倉敷市総務課の庁舎管理担当者にインタビュー
総務課の庁舎管理担当として、倉敷市本庁舎の管理を行なっている、逸見達也(へんみ たつや)さん・味野匡敏(みの まさとし)さんに話を聞きました。
庁舎管理の仕事について
庁舎管理の仕事について教えてください
逸見(敬称略)
大まかにいうと、2つあります。
1つ目が庁舎内の会議室管理です。
会議・研修・セミナーなど庁舎内ではさまざまな用途で会議室が利用されますが、どの部署がどの時期に会議室を使うのかなど、スケジュールの管理を行なっています。
2つ目が庁舎内の落とし物の管理です。
落とし物が届いたら、庁舎内の放送でお呼出しをしたり、取りに来るかたがおられない場合は警察に届けたりします。
味野(敬称略)
私は設備管理という感じで、庁舎の空調設備・換気設備が適切に機能するよう、管理する仕事をしています。
この仕事をするようになって、普段一市民としては目にしないところへ足を運ぶこともあるかと思うのですが、驚いたことなどはありますか
逸見
「市民ホール」でしょうか。
1階にありますが、一般公開しているわけではなく、式典など特別な時に使っています。この仕事でなかったら、立ち入ることはできなかっただろうなと思いますね。
味野
私も「市民ホール」は驚きましたが、もう1つは「議場」ですね。
この部署に来て初めて入ったんですけど、内装的なこだわりはもちろん、設備的にも細かい配慮を感じたので、印象に残っています。
市民ホールは、普通に「使わせてほしい」とお願いしても使えるものではないと思っていますが、ルールなどあるのでしょうか?
逸見
会議室ではないということもあり、「市民ホールを使う条件」というものを定めています。
たとえば、市長が出席するような特別な式典では使えることになっていますね。
通常の会議室とは用途が異なっていることもあり、ほぼ利用される事はありません。「特別な場所」として扱われています。
倉敷市本庁舎も、竣工からは40年以上経過し、老朽化を含めて課題はありますか
味野
空調設備が課題になっています。
1980年当時は最先端の技術を取り入れ、いわゆるセントラル方式で「蓄熱槽」などを使っており、省エネなどに寄与する設備という事で表彰を受けたこともあります。
しかし、今はコロナ禍という時代です。小回りの利かない部分が多く、とくに換気が問題で、今の時代にあわせてどう改修するかが課題になっていますね。
蓄熱槽とは、プールのように大きな水槽のことで、夜間の安い電力を使い温水・冷水にして、利用することでエネルギー効率を上げる効果があります
あとは、いわゆる「バリアフリー対応」。
当時としてはそれでよかった部分を、時代にあわせてバリアフリー化していくかが課題です。
2022年に入り、総合受付の配置も変えました。一つひとつ今の時代に合わせることをしていかなければならないと感じています。
倉敷市役所 本庁舎について市民に知ってほしいこと
最後に、倉敷市本庁舎の建物について、市民に知ってほしいこと、見てほしいことなどメッセージがあればお願いします
逸見
倉敷市で働くようになって3年ほど経ちますが、倉敷市本庁舎の建物そのものが「ランドマーク」だと思っています。
やはり特別な見た目をしていますし、そういうところを誇らしく思ってもらえたらうれしいです。
味野
外観のところでいうと、たとえば耐震補強工事をする時でも、意匠にこだわってそのなかでも今の時代に必要な整備をしながら、外観を保つことをしています。
「この庁舎をみたら倉敷市」
と感じられるランドマークのように思っているので、愛着をもってもらえることが、維持管理をする身としてもうれしいですね。
おわりに
あの市役所は倉敷市が当時お金持ちだったから建てられた。
そんな話を、筆者が子どもの頃に母親から何度か聞いた覚えがあります。
どちらかといえば悪い印象を持っていたように感じますが、1979年生まれの筆者とほぼ同じ頃に竣工した建物です。
つまり、生まれた頃から現在の倉敷市庁舎だったわけで、悪い印象はなく、逆にいえばよい印象もありませんでした。
倉敷市以外の地域もいくつか住みましたが、印象に残る市庁舎はありません。そういう意味で、倉敷市役所 本庁舎の建物が特別なものだということは、県外に出たときに初めて知りました。
情報通信技術が発達し、地域などとの帰属意識をもたなくても、自宅からでも仕事ができる時代になったことをコロナ禍になって実感します。
「あえてそこに暮らす理由」
それを考えたとき、シンボルといえる市庁舎があるのは倉敷の強みかもしれません。
竣工から40年経った倉敷市本庁舎には、そんな魅力があるのではないかと感じました。
- 記事監修:株式会社浦辺設計
- 撮影:佐々木敏行
浦辺鎮太郎「新しい倉敷市庁舎」
倉敷市庁舎の完成時に、浦辺鎮太郎が残した文章を掲載します。