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豊島屋の代表取締役・大野 豊さんにインタビュー
豊島屋の代表取締役 社長・大野 豊(おおの ゆたか)さんにインタビューをし、超・激辛ソース誕生秘話や、豊島屋の特徴、今後の抱負などを聞きました。
インタビューは2020年1月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
「超・激辛ソース」で全国から注目されるように
「超・激辛ソース」はいつ頃から注目されるようになった?
大野
超・激辛ソースは、最初は業務用だったんです。
発売は平成9年(1997年)。
それが、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられて、徐々に注目度が高まっていきました。
やがて、家庭用も出して欲しいという要望に応え、平成12年(2000年)に家庭用の超・激辛ソースを販売開始したんです。
当初は、360ミリリットル換算で年間およそ500本強くらいの売り上げだったかなぁ。
それが、辛いもの好きやソース好きのあいだで口コミで人気が広がっていって、平成18年(2006年)には、360ミリリットル換算で年間およそ1万本を超える売り上げになったんですよ。
その後も口コミに加え、メディアで何度も紹介されたこともあり、今では360ミリリットル換算で年間およそ4万8,000本を売り上げるヒット商品になりました。
関西のソース文化も超・激辛ソースをヒットさせた要因
超・激辛ソースはオンラインでも販売しているが、どこの地域のお客さんが多い?
大野
地元・岡山はスーパーなどで買えますので、オンラインの販売は岡山県外が多いですね。
多いエリアは、関西地方と広島県。
どちらも、お好み焼きなどのソースを使う料理が多い地域です。
中でも、大阪府・兵庫県の2エリアのお客さんが多いですね。
というのも、関西のソース好きは一般家庭で複数のソースをブレンドして自分好みのソースをつくる文化があるんです。
そのブレンドするソースのひとつとして、超・激辛ソースがとても人気なんですよ。
実は、山陽自動車道のサービスエリアで超・激辛ソースを販売させてもらっています。
そこで見かけた関西のソース好きのかたが買って帰って「これはブレンドするソースとしていい!」と思っていただき、オンラインショップで超・激辛ソースを購入してくださるというパターンが多いです。
高速道路という人がよく立ち寄る場所で実際にソースを手に取ってもらい、実際に食べて気に入ってくれたから、オンラインショップで買ってくれたんだと思います。
しかも、ソース文化の根付いている関西というエリアの人が。
超・激辛ソースのヒットは、口コミやメディアの影響ももちろんあります。
それに加え、関西のソース好きのかた、高速道路のサービスエリアでの販売、オンラインショップの相乗効果も大きいと感じていますね。
「超・激辛ソース」の誕生は取引先からの要望がきっかけ
超・激辛ソースができた経緯は?
大野
きっかけは、取引先からの要望でした。
私たちのソースを納品させていただいている飲食店から「神戸の某ソースメーカーが製造している辛口ソースより、もっともっと辛い、すごく辛いソースをつくってほしい」と言われたんです。
そこで試行錯誤した結果、辛味成分のカプサイシンが当社比100倍のソースが誕生しました。
従業員やいろいろなまわりの人たちに試食してもらい、評判も上々。
こうして、超・激辛ソースが誕生したんですよ。
でも、取引先の要望があって、すぐ試作に取り組めたのは、当社に唐辛子エキス工場があったからなんです。
唐辛子エキスの製造は昭和40年代からのノウハウがある
唐辛子エキスの工場はめずらしい?
大野
全国的にも唐辛子エキスの工場を持っているのは、めずらしいですね。
実は、昭和40年代にすでに唐辛子エキスの工場を建てています。
長年にわたって蓄積された唐辛子や辛味成分に関するノウハウがあるからこそ、超・激辛ソースが誕生したんですよ。
なんで、そんな昔から唐辛子エキスを作っているのか気になりますよね?
もちろん、自社のソースにも入れたりもしていました。
それ以外に、味付け海苔や明太子などに入れたりする用途で、業務用唐辛子エキスを製造していたんですよ。
実は、豊島屋では業務用の商品もたくさん製造しています。
家庭用の商品は約50種類ありますが、業務用は約80種類ですよ。
取引先の要望に細やかに対応し、お店の味に合わせた調味料を提供
なぜ業務用が80種類もある?
大野
私たちは、取引先の要望に応え、小ロットから調味料や調味液を製造しています。
街の飲食店や食品メーカーなどは、店それぞれ、そしてメニューごとの味付けがあるんです。
たとえば、惣菜屋ならひとつの惣菜にひとつの調味液を使っていたりします。
ただ小規模な店や会社の場合、どうしても小ロットでの注文になりますよね。
大手の調味料メーカーだと、小ロットでの製造は対応していないことが多いんです。
そこで私たち豊島屋は、街の飲食店や食品メーカーに合わせ、小ロットでの注文に対応しました。
だから取引先の要望に応えていくうちに、業務用商品が80種類になりました。
お店ごと、商品ごとの味を実現しています。
超・激辛ソースをはじめ、個性的な商品は、そんな経験を生かして誕生したんですよ。
ちなみに、私が試作した商品は200以上あります!
「ご当地ソース」があってもいい
今後の抱負ややってみたいことは?
大野
ご当地ラーメンやご当地焼きそばがありますよね。
私は、それと同じように「ご当地ソース」があっても良いんじゃないかと思っているんですよ。
日本各地、特に西日本にはたくさんのソースメーカーがあり、地域に根付いた商品を製造しています。
メーカーごと、地域ごとのソースの特徴もあるんですよ。
また、ソースの使い方も地域性がありますね。
実は、津山市など美作(みまさか)地方ではタテソースがよく使われています。
津山はホルモンうどんが有名ですよね。
ホルモンうどんは味噌だれを使います。
でも津山周辺では、焼きそばはウスターソースを使うんですよ!
これ、すごく特徴的ですよね。
しかもタテソースのウスターを使ってくれる店も多くて。
こうした地域ならではのソースの使い方やソースの味などを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいですね。
実は、岡山県は全国有数のソース消費量が多い地域。
総務省の統計で、全国1位だったり2位だったりした時期もあります。
私も、なぜ岡山県がソースの消費量が多いのか、理由がわかりません。
このあたりも、探ってみたらおもしろいかもしれませんね。
産業観光に力を入れ、地域の歴史と魅力を全国へ伝えたい
ほかに力を入れていることは?
大野
今、産業観光に力を入れているんです。
私は、玉島の観光にもたずさわっています。
玉島地区や倉敷市内の会社をめぐる「産業観光ツアー」に、当社も入っています。
普段、見ることのできないソースの製造風景を見学したり、試食したりできて、たいへん好評です。
玉島をふくめ、倉敷は伝統産業が多く、老舗企業も多い地域です。
新しい企業にも、その魂は受け継がれていると思います。
そうした地域の伝統産業を、少しでも多くの人に知ってもらいたいと思っていますね。
そして、豊島屋は社員一丸となって「熱い心で、ときめく味」「今も受け継ぐ伝統の味」を作っていこうと思っています!
おわりに
私は小さなときから、タテソースになじみがあります。
そんなタテソースが、超・激辛ソースで全国的に知られるようになったのは、とてもうれしいです。
そしてヒット商品が生まれたのは、地元商店ごとの味に応えて、お店の味を再現してきた経験・ノウハウがあったからなのだと思います。
多くの辛いもの好き・ソース好きをトリコにする超・激辛ソース。
そして、そのベースとなっている定番のソース。
さらに料亭だしや塩だれなどの調味料。
老舗メーカーの伝統の味を、食卓に取り入れてみませんか。
豊島屋 (てしまや)のデータ
団体名 | 豊島屋 (てしまや) |
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業種 | 食料品製造業・販売業(ソース・酢・醤油・その他調味料・唐辛子エキス) |
代表者名 | 大野 豊 |
設立年 | 設立:昭和23年(1948年)8月1日、創業:享保5年(1720年) |
住所 | 岡山県倉敷市玉島中央町1丁目7-8 |
電話番号 | 086-522-2148 |
営業時間 | 午前8時30分〜午後5時 |
休業日 | 日、祝日 第2土曜日 |
ホームページ | 倉敷市玉島の豊島屋-タテソース/超・激辛ソース/お好み焼ソース/料亭だし/醤油・ソース・酢の醸造元 |