インタビュー
毎年多くのmtファンの人々が、全国各地から訪れる工場見学mt factory tour。
どのような想いがあって工場見学を始めるようになったのでしょうか。
カモ井加工紙株式会社 代表取締役社長 鴨井尚志(かもい たかし)さんとコンシューマー部 部長 高塚新(たかつか しん)さんにお話しを伺いました。
「mt」ができたいきさつ
ハイトリ紙の商品を作っていた会社が、どうして文具や雑貨向けのマスキングテープを作ろうと思ったのですか?
鴨井(敬称略)
16・7年前に、東京の3人組の女性たちから手紙が届いたのがきっかけです。
「色彩豊かなマスキングテープを作ってほしい」という要望でした。
当時国内テープメーカーは8社あり、女性たちはすべての企業に提案をしたそうですが、断られ、受け入れたのは弊社だけでした。
最初に20色のマスキングテープを作り「mt」が誕生しました。
そんなストーリーがあったのですね。まったく関係のない分野に進出するのは大変だと思うのですが、どうして受け入れようと思ったのですか。
鴨井
ハイトリ紙のいきさつも、ハエがたくさんいて不衛生だから作ってほしいとのお客様の要望から始まっています。
そのあとのマイカーブームでは、車の塗装に必要なテープが必要なので生産しました。
輸送の箱が木箱から段ボールに変わったときも、梱包するのに釘からガムテープへの変更が不可欠になり、製造しました。
その時代で社会が必要としているものを、自分たちの粘着の技術で、製品なのか、サービスなのか、情報なのか、技術なのかを考え、解決していこうというスタイルでやっています。
だから「mt」に関しても、お客様からの要望を受け、粘着の技術でお客様の願いを解決したのです。
そうだったんですね。では、mtの工場見学を始めたのもお客様からの要望なのでしょうか。
高塚(敬称略)
お客様からの「マスキングテープが生まれるところを見てみたい」との話があったことも、きっかけのひとつです。
それ以外にも、カモ井加工紙の歴史がつまった資料を多数保管しており、せっかくだからみなさんに見ていただく場所を作ろうと始めました。
工場見学への応募
工場見学には、どれくらい応募があり、何人ぐらい訪れるのでしょうか。
高塚
今回は、40,000人ぐらいの応募がありました。
工場見学は、1日1,000人で調整しています。
開催期間は2週間なので、14,000人のかたに毎年来ていただいています。
今年(2023年)は約3倍の倍率でした。
すごい倍率ですね。どうしても行きたいと思うお客様もいらっしゃるのではありませんか。
鴨井
おかげさまでmtには、熱心なファンがたくさんいてくださいます。
全国各地でおこなうイベントには行けるのに、倉敷で開催の工場見学だけは定員が決まっており、抽選に当たらないと行けないのは不公平感があるという声を聞き、スタンプラリー形式のアプリを5年前から導入しています。
イベントなどでスタンプを10個ためると、優先的に工場見学へのチケットを獲得できるような仕組みです。
それはうれしいですね、開催次期は毎年決まっているのですか。
高塚
以前は、お客様から子どもと一緒に行きたいとの声をうけ、春休みにかけて開催していました。
2022年からはJR西日本と岡山県観光連盟とコラボレーションし、「岡山デスティネーションキャンペーン」に参加しています。
その関係で2023年は9月に開催となりました。
岡山県に観光客を呼び込もうと、観光地と「mt」がコラボレーションし、夏限定で特別に彩られたmt空間を作っています。
2022年には牛窓・犬島地区を、2023年は蒜山エリアや高梁市の旧吹屋小学校を「mt」で装飾しました。
また2023年は初めて倉敷アイビースクエアの愛美赤煉瓦館で企画展とmtショップを期間限定でオープンさせ、多くのお客様に来ていただきました。
サポートショップについて
工場見学だけではなく、倉敷のショップでもオリジナルのmtがもらえるのですね。
鴨井
倉敷美観地区を中心に今回のfactory tourに賛同いただいたお店で、各ショップの条件をクリアするとお店オリジナルのマスキングテープをプレゼントしています。
工場見学を訪れた人々に、倉敷の街にも出かけてもらい、倉敷を楽しんでいただきたい。
そして、観光客が倉敷の観光地で飲食や買い物をしていただくことで、経済効果に結びついてほしいと願っています。
これからについて
2023年はカモ井加工紙100周年でいろいろな企画をされたと思うのですが、来年の予定などは決まっていますか。
高塚
工場見学の日程はまだ決まっていないですが、どこかで開催する予定にはしていますので楽しみにしていてください。
鴨井
100年といっても実感はあまりありません。
先人たちのお陰でここまでこられたと思っていますので、これまで支えていただいたお客様やかかわってくださったかたがたに感謝をし、次の世代につなげていけるよう精進していきたいと思っています。
おわりに
工場見学「mt factory tour vol.12 ツアー」は、普段は工場として使っている場所を提供し、工場で働いている社員が陳列をし、レジを担当し見学の説明をしていました。
お客様の希望を叶えるために、社員全員が一丸となっておもてなしをしているのです。
そして観光客を魅了するだけではなく、地域経済にも貢献し、地元の人々みんなが笑顔になって倉敷を盛り上げていこうという想いであふれていました。
たくさんのかわいい柄が次々と登場し、多くの人から愛されているカモ井加工紙の「mt」は、これからもどんどん新しい展開をしていくことでしょう。
「mtの街倉敷」といわれる日もそう遠くないかもしれませんね。
1年に1回倉敷の本社で開催される工場見学は、全国に毎年楽しみに待っている多くのファンがいます。
筆者もそのうちの一人です。
2024年は、いつどんな形で工場見学のイベントが開催されるのか、楽しみに待ちましょう。
mt factry tour vol.12のデータ
名前 | mt factry tour vol.12 |
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期日 | 令和5年9月6日~9月20日 |
場所 | 倉敷市片島236 |
参加費用(税込) | 無料 応募して抽選で当たった方のみ行くことができる。 |
ホームページ | mt masking tape |