むかし下津井回船問屋 ~ 港町下津井と北前船の物語を語り継ぐ日本遺産構成文化財

むかし下津井回船問屋 正面入り口

むかし下津井回船問屋の三宅館長にインタビュー

むかし下津井回船問屋館長の三宅武夫さん

むかし下津井回船問屋 館長の三宅武夫(みやけ たけお)さんに話を聞きました。

むかし下津井回船問屋が開館した経緯を教えてください

三宅(敬称略)

1988年の瀬戸大橋の開通で、地元の団体などが「お客さんに滞在してもらうために、下津井の良いところをアピールしたい」と、岡山県に要望したことが始まりでした。

県が建物を購入し、整備・復元した後、施設は倉敷市に移譲され、10年ほど前から私たちNPO法人 鷲羽山の景観を考える会が管理・運営しています。

なぜニシン粕が下津井港に荷下ろしされるようになったのですか

三宅

岡山県南は、かつて「吉備の穴海」と呼ばれ、もともとは海でした。埋め立てて作物を育てようとしましたが、干拓地は塩分が強すぎて米が育たなかったんです。

そこで、塩分を吸収して土壌を改良する効果があるとされる綿を栽培しました。

当時、北海道の小樽あたりでは、水揚げしたニシンから行燈用の油を採って販売していました。そして、油を採った後のニシン粕が肥料として北前船で日本海を渡り、下関を経てここ下津井に運ばれていたそうです。

白壁の蔵はニシン粕の貯蔵庫でした。

かつてはニシン蔵だった「蔵ほーる」
かつてはニシン蔵だった「蔵ほーる」

回船問屋は北前船が運んできたニシン粕を現在の岡山県南に販売し、北前船で地域の特産品の綿花や塩を売って生計を立てていたということです。ニシン粕が倉敷の綿栽培を盛んにしたんですね。

下津井は小さな港町ですが、10数軒の回船問屋を含め、20軒を超える問屋が一本のとおりに軒を連ねていたそうです。

この通り沿いに多くの店が立ち並んでいた
この通り沿いに多くの店が立ち並んでいた

見どころを教えてください

三宅

むかし下津井回船問屋の建物は、約170年前の江戸時代後期のものです。

ここを開館するにあたり、この家のものはもちろん、下津井の暮らしも知ってもらおうと、町の家々に残っていた昔の生活用具や漁具、商売に使われていた品々を集めました。むかし下津井回船問屋は、下津井の町全体を集約した存在といえます。

北前船と下津井とのかかわりの歴史などとあわせて、当時の人々の暮らしにも思いを馳せていただければと思います。

下津井港
下津井港

読者にメッセージをお願いします

三宅

入館は無料、私の案内も無料、お気軽にお越しください。

また、少し足を延ばして祇園神社のある高台に上がると、四国山脈や四国を一望でき、瀬戸大橋なども見渡せる絶好のロケーションです。

ぜひ、港町の風情も楽しんでいただければと思います。

おわりに

瀬戸大橋のたもとに、ギュッと凝縮されて広がる下津井の町。
この小さな港町で、どれほど多くの船が帆を休め、どれほどの賑わいがあったのか。三宅館長のお話を聞いていると、当時の喧騒や港町の風情がよみがえってくるようでした。

むかし下津井回船問屋で北前船が下津井の賑わいを作り、倉敷を繊維の町へと発展させた歴史を、少しのぞいてみませんか。

むかし下津井回船問屋のデータ

外観写真
名前むかし下津井回船問屋
所在地岡山県倉敷市下津井1丁目7番23号
電話番号086-479-7890
駐車場あり
開館時間午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

午後5時以降の蔵ほーる(食事処・カンティーナ登美)へは駐車場側出入り口を使用
休館日
火曜日が祝日の場合は開館し、翌日の水曜日が休館
年末年始(12月29日~1月3日)は休館
入館料(税込)無料
支払い方法
    予約について
    案内が必要な時はFAX(086-479-7819)で予約をお願いします
    タバコ
    駐車場に喫煙場所あり
    トイレ


    車いすでの利用可
    子育て
    トイレに子育て用の多目的スペースあり
    バリアフリー
    ホームページむかし下津井回船問屋

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    井ノ上美恵子
    井ノ上美恵子
    岡山市在住。2021年に会社を退職し、ハーブを育てたり料理に勤しんだりする日々を過ごしております。倉敷とことこを通じて、頑張っていらっしゃる皆さんの活動を楽しくお伝えし、応援していきます。

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