倉敷中央通り沿いにある、中華料理やエスニック料理メインとする「きむらや」。店長のなおきむさんに話を聞きました。
縁から生まれた「きむらや」
「きむらや」は2023年11月にオープンしましたが、いつから2店舗目を構えようと思ったのですか?
木村(敬称略)
2023年の春かそれより少し前ですかね。後任が育ってきたタイミングです。アルバイトから社員になった人がいるんですけど、2年間働いていました。その社員がお菓子を作れるので、自分がいなくても店を任せられるんじゃないかという期待があって。
それと774で夜の営業をしていた時期に、厨房と保存のスペースのキャパシティを超えているなとずっと感じていて。2店舗目を持つ考えがちらっとよぎりましたね。
物件は2023年春ぐらいから探していました。
きむらやの前の店が藤食堂さんだったんですが、閉店をされていて。たまたま通ったときに、ここ良いなとは思ったけれど、物件は出ていませんでした。
ちょうどお世話になっている地元の信用金庫さんの担当者に物件の話をしていたら、そのかたの知り合いだったようで。
「物件が見られるようですよ」と言われて「行きます」って返事して。自分は縁を大事にしていたので、縁があった瞬間に決めていたところはあります。その日のうちに見に行って、契約しました。
藤食堂さんの隣(おでん屋だった建物)は、別の物件だったんですが、そちらも信用金庫さんの知り合いでした。契約するときに、1店舗にするか2店舗分借りるか聞かれて、どうせなら大きいほうが良いと思い、今の形に。壁を打ち抜いても良いと言われたので、2店舗をつなげました。
オープン前にクラウドファンディングをしていたそうですが。
木村
資金面でも精神的にも落ち込んでいるときでしたね。クラウドファンディングをさせていただきました。
ふつうはお店を立ち上げるときに、周りの人から応援されるだけでも十分うれしいじゃないですか。それをお金の支援をして、応援の気持ちを文章にしてくださって。そこまでして応援してくれる人がすごい数いたんですよ。本当にそれがすごくありがたくって。
いつもは自分に否定的な性格なんです。だけどこのときは「これだけ応援してもらえているけれど、自分はそんな器じゃないのに」と言ったら、みんなに失礼だなと思いました。感謝と喜びをめちゃくちゃ伝えましたね。
倉敷に根付く店にしたい
きむらやをどのような店にしていきたいですか?
木村
オープン当初からありがたいことに多くのかたに来てもらっていますが、まだ岡山県内でも来られていない人も多いと思います。まずはまだ訪れていない地元の人たちに来ていただきたい。
地域に貢献するなら観光客にも来ていただきたいですね。774にしても地域に根付くことを目指していますが、まだ道半ば。774もきむらやも倉敷に来たら、その店を目指して訪れるような立ち位置になりたいですね。
行きたいと思える個人店が倉敷にもっともっと増えなきゃ、街としておもしろくならないと思っています。そのためには影響力も必要だし、人材も育てて、売り上げも確保しての3拍子が必要ですね。
やりたいことはたくさんあるんですが、次のステップはもっと外に発信できる力を増やさないと、と思っています。きむらやの1年目は、発信を少しずつこなす年にしようかなと。
地域に根付いた店にするために第一段階として、まずは周りの人たちに存在を知ってもらう影響力をつける必要があります。
夢を次の世代につなげたい
木村
自分がもう30歳なので、20代の若者に働いてもらえるような環境を作りたいですね。それがさらに店舗を増やすのか、きむらやとして昼営業をするのか、方法はいろいろとあります。
自分より若い世代にこれまでの経験を生かして、店作りのノウハウも教えてあげられることがあれば良いなと。施工業者さんの見つけかた、店の作りかた、お金の借りかたなど自分が教えてもらいたかったものを伝えられる立場になりたいです。
店作りの順序などを教えて、新しい店が増えてほしいですね。商売はおもしろいよって思ってもらえたらうれしいです。
774を後任に任せているのは、倉敷で飲食をするなかで、自分で物事を考えて働くのは楽しいって思ってほしくって。だから労働時間や休日、長期休み、給料の面でしんどい思いはしてほしくないですね。
ずっと飲食店が働くうえで冷遇されている時代だったからこそ、今の若い子、特に自分が抱えているスタッフには辛い思いはしてほしくないと思っています。
なるべく多い休みを取ってもらって、遊びに行く時間を作って、決められた時間のなかでクリエイティブな思考を持ってほしい。そして自分の想いを継いでくれたスタッフが、次に下を育てるときに、同じことをしてあげようと思ってくれるとうれしいかな。
次の世代につながって、倉敷で同じ想いを持つ人がどんどん増えてほしいです。
たとえば事業展開で店を手放すかどうかにかかわらず、その自分の想いだけはずっと残っていきます。774は手放したわけではなく、想いが伝わっているスタッフに任せているし、信頼しているんで。
自分は任せられるスタッフに会えてラッキーでした。
おわりに
筆者は倉敷とことこで、774の店紹介のときもなおきむさんに取材をしています。774のときも今回のきむらやの取材でも自分の店のことだけではなく、倉敷の地域全体も視野に入れて夢を語っていたのが印象的でした。その夢をなおきむさんは理想で終わらせません。実現に向けて行動しているのも取材をとおして伝わってきました。
はじめは一人経営からスタートしたなおきむさんは、今やスタッフを抱えるように。楽しく働いてもらえるよう尽力し、774ができて約2年半後に2店舗目のきむらやも誕生しました。スピード感に驚きますが、「でも全部勢いなんですよ」と笑って答えるなおきむさん。
今後もきむらや、そしてなおきむさんの進化が楽しみです。
きむらやのデータ
名前 | きむらや |
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住所 | 岡山県倉敷市中央1-7-15 |
電話番号 | 086-697-6397 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午後6時~午前0時(ラストオーダー 午後11時) |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 可 |
座席 | 24席 カウンター席6、テーブル数3(4人・4人・6人掛け)、窓カウンター席4 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | |
バリアフリー | |
ホームページ | きむらや |