JR倉敷駅から南に延びる倉敷中央通りの起点となる駅前に、この地では珍しいスタイルの店が誕生しました。椅子がない、立ち呑みのみの「立ち呑みura」です。駅から徒歩約1分の好立地で、地元客にも観光客にも便利な店。
外から店を眺めるとなんとなく異質さを感じます。建物の形、窓から見えるむき出しの土壁。のれんはなく、扉横のメニュー看板を見て初めて飲食店とわかります。
一見、なんの店だろうと思ってしまう店構えは、建物を設計した建築家の想いを大切にしているから。
偶然の出会いから生まれ、そして交流の場となっている立ち呑み屋を取材しました。
記載されている内容は、2024年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
立ち呑みuraのデータ
![外観_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/1ef3ddeff6b0d1d2f8bdb1fb58087827.jpg)
名前 | 立ち呑みura |
---|---|
住所 | 岡山県倉敷市阿知3-1-16 |
電話番号 | 080-2921-0222 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午後6時~午前0時:火~金曜日 午後12時~午前0時:土曜日 午後12時~午後7時:日曜日 |
定休日 | 月 |
支払い方法 |
|
予約の可否 | 不可 |
座席 | 店内15名程、外席4名程 |
タバコ | 完全禁煙(屋外に喫煙スペースあり) |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | |
バリアフリー | |
ホームページ | 立ち呑みura |
JR倉敷駅南口を出て、右手に進みます。
右手には西ビル。通路に沿ってまっすぐ進みましょう。
歩道橋を渡ります。
歩道橋を降りてすぐ右手に立ち呑みuraがあります。
建物にも注目したい立ち呑み屋
JR倉敷駅の南口より西ビルの前を通り、歩道橋を降りてすぐ右手にある「立ち呑みura(以下、ura)」。倉敷の顔ともいえる好立地な場所にあります。
ちなみにuraの発音は鬼を意味し、岡山に馴染みのある「温羅(うら)」かと思いきや「裏」のほうです。倉敷の表にあるのに、裏とする理由は後半のインタビューで紹介します。
飲食店なので、メニューの話をしたいところですが、まずは建物に注目しましょう。黒みがかった壁に扉と大きな窓があります。窓の向こうに見えるものに、きっと違和感を覚えることでしょう。むき出しの土壁が見えるのです。
![夜の外観_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/58ba5ec8c005048a9ca1c027358a5be1.jpg)
窓には特殊加工がしてあり、夜でも光を反射せず、なかがしっかり見えます。近づいてみると、竹が組まれているようすも捉えられ、建物のなかなのに、外を見ているような気持ちに。そう、窓から見える壁は、隣の建物の外壁なのです。
![窓_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/2a50949a39ee90a7a2716bf1e049338d.jpg)
uraは隣の増築によって生まれた建物で、店を改装する際にあえてこの外壁を見せるようにしたのだとか。店内に入り、天井を見るとさらに不思議な気持ちになります。まるで工事現場にいるような天井です。
![天井_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/9e0123ee2d2a32eae151f58cfa4ba40a-1.jpg)
複雑に組まれた柱、むき出しの壁や天井。実はこれらは工事中ではなく、完成品で、スキーマ建築計画の建築家 長坂常(ながさか じょう)さんが改装を手掛けました。長坂さんは「半建築」という概念をもとに、建物や土地の素材を生かした建築を手掛けています。
増築によって生まれた、壁の出っ張りもそのまま。柱に残っている文字も見え、たしかに建物から歴史を感じます。
![出っ張り_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/497f2332776cfab0fd5f1a0128b29cdc.jpg)
店内は不思議な形の建物にそって、カウンターが設けられています。立ち呑み屋なので椅子はなし。
地元食材をふんだんに使った料理
uraを運営するのは株式会社クラビズ。ハンバーガーやチキンオーバーライスなどを提供する姉妹店のCafe&Bar KAG(カフェ・アンド・バー・カグ)も運営している会社です。
uraでは、地元食材をふんだんに使った料理や地酒を味わえます。
![フードメニュー_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/d2fbe4e651eeb939cfac60046942c7d2.jpg)
魚春の魚
倉敷市茶屋町にある1898年創業の老舗魚屋の魚春(うおはる)の魚を使ったメニューが目玉です。
今から約45年前の話、鰆(さわら)は岡山以外の地域では扱いが悪く、生では食べられませんでした。
魚春は各地の漁港をまわって漁師に鰆の締めかたと氷詰めなど運搬方法を教えました。そして各地の鰆をすべて岡山に送ってもらえるのなら、その分高く買って返す仕組みを作ったそうです。
![鰆を切る_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/03c0e0e972f6f87bb854ec7b4e52977e.jpg)
「魚春の鰆たたき」は注文後に表面をバーナーで炙ります。
![バーナー_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/63c65b44ea5e46cc6a332dc0d4c491af.jpg)
魚編に春と書く鰆は、春がもっともおいしいと思われがちですが、実は冬になると脂がのって美味。ぶ厚い切り身は醤油ではなく、柚子胡椒や岩塩を付けて食べました。
風味を消さず、旨みを引き立たせる塩で食べられるのは新鮮な証拠。口溶けしそうなほど柔らかく、脂がのった鰆をゆっくりと噛み締めました。
![魚春の鰆たたき(税込650円)](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/912325b755c73237dd9f6f9f46903211.jpg)
鰆同様、しめ鯖もおすすめです。しっかりと鯖を堪能したい場合は「魚春の特製しめ鯖」の注文を。魚春が調理したしめ鯖は、酢で身が引き締まっているものの、鰆同様柔らかい。ご飯にもお酒にも合う仕上がりです。
![魚春の特製しめ鯖(写真右手前、税込500円)](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/a11351ba4e1545cfff08bee35f072e9f.jpg)
ずっと口のなかで味わいたいほど、感動しました。
しめ鯖の変わり種もあり、それは「名物しめ鯖サンド」です。しめ鯖がパンに合うなんて、と衝撃を受ける一品。
![名物しめ鯖サンド(税込700円)](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/94b05c23bcdc187bb2c399e25f8b29f7-1.jpg)
魚メニューにはフライも。訪れた日の「瀬戸内の白身魚フライ」は岡山県産の黒鯛でした。魚の種類は日によって変わるそうです。岩塩とタルタルソースと一緒に食べました。
![瀬戸内の白身魚フライ(黒鯛)(税込600円)](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/f7c6787091acb6223e2985192c3b5fda.jpg)
表面はカリっと揚げられ、なかみは驚くほどふわふわ。こちらも満足度の高いメニューでした。
阪本鶏卵の卵
1966年創業で倉敷市水島にある卵屋、阪本鶏卵のメニューも紹介しましょう。
卵そのものを味わうなら「阪本鶏卵のウフマヨ」です。ウフマヨはフランス料理「ウフマヨネーズ」の略で、卵とマヨネーズを意味します。
筆者がウフマヨを食べたときは「阪本鶏卵の芝麻ウフマヨ」というメニュー名で、ゴマ風味のソースがかかっていました。少し中華風味のするウフマヨでした。
![ウフマヨ_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/a01fe7a03f421487aa752b8c626ee8ac.jpg)
卵はとろとろの半熟状態です。卵好きにはたまらない一品です。
![ウフマヨなかみ_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/685a05bca4bcf90c3e58a0913123d9e8.jpg)
日本人のソウルフード、卵かけごはんもあります。たっぷりのカツオ節とねぎがかかった「卵かけごはん黄ニラ醤油がけ」です。醤油に黄ニラ醤油を使うのは、岡山愛を感じます。カツオ、ねぎ、黄ニラの香りが脳を刺激します。食べる前からおいしいに違いないと確信しました。
![たまごかけごはん_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/58b6da1c291cc283305beb260bb4b18b.jpg)
卵黄だけなので、ごはんにねっとりと卵が絡みます。〆のごはんと思って食べたのに、食欲がわくという罪深い料理です。
![たまご_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/b783b2b16eea82a7faf1bdd9d014d7f6.jpg)
岡山の酒
岡山の地酒もあります。メニューは日によって変わるのでお店のひとに聞きましょう。日本酒は壁のメニュー板に書かれています。
![大典白菊は岡山県高梁市のお酒](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/3f62a1e7c47f20a4b2143687434b60f1.jpg)
注目すべきは岡山のクラフトビールもある点です。「OKAYAMA JIMOTO BEER 086」というブランドで、岡山県早島町で醸造されています。ラインナップは以下の5つです。
- #2 OKAYAMA PALE ALE
- #4 KURASHIKI HAZY IPA
- #6 KIBIJI AMBER ALE
- #8 TSUYAMA CHOCOLATE STOUT
- #48 HAYASHIMA IGUSA PILSNER
![ビール086_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/c081dece8b9c0e8778019d8c90518c28.jpg)
ブランド名の「086」は岡山の市外局番で、ラベルにある数字は県内各地の電話番号の頭数字です。筆者は「#8 TSUYAMA CHOCOLATE STOUT」を飲みました。
![津山_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/6791ef78124bf48ae01fd8baf1b3cb22.jpg)
津山をイメージして作られたスタウトビール。甘くはなく、ダークチョコレートのような香りがします。見た目以上にフルーティーで、料理にぴったりのビールでした。
![ドリンクメニュー](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/06ca7ccd27d63cbe088de54978443f61.jpg)
建造物としても興味深く、岡山県産の食材をたっぷりと使用した「立ち吞みura」。社長の秋葉優一(あきば ゆういち)さんと店長の田川秀虎(たがわ ひでとら)さんに話を聞きました。
立ち呑みuraのデータ
![外観_ura](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2024/02/1ef3ddeff6b0d1d2f8bdb1fb58087827.jpg)
名前 | 立ち呑みura |
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住所 | 岡山県倉敷市阿知3-1-16 |
電話番号 | 080-2921-0222 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午後6時~午前0時:火~金曜日 午後12時~午前0時:土曜日 午後12時~午後7時:日曜日 |
定休日 | 月 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 不可 |
座席 | 店内15名程、外席4名程 |
タバコ | 完全禁煙(屋外に喫煙スペースあり) |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | |
バリアフリー | |
ホームページ | 立ち呑みura |