eスポーツを知っていますか?
競技人口は世界で1億3000万人にのぼると言われ、世界中に広がっています。
日本でも徐々に浸透してきており、2019年には国民スポーツ大会(当時は国民体育大会)の文化プログラムの一環として大会が開催されました。
中四国で初めてeスポーツのプロチームとして設立された団体が倉敷にあります。
倉敷から世界を目指すeスポーツのプロチーム「SETOUCHI SPARKS(セトウチ スパークス)」を紹介します。
記載されている内容は、2025年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
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目次
eスポーツとは

eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えた言葉です。
eスポーツは世界中に広がっており、高額な優勝賞金が設定されている大会も開催されています。
岡山県内の高校でもeスポーツ部の創設が増えており、部員が80名を超える学校もあるそうです。また、「EXPO 2025 大阪・関西万博」の会場でおこなわれる全国eスポーツ大会に出場し、全国ランキングに入る学校も多く見られます。
スポーツクラブと連携しているチームもあります。
たとえばサッカーゲーム「FIFA」では、実業団チームがeスポーツ部門を持ち、eスポーツ選手と契約するケースも増えているそうです。
また、競技の特徴として、チェスや将棋のようなゲームとしての戦略性とスポーツとしての反射神経や耐久力が求められます。大会は1日8時間にも及ぶことがあり、集中を途切れさせないための体力と精神力が重要です。
体力づくりのために筋トレを取り入れる選手も多く、また、集中力を維持するために自分の顔とモニターとの距離を測り、ストレスの少ない最適な位置を見つける選手もいます。
プロチーム「SETOUCHI SPARKS」の概要

「SETOUCHI SPARKS」は、2022年に前身のチームから名称が変わりスタートしました。
代表の大島丈生(おおしま たけお)さんが就任した当初は15〜20名のメンバーでしたが、現在は40名ほど在籍しています。参加する競技の部門が増えたことに加え、選手を雇用できるようになったことが、メンバー増加の要因です。
現在は以下4種類のゲームをおもに取り組んでいます。
- ストリートファイター6(格闘ゲーム)
- グランツーリスモSPORT(レーシングゲーム)
- EA Sports FC 25(サッカーゲーム)
- Apex Legends(シューティングゲーム)
選手だけでなく、ゲーム配信者も10〜15名ほど在籍しており、選手として競技に参加しながら動画投稿や実況をおこなっているメンバーもいます。
チームの特徴
SETOUCHI SPARKSは西日本出身のメンバーを中心に構成されており、選手の3分の1が岡山在住者や出身者です。
また、ゲーム配信についても、他のチームでは個人のチャンネルで配信することが多いですが、SETOUCHI SPARKSではチームの公式チャンネルに集約して配信しています。



地域にeスポーツを広げていくべく、奮闘している大島丈生さんに話を聞きました。
SETOUCHI SPARKS誕生の経緯

チーム設立までの経緯を教えてください。
大島(敬称略)
私自身ゲームが好きだったこともあり、前身となるチームでゼネラルマネージャーを2〜3年務めていました。在任中にeスポーツの面白さや奥深さを実感したんです。
その後、当時の代表がチームを離れることになり、家業である塾の講師をしていた私にとっては、チームの解散も選択肢の一つでした。
一方で当時から「地元に人を残したい」という想いで活動しており、eスポーツはその手段になると確信していました。
チームの今後を考えるなかで、選手や配信者から「大島さんが続けるなら残ります」と声をかけられたこともあり、当時の代表からチームを引き継ぎました。

チームを育てるために
新しくスタートしたとき、苦労したことはありますか?
大島
立ち上げ当初はeスポーツに対する理解が得られず、「eスポーツでどうやって生計を立てるのか」と、融資や出資を断られることも多くありました。
しかし、地道な活動の結果、現在は30社を超えるスポンサーが支援してくださっています。

チームを作るうえで工夫していることはなんですか?
大島
今年は特に、選手を社員として雇用することに力を入れてきました。
eスポーツの選手はチームと選手で契約を結びます。契約期間は他のスポーツと比べても短く、1年に満たない場合も多いです。
プロのeスポーツチームは立ち上げてまもないところが多く、金銭的に余裕があるとは言えません。コストを抑えるため、大会のシーズンが終わると契約を終了するケースが非常に多いです。
そうすると選手との定期的なコミュニケーションがとりにくくなり、選手が育ちにくくなってしまいます。長く関われるよう雇用して、成長できる環境を整えています。
地域に密着した活動

大会への参加以外にも多くの活動をされているそうですね。
大島
SETOUCHI SPARKSは地域密着を念頭に、「教育」「福祉」「まちおこし」の3本柱で活動しています。
一つ目は教育です。
岡山県内の大学と連携し、eスポーツ部の指導や講演、研究をおこなっています。研究では、「eスポーツを活用したまちおこし」をテーマに、学生に企画書を提出してもらい、評価しています。
講演活動は「eスポーツチームの作りかた」や「チーム立ち上げ後のマネタイズ方法」といったテーマで依頼を受けることが多く、これまで岡山以外に島根、愛知、静岡、千葉で開催しました。
二つ目は福祉です。
就労支援施設と協力し、動画制作やイベント企画を通じて、eスポーツを仕事にする可能性を探っています。
施設の利用者が配信や動画制作、イベント運営などeスポーツの周辺業務に関わり、段階的にステップアップできる仕組みを整えています。さらに、高齢者向けにはリズムゲームを身体機能の改善に活用できるかどうか、試験的に取り組んでいるところです。
三つ目はまちおこしです。
eスポーツを題材にした地域イベントを開催し、住民の交流や地域の活性化につなげています。
直近では9月20日、21日に岡山市内でイベントを予定しています。

参加者は3,000〜4,000名規模で、eスポーツのイベントとしては西日本で最大級です。
開催にあたりクラウドファンディングをおこない、岡山だけでなく全国から多くの支援をいただきました。ぜひ多くのかたにeスポーツに触れていただく機会になればうれしいです。
チームのこれから

これからの展望を教えてください。
大島
大きく二つの目標を掲げています。
一つ目は2年以内に競技で世界一になることです。
2025年7月にフランスで開催された、格闘ゲーム「ストリートファイター6」の世界大会でベスト16にランクインしました。他の部門でも選手が着実に力をつけてくれているので、世界一は決して夢ではなく、乗り越えられる壁だと感じています。
二つ目はeスポーツを産業に発展させて地元に人を残すことです。
岡山を拠点に選手を雇用し、引退後にはたとえばIT企業で働けるなど、生活できる環境を整えることで、地域経済の活性化につながると考えています。
eスポーツを産業にしていくためには、地域とともに取り組みを進めていくことが大切だと考えています。私たちがいち早く活動を広げ、岡山が「eスポーツの聖地」と呼ばれるようになりたいですね。
おわりに
インタビューを通じて、eスポーツの奥深さを感じました。
どのようにゲーム内のキャラクターを操作するか、いかに相手選手の動きに素早く反応するか、瞬時の判断が求められるのでしょう。
また、新しい分野で世界に挑戦する団体が倉敷にあることをうれしく思いました。
SETOUCHI SPARKSのこれからの挑戦が楽しみです。
SETOUCHI SPARKSのデータ

団体名 | SETOUCHI SPARKS |
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業種 | プロeスポーツチーム |
代表者名 | 大島丈生 |
設立年 | 2022年 |
住所 | 岡山県倉敷市船穂町船穂2808-21 |
電話番号 | |
ホームページ | SETOUCHI SPARKS |