「特別支援教育」を知っていますか。
文部科学省は、「障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズに合わせた教育」を特別支援教育としています。
倉敷市でも特別支援教育がおこなわれており、倉敷市立倉敷支援学校が設置されているほか、市立小学校55校、市立中学校25校に特別支援学級が設置されています。
倉敷市立学校で特別支援教育を受ける子どもたちの作品が展示される作品展「倉敷っ子なかよし作品展」が、2025年も開催されるとのことで、展覧会への想いを取材しました。
記載されている内容は、2025年1月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
「第36回倉敷っ子なかよし作品展」とは
倉敷っ子なかよし作品展は、特別支援教育への理解と協力の輪を広げようと、毎年開かれている展覧会で、2025年で36回目を迎えます。
2025年は1月21日(火)から1月26日(日)までの6日間、倉敷市立美術館において開催されます。
参加するのは、倉敷市内の小中学校に設置されているすべての特別支援学級および倉敷市立倉敷支援学校。
特別支援学級
小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級
文部科学省
特別支援学校
障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること目的とする学校
文部科学省
2024年に開催された第35回倉敷っ子なかよし作品展では、絵画などの図工科の作品をはじめ、習字や作文など国語科の作品、被服・手芸など技術家庭科の作品など、日々の活動のなかで子どもたちが一生懸命に作った作品が展示されました。
院内学級なかよし作品展特別展示会
倉敷っ子なかよし作品展には、倉敷市内の特別支援学校や各小中学校内にある特別支援学級だけでなく、院内学級も参加します。
院内学級
院内学級は、ケガや病気のため、入院しなければならない児童・生徒のために 病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級
※現在、倉敷中央病院および川崎医科大学附属病院に倉敷市立小中学校の院内学級があります。
院内学級の作品は、倉敷っ子なかよし作品展の展示終了後の1月27日(月)~2月2日(日)に倉敷えびす商店街にある仁科商店iroiroにて、特別展示会をおこないます。
詳しい内容は、以下の画像を確認してください。
「第36回倉敷っ子なかよし作品展」担当者へのインタビュー
倉敷市立倉敷東小学校の中村美華(なかむら みか)教頭先生に、「倉敷っ子なかよし作品展」のねらいや作品展への想いについてお話を聞きました。
「倉敷っ子なかよし作品展」が開催されるようになった経緯を教えてください
中村(敬称略)
昭和63年(1988年)度までは、倉敷地区(倉敷・水島)の学校は倉敷文化センターで、児島の学校は児島文化センターでそれぞれに作品展を開催していました。しかし、せっかくならば大きな会場で一緒に作品展を開催したいという気運が高まったそうです。そこで、平成元年(1989年)からは全市での開催となり、名称も「倉敷っ子なかよし作品展」となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止した年もありましたが、今年度が36回目になります。
倉敷市のように、特別支援学校および特別支援学級に在籍する全児童生徒が参加する作品展は珍しいようです。私たちも毎年試行錯誤しながら、子どもたちと作品を作っています。
「倉敷っ子なかよし作品展」のねらいを教えてください
中村
まず何よりも、特別支援学校や特別支援学級で活動する子どもたちの活動を市民のみなさんに伝えたいという気持ちがあります。
子どもたちが日々の活動のなかで積み重ねてきた足跡や、そこにある努力が作品から伝わるはずです。
特別支援教育を受ける子どもたちの実態は毎年異なるので、例年夏休みに教員が実際に作品を作ってみて、子どもたちにどんな支援が必要か話し合います。そして、秋頃から子どもたちと制作を進めている学校が多いと思います。
倉敷っ子なかよし作品展の作品は、どの学校も学年や障がい種を越えて一つの大きな作品に取り組むので、教員同士の協力が欠かせません。どの教員も、子どもたちの良さを引き出す作品を作ろうと必死です。
特別支援学校や特別支援学級は一学年一学級程度の設置が多いので、作品が一堂に会することで教員同士の学びにもつながりそうですね
中村
そうですね。
他校の取り組みを見られる機会はめったにないので、私自身も毎年ほかの学校の作品から刺激を受けていました。
でも、刺激を受けているのは教員だけではないんですよ。子どもたちも、他校の子どもたちの作品を鑑賞するのを楽しみにしているようです。
特別支援教育を受ける子どもたちのなかには、学校だけではなく福祉のサービスを利用している子どももいます。福祉サービスは学区を越えてさまざまな子どもたちが集まるので、別の学校に通うお友達が多くいるようです。
私が受け持っていた学級の子どものなかにも、他校の子どもの作品を見て「〇〇さんの作品だ!」と目を輝かせる子が多くいましたよ。
毎年、会期中は倉敷市立美術館で子どもたちをよく見かける気がします
中村
せっかく子どもたちの作品が展示されるので、校外学習として倉敷っ子なかよし作品展を鑑賞しに行く学校が多くあります。倉敷市立美術館の近くには倉敷美観地区もあるので、町探検や買い物学習も兼ねられるんですよ。
展示が火曜日から始まるので、平日に校外学習で歩いた道のりを休日にご家庭でまわってきたというエピソードも、よく聞きます。障がいのある子どもをもつご家庭にとって、外出の選択肢を広げるきっかけとしても活用していただきたい展覧会です。
「倉敷っ子なかよし作品展」にはどのような人に来てもらいたいですか
中村
子どもたちのお家のかたはもちろんのこと、市民のみなさまや観光に訪れたかたにもぜひ立ち寄っていただきたいです。
子どもたちの個性が光る、素晴らしい作品の数々が展示されます。たくさんのかたに、子どもたちが粘り強く努力して作り上げた作品の足跡を見ていただきたいです。
最後に、読者へメッセージをお願いします
中村
寒い時季ですが、実際に「倉敷っ子なかよし作品展」へ足を運んでいただき、倉敷市内の小中学校で特別支援教育を受ける子どもたちが作るあたたかい雰囲気の作品をご覧ください。
みなさまのご来場をお待ちしています。
おわりに
私は2023年11月まで、関東の特別支援学校で教員をしていました。
関東では各学校代表の児童生徒の作品を展示する展覧会をよく見ましたが、倉敷っ子なかよし作品展のように、各校の子どもたちが力を合わせて作った作品が一堂に会する機会は、中村教頭先生の話にもあったように珍しいと感じます。
会期中は、倉敷市立美術館や倉敷美観地区に校外学習に来る子どもたちで賑わうことでしょう。寒さが一段と厳しい季節の開催だからこそ、子どもたちの元気な姿や個性の光る作品に元気をもらいに行ってみてはいかがでしょうか。
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第36回倉敷っ子なかよし作品展のデータ
名前 | 第36回倉敷っ子なかよし作品展 |
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期日 | 2025年1月22日(火)~26日(日) 午前9時~午後5時15分(初日のみ午前10時30分開場) |
場所 | 岡山県倉敷市中央2丁目6-1 |
参加費用(税込) | 入場無料 |
ホームページ | 倉敷市立美術館 |