民芸品と聞くと、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
民芸品とは日常生活に必要なものを、つかいやすく長くつかってもらうためにつくられたものです。
毎日つかうからこそ、つかいやすさが追及され、用の美という言葉が生まれました。
当たり前に思える道具ひとつをとっても、今の姿になったのには理由があるのだとか。
日本文化と生活をつなぐ民芸品のお店、「手仕事の店 倉敷民芸」を訪ねました。
記載されている内容は、2022年7月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
手仕事の店 倉敷民芸のデータ
名前 | 手仕事の店 倉敷民芸 |
---|---|
住所 | 岡山県倉敷市阿知2-17-25 |
電話番号 | 086-425-3184 |
駐車場 | あり 利用料金に関わらず1~2時間無料(商店街提携駐車場) |
営業時間 | 午前10時から午後7時まで コロナ禍は午後6時までの時短営業(臨時的措置) |
定休日 | 月 祝祭日は営業(振替休日の場合は水曜日) |
支払い方法 |
|
倉敷駅から南へ出て、倉敷中央通りに向かう。
セブンイレブン倉敷駅前支店の先を左折する。
えびす商店街を進む(260メートル)。
阿智神社西参道の入り口を右折し、本通り商店街へ入る。
右手に店舗が見える。
手仕事の店 倉敷民芸とは
阿智神社西参道入口から、美観地区に向けて少し歩くと、右手に趣のある佇まいのお店が見えてきます。
お店の名前は手仕事の店 倉敷民芸(以下:倉敷民芸)。主に木と竹の民芸品を扱うお店です。
開業は1980年1月1日。今年(2022年)で開業43年目を迎える店内には、店主が職人さんを訪ね集めた品が並んでいます。
もとは、本通り商店街の別の場所ではじまった倉敷民芸。
開業から10年経ったころ、知人から譲り受けた現在の場所へ移転しました。
茶褐色の腰壁と白い壁の建物がつづく商店街。そのなかでもひときわ堂々とした看板と外観が、訪れた人々を迎えてくれます。
お店入り口の両側にある窓には、倉敷代官所でつかわれていた武家格子が再利用されているのだそう。
お店の外装をリニューアルする際、廃棄予定だった武家格子をつかってほしいという声があり、現在の姿になりました。
歴史を紡いできた武家格子のお話が、長くつかわれるように出会いを待っている民芸品のお店をより趣深くしています。
店主の目利きと知識であつめられた民芸品
店内のようす ~ あちこちで出会いを待つ民芸品たち
店内に入ると、汁椀(しるわん)や箸などのなじみ深い日用品が出迎えてくれます。
親しげな器の表情を思わずじっと見つめた後、店内を見渡すと、左手に台所で活躍するキッチンツールが見えました。
整然と並んでいるようで、ひとつひとつがまったく違う表情を見せてくれるので、ここでも商品を見つめてしまいました。
節の位置や色味など、手に取ればきっと自分だけのものが見つかるという気さえします。
キッチンツールの向かい側には、木製のカップがありました。
漆器の色味を楽しめるものもあれば、木目が面白いものも。
優しい稜線(りょうせん)や波打つような細かい畝(うね)は、持ちやすそうだなと感じさせてくれます。
それと同時に職人さんの手仕事の細やかさが思われ、思わず声がこぼれました。
店内をぐるりと見渡した最後には、レジ前に陳列された曲げわっぱに目が留まりました。
曲げわっぱの二段重を見たのは初めてで、思わず目が点になります。
木でこんなにもきれいな曲線が描けるのは、まさしく職人技だ!と感嘆したのでした。
職人技!と、うなりたくなる品は他にもあります。
山ぶどうのカゴバッグ
倉敷民芸で人気の商品といえば、山ぶどうのカゴバッグ。
ひとつひとつ手仕事でていねいにつくられる品は、100年つかえるのだそう。
山ぶどうのカゴバッグをつくるのは、もともとは寒さの厳しい北国での冬の手仕事だったそうです。
つかわれている山ぶどうの蔓(つる)は、寒冷地で育ったものでないとうまく編めないのだとか。
編み方も、さまざまなものが並んでいました。
以前、筆者の子どもが通っていた保育園の先生がたが、藤の花の蔓をつかってクリスマスリースの土台をつくってくれていたことがありました。
園庭に毎年咲く藤棚を再利用したものです。
乾き過ぎれば堅くなって扱いが難しくなるんです、と保育園の先生が話してくれたことを思い出しました。
改めて、目の前の規則正しい編み目に魅了されます。
100年つかえるものをつくる人がいるとすれば、わたしたちは親子代々でつかい、長く後世へ伝えたいと感じました。
木の器
店奥に、木の器が並ぶスペースがあります。
木の質感をそのまま魅せた白木の器と、仕上げ塗装が施された器。
どちらも同じ木の器ですが、仕上げ方によってこんなにも表情が違うのかと驚かされます。
同じ汁椀でも、つかわれた木の部分が違うため、木目がまったく違うのが見てとれます。
実は、趣味が高じて木でお皿をつくろうとしたことがあるのですが、とても普段づかいになるようなものには仕上がりませんでした。
木というのは、節目があったり木目の向きがあったりして、同じように彫れないこともよくあります。
ざらざらの木肌が、手に触れても気にならないところまで磨き上げるには、機械をつかったとしても力と時間が必要です。
陳列された汁椀の縁は、口元に合わせてか、ふんわりと丸く整えてありました。
ひとえに、つかいやすくするために力と時間をかけて受け継がれてきた、職人さんのこだわりを垣間見た気がします。
日本で古くからつかわれていたのは、木の器なのだそうです。
木の器でなければ、できたてのものを入れた器を持ち上げたり、直接口をつけたりする日本特有の食事マナーはなかったかもしれません。
軽くて、持ちやすく、冷めにくいという多機能な点が木の器、ひいては民芸品の魅力だといいます。
あらためて、民芸品の魅力やそれぞれの品に関わる逸話などについて、店主の野嶋雅弘(のじま まさひろ)さんに聞きました。
手仕事の店 倉敷民芸のデータ
名前 | 手仕事の店 倉敷民芸 |
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住所 | 岡山県倉敷市阿知2-17-25 |
電話番号 | 086-425-3184 |
駐車場 | あり 利用料金に関わらず1~2時間無料(商店街提携駐車場) |
営業時間 | 午前10時から午後7時まで コロナ禍は午後6時までの時短営業(臨時的措置) |
定休日 | 月 祝祭日は営業(振替休日の場合は水曜日) |
支払い方法 |
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