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教善寺 〜 茶人・小堀遠州や儒学者・森田節斎ゆかりの寺

教善寺 〜 茶人・小堀遠州や儒学者・森田節斎ゆかりの寺

観とこ / 2020.03.02

美観地区から南へ約500メートル。
高台のうえに「教善寺(きょうぜんじ)」という寺があります。

「こんなところに寺が?」という場所にあるのですが、実は室町時代から続く歴史ある寺なんです。

境内には、茶人として活躍した備中代官・小堀 遠州(こぼり えんしゅう)ゆかりの井戸や、幕末の倉敷で教育に尽力した森田 節斎(もりた せっさい)に関する史跡などの見どころが。

美観地区周辺の隠れた名所・教善寺を紹介します。

記載されている内容は、2020年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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教善寺のデータ

教善寺:本堂
名称教善寺
別名清江山
宗派浄土真宗 本願寺派
所在地岡山県倉敷市船倉町1604
電話番号086-422-1623
駐車場あり
御本尊
御利益
御朱印(納経料)対応していない
拝観時間日中のみ
休観日なし
拝観料なし
拝観料・納経料の納め方
    トイレ
    ホームページ宗教法人教善寺

    教善寺への行き方

    道順を確認

    教善寺は室町時代中期に創建された古い寺

    教善寺:山門

    山門

    教善寺は倉敷美観地区の南にある、浄土真宗(じょうどしんしゅう)本願寺派(ほんがんじは)の寺です。

    ▼向山(むこうやま)という山の北西のふもとにあって、石垣の上の高いところにあります。

    教善寺:外観▼そのため、境内へは石段を上っていきます。

    教善寺:石段

    教善寺は、なんと室町時代中期から続く古い寺です。

    江戸時代初期には、茶人としても有名な武家・小堀 遠州(こぼり えんしゅう)が教善寺を訪れていました。

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    教善寺の見どころ

    教善寺の境内には、歴史的に名所となっていたスポットがあります。

    以下に紹介しますが、いずれも墓地の中にあるので、見学するときは墓地であることに配慮しながらおこなってください。

    遠州井

    教善寺:遠州井

    遠州井(えんしゅうい)は、教善寺の境内にある井戸です。

    いつ井戸が掘られたのかは定かではありません。
    教善寺が、現在地に移転する前からあったといわれています。

    透明度が高く清らかな水で、古くから名水として知られていました。
    今でも、年間通していつも一定の水量があるとのこと。

    遠州井という名前の由来は、小堀 遠州(こぼり えんしゅう)として知られる小堀 政一(こぼり まさかず)。

    教善寺:遠州井

    小堀 遠州は江戸時代初期、備中の天領(江戸幕府直轄領)を管理する「備中代官」として、備中松山城(現 高梁市)の城主になりました。

    なお、当時は備中松山城も天領です。
    倉敷村(現 倉敷市中心部)は、内陸の松山が物資輸送をするための拠点の港でした。

    また、小堀 遠州は武家であると同時に、茶人として活躍。
    倉敷を訪れたとき、いつも朝夕に遠州井の井戸水を使って茶を点てていたといわれています。

    小堀 遠州が愛用した井戸なので、遠州井と呼ばれるようになりました。

    ▼ふだんは、フタがされてあり、井戸の中を見ることができません。

    教善寺:遠州井

    なお、倉敷市の公式サイトに、井戸の中の写真が掲載されています。

    遠州井の場所・行き方

    ▼石段を登り境内に入ったら、山門の前を直進すると墓地の門があります。

    教善寺:山門前の墓地への道

    ▼門を開けて墓地に入り、そのまま直進。

    教善寺:墓地入口

    ▼すると石段があるので上ります。

    教善寺:墓地入口から遠州井への道

    ▼石段の進行方向右に木が見えたら、その場所から進行方向左にのびる脇道に進みましょう。

    教善寺:墓地入口から遠州井への道

    そのまま道なりに大きく右に曲がってください。

    ▼すると進行方向の右側に木々が生えた場所が見えます。

    教善寺:墓地入口から遠州井への道

    ここが遠州井です。

    ▼井戸の横に「遠州井」と彫られた石が置いてありますので、目印にしてください。

    教善寺:遠州井

    石の下は草が茂っていて、遠州井の「井」が見えませんでした。

    森田節斎招魂碑・森田阿孟墓

    ▼教善寺のもうひとつのスポットは、森田節斎招魂碑森田阿孟墓です。

    教善寺:森田節斎招魂碑と森田阿孟墓

    左:森田節斎招魂碑、右:森田阿孟墓

    森田 節斎(もりた せっさい)と森田 阿孟(もりた おもう)は、江戸時代後期の親子です。

    節斎は、現在の奈良県五條市生まれで、儒学者・漢学者・詩人などとして活躍した文化人。

    頼 山陽(らい さんよう)のもとで学んだあと、各地を放浪しました。
    備中国 浅口郡 上成(うわなり)村=現在の倉敷市玉島上成に滞在して、塾を開いたこともあります。

    文久元年(1861年)の春、倉敷村の有力者、三宅 丈平(広江屋)・植田 武右衛門(児島屋)・林 孚一(大阪屋、のち倉敷町長)が節斎を倉敷に呼びました。

    そして、井上家の花屋旧邸で私塾「簡塾(かんじゅく)」を開き、子供を中心に教育をおこなったのです。

    倉敷居住中に女の子が生まれました。
    孟子(もうし)の授業中に生まれたので、森田 阿孟と命名したともいわれています。

    しかし、文久3年(1863年)に病死してしまいした。

    ▼悲しんだ節斎は、節斎自ら墓碑銘を彫り、教善寺に墓を建てて葬りました。

    教善寺:森田阿孟墓

    その後、節斎は倉敷を離れ、紀伊国 那賀郡(現在の和歌山県紀の川市)で亡くなります。

    ▼そのため教善寺の森田阿孟墓の横に、森田節斎招魂碑が建てられました。

    教善寺:森田節斎招魂碑

    子供ひとりだとさみしいと思ったのかもしれません。

    森田節斎招魂碑・森田阿孟墓の場所・行き方

    ▼墓地の門を開けて墓地の中に入ると、進行方向の右前方にいくつかの墓が並んでいる場所が。

    教善寺:墓地のようす

    ▼そのなかに、森田節斎招魂碑・森田阿孟墓が2つならんでいます。

    教善寺:森田節斎招魂碑と森田阿孟墓

    ▼右側にあるのが、森田阿孟墓。

    教善寺:森田阿孟墓

    ▼左側が森田節斎招魂碑です。

    教善寺:森田節斎招魂碑

    教善寺の御朱印はない

    教善寺は、浄土真宗の寺です。

    浄土真宗では、一部をのぞいて御朱印に対応していません。

    そのため経善寺は御朱印がないのです。

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    教善寺の歴史

    教善寺:外観

    教善寺は、室町時代中期の延徳2年(1490年)に、円教(えんきょう)という僧侶によって開かれたといわれています。

    円教は、もともと千葉 左衛門 督忠(ちば さえもん とくただ)という名前で、京都守護という職の役人でした。

    その後、出家して本願寺の僧侶・蓮如(れんにょ)のもとで修行します。
    やがて全国をまわり、倉敷にたどり着きました。

    延徳2年(1490年)、向山の山上に「金光堂(こんこうどう)」という堂をつくって、阿弥陀像を祭ります。
    これが教善寺の前身です。

    教善寺:外観

    安土桃山時代になって、享禄元年(1528年)に現在の倉敷市本町(向市場町)に移ります。
    さらに江戸時代初期、寛永年間(1624年~1664年)に現在の教善寺と名乗るようになりました。

    江戸時代半ばの、宝暦年間(1751年〜1774年)に火事にあい焼失。
    安永5年(1776年)に現在地へ移転し、寺を再建しました。

    現在ある本堂は、平成23年(2011年)に建て替えられたものです。

    おわりに

    小堀 遠州は、備中松山城(高梁市)にいたので、倉敷にゆかりの場所があるとは思わず、驚きました。

    教善寺は美観地区からは南へ少し外れますが、歩いてすぐなので、歴史に興味があるなら見学してみてはいかがでしょうか。

    地元のかくれた歴史を探るのも観光の楽しみですよ。

    教善寺のデータ

    教善寺:本堂
    名称教善寺
    別名清江山
    宗派浄土真宗 本願寺派
    所在地岡山県倉敷市船倉町1604
    電話番号086-422-1623
    駐車場あり
    御本尊
    御利益
    御朱印(納経料)対応していない
    拝観時間日中のみ
    休観日なし
    拝観料なし
    拝観料・納経料の納め方
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      アサノ ・ヨウスケ

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      フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。地域情報サイトも運営。
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