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倉敷市玉島の昭和レトロな町並みを歩いてみた ~東京から倉敷とことこ Vol.1【1日目】

倉敷市玉島の昭和レトロな町並みを歩いてみた ~東京から倉敷とことこ Vol.1【1日目】

観とこ / 2019.12.15

こんにちは!
東京在住のフリーライター・ブロガーの奥野 大児(おくの だいじ)です。

このたび、倉敷とことこ編集部から「40代男性が東京から、ぶらっと倉敷に来たらどんなところに行くのかやってみて!」と依頼を受け、倉敷を歩き回ってきました!

およその行き先だけを決めて近隣をぶらぶら歩くという、ある意味簡単でその実とても難しいミッション。

まずは初日編を紹介します。

良寛さんが若き日に長期間修行したという円通寺を中心に、玉島近辺を存分に歩いてきましたよ。

▼他の「東京から倉敷とことこ散歩」は、こちらから!

記載されている内容は、2019年12月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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良寛さんが修行した円通寺を訪れる

円通寺

円通寺は、新倉敷駅から4キロメートルほどの距離にある曹洞宗(そうとうしゅう)の寺院。

約1,200年前に行基菩薩(ぎょうき ぼさつ)によって霊場が開かれ、寺院としては元禄11年に開山されたそうです。

元禄11年といえば、犬公方と呼ばれた徳川綱吉が世を治めていたころです。

元禄15年には赤穂浪士の討ち入りがありましたが、そんな時代に建てられたんですね。

「えんつうじ」という名前のお寺は全国にたくさんあり、京都市左京区には庭園で知られる円通寺、東京都文京区には人気時代小説「鬼平犯科帳」にも登場した圓通寺もあります。

円通寺入り口

倉敷の円通寺といえば、僧侶のほかに詩人・書家としても名高い良寛和尚が、22歳から長期にわたって滞在修行したお寺として有名です。

新倉敷駅内には観光案内所があり、円通寺までの道のりや移動手段を丁寧に教えていただけました。

その土地を知るのは歩くのが一番!とは思っているのですが、新倉敷駅から円通寺まではタクシーで移動です。

料金は1,800円弱。
歩く楽しみは最後に取っておいて、往路では時間を稼ごうという作戦です。

木の葉も少し紅くなり始めたたころの円通寺。

良寛像が見守る本堂や、良寛さんが寝起きし修行したといわれる良寛堂を見ながら奥へ進みます。

円通寺と良寛堂

ここには33の観音様があり、観音巡りを楽しむかたもいるそうです。

すべてを見られませんでしたが、それぞれの表情どころか、姿かたちも全く異なる観音様が見守ってくれていて、次はどんな観音様に出会えるのかと飽きない散策となりました。

円通寺から水島工業地帯を臨む

観音巡り途中、高台から海のほうを見れば、工業地帯の向こうに瀬戸内海の島々が「ぼうっ」と浮かんでいます。

倉敷には、巨大な工業地帯「水島コンビナート」があります。

自動車で移動ができ、工場好きのかたであれば、夜に工場夜景を見て回るのも楽しいでしょう。

まるで昭和!玉島の町並を歩く

円通寺からは、新倉敷駅から遠回りする形で山を下り、玉島を散策しました。

ここ玉島は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のロケ地にも使われたほど、リアルな昭和の町並が残っているそうなんです。

良寛荘

温泉・宿泊施設の良寛荘の正面から下る道を進んでいくと、瓦葺の屋根の家を見下ろせました。

一般家屋のため写真掲載が難しいものもありましたが…。

瓦葺きの町並

こちらの「外階段」がある建物の正面を見ると、

カフェのような建物

とにかく明るいピスタチオ」??

とにかく明るいピスタチオ

どうやらカフェの入り口だったみたいですね。

もし営業していたら休憩したかったスポットでした。

道端には「岡山県税関発祥の地 玉島税関跡」の石碑が。

岡山税関発祥の地

税関があったということは、商業の中心だったということでもあります。

かつては備中松山藩の藩港だったこともあり、人・物・金が行き来する場所だったのでしょう。

懐かしい赤ポストもありました。

懐かしいポスト

玉島の町並には、「岡山県指定玉島町並保存地区」と呼ばれるエリアがあり、昔ながらの雰囲気が今も残っています。

この路地はとにかく歩いているだけで楽しかった……。

村役場のあとは、味噌・醤油店になっていました。

村役場は味噌・醤油の店に

「ゆ」の看板があるのは、かつてのお風呂屋さんでしょうか。

まだ営業しているのかな。

「ゆ」の看板

正面にある二つの扉が、男湯と女湯への入り口なのでしょう。

私が東京で見かける銭湯は、入り口は一つで、下駄箱のある辺りで男女に分かれます。

こんなセパレートのお風呂屋さんは見たことがありません。

もとお風呂屋さん

羽黒神社は、小高い位置にあります。

羽黒神社の裏手

裏手を見ると、大きな鳥居の奥はスロープになっているし、神社の敷地内と思しき場所には飲食店が……。
なんと自由でしょう。

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地元のおでんと焼きそばを堪能!「おたやん食堂」を訪れる

通町商店街

玉島の名物商店街なのでしょうか、通町商店街を訪れました。

入り口に貼られている広告が、すべて懐かしいものばかりです。

懐かしい広告の数々

オロナミンCなんて、僕が子供のころのポスターですよ。

こんなキレイによく残っていたものです。

商店街の中ほどで営業していたのが、旅行者もよく訪れるという「おたやん食堂」でした。

おたやん食堂

こちらも昭和の雰囲気がたっぷりなお店で、さっそく入店します。

ご店主におすすめを訪ねると、「玉島おでん」と「からす天狗焼きそば」という地元のメニューがあるそうで、こちらをいただきました。

おでんの種は何にしようかな……と。

おでんのメニューにカステラが!

ん??

カステラ

僕「カステラってどういうことですか?」

ご店主「食べてみればわかりますよ」

ということで注文したのが、玉子・大根とカステラのおでん

汁が染み渡る玉島おでん

大根も玉子も、おでん汁がシミシミで超美味!です。

そして例の、カステラは不思議なルックス。

甘味はほとんどなく、少し硬めのスポンジ状のものにおでん汁が十二分にしみているような、そんな味でした。

不思議な味だなあと思いながら食べていると、ご店主がおでんにする前のカステラをサービスで出してくださいました。やさしい!

おでん前のカステラ

そもそもが甘さ控えめのカステラでスポンジ部分はかなり固く、割り箸で切ろうとしたら箸が折れてしまったほど。

おやつで食べるカステラとは違う、そのものが面白い食材でした。

そして、次にいただきましたのが「からす天狗焼きそば」(500円)。

からす天狗焼きそば

近所の羽黒神社から「からす」の名前を取った焼きそばは、イカスミを使った黒い麺が特徴的。

麺を箸であげてみると、こんな海藻もありそう!というルックスですが、食べてみたらそれはそれは美味しい焼きそばでした。

焼きそばリフト

麺はもちもちとしており、お肉のうまみ、野菜の歯ざわりもしっかりとしたものでした。

「よかったらこれかけて。地元のお店で作っている激辛ソースだよ」

と出されたソースが、とても美味しいんです。

激辛ソース

僕は激辛に強いので、非常に良いアクセントでいただきました。

帰り際に、このソースの会社を教えてもらいましたよ。

タテソースでお土産を購入

おたやん食堂のご店主に教えていただいたソースは、玉島内に本拠を構えるタテソース本舗豊島屋(てしまや)さんのもの。

直接購入できますよ、と聞いたので本社を訪れることに。

タテソース

もう、建物が歴史的な風情があって良い感じです!

「こんにちは。おたやん食堂さんで、こちらのソースをいただいたら美味しかったので参りました~」

そう告げて入ると、社長さん自らお出迎えいただき、取り扱っている製品をいくつか味見させていただきました。

タテソース豊島屋さんの豊富な取り扱い製品

ゴマダレや塩だれ、どれもおいしかったのですが、とりわけ美味しかったのが「ホルモン焼のたれ」。

岡山の(倉敷ではない)B級グルメに「津山ホルモンうどん」がありますが、その名前を拝借しているのでしょうか。

濃厚さがたまらない味わいで、これは帰宅してから焼肉で食べるしかない!

通販ショップもあるので、買い足せそうです。

歩き疲れているはずなのに、気分が楽しくなってしまって新倉敷駅まで5キロメートルほどを徒歩で移動。

ほぼほぼ直線の道路でしたが起伏はなく、歩きやすい道でした。

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岡山の地酒・地料理がおいしい「温羅厨房 まんまや。倉敷店」で舌鼓

宿泊先がある、倉敷駅に戻ってきました。

一度ホテルで荷物を置き、3万歩近くあるいた足を休めるため入浴と仮眠をとってから夜の街へGO。

旅行者が地の物にありつくには、店外にメニューが置いてあるようなお店を丹念に探していくのが、結果的に最も手っ取り早いものです。

駅前のアーケード街の一角にあった「温羅厨房 まんまや。倉敷店」にin。

まんまや。外観

カウンターに陣取ってメニューをぱらぱら。

岡山の逸品!ということでメニューに出ていた「ままかりの黒酢漬け」と、たこの名産地・下津井(しもつい)の生たこの刺身たこの天ぷらをとりあえず注文しました。

するとカウンター向こうのご店主から一言。

「お客さん、どちらから?」

旅行者だなんて言っていないし、一度ホテルに戻っているだけに、近所にぶらりと歩きにきたような恰好をしていたのになぜバレたのでしょう。

「ああ、旅行者ってわかるものなのですね。東京ですよ」

と返すと、

ままかりを頼むお客さんの多くは旅行客なんですよ(にっこり)」

ですって。

ああ、そうなんだ。
確かに、地元の人は余り注文しないけれど、土地の名物になっているものって有りますよね。

ままかりも、家庭で食べることはあってもお店でわざわざ頼まない、といったようなことを聞きました。

出てきた海の物は、とにかくすべて美味しかったです。

ままかりは、関東では「サッパ」といわれている魚。

ままかり黒酢漬け

あまり僕の地元で食べませんが、岡山名物として酢漬けが良く提供されます。

歩き疲れた身体には酸味が染み渡ります。

下津井のたこは、本当に絶品でした!

決して漁獲量が潤沢でないらしく、なかなか県外で食べられるものではないそうですね。

下津井たこの刺身

出てきた調味料でびっくりしたのが、たこの刺身用に塩入りのゴマ油が出てきたことです。

たこの刺身とごま油

この組み合わせ、馬刺しや、禁止になる前によく食べたレバ刺しではよく楽しんだものですが、塩入りのゴマ油でたこを食べるなんて!

たこ独自の香りとゴマ油は、合います。

ああ、これはいくらでも酒が進む。

今まで僕は、たこの刺身を食べるなら梅肉が最上と思っていました。

ごま油と塩の組み合わせ、かなり肉薄してきたような気がします。

たこ刺しを楽しむときのレパートリーが増えて、うれしくなっちゃいました。

たこの唐揚げも最高です。

下津井たこの唐揚げ

つけて食べる塩の、きめがとても細かいからか、唐揚げの衣とたこの歯ざわりを存分に楽しめました。

下津井のたこ、おいしいなあ。
今回の滞在中にまた食べたいな。

「東京から来たなら、これ、あまり食べてないんじゃない?鰆(さわら)の刺身があるよ」

と、メニューにない品をおすすめいただきました。
もちろん注文です。

サワラの刺身

ピンクの肉はもちもちとした歯触りで、存分に乗っている脂も甘く、瀬戸内の恵みを十分に堪能できました。

メニューにないものを出していただける嬉しさも、美味しさを倍増させます。

ままかりを頼んで旅人認定してもらっておいて、よかった。

岡山の地酒も8種類と、旅行者には十分な種類がありました。

倉敷のお酒も置いてありましたよ。

岡山の地酒

何種類か飲みましたが、中でも美味しかったのは20度とアルコールが濃い「三光 ひのくち」原酒と、なんと1合3,000円!の「大典白菊 大吟醸」。

三光ひのくちは、缶に詰めたおもしろいお酒で、原酒としても20度はかなりアルコール度数が高いですね。

お酒に弱い人は要注意な一品です。

ひのくち三光

大典白菊 大吟醸は、もう別格の一品でした。

ふんわりとしていて、きつくないけれど確かな香りがあって、口に含んだ時も喉越しも上品な香りがするスッキリとしたお酒。

こんな味、そうそう飲めるモノじゃないですよ!

大典白菊 大吟醸

同じクラスのお酒を飲む機会は少ないでしょうけれど、地酒屋さんで見つけたらまた飲みたい!そう強く感じた一杯でした。

玉島を堪能し、たこに小躍りした初日

深夜の美観地区入り口

倉敷の恵みを楽しみながら、楽しい夜が過ぎていきました。

勝手な印象ですが、倉敷といえば、倉敷駅から美観地区にかけてのエリアをイメージしていました

そして、食べ物といえばきびだんご。

福岡県の中州あたりを「博多」と言ってしまい、とんこつラーメンをすべて博多ラーメンと言ってしまうほどのアバウトなイメージです。

しかし、訪れた玉島は倉敷市が海に面していることを印象付けてくれました。

そして下津井のたこが美味しい、という海の街を裏付けられるグルメも堪能できたのは望外の喜びです。

また、東京という町では、東京の地酒を数多く堪能できるような飲食店がなかなかありません

「地酒の店」と、うたっているお店に行っても全国の有名地酒が飲めることが多く、東京の酒蔵さんのお酒を集めて提供している店をほとんど知りません。

その地域に行ったら、その地域のお酒と料理を楽しみたい。

倉敷の人が東京に来たら、ぼくたちは何を提供できるだろうかと考えさせられます。

倉敷の初日は、歴史と町並みと旨味を存分に堪能し、暮れていきました。

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次回の案内

夜の美観地区ー2

次回は、倉敷駅前から深夜の美観地区までを、とことこ散歩!

朝に倉敷名物の「ぶっかけうどん」を食べ元気をつけ、将棋のタイトル戦「大山名人杯倉敷藤花戦」の公開対局の観戦です。

その足で、「大山康晴記念館」も訪れました。

夜には、やっぱり下津井のたこに舌鼓。

良い気分になったところで、夜の美観地区を歩き美しさを堪能しました。

倉敷駅前から深夜の美観地区までをぶら散歩 ~東京から倉敷とことこ Vol.1【2日目】

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奥野 大児

奥野 大児

1971年生まれの男性。将棋歴40年、飲酒歴ン10年のフリーライター・ブロガー。特技はココイチ10辛以上が余裕の辛味好きとアマチュア三段くらいの将棋と、初めて行った飲食店で常連扱いを受けることが多いこと

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