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ズンチャチャ主宰・須原由光さんにインタビュー
ズンチャチャの主宰・ダンサーでありながら、振付家、ディレクター、さらには映像編集まで手がける須原由光(すはら よしみ)さんに、メンバーへの想いや活動継続の秘訣、またズンチャチャのこれからについて聞きました。

“素直さ”が生み出すチームのエネルギー
YouTubeでみなさんの姿を拝見して驚くのが、踊っていると年齢をまったく感じさせないところです。10年以上前の作品も、最近の作品も印象が変わらず、動きのキレやあふれるエネルギーに、結成からまもなく30周年を迎えるとはとても思えません。
須原(敬称略)
ありがとうございます。みんな踊っているときは年齢を忘れているんですよね(笑)
私たちのモットーは「一生青春ダンシング!」。年齢的な課題を受け止めつつも、勇気を与えられるものを届けたいという気概を持って踊っています。
実際には若いメンバーもいますが、一緒に踊るなかでその年齢差をまったく感じない。全員がまるで“永遠の30歳”みたいです。
須原
それはとてもうれしいです。そう感じていただけたとしたら、メンバー同士が本当に自然に関わりあえているからかもしれません。
ズンチャチャにはお互いを尊重しあう雰囲気があります。誰かが何かを頑張っていたら応援するし、素敵なところは素直に認め合える。そうした関係性が、イキイキとしたエネルギーを生み出しているのだと思います。
メンバーへの信頼感が伝わってきます。メンバーはどのように集まってきましたか?
須原
20年以上活動しているメンバーは、ある大学のダンス部とのつながりから、ずっと一緒に踊ってくれています。ほかにも、ズンチャチャのワークショップに参加したことをきっかけに、メンバーに加わるなど、少しずつ輪が広がっていきました。
須原さんの考える、ダンサーに必要なことはなんでしょうか?
須原
「素直さ、探究心、継続力」でしょうか。何ごとも素直に受け止められる人は、新たな可能性がどんどん広がるように感じます。
また、ダンサーとしての自分自身を探究し続けること、そして日々の稽古を積み重ねていくことが、表現の深みにもつながっていくように思います。

一人ひとりの魅力を最大限に引き出す
須原さんはダンサーでありながら、演出家、振付家、映像編集者、さらにはチームをまとめる指導者など、多くの役割があります。特に好きな役割はありますか?
須原
すべてが好きでやりがいを感じています。
なかでも、ズンチャチャファミリー(須原さんが講師を務めるダンスクラスの受講者)のみなさんとクラスで一緒に踊ることや、メンバーと作品を創る過程はとても楽しく、心身ともに充実しています。

素敵ですね。とはいえ、練習ではシビアな瞬間もありますか?
須原
一つの公演につき、リハーサルは約1年と長期間になるので、その過程でナーバスになることも。振付をメンバーに任せることもあれば、私自身が行き詰まってしまったときにはメンバーの提案に助けられながら、しっかり支えてもらっています。
須原さんとメンバーの間に、いい絆が育まれているんだなと感じます。
須原
メンバーは私が何を提案しても「NO」と言わず、いつも信じてくれています。だからこそ、「メンバーを輝かせることが私の使命!」という気持ちで、一人ひとりの魅力を最大限に引き出せるよう、楽しみながら作品と向きあっています。

自分は自分であればいい
いよいよ来年(2026年)は30周年です。ズンチャチャを継続できている秘訣のようなものはありますか?
須原
私個人としては、約30年の間に創作に苦しむ時期もありましたが、常に新しいものを追い求めようと無理をするのではなく「自分は自分であればいい」と腑に落としたときから、楽に作品と向き合えるようになりました。
継続できているのは、シンプルに「踊ることが好き、楽しい、やりたいこと」につきると思います。おそらくメンバーも同じ気持ちでしょう。
ただ、チームとして考えると、ダンス人口も多くなく、とらえどころの難しいコンテンポラリーダンスをこれまで続けられたことは、改めて奇跡的だと感じています。ともに歩んでくれているメンバーはもちろん、私たちをずっと応援してくださっているみなさまに、ただただ感謝しかありません。
これからも区切りや限界を決めず、私たちらしく「一生青春ダンシング!」の旅をずっと続けられたらなと思います。

30周年の節目に、何かイベントなどの予定はありますか?
須原
大変光栄なことに、2026年2月には、ズンチャチャ30周年記念公演をアルスくらしきさんに主催していただけることになりました。
25周年記念公演の終了後に、アルスくらしき(公益財団法人倉敷市文化振興財団)さんから「ダンスで何かワクワクすることをやりましょう!」と、お話をいただいてから約3年。これまで、映像制作、ワークショップ、映像展示会など、さまざまな企画をバックアップしてくださり、私たちの可能性を広げられました。
さらなるご支援に感謝するとともに、メンバー一丸となって全身全霊で取り組む所存です。
観た人の心に“心地よいもの”を届けたい
最後に、須原さんにとって魅力的な「踊り」「ダンス」とはどのようなものでしょうか。
須原
今は「ダンス」のスタイルも本当に多種多様で、どのようなダンスにもそれぞれに魅力がありますが、なかでも“人となり”が感じられるかたの踊りは、つい夢中になって観てしまいます。
また、身近なところでは、ズンチャチャファミリーのみなさんがクラスで純粋にダンスを楽まれている姿もとても魅力的だなと感じます。
ズンチャチャのダンスには一人ひとりの表情が感じられ、観終わったあとには不思議な余韻が残りました。
須原
年齢や個性、身体能力もバラバラな私たちは、それぞれが自分をどう表現するかを探究しながら作品を創っているので、そのように感じていただけるのはとてもうれしいことです。
公演を観終わったあと、「あの人、エネルギッシュだったな」と記憶に残ったり、「明日もがんばろう」と前向きな気持ちになっていただけたり。そんなふうに、観てくださったかたの心に何か心地よいものをお届けできるよう、これからも精進していきたいと思います。

インタビューを終えて
インタビューをまとめて、あらためて読み返すと、「凛として、しなやかな強さを感じさせる女性像」としての須原さんが浮かび上がってきます。しかし、実際にお話したときの印象とは少し違います。録音した音源を聞き返してみると、親しみやすく、時折オーバーリアクションでユーモアたっぷりに笑う須原さんの声が、そこにありました。
記事を作る過程で、伝えたいことをすくい上げ、素敵な語録を抽出し、文章にまとめるなかで、言葉は自然と濾され、最終的に、須原さんの「芯」だけが鮮やかに残ったのだと思います。
須原さんとズンチャチャは、ときに迷いながらも、さまざまな経験をエネルギーに変えながら、ここまで歩んできました。30周年という大きな節目に向けて、また新たな挑戦へと踏み出そうとしています。
これからもきっと、型にはまらず、誰のまねでもないズンチャチャにしかできないやりかたで、私たちに感動を届けてくれそうです。

カバー写真
画像提供:ズンチャチャ(photo yukiwo)
ダンスパフォーマンス集団 ズンチャチャのデータ

団体名 | ダンスパフォーマンス集団 ズンチャチャ |
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業種 | コンテンポラリーダンス/ダンススタジオ |
代表者名 | 須原由光 |
設立年 | 1996年 |
住所 | 〒710-0046 岡山県倉敷市中央2丁目18-3 CHIMI STUDIO |
電話番号 | 0864250737 |
営業時間 | |
休業日 | |
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