観光に行ったとき、土産選びは楽しみのひとつですよね。
土産を買おうと思ったとき候補に挙がるのが、訪れた地域の銘菓ではないでしょうか。
倉敷では「むらすゞめ」が銘菓として知られています。
そして、むらすゞめと並んで地元で長年愛されている銘菓があるんです。
それが藤戸饅頭本舗の「藤戸まんぢゅう(藤戸饅頭、藤戸まんじゅう)」。
藤戸まんぢゅうは、上品な甘さのこし餡と甘酒のほのかな風味が特徴の饅頭です。
実は藤戸まんぢゅうと藤戸饅頭本舗は、平安時代末期に起源があるという、830年以上の歴史があります。
また、藤戸饅頭本舗の本店も、築100年以上の歴史ある建物です。
まさに「倉敷の歴史の一部」ともいえる藤戸まんぢゅうと藤戸饅頭本舗について紹介をします!
記載されている内容は、2020年5月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
藤戸饅頭本舗 (本店)のデータ
名前 | 藤戸饅頭本舗 (本店) |
---|---|
住所 | 岡山県倉敷市藤戸町藤戸48 |
電話番号 | 086-428-1034 |
駐車場 | なし (串田店は駐車場あり) |
営業時間 | 午前8時〜午後5時 |
定休日 | 火 第二 水 ※ 定休日が祝日だった場合は営業し、木曜日を休業 |
支払い方法 |
|
ホームページ | 藤戸まんぢゅう |
藤戸饅頭本舗の本店は、県道165号線(藤戸早島線)のすぐ近くです。
▼北西方面(倉敷駅・美観地区方面)から来た場合は、藤戸大橋を渡ってすぐの「藤戸大橋」交差点が目印。
▼藤戸大橋交差点を過ぎ、約100メートル過ぎたところにある、進行方向左(北)への脇道を入りましょう。
▼ちょうど藤戸寺(ふじとじ)の境内下側に位置します。
写真右側が藤戸寺の境内。
▼県道165号線を南東方面(児島・灘崎方面)から来た場合は、藤戸市民サービスコーナー前、藤戸寺入口、鯛焼き店「鯛よし」がある交差点が目印になります。
写真右側が藤戸市民サービスコーナー、左側が藤戸寺への入口です。
▼交差点から約60メートル進んだところで、進行方向右側(北側)への脇道を入ります。
▼脇道のところにある青い店「まつなが」のすぐ裏側が藤戸饅頭本舗の本店です。
▼藤戸寺の境内から藤戸饅頭本舗方面を見たところ。
▼一見、民家のように見えますが、道路沿いに白い「藤戸饅頭」の看板が出ているので、わかりやすいです。
公共交通機関を利用する場合は、倉敷駅前から出ている下電バスの天城(あまき)線に乗車します。
美観地区からバスで藤戸饅頭本舗に向かうときも、同じく下電バスの天城線。
美観地区から最寄りの乗車バス停は「倉敷芸文館東」です。
▼「天城中学校南口」のバス停で降りましょう。
バス停は、県道165号線の藤戸饅頭本舗方面(北側)へ入る脇道のところにあります。
そのため、藤戸饅頭本舗までは歩いてすぐです。
なお、藤戸饅頭本舗 串田店も県道165号線沿いにあります。
天城中学校南口のバス停のところから南東方面(児島・灘崎方面)に約1.5キロメートルの場所です。
藤戸饅頭本舗は平安時代末期から続く中国地方最古の企業
藤戸饅頭本舗は、倉敷を代表する銘菓「藤戸まんぢゅう」を製造・販売しています。
岡山県・香川県に住んでいたかたなら、テレビ・コマーシャル・ソングも印象に残っているかもしれません。
このコマーシャル・ソングは藤戸饅頭本舗の公式サイトや公式YouTubeでも聞けます。
藤戸饅頭本舗には本店と串田店があり、本店は名前の通り倉敷市藤戸町(ふじとちょう)に所在。
藤戸饅頭本舗の本店は、倉敷美観地区からは約5キロメートル南東の郊外に位置しています。
藤戸は、美観地区から流れている倉敷川沿いにあり、江戸時代には川港や岡山城下と金比羅山を結ぶ「金比羅街道」沿いの街として栄えました。
そんな藤戸にある藤戸饅頭本舗ですが、その歴史は江戸時代よりもずっと古い平安時代末期までさかのぼるんです。
創業は寿永(じゅえい)3年(1184年)。
なんと歴史は830年以上!
東京商工リサーチ社の調べによれば、倉敷市内はもちろん、岡山県内ならびに中国地方でもっとも古い企業なんです!
最初は本店のすぐそばにある藤戸寺(ふじとじ)の境内で参拝者向けに販売していました。
やがて江戸時代前期に店舗で販売するようになり、江戸時代後期の万延(まんえん)元年(1860年)に現在の場所に店舗を建てています。
取り扱い商品は名物「藤戸まんぢゅう」一本!
藤戸饅頭本舗が扱っている商品は「藤戸まんぢゅう」のみ。
昔は、紅白饅頭や最中(もなか)なども売っていた時期もあったそうですが、今は藤戸まんぢゅうだけです。
平安時代末期から続く商品を、今もつくり続けています。
本店の建物は100年以上の歴史!映画のロケ地にも
さきほども紹介したように、藤戸饅頭本舗は江戸時代後期に現在地に店を構えました。
実は現在の藤戸饅頭本舗本店の建物は、明治時代前期に建てられたものです。
なんと100年以上の歴史がある建物!
藤戸饅頭本舗は、商品や企業の歴史だけでなく、建物も歴史があるのです。
▼歴史を感じさせる本店の建物。
▼店内も趣がある雰囲気です。
▼店内に掲げられた古時計は、たいへん貴重なもの。
明治3年(1871年)に、米国の七大時計メーカーのひとつ、ニュー・ヘブン・クロック社が製造したものだそう。
飾りではなく、今も現役で使われています。
外観や店内、備品まで歴史ある藤戸饅頭本舗 本店は、映画のロケ地にもなりました。
▼平成17年(2005年)に公開された『ALWAYS(オールウェイズ) 三丁目の夕日』です。
現在も店内には、映画に関連するものが置かれています。
▼映画の撮影に使われた暖簾(のれん)は、そのまま店で使われていました。
なお俳優の石丸 謙二郎さんは、映画の撮影のほかにも、別の撮影で二度も藤戸饅頭に訪れているそう。
また、映画のファンがロケ地巡りに訪れることも多いとか。
ほかにも、今でもときどきテレビ番組などの収録があるそうです。
藤戸まんぢゅうはこし餡たっぷりの甘酒風味の薄皮まんじゅう
藤戸まんぢゅうのポイントを簡単に紹介すると、以下の3点ではないでしょうか。
- こし餡(あん)
- 薄皮
- 甘酒の風味
藤戸まんぢゅうは、皮がひじょうに薄いです。
ですから、藤戸まんぢゅうの9割以上はこし餡。
藤戸まんぢゅう=こし餡といってもいいくらい、こし餡は重要なポイントです。
藤戸まんぢゅうのこし餡は、北海道十勝産の小豆を使っています。
餡だけ欲しいというお客様もいます!
次のポイントは薄皮です。
藤戸まんぢゅうの皮はとても薄いのが特徴。
しかも、皮が半透明で中のこし餡が透けて見えるほど。
実は藤戸まんぢゅうの皮は、甘酒と小麦粉が原料。
甘酒の風味も藤戸まんぢゅうの特徴です。
甘酒と小麦粉を練り合わせ発酵させ、薄くのばして皮をつくり、これにこし餡をくるむんです。
これを蒸したら、藤戸まんぢゅうになります。
藤戸まんぢゅうは一見、皮が付いてないようにも見えます。
そして、ところどころ白くなったマダラ模様も印象的です。
でも、蒸し上げたら半透明になるんです!
ちなみに白いマダラ模様は、酒粕が発酵した跡なんですよ。
白っぽい皮が、蒸したら透明になるのはとても不思議です。
私は、藤戸まんぢゅうの皮はどうなっているのか気になっていましたので、長年の疑問が晴れました。
実際に藤戸まんぢゅうを食べてみると、皮は薄く透明ながらも、歯が当たるとプニッとした弾力を感じます。
次の瞬間、こし餡のなめらかでしっとりとした舌触り。
味はとても上品でまろやかな甘さです。
しかしながら、しっかりと小豆の風味も感じる、ちょうどよい甘さ。
そしてこし餡の甘さを感じながら甘酒の風味もほんのりと感じてきます。
甘酒の風味が苦手な人でも食べられ、甘酒が好きな人にはたまらない、絶妙な甘酒の風味です。
本当にちょうどよい甘さ・風味なので一個をペロリと食べてしまい、無意識のうちに二個目に手が伸びてしまいます。
何個でも食べられそうな、くどくない甘さが藤戸まんぢゅうの魅力だと思いました。
そのため、日持ちがしませんので気をつけてください。
藤戸まんぢゅうの消費期限は、製造日より3日間です。
藤戸まんぢゅうのラインナップ
藤戸饅頭本舗の商品は藤戸まんぢゅうのみですが、包装と入数で以下のようなラインナップがあります。
包装 | 入数 | 価格(税込) |
---|---|---|
バラ売り(本店・串田店のみ) | 1個 | 76円 |
竹の皮包み | 5個 | 400円 |
10個 | 790円 | |
箱入り | 10個 | 860円 |
15個 | 1,350円 | |
20個 | 1,720円 | |
25個 | 2,100円 | |
30個 | 2,480円 | |
48個 | 4,150円 | |
木箱入り | 20個 | 2,050円 |
30個 | 2,900円 | |
48個 | 4,700円 |
▼竹の皮包み(10個)
▼箱入り(10個)
▼箱入りの包装紙は、藤戸寺と盛綱橋が描かれたもので、藤戸町らしさが出ています。
▼木箱入り(20個)
また、箱入りは土産用に。
木箱は法事などのお供え物や、贈答品などに使われるかたが多いですよ。
バラ売りは藤戸饅頭本舗のみ(本店・串田店)の販売。
土産販売店やスーパーマーケット・百貨店などでは売っていません。
バラ売りは、近所の学生などが帰宅時のおやつに買うこともありますよ。
こし餡のみの販売もしている
藤戸饅頭本舗では、こし餡のみの販売もおこなっています。
もちろん、藤戸まんぢゅうに使われているのと同じこし餡です。
彼岸や年末などになると、当店のこし餡で餅をつくる地元のかたもおられます!
ただし、こし餡の販売をしているのは本店と串田店のみです。
藤戸饅頭本舗以外で購入できる場所
藤戸饅頭本舗の店舗は、藤戸にある本店と串田店のみです。
でも、藤戸まんぢゅうは倉敷市周辺で販売している店がいくつかあるので、藤戸饅頭本舗まで行かなくても買えます。
倉敷市中心部(倉敷駅周辺・美観地区周辺)のおもな藤戸まんぢゅう販売店は以下のとおり。
- 天満屋 倉敷店(地下1階 おみやげ処)
- おみやげ街道 倉敷(JR倉敷駅構内)
- 天満屋ふるさと館(アリオ倉敷1階)
▼天満屋倉敷店 おみやげ処
▼JR倉敷駅構内 おみやげ街道
▼アリオ倉敷 1階 天満屋ふるさと館
ほかにもスーパーマーケット「ニシナ」の市内各店舗や、おなじくスーパーマーケットの「山陽マルナカ」の一部店舗でも取り扱いがあります。
さらに、JR岡山駅構内や茶屋町駅構内の土産物店「おみやげ街道」での販売も。
ただし、藤戸まんぢゅうは人気商品のため、どの販売店でも売り切れることがあります。
確実に手に入れたい場合は、藤戸饅頭本舗の本店か串田店に事前に電話して取り置きしてもらったうえで、本店・串田店まで行って買いましょう。
販売店舗の詳細は、藤戸饅頭本舗の公式サイトを参考にしてください。
藤戸まんぢゅうの歴史〜由来は源平の合戦
さきほど藤戸まんぢゅうは平安時代末期から続くと紹介しました。
そこで、藤戸まんぢゅうの歴史を簡単に紐解いてみたいと思います。
源氏方の武将・佐々木盛綱の村民殺し
もともと現在の藤戸饅頭本舗本店がある藤戸地区は、「児島」という島の一部で、海沿いの地でした。
現在の藤戸地区を流れる倉敷川は、かつて海で「藤戸海峡」という海峡だったのです。
そして、平安時代末期におこった源氏と平家の戦い「源平合戦」で、藤戸地区一帯が戦場になった「藤戸合戦」がおこりました。
藤戸合戦のとき、源氏方の武将・佐々木 盛綱(ささき もりつな)は本土側(現在の倉敷市有城付近とされる)から藤戸海峡を渡って、平家の軍がいる児島へ乗り込もうと画策。
盛綱は、地元の村の若き漁師に、馬でも海峡を渡れるような浅瀬があることを聞きます。
そして、漁師の案内で無事に藤戸海峡を渡って児島側に着いた直後、なんと盛綱は刀で案内をした漁師の首を切り捨て、惨殺したのです。
児島側に渡った盛綱は、平 行盛(たいらのゆきもり)が率いる軍勢の居城を攻め落とし、功績を挙げました。
盛綱はこの活躍で、のちに備前国児島の領地を手に入れ、源 頼朝(みなもとのよりとも)の懐刀として名を挙げることになったのです。
盛綱が漁師を殺した理由は、漁師が平家側に自分のことを教えないためとも、味方に知られず平家打倒を自分の手柄にするためだともいわれています。
また、この話は『平家物語』でも描かれています。
さらに『藤戸』という謡曲にもなって、能の演目としても有名です。
殺された村民の供養の供え物が藤戸まんぢゅうの起源に
殺された漁師が住んでいた村の人たちが、近くにある藤戸寺(ふじとじ)で漁師の霊を供養するための法要をおこないました。
その供養のときに供えられていた饅頭が、藤戸まんぢゅうの起源です。
やがて、この饅頭は藤戸寺境内の茶店で参拝者にふるまわれるようになり、評判となりました。
江戸時代前期の元禄(げんろく)時代になると、饅頭をつくっていた家に「饅座小屋(まんざごや)」という販売店ができます。
この饅座小屋が藤戸饅頭本舗の起源といわれているんです。
天明5年(1785年)に藤戸寺でおこなわれた法要で、参拝者に藤戸まんぢゅうが配られたという記録が残っています。
江戸時代後期の文化年間には、現在の藤戸まんぢゅうに近い形や味になりました。
そして、万延(まんえん)元年(1860年)に現在の本店の地に店を構えています。
▼なお、藤戸寺は現在も藤戸饅頭本舗本店のすぐ南側にあります。
▼本店の裏(北)側の倉敷川には、赤い欄干が印象的な「盛綱橋」がかかっていました。
▼盛綱橋には、大きな佐々木盛綱像が建てられています。
藤戸海峡を馬で渡っている場面の像です。
ちなみに、盛綱橋は大正15年(1926年)にかけられました。
現在の盛綱橋は、平成元年(1989年)に新しくかけ直されたものです。
藤戸饅頭本舗 串田店について
藤戸饅頭本舗は、本店のほかにもう一店舗、串田店があります。
串田店は本店の南およそ1.5キロメートルの地点、本店のすぐそばを通っている県道165号線(藤戸早島線)沿いです。
串田店は工場を併設した大きな店舗。
▼店内も広くてきれいです。
▼店内には和室の休憩所が設けられています。
休憩所では、買った藤戸まんぢゅうを食べてもOK。
食べたいときは、店員に申し出てください。
また、串田店は工場併設のため、できたての藤戸まんぢゅうが食べられることもあるのが魅力です。
なお本店は駐車場がありませんが、串田店には駐車場があります。
串田店の店舗情報
名前 | 藤戸饅頭本舗 串田店 |
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住所 | 岡山県倉敷市串田919-3 |
電話番号 | 086-485-3221 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 午前8時〜午後5時 |
定休日 | 火 第二 水 ※定休日が祝日の場合は営業し、木曜日に休業 |
支払い方法 | 現金 |
タバコ | 完全禁煙 |
子育て | ベビーカーでの入店可能 |
バリアフリー | 車椅子での入店可能 |
800年以上の歴史を持ち、今も倉敷の人々に愛されている藤戸まんぢゅう。
藤戸饅頭本舗の代表取締役・金本 博行(かなもと ひろゆき)さんにインタビューをしました。
藤戸饅頭本舗 (本店)のデータ
名前 | 藤戸饅頭本舗 (本店) |
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住所 | 岡山県倉敷市藤戸町藤戸48 |
電話番号 | 086-428-1034 |
駐車場 | なし (串田店は駐車場あり) |
営業時間 | 午前8時〜午後5時 |
定休日 | 火 第二 水 ※ 定休日が祝日だった場合は営業し、木曜日を休業 |
支払い方法 |
|
予約の可否 | 可 電話にて取り置き可能 |
座席 | |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | |
子育て | ベビーカーの入店可能 |
バリアフリー | |
ホームページ | 藤戸まんぢゅう |