名僧として知られ、多くの人に敬われる江戸時代の僧侶・良寛(りょうかん)。
その良寛は、倉敷市にゆかりがあることを知っていますか。
実は、良寛は倉敷市にある寺で約12年間修行していたのです。
その寺が、市内西部・玉島地区にある「円通寺(えんつうじ、圓通寺とも)」。
奈良時代に起源がある歴史のある寺です。
現在も良寛の修行地として、多くの観光客が訪れます。
また円通寺は歴史ある本堂、見応えのある庭園、四季折々の花や木々が楽しめる名所としても有名です。
円通寺の魅力と歴史を紹介していきましょう。
記載されている内容は、2021年5月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
円通寺のデータ
![円通寺:境内](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-2.jpg)
名称 | 円通寺 |
---|---|
別名 | 補陀落山 |
宗派 | 曹洞宗 |
所在地 | 岡山県倉敷市玉島柏島451 |
電話番号 | 086ー522ー2444 |
駐車場 | あり 円通寺公園駐車場にも駐車可能 |
御本尊 | 星浦観音(聖観世音菩薩) |
御利益 | 現世利益、苦難除去、病気平癒、厄除など |
御朱印(納経料) | あり(300円) |
拝観時間 | |
休観日 | なし |
拝観料 | なし |
拝観料・納経料の納め方 |
|
トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ |
ホームページ | 良寛修行の寺・曹洞宗円通寺 |
自動車での行き方
国道429号線(旧国道2号線)の「変電所前」交差点を南に曲がり、県道47号線(倉敷長浜笠岡線)を南方向に直進します。
約1.3キロメートル進むと、道路の西側(進行方向右側)に株式会社カンガイ、前方に円通寺入口と書かれた標識が見えます。
株式会社カンガイと看板を過ぎたらすぐ、西(右)に入る路地があります。
この路地を入りましょう。
曲がり角に「西倉敷整骨院」があるのが、目印です。
そのまま道なりに進んでいきましょう。
道は広くはありませんが、一般車ならすれ違いができます。
途中に案内板もありますので、目印にしてください。
路地に入って約600メートル道なりに進むと、道が二手に分かれています。
進行方向右に進むと、円通寺公園の駐車場です。
円通寺公園駐車場にも停められます。
進行方向左側に進むと、約180メートルで「良寛荘」の前に出ます。
良寛荘の前を大きく進行方向右側に曲がってください。
良寛荘の前を通り過ぎると、今度は大きく左に道がカーブしますので、道なりに進みましょう。
なお円通寺公園駐車場の奥側に階段があり、ここを登ると、上記のカーブ地点に出ます。
カーブを曲がってさらに約60メートル進むと、円通寺公園入口に着きます。
入口の前で道が大きく左にカーブしているので、道なりに進みましょう。
カーブを曲がって約60メートルで、円通寺駐車場に着きます。
円通寺駐車場入口の北側が、境内への入口です。
なお県道から路地に曲がってから円通寺までは、約1キロメートルになります。
交通機関での行き方
公共交通機関で円通寺に行くには、JR新倉敷駅の南口から井笠バス「新倉敷~玉島協同病院~寄島線」に乗車してください。
そして「天満町」停留所で降りましょう。
天満町停留場は県道47号線沿いにあり、停留場から北へ約150メートルで円通寺への路地の入口があります。
あとは自動車での行き方を参考にしてください。
なお同じバス路線の「玉商グラウンド前」停留所で降り、円通寺の東のふもとから登っていく道もあります。
この場合、停留所からは約1キロメートルです。
円通寺は玉島の白華山にある古い寺院
![円通寺:境内](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-3.jpg)
円通寺は、倉敷市西部・玉島地区にある古い寺院です。
曹洞宗(そうとうしゅう)の寺で、山号(さんごう)は「補陀洛山(ふだらくさん、ほだらくさん)」。
本尊は聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)で、通称「星浦観音(ほしうら かんのん)」とも呼ばれ、国の重要文化財に指定されています。
![円通寺:円通寺公園](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-4.jpg)
円通寺があるのは市役所 玉島支所の南西およそ1.3キロメートルの地点。
白華山(はっかさん)と呼ばれる、玉島の町や工業地帯・瀬戸内海が見渡せる標高90メートルの山の上です。
円通寺は岡山県指定の史跡となっており、周辺は「円通寺公園」として整備されています。
また境内は岡山県指定史跡、本堂と青銅露座地蔵菩薩坐像(せいどう ろざ じぞうぼさつ ざぞう)は倉敷市指定文化財で、円通寺公園は岡山県指定の名勝です。
![円通寺:境内](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-36.jpg)
円通寺は、奈良時代の僧・行基(ぎょうき)が白華山上に観音像を祭ったことが起源。
江戸時代中期の元禄(げんろく)年間、良高(りょうこう)という僧によって再興されて円通庵という寺院となり、正徳4年(1714年)より円通寺と名乗りました。
また円通寺は、複数の霊場巡りの札所にもなっています。
- 中国観音霊場:七番
- 山陽花の寺二十四か寺:十七番
- 備中良寛さんこころの寺:一番
- 備中浅口西国観音霊場:一番
- 百八観音霊場:九番
円通寺では、毎月18日に「観音縁日(かんのん えんにち)」をおこなっています。
そのうち、5月18日・11月18日は「花観音」としているんです。
円通寺では、さまざまな行事がおこなわれています。
行事についての詳細は、円通寺 公式サイトを見てください。
名僧・良寛の修行地
![円通寺:良寛像](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-5.jpg)
円通寺は、名僧として知られる良寛(りょうかん)が修行したことで知られています。
良寛は江戸時代中期の宝暦8年(1758年)に、越後国 出雲崎(現 新潟県出雲崎町)で生まれました。
![円通寺:良寛堂](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-10.jpg)
越後で国仙(こくせん)に出会い、良寛は国仙が住職を務めていた備中国の円通寺に修行に来て、国仙に師事します。
良寛が円通寺で修行したのは、22〜33歳までの約12年間です。
![円通寺:良寛像と境内](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-9.jpg)
昭和56年(1981年)、境内に良寛像が建てられました。
原作は、高梁市備中町出身の彫刻家・宮本隆(みやもと たかし)です。
なお倉敷市内には良寛ゆかりの地として、ほかにも長連寺(ちょうれんじ)があります。
長連寺は、良寛の師・国仙(こくせん)が再興した寺です。
そのため良寛も、長連寺に足を運んだといわれています。
円通寺の見どころ
![円通寺:境内図](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-54.jpg)
円通寺の境内は広く、さまざまな建造物などがあります。
そのなかから、円通寺の見どころとなるスポットを選抜して紹介しましょう。
本堂(倉敷市指定重要文化財)
![円通寺:本堂](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-6.jpg)
「本堂」は、茅葺(かやぶき)屋根で、歴史を感じる趣ある雰囲気。
江戸時代中期に建てられたもので、倉敷市内の寺院で最大規模の本堂とされています。
建築時の姿を良好な状態で残しており、大変貴重な建物のため倉敷市の重要文化財に指定されました。
本堂には、本尊の「星浦観音」こと聖観音菩薩立像が安置されています。
![円通寺:本尊 聖観音菩薩(星浦観音)](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-55.jpg)
聖観音菩薩立像は、国指定重要文化財です。
この聖観音菩薩立像は、行基の作と伝えられています。
なお、菩薩立像は一般公開されていません。
石庭
![円通寺:石庭](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-13.jpg)
「石庭(せきてい)」は、境内入り口の汐見門(しおみもん)から本堂や良寛堂に向かっていく途中にあります。
斜面にたくさんならんだ自然石を上手に活用した、美しい庭園です。
![円通寺:石庭](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-14.jpg)
斜面のふもとには「鶴亀池」という池があり、春にはショウブなどが咲きます。
青銅露座地蔵菩薩坐像(倉敷市指定重要文化財)
![円通寺:青銅露座地蔵菩薩座像](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-16.jpg)
石庭の斜面の上にあるのが「青銅露座地蔵菩薩坐像(せいどう ろざ じぞうぼさつ ざぞう)」です。
台座からの高さは、と約2.2メートルで、京都の近藤播磨(こんどう はりま)・藤原定延(ふじわら さだのぶ)の制作と記されています。
制作年は、江戸時代中期の宝暦8年(1758年)です。
なお青銅露座地蔵菩薩坐像は、倉敷市指定重要文化財になっています。
白華山山頂広場(白華石と愛宕社、良寛像)
![円通寺:白華山 頂上広場広場](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-18.jpg)
青銅露座地蔵菩薩坐像のある斜面をさらに登っていくと、やがて白華山の山頂に着きます。
山頂部は広場になっていて、一番奥に建っているのが「愛宕社(あたごしゃ)」です。
![円通寺:愛宕社](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-19.jpg)
愛宕社は将軍地蔵尊(しょうぐん じそう そん)を祭っています。
愛宕社は、かつて円通寺の三世・良機が山頂に建てた愛宕堂を復興・再建したものです。
また広場の中央あたりに、大きく平たい岩があります。
これが円通寺の起源に関わる「白華石(はっかせき)」です。
![円通寺:白華石](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-21.jpg)
奈良時代に、有名な僧・行基が発見。
観音菩薩が降臨し、台座とする石として祭りました。
以降、円通寺のある白華山は神聖な地となったのです。
さらに山頂広場にも、良寛像がありました。
![円通寺:童と良寛像](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-22.jpg)
「童と良寛像」は、子供たちと遊ぶ良寛の姿を像にしたものです。
良寛は子供たちを大変かわいがり、よくいっしょに手鞠(てまり)などで遊んでいたと伝えられています。
童と良寛像は、昭和41年(1966年)に建てられました。
重要無形文化財技術保持者の人形技師・平田郷陽(ひらた ごうよう)の作で、高さ2.6メートル、重さは6トンです。
玉島星浦白華苑
![円通寺:白華苑](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-23.jpg)
「玉島星浦白華苑(たましま ほしうら はっかえん)」は、境内の南端にあります。
令和3年(2021年)1月に造成された、新しいスポットです。
![円通寺:白華苑 星浦観音菩薩像](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-24.jpg)
白華観音菩薩像と弥勒菩薩像(みろくぼさつぞう)が建てられており、玉島の町や海のほうを向いています。
![円通寺:白華苑 弥勒菩薩像](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-25.jpg)
円通寺の仁保哲明(にほ てつめい)住職の話では「観音菩薩は今の幸せ、弥勒菩薩は未来の希望をそれぞれ願っている」とのこと。
玉島の町の安寧と、新型コロナウイルス感染症の終息を願っており、地域の未来を見守っているのです。
![円通寺:白華苑からの眺望](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-26.jpg)
白華苑からの見晴らしはすばらしく、町や海が一望できます。
日の出スポットでもあり、とくに正月の初日の出詣はおすすめです。
境内や円通寺公園の花・紅葉
![円通寺:円通寺公園からの眺望](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-27.jpg)
円通寺の境内の南西側の斜面一帯には、さまざまな花が植えられています。
3月下旬〜4月上旬は、サクラ。
4月中旬〜5月中旬には、サツキ。
とてもたくさん植えられているので、満開になるととても美しい光景になります。
見晴らしもいいので、景色とともに花が楽しめるのも魅力ではないでしょうか。
![円通寺:サツキ](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-28.jpg)
また境内の本堂・良寛堂周辺にもサクラやサツキが植えられています。
さらに、境内の本堂・良寛堂周辺にはモミジもたくさん。
秋の紅葉時季には、見事に赤くなったモミジが楽しめます。
また春〜夏の深緑の青モミジも、すがすがしくておすすめです。
![円通寺:青モミジ](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-29.jpg)
仁保住職の話では、石庭をはじめ、境内に自生する青々としたコケも美しくおすすめとのこと。
円通寺の御朱印
![円通寺:御朱印](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-30.jpg)
円通寺では、参拝時に御朱印をいただけます。
御朱印が欲しい場合、参拝したら本堂の向かって右側にある寺務所(じむしょ)に行きましょう。
円通寺で御朱印をいただくとき、300円の納経料を納めてください。
玉島を代表する名所のひとつ・円通寺
![円通寺:白華苑](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-23.jpg)
古代から続く信仰の地、良寛が修行した歴史ある場所、そして四季折々の美しい自然と壮大な景色が楽しめる場所。
さまざまな側面があるのが、円通寺の魅力ではないでしょうか。
ぜひ、いろいろな楽しみかたのある円通寺に訪れてみてください。
円通寺のデータ
![円通寺:境内](https://cdn.kuratoco.com/wp-content/uploads/2021/04/entsuji-2.jpg)
名称 | 円通寺 |
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別名 | 補陀落山 |
宗派 | 曹洞宗 |
所在地 | 岡山県倉敷市玉島柏島451 |
電話番号 | 086ー522ー2444 |
駐車場 | あり 円通寺公園駐車場にも駐車可能 |
御本尊 | 星浦観音(聖観世音菩薩) |
御利益 | 現世利益、苦難除去、病気平癒、厄除など |
御朱印(納経料) | あり(300円) |
拝観時間 | |
休観日 | なし |
拝観料 | なし |
拝観料・納経料の納め方 |
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トイレ | 洋式トイレ 和式トイレ |
ホームページ | 良寛修行の寺・曹洞宗円通寺 |