倉敷には多くの市民楽団があり、市内のイベントのステージで演奏している姿をよく見かけます。良質な生演奏を届けてくれる市民楽団は、私たち市民の日常を豊かに彩ってくれる存在だと感じます。
数ある楽団のなかでも、倉敷管弦楽団は2024年で創立50周年を迎える歴史のある市民オーケストラです。普段聴く機会の少ないクラシックの生演奏を、長年提供しています。
2024年秋、創立50周年を記念してトヨタグループと連携した「トヨタコミュニティコンサート in 倉敷」が開催されることになりました。
クラシックの生演奏とプロダンサーの踊りを楽しめる「トヨタコミュニティコンサート in 倉敷」を紹介します。
記載されている内容は、2024年10月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
倉敷管弦楽団「トヨタコミュニティコンサート in 倉敷」について
「トヨタコミュニティコンサート in 倉敷」は、2024年11月3日(日)に倉敷市民会館で開催されるクラシックコンサートです。
倉敷管弦楽団は、1974年に市内で設立された市民オーケストラ。「美しい音色と良いアンサンブルで質の高い演奏を」を合言葉に地域で音楽活動を続けて、2024年で創立50周年を迎えました。
例年、倉敷管弦楽団は年に一度開催される定期演奏会と、倉敷音楽祭への出演をメインに活動しています。しかし節目となる今年(2024年)は、創立50周年を記念して、トヨタコミュニティコンサートが開催されることになりました。
トヨタコミュニティコンサートは、トヨタ自動車株式会社と全国各地のトヨタ販売店が、地元オーケストラと共に主催しています。著名な指揮者・音楽監督などが、全国のアマチュアオーケストラとコラボレーションするコンサートです。
「音楽を通じた地域貢献」を目的に、地域で活躍するアマチュアオーケストラを応援しています。
倉敷管弦楽団が贈る今回のコンサートのテーマは「クラシック音楽で踊る」。
生演奏はもちろんのこと、ダンサーの踊りまで楽しめるぜいたくなコンサートです。義足のダンサーとして国際的に活躍している大前光市(おおまえ こういち)さんや、岡山県下のオーディションで選ばれたダンサーとコラボレーションします。舞台上から目が離せなくなりそうな内容です。
会場は倉敷市民会館でおこなわれます。全席指定席のため、早めの購入がおすすめ。購入方法やコンサートの概要に関しては、倉敷管弦楽団のホームページをチェックしてください。
目でも耳でも楽しめるトヨタコミュニティコンサート。くわしい内容について、倉敷管弦楽団の西島弥生(にしじま やよい)さんにインタビューしました。
倉敷管弦楽団にインタビュー
どのような経緯で今回のコンサートを企画しましたか?
西島(敬称略)
倉敷管弦楽団は地域の皆さまに支えていただきながら、創立50周年という節目を迎えられました。
活動を続けていくなかで、新たな一歩を踏み出したいという想いがあり、「新たに挑戦できる取り組みはないか」と考えた結果、トヨタコミュニティコンサートへの挑戦を決めました。
トヨタコミュニティコンサートは、アマチュアオーケストラが企画し、応募するのが一般的です。
しかし今回は、創立50周年の記念として、「ベートーヴェンの交響曲第7番に合わせて著名なプロダンサーたちと踊る」という音楽監督の三枝成彰(さえぐさ しげあき)さんの企画に応募し、採択されて実現しました。貴重な機会となるコンサートだと思います。
また、トヨタさん側では音楽とSDGsを結び付けた企画を考えられているので、それに併せて、国境や言葉の垣根を超える音楽の力で多くのかたがたとつながっていけたらと考えています。
プロのかたがたとのコラボレーション、より練習にも力が入りそうですね。
西島
そうですね。プロのかたがたにご指導いただく練習を、団員一同楽しみにしています。
今回共演していただく指揮者の篠崎先生と練習した際、私たちに寄り添うような形で指導してくださって、楽しみながらプロの技術を学べました。本当に勉強になることばかりで、大変ありがたく思っております。
「美しい音色と良いアンサンブルで質の高い演奏を」をテーマに50年間音楽を紡いでいるので、常に向上心を持ちながら、音楽を通して地域貢献していきたいです。
演奏する各楽曲について教えてください。
西島
一度は耳にしたことがあるような3曲を演奏します。
1曲目の「アルルの女」は、南フランスのプロヴァンス地方のアルルを舞台とした、ドーデの戯曲「アルルの女」の付随音楽として作曲された曲です。フランス民謡が引用されており、プロヴァンス地方の美しい風景や、庶民の生活のようすなど、当時の情景がいきいきと目に浮かぶような絵画的な音楽だと思います。
2曲目の「ボレロ」は、作曲家のラベルが、ロシア出身のバレエダンサーから委嘱(いしょく)されて作られた曲です。ずっと同じリズムとメロディーが繰り返される、非常に変わった構成の曲なんです。
フルート、クラリネット、ファゴット……と、各楽器がそれぞれ奏でていき、最後は重なり合って大きな音楽になっていきます。各楽器の音色も楽しんでいただける演奏です。
「ボレロ」の舞台で踊られるダンサーさんは、オーディションで選ばれた地域のかたがたで、子どもから大人までいます。4月から練習されていて、見ごたえのあるステージになりそうですよ。
最後に演奏する「交響曲第7番イ長調 作品92」は、作曲家ベートーヴェンが難聴をわずらってから生み出した名曲です。
この曲で踊られる大前光市さんは、交通事故で左足を失った逆境にも負けず、義足ダンサーとして活動しているかたです。2016年のリオデジャネイロパラリンピックの閉会式にも出演されたことがあり、非常に注目されています。
ベートーヴェンの音楽に対する不屈の精神と、大前さんのダンスに対する情熱が重なり合い、心に響く舞台になると思います。
今回のコンサートの見どころを教えてください。
西島
ダンスとフルオーケストラでお送りする今回のコンサートは、聴くだけではなく、見ても楽しめますし、ダンスの息づかいやオーケストラの振動などで、いろいろな感覚を刺激されるような内容です。演奏だけではないので、きっと飽きずに楽しんでいただけるのではないかと思います。
また、コンサートの合間には音楽監督の三枝さんと指揮者の篠崎さんのトークコーナーもありますので、そちらもぜひお楽しみください。
どんなかたにお勧めしたいですか?
西島
全世代のかたに足を運んでいただきたいです。
目でも耳でも楽しめるコンサートなので、あらゆる感覚をフル回転させながらクラシックを楽しんでいただけると思います。
小学生のお子さまにもおすすめしたいですね。今回のコンサートをきっかけに、ダンスに興味を持たれたり、「オーケストラやってみたい!」と思ったりしていただけたら、とてもうれしく思います。
また、今回はSDGsを意識した演奏会でもあるので、11月におこなわれる「オレンジ・パープルリボンキャンペーン月間」と合わせて、子どもの虐待防止やDVに関する展示も設置する予定です。トヨタさんにご協力いただいて、交通安全の展示などもおこないますので、社会問題についても関心を持っていただく機会になればと思います。
読者へメッセージをお願いします。
西島
子どもから大人まで楽しめる新感覚のコンサートだと思いますので、ぜひお越しください!
おわりに
筆者は以前、倉敷管弦楽団の定期演奏会を聴きに行ったことがあります。
クラシックを聴く機会がめったにないので、迫力のある音色と壮大な演奏に圧倒され続けました。アマチュアオーケストラとはまったく思えないほど、良質なクラシック音楽を聴けて大満足です。
今回は目でも楽しめるので、新たな魅力が生み出されるコンサートになるのではと思います。クラシックからどのような身体表現が生み出されるのか、個人的にも非常に気になるコンサートです。
常に地域のために新たな挑戦に取り組んでいる倉敷管弦楽団。その姿を見に、ぜひコンサートに足を運んでみてください。
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