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倉敷猫まもりの会 ~ 不幸な猫を減らし、人と猫が共存できる街を目指して

倉敷猫まもりの会 ~ 不幸な猫を減らし、人と猫が共存できる街を目指して

知っとこ / 2022.02.20

愛くるしい瞳や無邪気で気ままな性格が魅力の猫。

たくさんの癒しをくれる存在ですが、屋外を歩く野良猫たちの一生はとてもハードです。

寒さや飢え、交通事故や虐待の被害に遭う猫も少なくありません。

そういった不幸な猫を減らそうと、倉敷で活動しているのが倉敷猫まもりの会です。

おもに倉敷市保健所に収容された猫たちを救い、猫を飼いたい人との橋渡しを行なっています。

活動内容や思いを、倉敷猫まもりの会 代表の塩田陽子(しおた ようこ)さんに聞きました。

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記載されている内容は、2022年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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倉敷市保健所にやってくる猫たちの現状

殺処分(さつしょぶん)とは、人間に危害を及ぼすおそれのある動物、または不要となった動物の命を断つこと。

野良犬・野良猫が保健所や動物愛護センターに収容され、殺処分となるケースは深刻な社会問題のうちのひとつです。

日本における平成16年度の猫の殺処分数は238,929匹。数が減少し、令和2年度には19,705匹になりました。

▼倉敷市での猫の殺処分数は平成14年度は1,829匹でした。

倉敷市の統計資料より作成
年度 返還 譲渡 殺処分
平成14年度 1 1,829
平成15年度 1 1,524
平成16年度 0 1,428
平成17年度 0 1,220
平成18年度 1 1,249
平成19年度 0 1,017
平成20年度 0 1,153
平成21年度 2 33 1,000
平成22年度 0 66 1,034
平成23年度 1 58 850
平成24年度 1 58 830
平成25年度 1 139 606
平成26年度 0 284 412
平成27年度 1 271 223
平成28年度 1 251 147
平成29年度 0 323 77
平成30年度 2 300 66
令和元年度 2 214 35

どんどんと減り、令和元年度は35匹が収容後に事故や病気が原因で亡くなったものの、猫の殺処分は現在、倉敷市では行なわれていません

倉敷市保健所は負傷した猫や、生後およそ1か月未満の子猫を収容します。

殺処分ゼロを実現している大きな要因が、倉敷猫まもりの会との連携の仕組みです。

倉敷市保健所にやってきた猫のほとんどは、倉敷猫まもりの会が引き取り、里親を探しています。

倉敷猫まもりの会では令和2年、倉敷市保健所から153匹をレスキューし、市民から引き取った猫も含めて207匹の命を里親に引き継ぎました。

提供:倉敷猫まもりの会
提供:倉敷猫まもりの会

倉敷猫まもりの会の活動について

倉敷猫まもりの会は、おもに倉敷市保健所に収容された行き場のない猫たちを引き受け、猫を飼いたい人へ譲渡し、倉敷市における猫の殺処分をゼロにする活動を行なっています。

2013年、塩田陽子(しおた ようこ)さん、平賀由美(ひらが ゆみ)さんの2人でボランティア活動をスタート。当初から倉敷市保健所の猫を引き受け、里親募集を行なっていました。

2018年、もっと多くの猫を助けるため、任意団体「倉敷猫まもりの会」を設立。

倉敷市の平成31年度市民企画提案事業に採択され、乳飲み子の猫を育てるミルクボランティアの仲間を増やす取り組みをスタートし、2021年12月現在は約20人のミルクボランティアが活動中です。

主な活動は以下のとおりです。

  • 保護猫たちの一時預かり・里親募集
  • 譲渡会・イベントの実施
  • ミルクボランティア・預かりボランティアの育成
  • 寄付を募る

それぞれ詳しく紹介します。

提供:倉敷猫まもりの会
提供:倉敷猫まもりの会

保護猫たちの一時預かり・里親募集

倉敷猫まもりの会では、倉敷市保健所に子猫が持ち込まれると、おおよそ以下の流れで里親を見つけます。

  1. 倉敷市保健所から電話がかかってくる
  2. 受け入れ可能なメンバーのなかで誰が預かるかを決める
  3. 猫が健康でない場合は病院で初期治療をしてもらう
  4. 多くの場合は乳飲み子なので1~2か月、担当のミルクボランティアが自宅でお世話をする
  5. インターネット(公式Webサイト、里親募集サイトブログInstagram)で里親募集をスタート
  6. 預かりから2か月後、ワクチン接種
  7. 里親希望者が集う「譲渡会」デビュー

倉敷市保健所に収容される猫のほとんどが生後およそ1か月未満の子猫であるため、一日に何度もミルクをあげながらていねいに育てていくのです。

譲渡会の様子 提供:倉敷猫まもりの会
譲渡会の様子 提供:倉敷猫まもりの会

インターネットや譲渡会を通じて「我が家に迎えたい」と里親希望の申し込みがあると、譲渡の運びとなります。

申し込みから譲渡までは、おおよそ以下のとおりです。

  1. 里親希望の連絡が入る
  2. アンケートに答えてもらい、譲渡の条件に合致しているか確認
  3. お見合い(猫にとっての新しい家・家族の確認のため、ミルクボランティアも一緒に訪問)
  4. 「お迎えする前にそろえるものリスト」を参考に、猫を育てるための準備をしてもらう(準備後、写真を送ってもらう)
  5. 誓約書を交わす
  6. 2週間のトライアル期間後、何事もなければ譲渡
提供:倉敷猫まもりの会
提供:倉敷猫まもりの会

2週間のトライアル期間中に、家族にアレルギーがあることがわかったり、すでに家族の一員であるほかの動物との相性が難しかったりすると、譲渡とはなりません。

里親は倉敷市民である必要はなく、他県からの申し込みもあります。

そのほか、譲渡には以下のような条件(抜粋)があります。

  • 完全室内飼い
  • 毎年のワクチンと避妊去勢手術実施
  • 家族全員の同意があること
  • 家族にアレルギーのないこと
  • 心身ともに、子猫のお世話ができる状態であること
  • 猫を飼うにあたって安定した収入があること
  • 飼っている犬猫の不妊手術を済ませていること
  • 長時間ケージで飼わないこと
  • ひとり暮らし、同棲、未成年のかたはNG
  • シニア世代だけの家族はNG(後見人がいる場合は可) など

倉敷市保健所で引き取った子猫だけでなく、事故などで負傷した成猫や、市民から引き取る猫を保護し里親を探すケースも増えてきています。

譲渡会・イベントの実施

1か月に1~2回、猫の里親を募集する譲渡会を開催しています。

譲渡会チラシ

里親希望のかたが訪れ、実際に猫の姿や性格を見て、家族として迎えるかを検討できる場です。

当日連れて帰ることはできず、譲渡の条件に合っているかなどを検討し、譲渡の準備を進めていきます。

譲渡会のほか、夏休みにおもに子どもたちに動物との共生について考えてもらおうと、写真展を実施したことも。

写真展チラシ

ミルクボランティア・預かりボランティアの育成

猫の殺処分をなくすために、子猫を預かることができるミルクボランティアの育成を行なっています。

倉敷市の平成31年度市民企画提案事業の採択を受け、現在は倉敷市保健所協働事業として、行政と協働で事業を進めてきました。

ミルクボランティア募集チラシ

離乳後の猫の預かりボランティアも募集中です。

また、倉敷市との協働事業として、猫に関する困りごとの相談の受付も行なっています。

寄付を募る

屋外で育った子猫を育てるには、医療費や物資が必要です。倉敷猫まもりの会では寄付を募っています。

Amazonの「ほしい物リスト」には猫用のフードや猫砂(トイレ用の砂)などが並び、自分の予算の範囲で購入しての寄付が可能です。

また、寄付金はゆうちょ銀行の口座で受け付けています。

ゆうちょ銀行からの入金
記号 15450
口座番号 38295551
口座名義 クラシキネコマモリノカイ
ゆうちょ銀行以外からの入金
支店名548支店
口座番号普通預金 3829555
口座名義 クラシキネコマモリノカイ

Instagramは活動報告アカウントのほかに「倉敷猫まもsupport」という寄付報告専用アカウントがあり、支援物資や寄付金の報告を実施中です。

提供:倉敷猫まもりの会
提供:倉敷猫まもりの会

ミルクボランティアの育成、里親募集・寄付の募集の情報発信などを通じ、助けられる猫の数を着実に増やしてきた倉敷猫まもりの会。

支援の輪が広がってきた過程や活動への思いを、代表の塩田陽子さんに聞きました。

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こばん

こばん

カブで旅するフォトライター。2017年に岡山県浅口市へ移住。大阪府出身。フットワーク軽く走り回り、訪れたくなる倉敷の情報を紹介します。種松山公園が大好きです。

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一般社団法人はれとこは「とことこシリーズ」を中心に、地域の情報発信を担う「市民ライター」育成などの活動をおこなっています。

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提供:倉敷猫まもりの会

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