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聴覚障害者のための講座「岡山をもっと好きになろう」(令和5年12月9日開催)~ 手話で紡がれる岡山の魅力

聴覚障害者のための講座「岡山をもっと好きになろう」(令和5年12月9日開催)~ 手話で紡がれる岡山の魅力

伝えとこ / 2024.02.11

聴こえる人たちが音声でコミュニケーションを取るように、聴覚障がい者は手話でコミュニケーションを取ります。

しかし、一般的な講演などの宣伝には通訳などの情報保障(※)の有無が記載されていることがほとんどありません。

そのため、参加したい講演があっても、事前に手話通訳が付くのか確認をしたり、場合によっては自費で通訳の要請をしたりする必要もあります。手間がかかるので、ふらっと講演などのイベントに参加することはできません。

このような課題を踏まえ、岡山県聴覚障害者センター内では、聴覚障がい者の生活文化の向上や社会参加の促進を目的とした「聴覚障害者のための講座」が開催されています。

「情報保障」とは、手話や文字などを利用して周囲の音情報をきこえない人に伝えたり、逆に手話や文字などを利用して発せられた発言を音声に変えるなどして、その場にいるすべての人々の「場」への対等な参加を保障する取組のことを指しています。

独立行政法人 日本学生支援機構:3.聴覚障害(1)聴覚障害とは
岡山県聴覚障害者センター入口

こちらは、岡山県内に在住する聴覚障がい者に対して情報提供をしている県内唯一のセンターで、私も利用登録をして手話通訳の派遣などでお世話になっています。

「聴覚障がい者のための講座ならば、私も学びを楽しめるかもしれない」と思い、参加してきました。

今回は、手話で学んできたことを書記日本語(書き言葉)でレポートします。

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記載されている内容は、2024年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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聴覚障害者のための講座「岡山を好きになろう」

「岡山をもっと好きになろう」は、令和5年12月9日(土)岡山市のきらめきプラザ4階にある岡山県聴覚障害者センターにおいて開催されました。

講演者は、元山陽放送(RSK)アナウンサーで現フリーアナウンサーの遠藤寛子(えんどう ひろこ)さんです。

遠藤さんは、岡山県登録手話通訳者としても活動されています。

画像提供:岡山県聴覚障害者センター
画像提供:岡山県聴覚障害者センター

手話であふれる会場

岡山県聴覚障害者センターは、岡山市北区のきらめきプラザ4階にあります。

きらめきプラザは、岡山県聴覚障害者センターのような県が運営する団体と公益社団法人岡山県聴覚障害者福祉協会や公益社団法人岡山県難聴者協会のような福祉団体が協働して地域福祉を推進するための総合福祉施設。

きらめきプラザ外観

本講座は岡山市聴覚障害者協会が主催する「聴覚障害者のための講座」のため、参加者の9割は聴覚障がい者でした。

開場するとすぐに参加者が入室してきて、あっという間に会場は手話であふれました。

手話で話す筆者
手話でコミュニケーションをする私(右)

私も日頃は聴者(聴こえる人)と音声でやり取りをしますが、聴き取れているかどうかの不安感があります。その点、手話は会話の内容が視覚的にわかるので、安心してできるコミュニケーション方法です。

会場に集った聴覚障がい者たちもみんな、普段は聴者に囲まれた中で生活をしています。そのため、この会場のように手話で思い切り語れる仲間と集える場は貴重な存在です。

演者自らが手話で話す講座

「今日は、手話通訳者はお願いしませんでした。私にとって、自分の話を手話で伝えることが長年の夢だったのです。今日はその夢をかなえさせてください」

遠藤さんが話し始めると、参加者全員の目がぱっと開きました。

手話で語る遠藤寛子さん

驚きというよりは、うれしさ安心感という日本語がふさわしいのでしょうか。

「聴覚障害者のための講座」といっても、演者が聴者の場合は、演者の横に手話通訳者が立って音声を手話に通訳するのが一般的な方法です。

しかし、手話と日本語は異なる言語のために細かいニュアンスが伝わらないことや、同時通訳のため音声情報のすべてを通訳することはできずに話が省かれてしまうことがあります。

でも、この日は違います。

演者が自分の話を自分の手で紡いでくれる。だから、演者の伝えたい言葉を自分たちの言語でしっかり理解できるのです。

参加者の表情がぱっと明るくなって、皆が手を頭上でひらひらと揺らしました。

これは、手話の拍手。「私たちのために話を用意してきてくれた」ということが、うれしくて心が温かくなりました。

岡山をもっと好きになれる豆知識

普段は現役アナウンサーとして岡山県内各所で活動をされる遠藤さん。彼女だからこそ知っている“岡山をもっと好きになれる”豆知識を紹介してくれました。

木下大サーカス発祥の地は岡山県

木下大サーカスを知っていますか。

アクロバティックな演技と、ホワイトタイガーのショーなどを特徴とした日本のサーカス団です。

筆者も、幼い頃に祖父と一緒に鑑賞して圧巻の演技に興奮した記憶があります。

なんと、木下大サーカスは世界三大サーカス団に数えられています。

木下大サーカス発祥の地石碑

日本を代表する木下大サーカスの発祥の地は、ここ岡山県だそうです。誇らしいですね。

遠藤さんは、取材で空中ブランコに挑戦したことがあり、木下大サーカスの歴史を学んだとのこと。高さ13m、幅20mもある空中ブランコはとても怖かったと笑いながら語っていました。

岡山後楽園内の建物は借りられる

岡山後楽園

江戸時代に作られて以降、現在もなお日本国内外から多くの観光客が訪れる日本三名園である岡山後楽園

園内には、日本庭園の景観を楽しみながら過ごせる建物がいくつか点在しています。

どれも歴史的価値のある建物なので、お庭の景色のひとつとして眺めることしかできないだろうと思っていました。

しかし、この建物たちは一般に貸し出しされている施設もあるのだとか。

しかも、施設使用料は3時間900円から(建物によって料金は異なります)。

県外からの友人や海外からの来客に、岡山後楽園でおもてなしができるなんて、粋ではないでしょうか。

平成30年7月豪雨の災害を語り継ぐ絵本『ブラザーズドッグ』

また、遠藤さんはアナウンサーや手話通訳者として活動する傍らで、朗読グループ「おはなしのWA♪」でも活動をしています。

画像提供:遠藤寛子さま
画像提供:遠藤寛子さま

平成23年に起こった東日本大震災の復興支援をきっかけに結成された「おはなしのWA♪」は、絵本『ブラザーズドッグ』を制作。被災した動物たちが登場するこの絵本は、岡山県下400の小学校に寄贈されたそうです。

令和5年には、この絵本から「おはよー 心は雨のち晴れ」という歌も生まれました。

「おはよー 心は雨のち晴れ」歌詞カード

絵本や歌などは、これからの時代を生きる子どもたちにとって身近な存在です。そのような子どもたちにとって親しみのある絵本や歌があることは、災害のできごとを風化させないために大切な取り組みだと思います。

私も、講演の休憩時間に拝読しました。柔らかいタッチのイラストですが、読み進めると災害時のリアルなようすが伝わってくる絵本でした。

おわりに

遠藤さん自らの手話で語られる岡山の魅力たちに、参加者はみな釘付け。

講演後も「自らの手話で話してくれたことがとてもうれしかった」「自分の伝えたい日本語に合う手話表現を考えて話してくれたから、演者が本当に伝えたいことがわかった」などの感想がたくさん寄せられました。

倉敷市では手話言語条例(令和3年)が、岡山県では岡山県手話言語の普及及び聴覚障害、視覚障害その他の障害の特性に応じた意思疎通手段の利用促進に関する条例(令和5年)が施行されました。

手話言語条例、岡山県手話言語の普及及び聴覚障害、視覚障害その他の障害の特性に応じた意思疎通手段の利用促進に関する条例のリーフレット

これからも、障がいのある当事者が気軽に生涯学習に参加できる機会が増えていってほしいと思います。

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聴覚障害者のための講座「岡山をもっと好きになろう」のデータ

「岡山をもっと好きになろう」講座の宣伝画像
名前聴覚障害者のための講座「岡山をもっと好きになろう」
期日令和5年12月9日 午後1時~午後3時
場所岡山県岡山市北区南方2丁目13-1
参加費用(税込)無料
ホームページきらめきプラザ
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高石真梨子

高石真梨子

東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。

音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

こんにちは、地域おこし協力隊です

県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

倉敷市地域おこし協力隊

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手話で語る遠藤寛子さん

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