2月から3月ごろは、日本酒好きにはたまらない時季です。
それは、秋に収穫された新米を使った「新酒」や「初しぼり」などと呼ばれる酒ができあがる「新酒シーズン」だから。
この時季でしか味わえないフレッシュな酒をぜひ飲みたいですよね。
そんな日本酒好きのために、多くの酒蔵では新酒を楽しめる「新酒まつり」を開催します。
令和2年(2020年)の岡山県の新酒まつり一発目となる「熊屋酒造 令和2年 伊七新酒まつり」が、2月9日に開かれました。
さっそく熊屋酒造の新酒まつりに出かけてみましたので、そのようすをレポートします。
令和2年は熊屋酒造を皮切りに、岡山県のさまざまな酒蔵で次々と新酒まつりが開催されますので、この記事を参考にして、ほかの新酒まつりにぜひ出かけてみてください。
記載されている内容は、2020年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
熊屋酒造 令和2年 伊七新酒まつりのデータ
名前 | 熊屋酒造 令和2年 伊七新酒まつり |
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期日 | 令和2年(2020年)2月9日 午前9時〜午後3時 |
場所 | 岡山県倉敷市林705 (熊屋酒造) |
参加費用(税込) | ・入場無料 ・試飲する場合は試飲券(6杯分)500円(消費税込)、追加3杯分ごと100円(消費税込) |
ホームページ | 熊屋酒造 有限会社 公式Facebook |
熊屋酒造とは?「伊七」「巴福正宗」で知られる倉敷市内有数の老舗酒蔵
新酒まつりの会場は、主催の熊屋酒造の敷地内です。
熊屋酒造は「伊七(いしち)」「巴福正宗(ともえふく まさむね)」「庵(あん)」などの銘柄で知られる酒蔵。
倉敷市児島地区の北部、郷内(ごうない)というエリアにあります。
郷内は、JR倉敷駅の南東およそ9キロメートルの場所で、古くから修験道の聖地として栄えました。
現在も熊屋酒造のすぐ近くには、熊野神社や五流尊瀧院(ごりゅうそんりゅういん)などの史跡があります。
そんな歴史ある場所にある熊屋酒造の創業は、なんと江戸時代中期の享保元年(1716年)。
熊屋酒造は、倉敷市内でも有数の老舗企業なのです。
熊屋酒造の新酒まつりは令和2年で県下の新酒まつりのトップバッター
熊屋酒造の新酒まつりは、令和2年(2020年)に岡山県下の酒蔵でおこなわれる新酒まつりのトップバッターです。
日本酒は秋に米が収穫されたあと、新米を原料にして仕込み始め、1月から3月にかけて「新酒」ができます。
新酒の定義はいろいろありますが、この時期にできる新酒は「初しぼり」とも呼ばれ、フレッシュで荒々しさのある味わいが魅力です。
熊屋酒造 伊七新酒まつりの概要
熊屋酒造の伊七新酒まつりでは、以下のような見どころがあります。
- 伊七 試飲コーナー
- 甘酒コーナー(無料)
- 新酒まつり限定酒販売コーナー
- 屋台・イベントコーナー
- クジ引きコーナー(空クジなし)
屋台では、いろいろおいしそうな店が出店しています。
伊七新酒まつりは、お酒を飲まない人や子供でも楽しめるイベントです。
▼会場のマップは、以下のとおり。
会場の熊屋酒造へは倉敷・茶屋町駅からシャトルバスで向かう
新酒まつりの会場となる熊屋酒造では、駐車場に限りがあります。
そのため、会場へは公共交通機関の利用がおすすめ。
▼イベント当日は、JR倉敷駅・JR茶屋町駅と熊屋酒造のあいだでシャトルバスが運行されています。
▼私は、JR倉敷駅からのシャトルバスを利用しました。
▼倉敷駅西ビルのすぐ南側が発着場所です。
朝1番の便を利用しましたが、バス2台の両方が満席だったので、立って乗りました。
とても人気のイベントなんだと感じます。
JR倉敷駅から約20分かけて、会場近くの五流尊瀧院の参拝者用駐車場へ移動。
▼そこから徒歩3分ほどで、新酒まつりの会場である熊屋酒造へ到着です。
熊屋酒造の酒を試飲!大人気の試飲コーナー
やはり、新酒まつりの一番の目当ては試飲コーナーでしょう!
▼予想どおり、試飲券販売所はたいへんな行列です。
▼熊屋酒造の伊七新酒まつりの試飲システムは以下のとおり。
- 試飲券販売所で試飲券(蔵元厳選飲み比べ3杯券、試飲券×3枚)を500円(消費税込)で購入
- 蔵元厳選の3杯を試飲
- 7種類の酒の中から好みの種類を3杯選んで試飲
- まだ試飲したい場合は、お替わり試飲券3枚セットを100円(消費税込)で購入(最初の試飲時のトレーがないと300円)
なお、試飲する酒の銘柄はすべて「伊七」です。
▼500円で試飲券を購入すると、伊七オリジナルおちょこがプレゼントされました。
▼500円の試飲券は蔵元厳選飲み比べ3杯券が1枚と、通常の試飲券が3枚がセットになっています。
▼さっそく試飲会場へ向かいます。
▼スタッフが次々と試飲の酒を準備していました。
▼まずは、蔵元が厳選した3杯の試飲です。
- 左:純米大吟醸 生酒
- 中:山田純米大吟醸 五割五分 生酒
- 右:朝日純米吟醸 高梁川源流域水仕込み 生酒
▼「純米大吟醸 生酒」は、甘く芳醇でフルーティー。スッキリした味わいです。
▼「山田純米大吟醸 五割五分 生酒」は、甘い口あたり。
純米大吟醸 生酒より、香りがやや強めな印象です。
▼「朝日純米吟醸 高梁川源流域水仕込み 生酒」も甘めの味わいですが、まろやかでこくがある印象でした。
また、ほんのりと黄色がかっているのも特徴的です。
▼つづいて7種の中から3種を選んで試飲します。
- 純米大吟醸 生酒
- 山田純米大吟醸 五割五分 生酒
- 朝日純米吟醸 高梁川源流域水仕込み 生酒
- 大吟醸酒
- 倉敷吟醸(純米吟醸酒)
- 備前伊七(特別純米酒)
- 雄町60 特別純米酒 生酒
専門用語が多いので、以下簡単に説明します。
大吟醸/吟醸 | 原料となる米を精米するとき、50%以上削った(精米歩合50%以下)のが大吟醸、40%以上削った(精米歩合60%以下)のが吟醸。米の中心に近い部分のみを使用している。 |
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純米 | 醸造アルコールを入れず、水・米・米麹(こうじ)だけでつくった酒。 |
生酒 | 加熱(火入れ)していない酒。酵母の活動が停止していない。 |
山田 | 山田錦のことで、酒造に最適とされる米の品種。 |
朝日 | 岡山県で栽培がさかんな米の品種。 |
雄町 | 岡山市中区の雄町地区原産で、酒造に最適とされる米の品種。 |
1〜3は、最初に試飲した蔵元厳選の3杯です。
せっかくなので、4〜7から3杯を選びました。
▼試飲に選んだのは、以下の3杯。
- 左:4 大吟醸酒
- 中:5 倉敷吟醸(純米吟醸酒)
- 右:7 雄町60 特別純米酒 生酒
▼「大吟醸酒」は、甘い風味ながらキリリとした飲み口。
▼「倉敷吟醸(純米吟醸酒)」は、甘さは控えめで、スッキリかつキリリとした口あたりで飲みやすかったです。
▼「雄町60 特別純米酒 生酒」は、まったりとした風味です。
1種類だけ試飲できなかったので、100円でお替わり試飲券3枚セットを購入しました。
▼お替わり試飲したのは、以下の3種です。
- 左:4 大吟醸酒
- 中:6 備前伊七(特別純米酒)
- 右:1 純米大吟醸 生酒
▼最後の7種類目「備前伊七(特別純米酒)」は、ほのかな甘みと少しトロリとした感じのまろやかな口あたりです。
その後もお替わり試飲を続けました。
▼さらに、試飲コーナーとは別の場所に「郷内」という銘柄の試飲もあり。
美観地区にある「和酒楽食 せりべ」を取材したときにも飲んだ酒です。
そのため合計で8種類・16杯を試飲!
飲み比べると、それぞれの酒の特徴がわかりやすくて、とても楽しいです。
新酒まつり限定酒「寒しぼり」の販売コーナーも人気
伊七新酒まつりでは、新酒まつりでしか販売されない限定酒も売っています。
▼限定酒は「寒しぼり」というもの。
▼限定酒の販売コーナーも、試飲コーナーと同じくらいの盛況ぶりでした。
▼別の場所では、試飲コーナーで飲んだ7種類の酒も販売。
▼さらに「郷内」銘柄の販売コーナーもありました。
郷内は、名前のとおり郷内地区でとれた朝日米を使った純米吟醸酒です。
▼私は伊七新酒まつりで、「郷内」と限定酒の「寒しぼり」の2つを購入。
▼寒しぼり
▼郷内
ほかにも欲しい酒はたくさんあったので、かなり迷いました。
▼寒しぼりは、上品な甘さとコクのある豊かな風味です。
▼郷内は、甘くフルーティー。
まろやかな口あたりなので、とても飲みやすかったです。
おいしそうな屋台もたくさん!
熊屋酒造の伊七新酒まつりでは、酒以外にも楽しいことがたくさんありました。
なかでも注目は、たくさん出店している屋台です。
伊七新酒まつりに出店していたおもな屋台は、以下のような店。
- NPO郷内村(ポン菓子)
- 地場青果市場(青果)
- ベーカリーラボ コンパン(パン)
- うまか亭(イイダコのから揚げほか)
- 肉の中山(千屋牛サイコロステーキ串)
- 我流たつみ(寄島牡蠣の蒸し焼き)
- 飛竜(ラーメン)
- 木下農園(こだわりトマト)
- じっくん蕎麦(そば)
- レンコンコロッケ
- 丸亀つぼ屋(骨付鶏)
- お好美屋(明石焼き)
- 倉koi(牛スジ煮込み、水ギョウザ)
- 樽出し奈良漬
▼香ばしい匂いがする千屋牛サイコロステーキ串は、大人気。
▼寄島牡蠣もおいしそうです。
▼倉敷名産のレンコンを使ったレンコンコロッケは、行列のできる盛況ぶり。
▼レンコンチップや、レンコン同様に倉敷の名産であるゴボウを使ったゴボウチップも販売していました。
▼私が気になったのは「うまか亭」。
▼地元の魚を使った揚げ物を中心に販売していて、どれもおいしそうでした。
▼うまか亭は真備町に拠点があり、いろいろなイベントに出店しているとのこと。
▼「イイダコのから揚げ」を買いました。
▼サクサクの衣と、一口サイズのイイダコ特有のプニプニとした歯ごたえがクセになります。
▼さらに「メバルのから揚げ」。
▼一匹丸ごとカラッと揚げています。
メバルのから揚げは、注文後に二度揚げをして渡してくれました。
▼頭から一気にほおばります。
二度揚げし、さらに揚げたてなので、骨までサクサク。
まるで、せんべいのようです。
ほかにも、いろいろな出し物もありました。
▼倉敷出身で岡山を中心に活動する芸人の京極(きょうごく)さん。
お笑いのステージもありましたが、私が行ったときはバルーンアートをやっていました。
▼地元の音楽デュオのライブも。
熊屋酒造の酒を飲みながらの演奏も、新酒まつりならではです。
おわりに
新酒まつりは、酒好きにはたまらないイベントです。
いっぽうで酒を飲まない人や子供は退屈なのかな、というイメージがありました。
実際に行ってみると屋台もたくさんあって、お酒を飲まない人や子供も楽しめるイベントです!
令和2年は、熊屋酒造の新酒まつりを皮切りに、岡山県内のたくさんの酒蔵で新酒まつりが開催されます。
岡山県庁の備中県民局では、2月〜4月にかけて開催される新酒まつりをめぐる「岡山酒蔵めぐりスタンプラリー」も開催。
ぜひ、岡山酒蔵めぐりスタンプラリーも参加してみてはいかがでしょうか。
熊屋酒造 令和2年 伊七新酒まつりのデータ
名前 | 熊屋酒造 令和2年 伊七新酒まつり |
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期日 | 令和2年(2020年)2月9日 午前9時〜午後3時 |
場所 | 岡山県倉敷市林705 (熊屋酒造) |
参加費用(税込) | ・入場無料 ・試飲する場合は試飲券(6杯分)500円(消費税込)、追加3杯分ごと100円(消費税込) |
ホームページ | 熊屋酒造 有限会社 公式Facebook |