浅口市鴨方町は、江戸時代より手延べ麺の産地として栄えてきた岡山県内有数の「麺どころ」。市内には大小の手延べ麺を製造する業者が点在しています。
この記事で紹介する、株式会社スズキ麺工(以下、「スズキ麺工」と記載)は、製麺機をはじめ、麺づくりに欠かせない機械を作っている機械メーカーです。
一般消費者の目に触れることは少ないものの、私たちの食生活を陰で支える製麺機の世界と、ものづくりへの思いを取材しました。
記載されている内容は、2026年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
始まりは水車と石臼から

スズキ麺工は1922年(大正11年)水車による製粉業で創業し、今年(2026年)で創業104年を迎える企業です。
浅口市鴨方町は、江戸時代より水田の裏作として小麦の栽培が盛んな地域でした。
収穫した小麦を、町内を流れる杉谷川(すぎたにがわ)の水車と石臼(いしうす)により製粉し、小麦粉を使った保存食として作られるようになったのが、当地における手延べ麺づくりの始まりといわれています。

おもに農閑期(冬季)の副業としておこなわれてきた手延べ麺づくりは、人力による手作業が多く重労働でした。

1930年(昭和5年)、創業者の鈴木弥一(すずき やいち)氏は手延べ麺づくりのなかでもっとも手間のかかる作業であった「カケバ」工程の省力化を実現する「二丁掛カケバ機」を開発します。
カケバとは、機械で2本のくだに直径約0.5cmとなった麺を8の字状に巻き付ける作業のこと。

二丁掛カケバ機は近隣同業者の目にとまり、瞬く間に全国に普及していきました。以降、麺機メーカーとしてさまざまな製品を開発・販売し、現在に至ります。
また、麺機以外の食品機械も開発・製造していて、京都土産としておなじみの生八ツ橋の製造機も手がけています。

また、本社から南に2kmほどの場所には自社の食品工場があり、長年の製麺機づくりで培った技術を用いて各種の麺を製造しています。

脈々と受け継がれるものづくりのDNA
本社敷地内には、大きく分けて三つの工場があります。

組立工場
組立工場では設計図をもとに機械を組み立てています。この工場から国内外のユーザーのもとへ、さまざまな製麺機が出荷されていきます。

取材時には、お客様に納入する大型製麺機の組立準備が進められていました。

こちらの機械は麺の生地をこねる「ミキサー」。

ラーメン店などの自家製麺で使われる小型のものから、大型のものまでニーズに合わせたラインナップを誇ります。
バリカンのようなこちらの機械は、乾麺の端部を切りそろえる機械です。

端部を切りそろえることで廃棄する部分が減り、フードロスの削減に寄与しています。
切刃工場
隣の切刃工場では、製麺機の心臓部である「切刃」を作っています。

以前は専門の外注業者に製造を依頼していましたが、外注先が廃業したため、従業員と設備を本社工場内に移転して、2003年(平成15年)に「切刃部」として設立しました。
職人の手仕事と最新の工作機械が融合した工場です。

こちらは岡山県内の企業が開発したCNC(数値制御)普通旋盤を用いて、円筒の外周に無数の刃を加工しています。
CNC(数値制御)普通旋盤とは、加工したい素材を回転させ、刃物をあてることにより、円筒形状に削り出す機械です。

また、夜間無人運転ができる最新鋭の複合加工機を導入することで、加工の省力化にも取り組んでいます。

切刃の最終仕上げは、人手でおこなわれます。
機械工場
各種の工作機械が並ぶ機械工場では、機械の組立に使用する部品を自社製造しています。
こちらは、2025年に導入されたCNC普通旋盤です。

切刃工場で使用しているものより大型で、従来は職人の手作業でおこなっていた麺機のローラーなどの加工の自動化が期待されています。
スズキ麺工の原点である「二丁掛カケバ機」。

改良型の新型はメッキ仕様の外装、ステンレスや樹脂の部品を多用し、より衛生にも配慮した作りとなっています。

スズキ麺工の今までとこれからについて、代表取締役社長の鈴木保夫(すずき やすお)さんに話を聞きました。
株式会社スズキ麺工のデータ

| 団体名 | 株式会社スズキ麺工 |
|---|---|
| 業種 | 製麺機製造、麺類製造 |
| 代表者名 | 鈴木保夫 |
| 設立年 | 1922年 |
| 住所 | 岡山県浅口市鴨方町本庄509-1 |
| 電話番号 | 0865-44-2125 |
| ホームページ | 株式会社スズキ麺工 |











































