海幸山幸本舗 〜 小魚や黒豆など、自然の恵みそのままに、からだがよろこぶ商品を届けたい

「今、いりこ屋さんのデザインを手伝っていて」と、デザイナーの友人が何気なく見せてくれたパッケージ。洗練されているのに、どこかあたたかく、記憶に残るデザインでした。

そのパッケージに惹かれて早速「倉敷三斎市」に足を運んでみると、そこには素材にこだわった食品と、つくり手のまっすぐな想いがありました。

瀬戸内や岡山の恵みを生かした食品を届ける「海幸山幸本舗」を紹介します。

記載されている内容は、2025年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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海幸山幸本舗とは

写真提供:海幸山幸本舗
写真提供:海幸山幸本舗

海幸山幸本舗は、株式会社エフピー通販(倉敷市)が手がける食のブランドです。

瀬戸内海産のままかりやいりこなどの小魚、海老、岡山県産の黒豆など、地域の豊かな恵みを生かした食品を企画・製造・販売しています。

エフピー通販は1999年に創業。国内製造の高品質なリサイクルトナーなどのOAサプライを取り扱う専門店です。海幸山幸本舗とは一見かけ離れた分野ですが、「品質を見極め、責任をもって届ける」という姿勢は変わらず、海幸山幸本舗の商品づくりにも受け継がれています。

“素材そのまま”に、からだがよろこぶもの

海幸山幸本舗は、株式会社エフピー通販の代表 真田泰昌さなだ やすまさ)さんが、同社の新しい事業として2009年に立ち上げました。

本業とは全く異なる食品という分野に、あえて挑戦した理由について、真田さんは「全く別の分野だからこそ、どちらかがうまくいかなくても立て直せる。両方を育てていけるようにしたかった」と話します。

真田泰昌さん(写真提供:海幸山幸本舗)
真田泰昌さん(写真提供:海幸山幸本舗)

商品の素材に、小魚を選んだ理由として、真田さんが沙美地域(倉敷市玉島黒崎)で生まれ育ったことにあります。幼い頃から魚介類は身近な食材でしたが、自分の子どもたちの世代から魚離れが進むようになり、魚から摂れるはずの栄養が不足していると言われていました。

そこで、魚をもっと手軽に、おいしく食べられるようにと、「からだにやさしくておいしいもの」をコンセプトに、誰もが安心して口にできる商品づくりを目指すことになります。

食べておいしく、からだがよろこぶものを届けたい

それが、海幸山幸本舗のはじまりでした。

海幸山幸本舗の商品は、できるだけ味を加えず、焙煎や高温・高圧プレス製法で仕上げています。製造はすべて手作業。家族と、立ち上げ当初から支えてくれる地元倉敷のスタッフとともに、一つひとつ、一枚一枚をていねいにつくり続けています。

「多くの人に届けるために」手に取った瞬間、ワクワクできるように

2020年頃から、真田さんは少しずつ現場の業務を、娘の平野陽子ひらの ようこ)さんと一緒におこなっていくようになりました。

平野陽子さん(写真提供:海幸山幸本舗)
平野陽子さん(写真提供:海幸山幸本舗)

平野さんは運営をおこなうようになってから、実は売上が伸び悩んでいる現状や、課題が山積していることを知ることになります。それまでの“手伝い”だけでは見えなかった実情に触れ、「このままではいけない」と、変化の必要性を強く感じたと言います。

華やかさはないけれど、食べてもらえればその良さはきっと伝わる。どうすれば、もっと手に取ってもらえるのだろう

帳簿とにらめっこしながら、工場で商品を見つめて思い悩む日々が続いた末、平野さんは一念発起します。

まずはパッケージデザインを根本から見直し、手に取った瞬間ワクワクし、贈りたくなるような印象をもってもらえることを目指しました。

どれだけ中身に自信があっても、まずは手に取ってもらわなければ、商品の良さを伝えられません。売上にもつながりません。その課題に真正面から向き合い、商品の魅力を伝えるための、新たな一歩を踏み出しました。

新しいパッケージデザインは、岡山市を拠点に活躍するアートディレクターの秋岡寛子さん(edgegraphics)が手がけた。(写真提供:海幸山幸本舗)
新しいパッケージデザインは、岡山市を拠点に活躍するアートディレクターの秋岡寛子さん(edgegraphics)が手がけた(写真提供:海幸山幸本舗)

やがてその動きは少しずつ形となり、朝市やイベントで商品が徐々に注目されるようになります。これまでは聞かれなかった、「かわいくて思わず手に取った」「おみやげにちょうど良い」といった声も増えてきました。

(2025年8月17日の倉敷三斎市)
売り場のディスプレイも見直して刷新(2025年8月17日の倉敷三斎市)
売り場のディスプレイも見直して刷新(2025年8月17日の倉敷三斎市)
平野さんの手書きによるPOPで想いを伝える(2025年8月17日の倉敷三斎市)
平野さんの手書きによるPOPで想いを伝える(2025年8月17日の倉敷三斎市)

からだにやさしくておいしいもの」を形にした、海幸山幸本舗の商品

2025年でブランドの立ち上げから16年。
パッケージのリニューアルをきっかけに、新たな展開が始まっている海幸山幸本舗の代表的な商品を紹介します。

パリッと薄焼きせんべい

繊細で上品なビジュアル(写真提供:海幸山幸本舗)
繊細で上品なビジュアル(写真提供:海幸山幸本舗)

魚のすり身の生地に厳選した素材をのせ、独自の「高温・高圧プレス」製法で、一枚ずつ手作業で焼き上げた薄焼きせんべいです。

素材は「ままかり」「海老」「黒豆」「海苔」の4種類。
ままかりと海老は瀬戸内海産、黒豆は岡山県北東部の勝英エリア特産の「作州黒さくしゅうぐろ)」、そして海苔は今回のリニューアルを機に、地元岡山の「岡山のり」が使われています。

名前のとおり、パリッとした軽さと香ばしさが小気味よく後を引きます。

「ままかりは愛嬌ある顔で少しぷくっとしているかわいい魚なんです」と平野さん。(写真提供:海幸山幸本舗)
「ままかりは愛嬌ある顔で少しぷくっとしているかわいい魚なんです」と平野さん
(写真提供:海幸山幸本舗)
手作業で一つひとつていねいにつくっています。(写真提供:海幸山幸本舗) 
手作業で一つひとつていねいにつくっています(写真提供:海幸山幸本舗)

ちょびっとシリーズ

「ちょびっとシリーズ」のパッケージには「」「」「」「」の一文字が、それぞれ印象的に印刷されています。

  • 「海」は瀬戸内海産いりこと海老に岡山県産黒豆(作州黒)のミックス
  • 「山」は大粒の作州黒
  • 「ま」は瀬戸内海産のままかり
  • 「え」は瀬戸内海産の海老

海の幸、山の幸を、“ちょびっとずつ”楽しめます。

パッと目をひくパッケージで、思わず手に取る人も多いそう(2025年8月17日の倉敷三斎市)
パッと目をひくパッケージで、思わず手に取る人も多いそう(2025年8月17日の倉敷三斎市)

パリパリ海幸山幸ミックス

写真提供:海幸山幸本舗
写真提供:海幸山幸本舗

塩を加えていない瀬戸内海産のいりこをメインに、ままかり、海老、黒豆がミックスで入っています。それぞれの軽やかな食感と、素材の異なる風味を味わえます。

ここで注目してほしいのが、一見、地味で見過ごされがちな「いりこ」です。
岡山土産として有名な「ままかり」や、フォトジェニックな「海老」に隠れがちですが、実はこの「いりここそ、海幸山幸本舗の工夫が詰まっているのです。

高温・高圧でプレスしているので、薄くパリパリの食感に(写真提供:海幸山幸本舗)
高温・高圧でプレスしているので、薄くパリパリの食感に(写真提供:海幸山幸本舗)

高温·高圧で一匹ずつプレスすることで、スーパーなどで手に入る一般的な「いりこ(煮干し)」とはまったく異なる軽やかさと、パリパリとした食感に仕上がっています。いりこにありがちな苦味や臭みがほとんど感じられないことにも驚きました。

朝市で試食して、そのパリパリ感を体験してみてください。

おさかなチップス

写真提供:海幸山幸本舗
写真提供:海幸山幸本舗

パリッと薄焼きせんべいにも使われている、魚のすり身の生地を遠赤外線でじっくりと焼き上げています。サクサクとした軽い口当たりで、一度食べ始めると止まらなくなるおいしさです。

以前から人気の商品ですが、パッケージとともにネーミングも読みやすくリニューアルしました。

「おさかなチップス」は、おつまみにもぴったりです(写真提供:海幸山幸本舗)
「おさかなチップス」は、おつまみにもぴったりです(写真提供:海幸山幸本舗)

海幸山幸本舗のこれからについて、平野陽子(ひらの ようこ)さんにお話を聞きました。

海幸山幸本舗(株式会社エフピー通販)のデータ

取り扱い店舗・朝市などの出店情報は、公式ホームページInstagramを確認してください。

団体名海幸山幸本舗(株式会社エフピー通販)
業種食品菓子製造・販売
代表者名真田泰昌
設立年2009年(創業は1999年)
住所倉敷市西阿知町新田658-14
電話番号086-466-4665
ホームページ倉敷 海幸山幸本舗

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大島 爽
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