業」でした。

しかし、当初月5本程度だった取材数が今は15〜20本程度になり、編集部の負荷が増加し、もはや副業とはいえない状況になっています。

ほかの仕事をしないと生活ができませんが、やりがいもあり、楽しい今の活動をやめたくもありません。

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これからも倉敷とことこを続けていくために

倉敷美観地区で最も好きなロケーション。好みはそれぞれだが、地域活動を通じて感じた美観地区の魅力は「新旧の調和」だと感じている
倉敷美観地区でもっとも好きなロケーション。好みはそれぞれだが、地域活動を通じて感じた美観地区の魅力は「新旧の調和」だと感じている

地域コミュニティWebメディア「倉敷とことこ」という仕組みは、5年間である程度完成したと思っています。

私たちも無理をしすぎないという前提で、この先10年・20年と継続していくことを目指します。

同時に、5周年を節目に、初めて読者の皆さまにお願いをさせてください。

皆さまも私たちの活動をできる範囲で支えてもらえませんか?

資金は常に不足しています。

とことこサポーター」と称した寄付、広告出稿もお願いしたいところですが……。

こんなメディアがあることを紹介したり、記事を書いたライターに感謝の言葉を伝えたりすることも支えになります。

地域コミュニティWebメディアの活動は、感謝の言葉がやりがいになり、力になることを知ってほしいです

5年間支えてくださった皆さま、改めてありがとうございました。

引き続き今までのスタンスを崩さず、責任を持ちつつ、地域を楽しみながら、地域の情報発信の一翼を担っていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

なお、私たちの活動を支えてくださる、「とことこサポーター」については下記のページで募集しています。

ページ内ではメディア運営だけでなく、社会福祉活動など、私たちが現在行っている活動も紹介していますので、よろしければご覧ください。

とことこサポーター募集バナー
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戸井健吾

戸井健吾

1979年生まれ、倉敷市在住
2児の父親

システムエンジニアの仕事に携わりながら、ブログ・イベント運営など様々な仕事を行っています。

現在は当メディアを運営する一般社団法人はれとこの代表理事を務めつつ、フリーランスとしても活動中。

自分自身が美観地区を楽しみながら、「行ってみたい」と思える情報を発信することをモットーにしています。

信頼できるWEBメディアになれるように、メンバーが一丸となって運営しています。

はれとこからのお知らせ

一般社団法人はれとこは「とことこシリーズ」を中心に、地域の情報発信を担う「市民ライター」育成などの活動をおこなっています。

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倉敷とことこ5周年

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