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仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」~ 親・保護者が孤立することなく子育てができる地域を目指して

仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」~ 親・保護者が孤立することなく子育てができる地域を目指して

知っとこ / 2023.03.15

仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」代表・北村康代さんにインタビュー

不登校の子どもの親を対象に、支援団体を立ち上げた北村さん。

立ち上げの経緯や活動への思いを紹介します。

仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」ができるまで

ふわさぽ倉敷をはじめたきっかけを教えてください。

北村(敬称略)

私の娘が、小学2年生のときに不登校になりました。

すぐに学校に行けるようになるかと思いましたが、そうはならなくて。

いろいろと相談に行くなかで、「お母さんは笑顔じゃないといけない」と言われたことがあったんです。

そのときに、「お母さんだってしんどい思いをしているから、泣いたっていいと思うのに、会に参加したときも笑顔でいないといけない、お母さんが頑張るように投げかけられてしまったら、もっと行き場がなくなるような気がする」と思ったんです。

そこで、泣いたってなんだっていいよという、ありのままを受け入れるような場があったらいいな、という思いで立ち上げました。

仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」代表・北村康代さん
仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」代表・北村康代さん

座談会で大事にされていることを教えてください。

北村

否定をしないことです。

お母さんが泣くことがあっても、それでいいよという場であり、お母さんの思いも含めて丸ごと受け止めることを大事にしています。

子どもが不登校になった最初のころは、お母さんはどうしていいかわからず、気持ちも浮き沈みします。

ただ、少しずつ心を開いて年月が経つと、どのお母さんも葛藤がありながらも、このままでもいいのかな、この子の意思を尊重していけばいいのかなという思いが出てきます。

そうなったときに、次はお母さん自身が何をやりたいのか、お母さん自身の得意をいかせる活動ができればいいなと思っています。

座談会にはお父さんが来られることもあります。

お父さんだけだったり、ご夫婦だったりで来られることもあるのですが、お父さんの中にも子どものことを受け止めているかたもいれば、どうしたらいいかわからないという理由で来られるかたもいます

外でお仕事をするお父さんに比べると、お母さんが子どもと一緒にいる時間のほうがどうしても長くなることも多いと思います。

そんなときは、お父さんは、お母さんが一人で抱え込まないように味方でいてほしいですし、お母さんや子どもへの対応もいつも通りでいてほしいなと思います。

座談会を重ねるなかで、今思うことはありますか。

北村

学校に行けないことで、お母さんが責められるかもしれないと思いながら相談するのは、やっぱりちょっとしんどいと思います。

同じ親同士でつながれて、「私もそうだったよ」という共感がほしいし、誰かに認めてほしい気持ちがきっとあると思っていて。

私自身の経験で、何がいちばん良かったかというと、同じ境遇について話ができたことや、「私はこうだったよ」という少し先を行く先輩と出会えたことで安心感が得られたことでした。

私自身が感じたようなことを、みなさんにも感じてほしくて、そういう場をつくりたかったんだな、と思います。

なので、座談会に来られるかたがしっかり話をできたかどうか、というのは毎回気になります。

とくに新規のかたがたくさん来られたような回があると、座談会の工夫が必要だなと感じることも出てきました。

フォローとしては、LINEのチャット機能を使えるようにしています。

参加できないひとにも活動を届けたい

LINEのお話が出ましたが、ほかにも公式ホームページやSNSでの情報発信に力を入れられているように感じました。

座談会ではたくさんのパンフレットが陳列されている
座談会ではたくさんのパンフレットが陳列されている

北村

必要だけどまだ届いていないひとに、どう届けるのかを常に考えています

来られない、参加できないひとがいるなかで、どうやって参加内容を届けるのか。

会に来られないひとは、ひたすら子どもと向きあってしんどい思いをしているかもしれないという思いがあって、そういうひとたちに少しでも届けばいいなと。

出張座談会では、早島だから来られました、玉島だから来られましたと言ってくれた参加者もいました。

会に来たひとたちに、有益な情報を持ち帰ってもらいたいと思っていますし、SNSで発信したら、来られないひとたちにも同じように届くかもしれないと思っています。

Web上では不登校関連の情報もまとめて載せるようにもしています。

あちこちの団体の活動に行くのも、知りたいひとがいるかもしれないから、私が代わりに動いているという感じです。

仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」 公式アカウント

確かに、座談会開催以外に、代表自身がいろいろな別団体の活動に参加されていますね。

北村

自分たちの団体の一番大きなビジョンとして、孤立のない子育てができる地域にしたいという思いがあります。

そのために自分たちが何ができるのかと考えたとき、まずはふわさぽ倉敷という団体があることを知ってもらうことが前提だと思いました。

子どもたちが学校に行けなくなったとき、お母さんたちは不安になります。学校で情報がもらいにくかったりすると、みんなはどうしているのかと思ったりもする。

座談会にハードルの高さを感じるひとや、不登校だから行く場所だと思うことでネガティブな印象を持つひともいます。

そこで、不登校であるかないかにかかわらず、知っておいてもらうことで、ハードルの低さにつながればいいなぁと。

不登校に限らず子育て支援をしている団体とコラボレーションをすることで、ふわさぽ倉敷を知ってもらい、お母さんにお守りのように思ってもらえたらと思っているんです。

予防ではないですが、不登校になってから知るのではなく、なる前から知っておくというか。

孤立のない子育てを目指して

孤立のない子育てについて教えてください。

写真提供 : 仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」
写真提供 : 仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」

北村

自分の子育てを振り返ってみたときに、すごく頑張っていて、だれにも相談できなかったという思いがありました。

産前から、みんなに助けられて子育てができたお母さんは、何かあったとしても助けを求められると思うんです。

一方、お母さんだけで頑張っているひと、まじめなひとはなおさらなかなか相談できなくて、自分で抱え、孤立してしまう

自分の体験から合わせて考えると、やっぱり産前から自然に相談できたほうが、何かあってからよりはいいと思ったんです。

座談会をしているなかでも、まじめなお母さんほどひたすら頑張って、やっとしゃべられましたというかたがいます。

まわりに相談ができるかたがいらっしゃらなかったのかな、という疑問もあって、産前産後を支援する団体とつながりながら、まずはふわさぽ倉敷を知ってもらうことをはじめました。

就学時に限らず、もっと最初からみんなで子育てができる地域にということでしょうか。

北村

そうですね。

反対に不登校に限っていうなら、不登校になった親子の理解者を増やしたいと思っています。

学校に行くことが当たり前かもしれないけれど、それ以外の選択をする子もいるよっていうことを、受け止められる風土にしないと、お母さんたちはひたすら抱え、孤立を深めてしまいます

お母さんがひたすら自分で何とかしなければと頑張ることで、親子関係が悪化することもあります。

若い人からお年寄りまで、学校に行かなくてもそういう生き方もある、と認め合える優しい世の中になればいいなと思います。

今は、学校に行っていないだけ。学校に限らなくても、いろいろなところがあるといい。

今後の活動について教えてください。

北村

来年度(令和5年度)からは、座談会の時間延長からはじめて、それぞれの得意なことを得意な人が中心になって進めるサークル活動のようなものができればと思っています。

何もなくても話せるひともいますが、そうでないひともいます。

何か手を動かして作業をするうちに、「実はね」と本音が出ることもあります。

ひたすら手を動かすことに集中して、何も話さなくてもいい。

子どもと離れて自分の時間を楽しむ空間であってもいいと思うんです。

あとは不登校経験者が、自分の経験を話せる場所があってもいいんじゃないかとも思っています。

お母さんたちは、子どもにこうしてほしいという思いがあると思うんですが、実際は子どもがどう思っていたかを聞く機会はなかなかありません。

不登校経験者は、自分自身を表現することで自己覚知を深められ、お母さんは子どもの話を聞ける、どちらにとってもいいことになるのではないかと思います。

不定期に会でネイルケアを提供してくれるのは、不登校経験者のボランティアスタッフ
不定期に会でネイルケアを提供してくれるのは、不登校経験者のボランティアスタッフ

おわりに

北村さんのお話からは、一貫して、親・保護者がひとりで悩まないようにするために何ができるかという強い思いを感じました。

社会が多様化に向かおうとしている今、学校に行けないことをくくって、そこにフォーカスするのは違うのかなという気持ちはあります、と北村さんは言います。

それでも今は、不登校という旗をあげないと困っているひとたちが集まってこられない、それではどうしていいかわからなくなるので、ぶれることなく旗をあげ続けていこうと思います

そう、お話を締めくくっていたようすがとても印象的でした。

2017年に施行された教育機会確保法を受け、文部科学省が出した基本指針を見てみると、不登校というだけで問題行動であると受け取られないように配慮すること、という文言があります。

学校以外で学ぶ選択肢を広げようとする動きがある一方、親・保護者の世代は、学校に行くことが当たり前だと教えられたひとも多く、学校に行かないことで不安を感じたり、心配になったりするひとも多いように思います。

学校に行けないことでつらい思いをしている子どもと親・保護者にとっても、そうでないひとにとっても、いろいろな選択肢が受け入れられる社会になればいいと思いました。

仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」のデータ

ふわさぽ倉敷パンフレット
団体名仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」
業種
代表者名北村康代
設立年2019年
住所倉敷市笹沖180
電話番号
営業時間毎月数回開催(令和5年度より)
午前10時から午後2時まで
参加費:100円(運営費)
※くらしき健康福祉プラザでの座談会以外に、出張座談会があります。
※開催の詳細については、ホームページで確認してください。
休業日
ホームページ仲間のいる不登校の親の会「ふわさぽ倉敷」


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あおましいろ

あおましいろ

倉敷市在住、三姉妹(あお・まし・いろ)のアラフォーかあさん。なんでもかんでも活かしてみたくて、DIY、ハンドメイド、家庭菜園などなどにチャレンジ中。倉敷市の魅力がより活きるような情報を発信します。

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