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店長・蕨野裕一郎さんにインタビュー

竹姫の店長・蕨野裕一郎(わらびの ゆういちろう)さんに、竹姫誕生のきっかけと、今後の展望についてお話を聞きました。
「竹姫」は真備町の美容室から生まれた
着物リメイクはどのようなきっかけで生まれたのですか?
蕨野(敬称略)
義母が、もともと真備で「M2(エムツー)」という美容室を営んでいて、そこでは成人式やブライダル用の着物のレンタルもおこなっていました。
レンタルや着付けも対応していくなかで、所持している着物の数もかなり増えたのですが、数が増えるとやはり出番の少ない着物も出てきて、着ない着物がもったいないと感じていたんです。

そこで、「着物でドレスを作ったら、着てもらえる機会も増えるかな」と着物ドレスを作りはじめたことから、着物リメイクがスタートしました。最初に作ったのがドレスでしたね。
着物ドレスを作りはじめたのは10年以上前ですが、当時は世間的にもかなり珍しかったと思います。
義母は美容室を営む傍ら、着物ドレスを東京の催事へ出店して「海外にも行かないか」と声を掛けていただいたこともあるようです。しかし、美容室の本業との両立が難しかったので、しばらくは販売店を出さずにレンタルを続けていました。
最初はレンタルのみだったんですね。真備町は平成30年7月豪雨がありましたが、被害はありましたか?
蕨野
豪雨災害では、美容室が全部水に浸かってしまいました。着物もドレスもほとんどダメになってしまって、お店自体も復旧できず、営業できなかった期間があります。
ただ、すぐに地元のお客さんたちから「お店を開けてほしい」「早く髪を切ってほしい」という声をもらいました。美容室は長年地元でやってきたお店だったので、お客さんからいろいろな声があったみたいです。おそらく、お客さんも美容室も被災者同士で、話しやすいこともあったんだと思います。
被災した1か月後には玉島の仮店舗で営業再開して、そこから1年半後、真備に新店舗を建てて戻ってきました。
美容室が復活した後、どのような流れで竹姫の店舗をオープンすることになったのですか?
蕨野
被災後はレンタルできる着物がほとんどありませんでしたが、お客さんが着物を何着か持ってきてくださったので、頂いた着物でなにかできないか考えていました。
当時私はアパレル会社で働いていて、義母に「着物ドレスに合わせるなら、タキシードとして着られる着物ジャケットを作ったら、他のブランドにもないようなカッコいいものが生まれるんじゃないか」と話したことがありました。そこで、お客さんから頂いた着物で着物ジャケットを作ることにしたんです。

初めて出来上がった着物ジャケットを見たとき、本当にすごくかっこよくて。
これは『借りたい!着たい!』と思ってくれる人がきっといる、と思いましたね。
そこから少しずつ私もお店をお手伝いするようになり、義母から「着物リメイク品のお店をオープンするから任せたい」とお話をもらって、勤めていた会社を辞めて竹姫の店長として準備を進めていきました。
ジャケットやエコバッグ、ネクタイ、アロハシャツなど、新たなリメイク品を少しずつ増やし、着物ドレス以外のリメイク品も販売できるようにして、2023年8月に竹姫がオープンしました。
着物リメイク品を手に取ったお客さんの反応
お客さんから特に反響があるアイテムはなんですか?
蕨野
お客さんに特に喜ばれるのは、その場で選んでいただいた着物生地で作るリメイク品です。
小物であれば店内で作れるので、お好みの生地でオーダーが可能です。

たとえば、美観地区を観光する前にお店に寄って注文してもらえたら、観光されている間にアイテムを作れるので、帰られる際に完成品をお渡しするといったこともできますよ。
お土産や旅の記念として、多くのかたに喜んでいただいています。喜ぶ姿を見られると、作った僕までうれしくなりますね。
着物は重いイメージがありましたが、想像上に軽くて着心地が良いですね
蕨野
そうなんです、着物は意外と薄くて軽いんですよ。
結婚式や成人式で着る着物は、裏地がついているので厚みも感じられますし、帯が締まるので動きにくい印象を持っているかたも多いんですが、着物自体はたいして重くないんです。試着されて驚くかたも多いですね。

いずれは海外にもリメイク品を届けたい
お店の今後の展望について教えてください。
蕨野
まずはアイテムの種類を増やして、着物リメイクでさまざまなコーディネートを楽しめるようにしていきたいです。
あとはブランドの認知度も上げたいので、遠方にお住まいのかたでも着物を持ち込んでリメイクできるような仕組みや、海外に向けたECサイトの制作や出店も検討しています。
いずれは海外の舞台で着物リメイクを出していきたいですね。
最初は日本で着物リメイクを広めていくのがセオリーかもしれませんが、海外から来られたお客さんの反応を見ていても、着物の魅力を新鮮に感じてもらえると実感したので、挑戦してみたいです。
今はジャパンエキスポの出店を目指して、準備を進めています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
蕨野
竹姫は、リメイク品をとおして着物を気軽に楽しめるようなブランドにしていきたいと思っています。
日々のコーディネートにぜひ着物を取り入れていただきたいですし、思い入れのある着物をリメイクして普段使ってもらえたら良いなと思うので、ぜひ着物リメイクに興味を持っていただけたらうれしいです。
あとは、ブランドや商品だけでなく、スタッフである私たちも好きになってもらえるようなお店にしていきたいと考えています。
家に帰ってリメイク品を手に取ったときに、私たちのことを思い出してもらえる……そのような心に残る接客を提供できたらと思うので、ぜひお店に来てみてくださいね。

おわりに
竹姫に並ぶ着物リメイク品はどれも日常使いがしやすく、「特別な機会に着るもの」「重くて硬い」という着物の概念が吹き飛ぶようなものばかりでした。
他の人とはかぶらない、一点物のデザインというのも愛着が湧くポイントになりそうです。
着物ドレスをはじめ、どのアイテムもこだわりぬいた職人技が光っており、竹姫が生み出す唯一無二の魅力だと感じました。
また、お店のかたもていねいにアイテムを説明してくださるので、会話も含めて買い物の時間が楽しく過ごせると思います。
コーディネートにひとつ取り入れるだけでも、品の良さが格段に上がる着物リメイク。
竹姫のアイテムを通して、着物のおしゃれを身近に楽しんでみてはいかがでしょうか。
着物リメイク「竹姫」のデータ

名前 | 着物リメイク「竹姫」 |
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住所 | 岡山県倉敷市阿知2丁目25−45 204号 |
電話番号 | 050-8890-3909 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前10時から午後6時 |
定休日 | 月 月曜日が祝日の場合は営業 最新の営業スケジュールはInstagram を確認してください |
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