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横田裕子さんと小野和貴子さんへインタビュー
青い海が目の前に広がるボートレース児島。
ときおりレースの実況が聞こえ、職場としても仕事内容としても特殊な存在です。
ボートレース児島で働く市の職員、開催運営課の横田裕子(よこた ゆうこ)さんと経営管理課の小野和貴子(おの わきこ)さんに話を聞きました。
仕事内容
経営管理課の仕事
小野さんの仕事内容を教えてください。
小野(敬称略)
私は経営管理課 経営企画係に所属しています。
私の仕事は予算、経理で内部のお金の処理がメインです。
変わった仕事で言えば、来賓の対応でしょうか。
招待して来ていただくこともあれば、視察で来られることもあります。
基本的には場内を案内するのですが、先日珍しく「ジーンズストリート」の視察の要望があり、アテンドすることもありました。
別の係の施設管理係の仕事は、建物や設備などの維持管理です。
修理や点検、今後行われる施設の改修などが担当で、専門職が多いですね。
敷地が広くて移動に自転車を使っている職員がいます。
私なんて基本事務所にいるのに、それでも3,000歩いきます。
ちょっとそこまでが「ちょっと」じゃないんですよ。
横田(敬称略)
私は事務所から出ないときは1,000歩、ふだんは3,000歩、イベントなどある時は10,000歩(笑)。
開催運営課の仕事
横田さんの仕事内容を教えてください。
横田
私の部署はファンサービス係です。
昔から来てもらっているボートファンのかたがたや最近興味を持ったかたをはじめ、ボートレース場に初めて足を向けてくれる新たなファン獲得のためのファンサービスに取り組んでいます。
広報や来場者へのプレゼントの用意、来てくれるためのイベント開催ですね。
職員やJLCなどの関係する事業者が発案して、来場者様向けのサービスをしています。
JLCとは、日本レジャーチャンネルの略。ボートレースの情報をテレビ放映によってリアルタイムに伝える放送局です。
プレゼントは倉敷市の企業から、倉敷ならではの品物の購入を。
髙田織物さんの畳縁コースターや、カモ井加工紙のマスキングテープなどですね。
広報では、倉敷ケーブルテレビさんと番組や動画を作っています。
レース情報が載っている出走表を作るのも、私たちファンサービス係の仕事です。
小野
横田さんがいる開催運営課は、外部のかたとのやりとりがメインなので、ほとんど席にいないんですよ。
電話の問い合わせを私たちの課が代わりに受けるんですけど、開催運営課が担当の内容も聞かれるので、焦ることも。
開催運営課はレース自体に直結している部署です。
他にも場内の警備についても担当しています。
横田
職場はとても雰囲気がいいんですよ。
みんなおもしろいし、やさしいし、一生懸命。
上司もいいかたで、一日に何回も褒めてくれるんです。
提案したことに「いいね!やってみよう」と言ってくれますね。
ボートレース場のイメージを変えたい
ボートレース児島を訪れるまで勝手にマイナスなイメージを抱いていました。実際訪れると、開放的な空間で海もきれいで驚きました。
横田
ボートレースって正直あまりよい印象を持ってもらえていないのが現状です。
私もここに配属されるまで施設に入ったことすらありませんでした。
でも来てみると、きれいだし、広いし、なにより海、景色がきれいだし。
いつも景色に癒されています。
実はすばらしい場所なんだと知ってほしいですね。
小野
そもそも「なぜボートレースを公営競技として市が運営しているか」ですが、賭け事なのであまりよいイメージはないかもしれません。
昔は遊びが少なくて、そのなかで遊びを提供しつつ、そこで得た収益金を使って、地元に還元・貢献することが大前提にあります。
でも、その収益金が何に使われているか今まで積極的に宣伝してこなかったんですよね。
楽しみながら社会貢献ができていると知ってもらえたら、さらにボートに対するイメージが改善されるんじゃないかと。
横田
収益金の一部は倉敷市の一般会計に繰り出しています。
一般会計に入れられるので、さまざまなことに使われているんですけどね。
小野
PR不足もあって、最近は使途がわかっているものは「これに使っています」と、告知としています。
横田
たとえば新しいほう(下り)の、古城池トンネルの開通工事に収益金が使われました。
平成30年7月豪雨のときには、真備に災害公営住宅の整備やまきびの里保育園の復旧などにも収益金が使われました。
西阿知小学校のグラウンド整備や、はしご車の購入にも使っています。
小野
ほかには新型コロナウイルス感染症の対策にも。幅広く使われています。
施設整備で地域に拓かれた場所にしたい
倉敷市のホームページによると、建物の改修の予定があるのですか?
横田
はい、今年度(令和4年度)に設計に取りかかり、完成は令和8年度を予定しています。
お客様が観覧する建物は、増築して今の形になりました。今はひと続きですが、第2期・3期・4期と建てられた時期が違うんです。
計画では第2・3・4期のスタンド棟を変えます。
2期が一番古い建物で、入り口手前から真ん中までの部分です。
2期は壊して建て替えます。
イベントホールや子どもが遊べる施設を作って幅広い世代が楽しめるエリアに。
3と4期は壊さないんですけど、なかの改装をします。
完成をお楽しみに!
小野
今では来場者数に対して施設が広いんです。
最盛期は多くのお客様が直接来場していたから広い施設が必要だったんですけど、今は舟券を買える場所や方法が増えたこともあり、来場者が少なくて。
建物を整備して、ボートレースを楽しむひとだけでなく、それ以外のひとも楽しめる施設にしていこうと。
今はお子さまが来られても一部の狭いスペースでしか遊べません。
でも今後は地域に拓かれた場所、ふだんから子どもが遊べる場所に、という基本構想を元に生まれ変わる予定です。
ボートレース場に対する想い
今後ボートレース児島は、どのように変わってほしいですか。
横田
観光のパンフレットに載って、観光地のひとつとして認識されたいですね。
私自身、今まで観光地と認識していませんでした。
鷲羽山に向かうときに、前は通るけど素通り。
今後はジーンズストリート行く?ボート行く?という選択肢のひとつになれば。
子どもを遊ばせたり、ごはんを食べに来たりとボートレース以外の目的でも訪れるようにしたいです。
誰もが訪れ、快適な時間を過ごせる拓かれたボートレース場にしたいと思っています。
小野
今は「ボート好きじゃないと行ってはいけない」ようなイメージがありませんか。
それを取り除きたいなぁと。
横田
みんなが楽しんでいただけるイベントをして収益金を還元し、ボート以外でも楽しんでいただく。
改修して、毎日楽しめる施設にしたいです。
美しい景色も楽しんでいただきたいですね。
この景色は他場にも負けないというお声をいただいています。
まずは賭け事なしに来て、見てほしいです。
それで目の前で繰り広げられるレースを見ているうちに興味を持っていただければ。
熾烈(しれつ)な秒単位の争いを見ているのは迫力がありますし、おもしろいですよ。
おわりに
「賭け事をしないひとは行ってはいけない場所」だと思い込んでいた筆者ですが、取材をとおしてボートレース以外の楽しみかたもあると知れました。
掃除が行き渡り清潔で、景色が美しく、ボートレース場に対する勝手な思い込みがガラッと変わり「また行きたい」と思うように。
同時に、この場所をもっと多くのひとに知ってもらい、訪れてほしいとも思いました。
今後、ガラリと生まれ変わる予定のボートレース児島。
みんなが楽しめる場所、観光地のひとつになる日が楽しみです。
ボートレース児島のデータ
名前 | ボートレース児島 |
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所在地 | 岡山県倉敷市児島元浜町6-3 |
電話番号 | 086-472-5051 |
駐車場 | あり |
開館時間 | 午前9時45分~午後5時 ※レースの時間によって変動 |
休館日 | 不定休 レースが開催されない日が休み |
入館料(税込) | 入場料ひとり100円 |
支払い方法 |
|
予約について | |
タバコ | 禁煙(指定エリアのみ喫煙可能) |
トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ バリアフリートイレ |
子育て | ベビーカー貸出 授乳室 オムツ替えシート |
バリアフリー | 車いす貸出 スロープ バリアフリートイレ エレベーター 指定席は車いす席あり |
ホームページ | ボートレース児島 |
ボートレース事業局は課が2つあり、さらに各課は2つの係で構成されています。