目次
トーキョーコーヒーNo.80 倉敷市児島での活動を紹介
活動日 | 活動内容 | 場所 |
---|---|---|
2022.9.9 | 活動拠点のお片づけ | 児島某所 |
2022.10.16 | お芋掘り | 児島某所 |
2022.10.27 | ただただお茶を飲んでのんびり話をする会 | 児島某所 |
2022.11.15 | ただただお茶を飲んでのんびり話をする会 | 児島某所 |
2022.12.2 | ただただお茶を飲んでのんびり話をする会 | 児島某所 |
2022.12.18 | 学校では受けたことのない国語の授業 | 児島某所 |
2023.2.16 | 焚火をする会 | 鷲羽窯 |
2023.3.8 | 焚火をする会 | 鷲羽窯 |
2023.3.29 | 焚火と土鍋でご飯を炊く会 | 鷲羽窯 |
2023.4.15 | 焚火 de 夜のトーキョーコーヒー | 鷲羽窯 |
2023.5.6 | 焚火 de 夜のトーキョーコーヒー | 鷲羽窯 |
2023.6.11 | 焚火 de 夜のトーキョーコーヒー | 鷲羽窯 |
取材と同時に、開催されていた活動に参加しました。
この日の活動は、参加者から大好評で三回目の開催となる「焚火 de トーキョーコーヒー」です。
活動前の時間でしたが、「準備は特にないんです」と笑顔の清板さん。
活動のきっかけから話を聞きました。
活動との出会い
トーキョーコーヒーを知ったきっかけを教えてください。
清板(敬称略)
きっかけは、令和4年7月に笠岡市で開かれた吉田田タカシさん(以下、ダダさん)のトークライブでした。
ただ、トークライブの内容はトーキョーコーヒーではなかったんです。
申し込みをした後に「トーキョーコーヒーという活動をはじめるから、興味があるかたはトークライブのあとに時間を設けます」というお知らせがありました。
まずは、聞いてみないとわからないと思って説明を聞いてみたところ、「やりたい!」ってなったんです。
というのも、当時は次男が不登校になってから2年ほど経っていて。
家にいることが悪いこととは思っていませんでしたが、ひととのかかわりを持ってもらうためにも、ずっと家以外の居場所のようなものをつくりたいと思っていたんです。
トーキョーコーヒーをやろうと思った決め手はなんでしょうか。
清板
活動の自由度が高いことです。
何かをやりたいとは思っていましたが、フリースクールのようなものがやりたいのかと言われれば、かっちり勉強を教えたかったわけでもなかったんです。
学校に行けない子どもたちが行くための学校を作りたかったわけではないというか。
じゃあ、何なのかと言われても説明ができずにいました。
何かさせたいとか、学ばせたいとかでもなく、ただ自由に人生を選ぶときの選択肢のひとつであれたらいいなというか。
わたしのような大人と話すことが、何かに気がつくきっかけになるかもしれない。
そして、そういう親以外の大人がいる場所がたくさんあって、子どもが選べたらいいなと思っていました。
トーキョーコーヒーの活動は、大人が楽しめることなら何でもよくて、参加者はいつ来ても、いつ帰ってもいいし、主宰者は週一回でも、月に一回の開催でもいいんです。
やらないといけないことがあったり、ルールがあったりするとできなかったかもしれません。
大人が楽しむ先に
清板
あとは、発起人のダダさんの「不登校の子どもたちが増えていて、子どもたちが悲鳴をあげている、大人がアップデートしていないからじゃないか」という話にものすごく共感しました。
というのも、わたしが以前保育士として勤めていたときに、「子どもが中心にいない保育」だと感じたことがあったんです。
我が子が小学校に入学したとき、保育園で感じた違和感が20年経っても何一つ変わっていないことがあって、ものすごくショックを受けました。
その後、学校のPTA会長も経験して、学校にもかなりかかわっていたと思います。
学校が悪いということではなく、今の体制ではそうせざるを得ないこともあったろうと思いますが、思いが伝わらないと感じたこともありますし、大人同士のやり取りがうまくいかないことも経験しました。
それって、先生が悪いわけでも、学校が悪いわけでもないのに、みんなが暗くなっちゃうんです。
ダダさんは「楽しいに命がけ」という表現で、大人が楽しむことを大切にしているんですが、学校で大人が暗くなってしまう。
そんな経験から、学校が楽しい場所であればいいけれど今すぐに無理なんだとしたら、誰かにお願いして変えてもらうより、自分がつくる側に回るほうがはるかに楽しいし、前向きだよなと思いました。
相手を変えるのではなく。
保育士さんとしても、親・保護者としても、いろいろな思いや経験があったわけですね。
そんななかで、トーキョーコーヒーの「大人が楽しむ」活動は、たしかに魅力的に感じますね。
清板
はい、楽しいし自由だし、これなら変わる、と思いました。
全国で一斉に活動することでムーブメントを起こして、教育にも影響を与えていこうという考え方にも納得したんです。
新しくつくろうという思いは間違いではないけれど、一人一人の思いを大きな流れにしないと、といわれて、「あ、そうなんだ」と思いました。
ただ、わたしはひとと一緒にやることが苦手なので、活動に入ってしまうのはどうかなとも思ったんです。
でも、トーキョーコーヒーは、活動の芯の部分が一緒なら、活動内容は自由なので、ものすごく信頼されていると感じますし、大人が楽しもうとすることで、矢印が自分に向くなぁと思います。
矢印が自分に向く、とは?
清板
親や保護者は、どうしても子どもに気持ちが向きがちだと思います。
学校に行きにくい子どもだと、行くかどうかも含めて、この子にとってどうしたらいいのかを悩みますよね。
トーキョーコーヒーに来ると、親・保護者が同じ境遇なので、話を聞いてほしいかたも多いんです。
みんな吐き出したくて、話に夢中になるので、子どもから勝手に目が反れるんですが、そうすると子どもたちがわぁっと自由に遊びだす。
個人的には、子どもは自分で育つということを信じてあげられたらいいなと思うんです。
そこが難しくて、自分だけの基準や家庭の基準をなかなか手放せないんですが。
活動のなかで、いろいろな家庭の価値観に触れたり、話したりすることで、親自身が感覚をもどしているような気がします。
無意識に抱え込んでいた「親・保護者として」という常識をゆるめたり、壊したり、手放したりするんですね。
そんなふうに親・保護者が自分のことに夢中になっている一方で、のびのびと遊んでいる子どもの姿がある。
それが見えると、親・保護者は説得されてしまいます。参りました、というか。
親があーだこーだというよりも、何かを感じられる子なんだと思いますし、もう何もしてあげられることはないな、と。
何かをしてあげられることもおこがましいなと思うのに、ついつい口を出しちゃうんだなぁっていう。
だから、こういう場に来て、親・保護者がアップデートしてリフレッシュすることが、家庭にもいい循環になると思いますし、そういう場所であれたらいいなぁと思います。
活動が生み出すもの ~ 楽しんで癒される
活動のなかで印象に残っていることはありますか。
清板
印象に残るというか、活動が終わるときに、子どもが「楽しかったよ~!また来るね~!」と言ってくれるんですが、うれしいですね。
あとは、参加した親・保護者から「ここまで話ができたことがない」と聞いて、この場所が心を開ける場所になれていると思えたことがうれしかったです。
清板さんが思う、トーキョーコーヒー児島の特色を教えてください。
清板
児島という場所は環境に恵まれていて、海も山もあります。
住んでいると当たり前の環境ですが、県外から来てくれるかたにとっては心地いいと思ってもらえるようです。
鷲羽窯で数回開催して、土鍋でご飯を炊いたり、焚火をしたりしましたが、実はわたし自身はアウトドア派ではないんです。
どれも、わたしがしたことがないことばかりでした。
そもそもは、わたし自身がやったことのないことを楽しんでやっているのがベースです。
やったことがないことをやってみて、「わたし自身が楽しい!」と思えたことをしてきたので、言葉にするのはちょっと難しいかもしれません。
わたし基準なので(笑)。
今後の活動予定や展望があれば教えてください。
清板
暑い時季には、屋内の場所を借りて、お茶会をしてもいいかなぁと思っています。
そのときのようすで、ゆるく決めていくつもりです。
「あそこに行きたい、行けば楽になる、楽しいなぁと思える場所」であれたらいいなと思います。
だから何でもいいんです。楽しさすら、みんな違うので。
ピンポイントでこれを提供しますっていうのも絶対にないと思っていて。
ここに来て草を抜くだけでもいいし、とにかく薪をくべてもいいし、虫を追いかけてもいい。
好きなこと、何をしていてもいいけど、「なんか同じ空間にいるのがうれしいな」と思ってもらえたらと思います。
あと、トーキョーコーヒーでは、全国に500か所つくることを目標にしているんですが、個人的には学童のように学校の横にあるといいなと思っています。
おわりに
実際に参加して印象に残ったのが、古くからの友人と再会したようなその場の雰囲気でした。
気がつくと、それぞれの参加者に居場所ができていて、同じことをしているひとがいないことにも、不思議な安心感があります。
大人同士で話すひと、横で耳を傾けるひと、子どもとかかわるひと、周囲の自然に目を向けるひと、散策するひと…。
清板さんの話にあった、同じことはしていなくても、同じ空間にいることの心地よさをまさに体感しました。
さらに印象深かったのは、子どもたちの表情と姿勢でした。
何とか火を起こそうと躍起になって葉っぱや木の枝を投げ込む真剣な表情と、前のめりな姿勢。
なにごとかを思いついて、自分からどこかへ走り去っては、また新しいものを見つけて帰ってくるようす。
「夢中」を体現する子どもたちに、見ているほうも笑顔になると同時に、どこか胸の奥がゆるみます。
トーキョーコーヒーは、学校に行かないことを推奨する活動ではありません。
子どもに直接アプローチするのではなく、活動に参加する大人が、いつの間にか凝り固まってしまっていた頭のなかをゆるめ、解きほぐすことで、子どもの成長や学びの土台になっていこうとする活動ではないかと感じました。
岡山県では、令和5年6月現在、5か所の拠点が活動をおこなっており、TOKYO COFFEE公式ホームページで近くの活動拠点を検索できるようになっています。
「ぜひぜひ、緊張せずに。そういう場所ではないので」
とは、清板さんの言葉です。
大人が楽しむ活動・トーキョーコーヒー、今後の全国での広がりが楽しみです。
トーキョーコーヒーNo.80 倉敷市児島のデータ
名前 | トーキョーコーヒーNo.80 倉敷市児島 |
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期日 | 月一回程度 不定期開催 活動案内はInstagramを確認してください |
場所 | 倉敷市児島 |
参加費用(税込) | 大人 1,000円 子ども 500円 ※活動内容によって変更される場合があります。 |
ホームページ | Instagram tokyo_coffee_no.80 |