倉敷美観地区の中に、無料でゆっくり日本庭園を眺められる建物があることを知っていますか?
観光途中のくつろぎスポットとして使えて、格安で借りられるレンタルスペースにもなっているのが、「新渓園(しんけいえん)」。歴史と風情を感じる和風建築と庭園を有しています。
庭園は、明治・大正期における最高の庭師といわれる庭師が作ったもの。季節によってさまざまな表情を見せてくれます。
実は筆者は、新渓園を訪れたことがありませんでした。取材して、「なぜこんな良い場所を知らなかったのだろう」と悔やんでいます。
落ち着いた空間で縁側に座ってのんびり庭を眺める時間は、癒やしのときです!
新渓園の見どころと楽しみ方を紹介しましょう。
記載されている内容は、2024年1月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
新渓園のデータ

名前 | 新渓園 |
---|---|
所在地 | 倉敷市中央1-1-20 |
電話番号 | 086-422-0338 |
駐車場 | なし |
開館時間 | 観光:午前9時~午後5時 貸室:午前9時~午後9時 |
休館日 | なし 年末年始(12月29日~1月3日)は休園 |
入館料(税込) | 見学は無料 貸室利用料は記事内参照 |
支払い方法 |
|
予約について | 可 貸室の予約は1年前から可能 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ |
子育て | 授乳室など特別な設備はありませんが、貸室がない場合は利用可能です。 |
バリアフリー | |
ホームページ | 新渓園 | 倉敷観光WEB |
新渓園とは 大原家の別荘から市民の憩いの場へ

新渓園は、大原家の別荘として建てられた和風建築と庭園です。
入館料は無料。56畳の広々とした和室から、美しい庭を眺めてゆっくりできます。
またレンタルスペースとしても市民に開放されていて、多様なイベントや行事で親しまれていますよ。
新渓園の歴史

新渓園は、1893年(明治26年)に倉敷紡績(通称:クラボウ)初代社長である大原孝四郎(おおはら こうしろう)の別荘として建設されました。
別荘を建築した理由は、孝四郎の還暦祝いだそうです。なんとも豪勢な話ですね。
大原家の本邸(語らい座 大原本邸)の向かいに建てられたことから、建築当時は「向邸(むかいてい)」と呼ばれていました。
倉敷の発展に大きく貢献し、築いた富を社会に還元していた大原家。
孝四郎の息子で大原美術館の創立者である大原孫三郎(まごさぶろう)は、1922年(大正11年)、向邸を市民に広く使ってほしいと願い、土地や建物を当事の倉敷町へ寄贈しました。しかも、保全準備金まで合わせて寄付したそうです。
孝四郎の雅号(がごう)である「新渓(しんけい)」から「新渓園」と名付けられました。新渓園の名前には、大原家の功績をたたえる意味が込められているんですね。
建築から100年ちかくが経過した1991年(平成3年)、老朽化が著しかったために大規模な改修を行いました。
建築当事の趣はそのままに新しく生まれ変わり、現在は寄付の趣旨に沿って、広く一般に開放されています。
新渓園の構造

新渓園は下記の建物・庭から成っています。
- 56畳の大広間「敬倹堂(けいけんどう)」
- 近江八景を模した日本庭園
- 本格的な茶室を備えた「游心亭(ゆうしんてい)」
「近江八景を模した」という点は様々な見解があるそうです
このあと、ひとつずつ見ていきましょう。
新渓園の見どころ
56畳の大広間「敬倹堂(けいけんどう)」

56畳の広々とした大広間と縁側などを備えた、純和風の建築物です。
立派な梁(はり)も趣深く、高い天井も優雅な気分が味わえます。
内部は改装していますが、骨組みは設立当時のままだそうです。

柱や鴨居を額縁に見立てて庭園を鑑賞する「額縁庭園」を堪能してください。

緑豊かな日本庭園

四季折々で表情を変える、美しい池泉回遊式庭園です。
近代日本庭園の先駆者である「七代目 小川治兵衞(おがわ じへい)」によるもの。
明治・大正期の最高の庭師といわれる、小川治兵衞。孫三郎が、病弱な妻のために建設した「有隣荘(ゆうりんそう)」の庭も手がけています。

訪れた3月には、つくしが生えていました。本格的な春がやってくると、新緑が美しいそうです。4~5月にはサツキが咲き、秋には鮮やかなもみじで庭が染まります。

季節を変えて、何度も訪れたいと感じました。
琵琶湖の景色をイメージして作られている庭は、豊かな水も特徴です。

小さな橋を渡りながら、庭を鑑賞できます。池には鯉が優雅に泳いでいました。

この池の水は、倉敷川から引いてきている水だそう。

ここで、ちょっとこぼれ話です。
観光客にも地元の人にも愛されている倉敷のアイドルのような存在が、倉敷川に住む白鳥のソラとユメ。新渓園を管理している倉敷観光コンベンションビューローさんが、餌をあげているのだそうですよ。
大原美術館からも、新渓園の庭を見ることができます。
和室と茶室を備えた「游心亭(ゆうしんてい)」
「游心亭(ゆうしんてい)」は、平成の改修時に増築された数寄屋風建築です。
続き和室(2室で15畳)と本格的な茶室があります。
まずは和室を見てみましょう。

写真では雨戸が閉まっていますが、利用時には雪見障子からも庭を眺めることができます。足の悪い方が利用するときのために、椅子も用意されていました。


続いて茶室です。

建物の外側には、お茶を待つ人が日差しを避けて座って庭を眺められる「待屋(まちや)」が設けられています。

待屋がある茶室は珍しく、茶会の名所として利用されているそうです。(写真では待屋の椅子に木製のカバーが置かれています。)
見学は無料! 新渓園を観光しよう
新渓園は、レンタルスペースとして部屋の貸出を行なっています。そのためイベントなどにより貸切で敬倹堂が使われている時間には、観光で訪れた人は一部を鑑賞できないことがあります。
玄関前の看板に、鑑賞可能かどうか書いてありますのでお確かめください。

時期によりますが、春や秋の土日祝日は9割近くイベントが入るそうです。
状況別に、おすすめの観光のしかたを紹介しましょう。
貸切が入っていない場合

敬倹堂と庭園を鑑賞できます。
まずは広々とした敬倹堂の部屋から、「額縁庭園」を眺めるのがおすすめです。
そして縁側に座って、ゆったりと庭を鑑賞してみてください。とても心地よく、のんびりできます。

その後庭に降りて歩いてみると、建物から観ていたときとは違う庭の魅力に気づくかもしれません。

貸切の場合

貸切内容によっては、敬倹堂内に入れません。
しかしその場合も、外(大原美術館分館がわ)から日本庭園に入り、庭を歩いて敬倹堂の外観を鑑賞することができます。
回遊式庭園なので、庭の中を歩いても庭の美しさが十分味わえますよ。

庭内には東屋(あずまや)が3箇所ありますので、座ってゆっくり眺めるのもおすすめです。

イベントや結婚式に 新渓園を貸室として使おう

新渓園は、一般の人がレンタルスペースとして使うことができます。
たとえば、結婚式・前撮りなどの撮影・お茶会・着付けなどの習いごと・販売会・会議などに使われているそうです。
美しい庭園を眺める広いスペースが使えるなんて、贅沢ですよね。
しかも、「市民の集会所として広く使ってほしい」という孫三郎の寄付の趣旨に沿って、とてもリーズナブルな価格で使用できます。
施設名 | 午前9時から正午まで | 正午から午後5時まで | 午後5時から午後9時まで |
---|---|---|---|
敬倹堂 | 1,210円 | 1,540円 | 2,750円 |
游心亭 和室 | 990円 | 1,430円 | 2,420円 |
游心亭 茶室 | 1,980円 | 2,530円 | 4,400円 |
商用利用の場合は料金が2倍になりますが、それでもずいぶん低価格。
冷房・暖房(別料金)も使えます。
また、飲食をともなうイベントも開催可能なのが、さらに嬉しいポイントです。泥酔しなければアルコールもOKなので、日本酒の試飲ができる販売会が行われたこともあるそうですよ。
1年前から予約できますが人気のシーズンはすぐに埋まります。ご予約はお早めにどうぞ。
新渓園で開催されるイベント

下記のイベントでは、新渓園も会場として使われています。
倉敷雛めぐりでは、新渓園に約30組の雛人形が集まって壮観でした。
春宵あかりでは、庭園がライトアップされます。
樹の下や縁の下だけでなく池の中にも照明が仕込まれて、昼とは異なる表情が見られます。ライトアップされた新渓園が見られるのは、基本的に春宵あかりだけ。ぜひ、おでかけくださいね。
おわりに

清々しく風情ある建物と、緑豊かな庭園は、とても癒やされました。しかも、無料で観られるなんて!
新緑や紅葉の季節は、さらに素敵なことでしょう。何度も訪れたい場所が増えました。
和室や本格的な茶室を借りることもできるので、イベントや撮影にもおすすめです。
ぜひ、美しい建物と庭園を堪能してください。

- モデル:ゆりちぇる
新渓園のデータ

名前 | 新渓園 |
---|---|
所在地 | 倉敷市中央1-1-20 |
電話番号 | 086-422-0338 |
駐車場 | なし |
開館時間 | 観光:午前9時~午後5時 貸室:午前9時~午後9時 |
休館日 | なし 年末年始(12月29日~1月3日)は休園 |
入館料(税込) | 見学は無料 貸室利用料は記事内参照 |
支払い方法 |
|
予約について | 可 貸室の予約は1年前から可能 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ |
子育て | 授乳室など特別な設備はありませんが、貸室がない場合は利用可能です。 |
バリアフリー | |
ホームページ | 新渓園 | 倉敷観光WEB |