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1年生わくわくぶんこ ~「子どもたちの読書活動を応援したい!」書店と小学校が手を取り合う、倉敷市独自の読書教育

1年生わくわくぶんこ ~「子どもたちの読書活動を応援したい!」書店と小学校が手を取り合う、倉敷市独自の読書教育

知っとこ / 2025.04.09

読書好きにはたまらない、図書館に配架(はいか)される大量の蔵書。一方で、初めて図書館に行く人のなかには、どこから手を伸ばしたら良いかわからず、戸惑ってしまう人もいるでしょう。

ピカピカのランドセルを背負った小学一年生が初めて利用する図書館は、学校図書館です。学校図書館には、読み物としての絵本や小説だけでなく、調べ学習で使用する図鑑や辞典も数多く取りそろえられています。

私も前職の教員時代、児童たちと授業内外で学校図書館を利用していました。子どもたちは数多くの本に気持ちは高まるようでしたが、やはり45分の授業内で自分の読みたい本を探すのは大変な作業でした。

倉敷市では、全学校の学校図書館に「1年生わくわくぶんこ」を用意しています。書店と学校が手を取り合い、小学1年生の読書教育を応援する日本初の取り組みを紹介します。

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記載されている内容は、2025年4月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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1年生わくわくぶんことは

1年生わくわくぶんこは、倉敷市内の小学校の学校図書館に設置されている1年生専用の蔵書です。

読書教育がスタートする小学1年生に「まずは気軽に、読みたい本を選びスムーズに貸し出しをすること」を目的に2017年度からスタート。現在は、倉敷市立小学校の全学校図書館に設置されています。

写真提供:倉敷市書店事業組合
写真提供:倉敷市書店事業組合

1年生わくわくぶんこの取り組みは、学校だけで進んでいるのではありません。発案者は、倉敷市内の書店有志で活動する倉敷市書店事業協同組合ですが、読書推進活動をする倉敷市との協議の上、市の事業として施行されました。

倉敷市書店事業協同組合傘下の書店は、主に倉敷市立の学校へ教科書の納入と学校図書館へ図書の販売をしています。

書店と倉敷市がともに選書

毎年の選書作業も、倉敷市書店事業協同組合と倉敷市長がともにおこなっており、蔵書は年々増加中です。蔵書は増やすだけでなく、多くの手に渡り古くなった本を必要に応じて新しい本に買い替えることも、検討されています。

新入生が最初に手に取る蔵書は、少しでもきれいな状態がうれしいですよね。

選書の際には、以下四つのテーマをもとに出版社が1年生わくわくぶんこに推薦する本を選びます。

  1. 友達
  2. 家族
  3. 思いやり
  4. 学校生活

出版社が選んだ本を、倉敷市書店事業協同組合で確認し、教育委員会内の部署で1冊ずつ丁寧にプレゼンを行います。部署担当者も実際に手に取って内容を確認します。その後、倉敷市長に提案。

倉敷市長も実際に一冊ずつ手に取り、内容を確認して選書します。改案が必要と判断されれば、選書をはじめから見直します。

2024年度に採択されてた1年生わくわくぶんこの蔵書は以下のとおりです。

  • 『ちいさな木』 角野 栄子 偕成社
  • 『どうしよう』 浜田 桂子 理論社
  • 『おかえり、フク』 北川 チハル 佼成出版社
  • 『まめさん こめさん おふろのひ!』 キム・ナンジ 岩崎書店
  • 『ともだちの かたち』 ダニエラ・ソーサ 岩崎書店
  • 『13かいには きょうりゅうがいる』 “ウェイド・ブラッドフォード” ひさかたチャイルド
  • 『ぷかぷか』 石井 聖岳 ゴブリン書房
  • 『八助の寺子屋日記 その一話』 飯野 和好 東洋館出版社
  • 『ぼくラは ばラばラ』 岡林 ちひろ ロクリン社
  • 『なんか ひとり おおくない?』 うめはら まんな BL出版
  • 『ぼくらの はたけ』 “マーガレット・ワイズ・ブラウン” 好学社
  • 『たびにでよう』 降矢 なな 童心社
  • 『ぼくは、ういてる。』 なかがわ ちひろ のら書店
  • 『のうとからだに いいことえほん』 成田 奈緒子 PHP研究所
  • 『なぞなぞのすきな女の子』 松岡 享子 Gakken

1年生わくわくぶんこのマーク

2024年度には、1年生わくわく文庫の目印となるマークも誕生しました。

1年生わくわくぶんこのマーク

書籍に貼られているので、自宅に持ち帰ってきたときにも「これが、1年生わくわくぶんこの本なんだな」とすぐにわかりますね。

このマークのデザインを担当したのは、小田郡矢掛町出身で岡山市に在住のフードイラストレーター・絵本作家いわさきまゆこさん

左:伊東香織(いとう かおり)倉敷市長、右:いわさき まゆこさん(写真提供:倉敷市書店事業組合)
左:伊東香織(いとう かおり)倉敷市長、右:いわさき まゆこさん(写真提供:倉敷市書店事業組合)

「2年生の子が、1年生の子に対して『この本良かったよ!』と、自分が読んだ本をおすすめしていた」という、取り組みを通して実際にあったエピソードから着想を得て生まれたイラストなんだとか。

背景の周りの縁に使用されている明るい色は、それぞれ倉敷市の特産物である、マスカット・ピオーネ・桃をイメージしたカラーになっているそうです。また、黄色の円は、ピカピカの1年生を表しています。

学校図書館の状態は、書店が定期的にチェック

倉敷市書店事業協同組合の役割は、選書や配本だけではありません。

定期的に小学校へ訪れ、学校図書館の状態を確認。1年生わくわくぶんこの活用状況を聞き取ったり、より本を手に取りやすい環境設定の助言もおこなっています。

写真提供:倉敷市書店事業組合
写真提供:倉敷市書店事業組合

各学校での1年生わくわくぶんこの活用状況は、出版社とも共有。翌年度の選書の参考にもなっているそうです。

倉敷市書店事業協同組合 理事長の片岡正樹(かたおか まさき)さんと組合広報の山名史晃(やまな ふみあき)さんに、「1年生わくわくぶんこ」への思いや、おすすめの活用方法を聞きました。

インタビューを読む

1年生わくわくぶんこのデータ

写真提供:倉敷市書店事業組合
名前1年生わくわくぶんこ
住所倉敷市内すべての小学校
電話番号
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高石真梨子

高石真梨子

東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。

音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

こんにちは、地域おこし協力隊です

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