畳表(たたみおもて)・ござの原料である、い草(いぐさ)。
岡山県南部は、かつてい草の一大産地だったことを知っていますか?
倉敷のござの歴史は紀元200年にまでさかのぼり、昭和30年代後半には全国で生産されるい草のほとんどが岡山県産でした。花ござの発祥の地も倉敷。
「い草のことを伝えたい」と2020年3月に倉敷美観地区にできたお店が、「い草屋 花莚(かえん)」です。
い草を使った上質な商品を買えるだけでなく、ワークショップも楽しめる、「い草屋 花莚」を紹介します。
記載されている内容は、2020年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
い草屋 花莚のデータ
名前 | い草屋 花莚 |
---|---|
住所 | 倉敷市本町6-21 |
電話番号 | 086-427-0122 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前10時~午後7時 |
定休日 | 月 月曜日が祝日の場合は翌日 |
支払い方法 |
|
ホームページ | い草屋 花莚 | 冨來屋本舗 |
い草屋 花莚
「い草屋 花莚」は株式会社トライが運営していて、同社の飲食店「冨來屋本舗(とらいやほんぽ)」の中にあります。
冨來屋本舗は、岡山の名産・名物にこだわり、郷土の食材を使用した料理が楽しめるお店です。
黍(きび)を使った「きびそば」など伝承の食文化を元に、創作料理も交えながら、「この地域ならではのもの」を伝えてきました。
同社の運営店舗は、2020年5月現在で、以下の4つ。
店名 | 内容 |
---|---|
冨來屋本舗 本館 | きび蕎麦と郷土料理 |
い草屋 花莚 | 花ござ体験とい草繊維の販売 |
冨來屋本舗 別館 | 千屋牛の専門店 |
地酒屋 | 岡山の地酒専門店(ショップ&バー) |
どれも「ここにしかない岡山」をコンセプトに、郷土のものを知ってもらうことを目的としています。
店内に入ると、い草の青い香りが広がって、心地よくなりました。
店名の書は、「い草筆」を使って書家さんに書いてもらったものだそうですよ。
倉敷のい草の歴史
お店紹介の前に、花莚店内のパネルを参考に、倉敷とい草の歴史とその魅力について簡単に説明しましょう。
倉敷のい草の歴史は、今から約1800年前、弥生時代末期にさかのぼります。
「神功(じんぐう)皇后が倉敷市にあった神社に立ち寄った際、近くに生えていた美しい草で莚(むしろ)を織らせたところ、とても気に入られた」と伝承があり、この草がい草だったといわれているのです。
倉敷市一帯は島が点在する海でした。
江戸時代には倉敷の干拓が本格化。塩分を多く含む土地でも育つ、綿花やい草が広く栽培されました。
い草を加工した「畳表」は、「畳縁(たたみべり)」と合わせて全国的に高い評価を受けたのです。
明治時代には、倉敷でい草を染める技術が開発され、染めたい草で模様を織る観賞用のござ「花ござ」が生まれます。
昭和30年代後半には、岡山県のい草生産量は日本一。
その後栽培は減少していきましたが、高度な加工技術は、今も倉敷で受け継がれています。
い草の魅力 湿度調整とリラックス効果
い草には、湿度が高い時には湿気を吸い、乾燥時には溜め込んだ水分を外に出す、天然の湿度調整機能が備わっています。
その吸湿能力は木炭に匹敵。
6畳の部屋にい草を敷き詰めた場合、約0.7リットルもの水分を蓄えられるそうです。
い草の香りに含まれる成分にはリラックス効果があり、集中力向上・消臭効果などの手助けをする作用があることも知られています。
お土産にもおすすめ!い草屋 花莚の商品
い草屋 花莚では、い草を使ったコースターやかごなど、地元の職人さん・作家さんが作ったアイテムを販売しています。
お店の立ち上げにあたって取り揃えたのは、人の手で作られた作品。手のぬくもりが伝わるような商品構成でスタートしたいと考えたそうです。
今後、商品は増えていく予定。
商品の一部を紹介しましょう。
IGUSA LABOのコースター(500円・税抜)は、さまざまな色柄があり、軽くてコンパクトなのでお土産にも最適!
筆者は家で、IGUSA LABOのコースターを使っています。綿より吸湿性が高く汚れにくいため、使いやすくてお気に入りです。
「IGUSA GLASS」(2,500円~・税抜)は、IGUSA LABOのい草の灰を使って、吹きガラス工房「ぐらすたTOMO」が作っています。
『倉敷とことこ』では、2019年6月にぐらすたTOMOを訪れました。
涼やかなグリーンとシャープな形が、かっこいいんです。
いぐさのかご「いかご」(10,000円・税抜)は、須浪亨(すなみとおる)商店さんのもの。
丁寧に編まれています。
長さ110センチメートルの「い草マット」(6,000円・税抜)や1帖サイズの「花莚」(12,250円・税抜)といった大きなものも、現物を見て買うことができます。
さらっとしたい草の手触りが気持ちいい!
伝統的な手法で染色したい草「染めユ」(1,000円・税抜)や、短いい草を束ねた「根駒(ねごま)」(300円・税抜)といった、変わったものも。
オブジェとして飾ったり、クラフトの材料にしたり。
束ねて飾るだけでも素敵なものだなぁと感じました。
部屋にあると、い草の香りでリラックスできそうです。
店内の奥は、天井から自然光が差し込む吹き抜け空間になっています。天井窓からはアイビーが見え、円形のレンガ壁もおしゃれ。
能勢聖紅(のせ せいこう)さん製作のオブジェが、存在感を放っています。
い草・ござ・根駒・花ござの模様をつくるための型などを組み合わせていて、い草やござってこんなにかっこよかったんだなぁと感じました。
ワークショップで手織り体験
2020年5月現在、多様なワークショップを準備中とのこと!
筆者も体験させてもらいました。
所要時間30分~ 手織りコースター作り
小さな織り機を使って、コースターを作りました。
経糸(たていと)を張った織り機に、好きな色のい草を通していきます。
経糸に対して、い草を手前・奥と交互に通す方法で織りました。
木に沿わせながら、い草をすっと通すだけ。
通し終えたら、くしでトントンと手前に寄せます。
慣れれば簡単!
優しく教えてもらえますし、力はいらず複雑な作業もないので、小学生ならひとりでもできるのではないでしょうか。小さなお子さんでも、親が手伝えば楽しめそうです。
シンプルな動作の手仕事が心地よく、もちろん大人も楽しく作れました。
おおよそ50本ほど繰り返して、端を整えたら完成です。
花ござの手織り体験
続いて、花ござが作れる大きめの手織り機を使って、手織り体験をしました。
一見難しそうですが、仕組みはコースターと一緒です。
棒を使ってい草をすすっと通していくのが気持ちいい。
こちらは持ち帰れませんが、お客さんが少しずつ織ったござは、将来的に店内のオブジェに合体する予定だそうですよ。
みんなの力で進化するオブジェ、いいですね。
その他のワークショップも拡大予定
今後、ミサンガ作りなどの多様なワークショップを検討中だそう。
詳しくはお店にお問い合わせください。
ワークショップを体験したあとは、い草を今までより身近に感じましたよ。
代表取締役の楠戸登美夫(くすど とみお)さんにお話を聞きました。
い草屋 花莚のデータ
名前 | い草屋 花莚 |
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住所 | 倉敷市本町6-21 |
電話番号 | 086-427-0122 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前10時~午後7時 |
定休日 | 月 月曜日が祝日の場合は翌日 |
支払い方法 |
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ホームページ | い草屋 花莚 | 冨來屋本舗 |