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藤戸饅頭本舗 代表取締役・金本 博行さんにインタビュー
倉敷銘菓「藤戸まんぢゅう」を平安時代よりつくり続ける倉敷きっての老舗・藤戸饅頭本舗。
そんな藤戸饅頭本舗の代表取締役・金本 博行(かなもと ひろゆき)さんに、老舗を継いだことについてや藤戸饅頭本舗の特徴、商品へのこだわり、今後の展望などを聞いてみました。
藤戸まんぢゅうは倉敷の歴史の一部
金本
平安時代末期、源平の合戦のときからの歴史なので、830年以上の歴史があります。
古すぎて、昔のことはよく分からない事も多いです。
ただ、江戸時代に入ってからは記録に残っていることもありました。
江戸時代には、すぐそばの藤戸寺で法要のときに配られていたんです。
藤戸周辺は、源平合戦の史跡が多い地域。
実は、源平合戦ゆかりの史跡巡りのなかに、藤戸饅頭本舗も入っているんですよ。
「藤戸まんぢゅう」は、いまや倉敷の歴史の一部になっていると思っていて、責任を持って製造・販売しています。
金本
ピークのときは、毎日2万個くらい製造しています。
彼岸や盆・年末年始などの時期がピークです。
金本
やっぱり、できたてがおいしいと思います。
工場を併設している串田店では、タイミングによってはできたてが食べられることがありますので、ぜひ店員に聞いてみてください。
逆に冷蔵庫で冷やして食べるのもおいしいです。
あとは、お客さんもいろいろな食べ方を思いついているみたいで、私よりも詳しいかたもいますよ(笑)。
たとえば、冷凍して小豆アイスの感覚で食べたり、パンに挟んだり、天ぷらにしたり……
お客さんそれぞれの楽しみかたがあるようです。
今でも本店で買うことにこだわるお客さんも多い
金本
明治時代前期に建てられたものですので、100年以上の歴史があります。
風情ある雰囲気なので映画のロケ地にもなったのですが、話が来たときは驚きました。
映画の監督さんたちが直々に候補地をすべて巡ったうえで、「藤戸饅頭本舗がいい」と選んでいただきましたので、とても光栄なことです。
映画を見たかたがロケ地巡りで来ることもありますよ。
金本
地元のお客さんの多くは、駐車場のある串田店に行く人が多いです。
そのいっぽうで、あえて本店に買いに来るお客さんもいます。
「やっぱり藤戸まんぢゅうは、歴史ある本店で買わなきゃ」とこだわりを持っているお客さんもいるんですよ。
年配のかたに多いですね。
あと、最近多いのは若い観光客のかた。
SNS映えなどをねらい、本店に来て藤戸まんぢゅうを買って、本店の写真を撮って帰られています。
同じくSNS映えのために、竹の皮包みの藤戸まんぢゅうが人気です。
大きく手を広げないが、必要なものは取り入れる
金本
大きく手を広げすぎず、身の丈にあった商売をすることですね。
昔は一時期、紅白まんじゅうや最中なども販売していたこともあります。
私の代になってからは、藤戸まんぢゅう一本です。
昔から続いている商品を、今後も売り続けることに注力しています。
店舗も本店と串田店の2店体制です。
もともとは、本店の裏に作業場と蔵がありました。
しかし、倉敷川の護岸工事のために解体する必要があったので、平成2年(1990年)に工場併設の店舗の串田店を建てたんです。
なので、2店舗以上増やすつもりはありません。
金本
駅や美観地区の近くに店がない代わりに、百貨店や地元スーパー、駅構内の土産物売場などで取り扱っていただいています。
そちらを利用していただければ、駅や美観地区の近くでも買えますよ。
金本
通販は考えていませんね。
藤戸まんぢゅうは無添加なので、消費期限が短めです。
無添加にこだわって、おいしい状態で食べてほしいので、通信販売は難しいんです。
ぜひ倉敷に来て食べていただき、倉敷の歴史を感じてほしいと思っています。
実際に、藤戸まんぢゅうを食べることを楽しみにして倉敷観光に来るお客さんもいるんですよ。
藤戸まんぢゅうは歴史に合わせて変化していって今の形に
金本
いいえ。時代に合わせて変わっていますよ。
もともとの藤戸まんぢゅうは、お餅に近いものだったと聞いています。
もちろん、古い時代のことで記録もないので、言い伝えでしか聞いておらず詳細は分かりません。
現在の藤戸まんぢゅうの味や形になったのは、江戸時代です。
その後、材料や味・形などはそのままに、機械を導入するなどをして、安定的・衛生的においしい藤戸まんぢゅうを製造できるようにしていきました。
あと、串田店をつくったタイミングで包装用の機械なども導入したんです。
昔からの良さは残し、それを残すために新たなものも導入していかなければ、伝統は守れないと考えています。
金本
そうですね。厳密にいえば、藤戸まんぢゅうのこし餡を使って商品を作っていただいているんです。
倉敷駅の西ビルにあるサンドイッチ店「モトヤ」さんと、岡山駅にある「ホテルグランヴィア」さんですね。
モトヤさんの商品は天満屋さんの企画で生まれたもので、藤戸まんぢゅうのこし餡とイチゴのフルーツサンド。
これは天満屋倉敷店で期間限定販売された商品なんですが、好評だったそうです。
その後、モトヤさんでは常時販売、天満屋倉敷店では週1回販売していただいています。
ぜひ食べてみてください!
また、ホテルグランヴィアさんはパフェです。
パフェに藤戸まんぢゅうのこし餡でつくった羊羹(ようかん)や、餡を練り込んだアイスクリームなどがトッピングされたものでした。
ホテルグランビヴィアさんの1階ロビーのラウンジで期間限定販売し、こちらも好評だったそうですよ。
どちらも、藤戸まんぢゅうのこし餡を使った商品をつくりたいという要望が元で生まれました。
これは、とてもうれしいことです。
歴史ある看板を守るプレッシャーと使命感がある
金本
やはり、藤戸まんぢゅうという歴史ある商品と店を、後世へ伝えていくことですね。
そういった使命感は持っています。
歴史の重みがあるぶん、プレッシャーもすごくありますが(笑)。
先ほどもいったとおり、藤戸まんぢゅうは倉敷の歴史の一部で、地域の宝だと思っています。
そのために、大きく手を広げずに、いっぽうで必要な新しいものは取り入れていくこと。
これを継続していくことです。
長く続けていくには「継続は力なり」なんですよ。
あと、今は娘が仕事を手伝ってくれているんです。
次世代へ少しずつバトンタッチをしていくことも、これからの大切な目標ですね。
おわりに
藤戸まんぢゅうは、こし餡がたっぷりで、こし餡好きにはたまらない菓子。
また甘酒のほのかな風味もいいです。
なめらかな舌触りで、甘さ控えめの上品なこし餡は、甘いものが苦手でも食べやすいと思います。
そして、藤戸まんぢゅうは販売箇所が限られ、消費期限も短めです。
倉敷に来なければ買えないのも、藤戸まんぢゅうの魅力ではないでしょうか。
歴史も非常に長く、まさに倉敷土産にピッタリの藤戸まんぢゅう。
ぜひ、倉敷に来た際に味わってみてください。
藤戸饅頭本舗 (本店)のデータ
名前 | 藤戸饅頭本舗 (本店) |
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住所 | 岡山県倉敷市藤戸町藤戸48 |
電話番号 | 086-428-1034 |
駐車場 | なし (串田店は駐車場あり) |
営業時間 | 午前8時〜午後5時 |
定休日 | 火 第二 水 ※ 定休日が祝日だった場合は営業し、木曜日を休業 |
支払い方法 |
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ホームページ | 藤戸まんぢゅう |