倉敷善意通訳会「日本語サロン」~ 外国人が日本語を学びながら地域とつながる場

集合写真

「言葉」は、人と人をつなぐ大切な架け橋
しかし、海外で生活を始めると、その“架け橋”を思うように渡れない場面に出会うことがあります。スーパーマーケットでの買い物や病院の受診、子どもの学校との連絡、職場での会話など、日常のささいなやり取りでも、言葉や文化の違いに戸惑うことは珍しくありません。

最近の日本では、少子高齢化が進むなかで外国人労働者の存在がますます身近になっています。地域のなかで多様な文化や価値観が交わる一方、言葉や生活習慣の違いから孤立してしまう外国人も少なくありません。

こうした状況に応えるため、1987年に倉敷で「倉敷善意通訳会」が生まれ、1990年には、外国人が日本語を学びながら地域とつながる場として「日本語サロン」がスタートしました。

中国出身の筆者は、日本に留学した十数年前の自分の気持ちを重ねながら、不安や期待を抱く外国人の姿に自然と心を寄せるようになります。

倉敷で暮らす外国人が、地域で安心して生活できるようにと、「日常生活で使う日本語」や「日本語能力試験対策」を学べる場である、日本語サロンを取材しました。

記載されている内容は、2025年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

Ads by Yahoo! JAPAN

日本語サロンとは

日本語サロンの会場:倉敷市立美術館3階
日本語サロンの会場:倉敷市立美術館3階美術室

「日本語サロン」は倉敷善意通訳会が主催し、毎週水曜日・土曜日の午前10時〜11時45分まで、倉敷市立美術館 3階美術室で開かれています。

日本語サロンでは、学ぶ人一人ひとりのペースに合わせて日本語を練習し、日常生活に役立つ表現を身につけられるのが特徴です。

ボランティアとの温かい交流もあり、「日本語をもっと話したい」「地域の人と仲良くなりたい」という思いを持つ外国人に寄り添う学びの場になっています。

倉敷善意通訳会とは

日本語サロン 会場

倉敷善意通訳会は、「外国語による観光案内」「外国人の日本語学習支援」「日本人と外国人の交流活動」の3本柱で活動する団体です。観光ガイドで倉敷の魅力を外に伝える一方で、日本語サロンや交流会を通して地域の多文化共生の輪を地域に広げます。

活動は大きく5つの部門に分かれています。

  1. 予約ガイド・通訳活動
    おもに倉敷美観地区で観光ガイドや個人・団体の通訳依頼に対応
  2. 交流活動・イベント
    会員同士や外国人・市民を含めた親睦イベントを実施
  3. 日本語サロン
    会場は倉敷市立美術館3階美術室、毎週水曜日・土曜日に開催
  4. 広報誌「アミーゴ」の発行
    年6回、地域の活動や情報を発信
  5. 勉強会
    観光ガイド研修、日本語指導研修、問題点共有ミーティング

倉敷善意通訳会~日本語サロンの歩み~

画像提供:倉敷善意通訳会
画像提供:倉敷善意通訳会

日本語サロンの活動は、1990年に始まりました。
当初は企業や大学で働く外国人向けの小さな日常会話教室でした。このため、英語圏出身者が多く、倉敷でも欧米出身者が目立っていたそうです。

時代とともに学習者の国籍は中国、インド、ブラジル、ベトナムなどへ広がりました。

現在では8か国・約23名が在籍
仕事や研究、結婚などさまざまな理由で倉敷に暮らす人たちが、日本語サロンで学びながら地域に溶け込んでいます。

日本語サロンでは、生活・仕事に直結した日本語(買い物、病院、職場など)を中心に指導し、教材も学習者のレベルに合わせて工夫されたものです。

年に数回、学習成果の発表や交流イベントもおこなわれ、学習者と地域の人、ボランティアの距離を近づけています。

日本語サロンの当日のようす

岡山大学資源植物科学研究所に所属するバングラデシュの留学生との交流
岡山大学資源植物科学研究所に所属するバングラデシュの留学生との交流

2025年11月1日に開催された「日本語サロン」に足を運びました。

サロンの会場では、笑顔で言葉を交わす光景があふれていました。

学習は1対1や少人数でおこなわれ、一人ひとりのペースに合わせて指導を受けられます。

教室では、日本人ボランティアと外国人の学習者がペアになり、日本語で楽しく会話をしながら勉強しています。テーブルの上にはノートやプリントが並び、笑顔で話すようすから、教室の和やかな雰囲気が自然に伝わってきました。

ネパール出身の学習者には、日本人ボランティアがていねいに日本語を教えていて、言葉を通して自然な交流が生まれています。教室全体に明るさが広がり、互いに学び合う温かい空気に包まれているのが印象的です。

ネパール人との交流
ネパール人との交流

日本語でのやり取りのなかでわからない部分があっても、英語を交えながら互いに理解し合っており、言葉の壁を越えた温かなコミュニケーションが生まれています。

インドから来た留学生
インドから来た留学生
教室の様子

学習者にはアジア諸国や欧米出身など多様な背景を持つかたがたが集まっており、日本人ボランティアとの交流を通じて、地域とのつながりも深まっています。

まさに、国籍や文化を越えて人と人が支え合う、温もりあふれる学びの場といえるでしょう。

日本語サロンの活動や、その活動に感じるやりがいと喜びについて、長年にわたって関わってこられた倉敷善意通訳会のかたに話を聞きました。

倉敷善意通訳会 ー 日本語サロンーのデータ

名前倉敷善意通訳会 ー 日本語サロンー
開催日日本語サロン開催日・時間:毎週水曜日・土曜日 午前10時~11時45分
場所倉敷市立美術館3階美術室
参加費用(税込)会費:3,000円/年
※ただし、1月から3月に入会の場合は1,000円
ホームページ倉敷善意通訳会

倉敷とことこの厳選記事を LINEでお届けします

Ads by Google

キーワード検索

よく読まれてます!

今注目の記事

きんわん
きんわん
中国→ユーゴスラヴィア→日本を経て、2001年から岡山県に在住。2024年10月、高梁川流域ライター塾修了。

長年にわたり異文化交流事業に携わってきました。これからも高梁川流域ライター塾の修了生として、日中文化への理解を深めながら、外国人の視点で倉敷の魅力を発信し、海外からの観光客や移住希望者に向けた情報を届けていきます。

地域を知る

  • 倉敷
  • 玉島
  • 水島
  • 児島
  • 船穂
  • 真備

はれとこからのお知らせ

一般社団法人はれとこは「とことこシリーズ」を中心に、地域の情報発信を担う「市民ライター」育成などの活動をおこなっています。

FMくらしき「倉敷とことこ」

倉敷とことこの厳選記事を LINEでお届けします