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倉紡記念館 ~ 日本遺産にも認定。日本の紡績産業と倉敷の歴史を伝える、クラボウの企業ミュージアム

倉紡記念館 ~ 日本遺産にも認定。日本の紡績産業と倉敷の歴史を伝える、クラボウの企業ミュージアム

観とこ / 2025.06.29

倉敷アイビースクエア 総務部長の髙橋亮輔さんにインタビュー

倉敷アイビースクエア 髙橋亮輔総務部長

倉敷アイビースクエア総務部部長の髙橋亮輔(たかはし りょうすけ)さんに話を聞きました。

倉紡記念館は歴史的価値が認められ、さまざまな認定を受けられていますね。

髙橋(敬称略)

はい、倉敷美観地区一帯は江戸時代の姿も、明治・大正・昭和の姿も残しながら今に至っています。

倉紡記念館はそのなかにあって、明治の殖産興業の政策下で作られた近代化のための紡績工場の姿が当時のまま残っていることから「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」の日本遺産の構成文化財に認定されました。

また、戦争や老朽化で明治期の紡績工場が姿を消してきたなかで、繊維産業の歴史を現代に伝える貴重な建物として、登録有形文化財近代化産業遺産にも認定されています。

二代目社長の大原孫三郎が100年以上も前に取り組んだ労働施策が、今の時代にも引き継がれていることなども伝えているという点でも非常に価値があり、展示物の一部が日本労働遺産にも認定されています。

クラボウの創業は倉敷の町にどのような影響を与えたのでしょうか。

髙橋

創業以来、規模を拡大し雇用を生んでいくなかで、クラボウは人材育成、従業員の幸せを常に考えていました。工場内に学校を作った取り組みは当時(明治〜大正時代)としては先進的であったと思います。

特に二代目社長の大原孫三郎は労働理想主義に基づき、ただ会社が一方的に利益を得ればよいというのではなく、従業員も幸せになるWin-Winの関係でないと、会社は持続的には発展しないという考えのもとに経営しました。

二代目社長 大原孫三郎氏
二代目社長 大原孫三郎氏

従業員寮の整備や健康診断を実施したり、従業員のために倉紡中央病院現在の倉敷中央病院)を作ったりしました。病院は後に地域住民にも開放されています。

このほかにも「大原社会問題研究所」「倉敷労働科学研究所」「大原奨農会農業研究所」などを設立し、さまざまな施策を通じて地域や社会への貢献に力を注ぎ、社会に大きな影響を与えました。

こうした取り組みは少なからず、倉敷の町の発展につながっていると思います。

記念館の見どころを教えてください。

髙橋

やはりクラボウという会社の歴史とともに産業の近代化を牽引(けんいん)し、明治・大正・昭和の途中までは日本の経済を支えていた紡績産業の歴史も伝えているところにあると思います。

社内報検索画面

珍しい点としては、100年以上前から続く社内報をすべてご覧いただけることです。
紙媒体だったものも修復しデータ化しており、1913年(大正2年)分から閲覧できるようになっています。第二次世界大戦中も発行が続けられていたため、軍需工場時代のようすなど、時代の移り変わりも感じていただけると思います。

面白いのは昔の貴重な動画が見られるということ、時代を感じてもらえるのではないでしょうか。

倉敷市民にメッセージをお願いします

髙橋

意外と地元のかたでも、「アイビースクエア」という名前は知っていても、倉紡記念館には訪れたことがないかたが多いと思います。

倉敷の町を支えてきた企業であり、貴重な歴史資料もあります。ぜひお越しください。

おわりに

倉敷美観地区を創業の地とした、クラボウの歴史を伝える倉紡記念館。

分厚い床板に高い天井、結露を防ぐために壁から張り出した桟や赤レンガの壁。初めて足を踏み入れた館内はまるでタイムスリップしたかのような空間でした。

日本の一時代を支えた紡績産業、その一翼を担ったクラボウの変遷の記録からは、それぞれの時代の倉敷の姿を垣間見ることができました。

倉敷アイビースクエア西門から入ってすぐの、少し奥まった場所にある倉紡記念館には、紹介しきれなかったお宝がまだまだあります。

ぜひ実際に足を運んで探してみてください。

倉紡記念館のデータ

倉紡記念館外観
名前倉紡記念館
所在地岡山県倉敷市本町7-1(倉敷アイビースクエア内)
電話番号086-422-0011
駐車場あり
倉敷アイビースクエア駐車場(有料)が利用可能
開館時間午前10時~午後4時(入館は午後3時45分まで)
休館日なし
入館料(税込)個人:一般300円/学生250円 
団体(30人以上):一般250円/学生200円
小学生未満は無料
支払い方法
  • 現金
予約について不可
タバコ
トイレ
施設内にトイレがないため、「愛美工房売店」に隣接するトイレが利用可能です(洋式トイレ)
子育て
バリアフリー常設ではありませんが、車いす用スロープは利用可能です
ホームページ倉紡記念館ホームページ
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井ノ上美恵子

井ノ上美恵子

岡山市在住。2021年に会社を退職し、ハーブを育てたり料理に勤しんだりする日々を過ごしております。倉敷とことこを通じて、頑張っていらっしゃる皆さんの活動を楽しくお伝えし、応援していきます。

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倉紡記念館第1室

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