青木被服 〜 60年企業の挑戦!ロックな創造力と確かな縫製技術がデニムの新たな価値を生む

岡山県が世界に誇るデニム。
なかでも井原市は「デニムの聖地」と呼ばれ、伝統的な染色方法を用いたデニムの生産地として知られています。

一方で現在のデニムは、高級ブランドからファストファッションまで、ほぼ社会的イメージが定着したように思われます。それを異なる文脈で捉え、新たな価値を世に問いかけるのは簡単ではないでしょう。

しかし、そうした保守的と見られがちなデニムやファッション業界のなかで、常に新たな挑戦を続けている企業が岡山県井原市にあります。

それが「青木被服株式会社」です。
自社ブランド「FAGASSENT(ファガッセン)」で、一躍名をはせたデザイナーの青木俊樹(あおき としき)さんに、青木被服の挑戦について取材しました。

記載されている内容は、2025年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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創業60年を超えるデニム企業「青木被服」

青木被服株式会社(以下、「青木被服」と記載)は、岡山県井原市を拠点に、デニム製品を主軸とするアパレル製造・販売をおこなうデニムファクトリーです。

岡山県の南西部、広島県と県境を接する井原市は、倉敷市児島と並ぶ「岡山デニム」の主要産地です。

デニムの生産量が全国の7割を占めていた実績もあり、井原で製造される高品質のデニムは国内外から定評を得ています。

井原の織物産業のルーツは、江戸時代の「備中小倉織」までさかのぼります。
デニム製造は、藍染め綿布がアメリカのデニムに似ていることに着目したのがきっかけとなり、戦後にデニム生地が本格的に作られるようになりました。

縫製工場のようす(井原本社)

青木被服は1961年に井原市西江原町で創業しました。
OEM(相手先ブランドの受託)の縫製工場は活況だったそうです。

さらに、1970年代には国内外に自社工場を増設し、国内を代表するデニム工場へと成長。服飾業界での地位を確立しました。

画期的な表現力で著名人を魅了した自社ブランド

FAGASSENTの洋服を合わせる青木さん(写真提供:青木被服)

2010年には、専務でデザイナーの青木俊樹(あおき としき)さんがコレクションライン「FAGASSENT(ファガッセン)」を創設します。

コレクション展開はパリやミラノのメンズコレクションでスタートし、海外でもその世界観やデザインが高く評価されました。

FAGASSENTのコレクション

ブランド理念に基づいたデザインと高い機能性によって、目の肥えたスタイリストや自己表現に優れたアーティストなどから多くの支持を集めています。

2010年代後半から国内でも評価が広がり、長渕剛さん・稲葉浩志さん(B’z)・Takaさん(ONE OK ROCK)といったアーティストのステージ衣装を手掛けるようになりました。

青木被服 倉敷SOLA店
青木被服 倉敷SOLA店

販売部門では、2018年から店舗事業を開始し、現在は倉敷の3店舗に加え、浅草と台北(台湾)を含めた国内外5店舗を展開中です。

デニムを巡る新たなプロデュースの動き

近年、青木さんはデニムの新たな可能性を広げるため、さまざまな協業を通じて積極的にプロデュース活動をおこなっています。

揺るぎないデニムへの誇りをもとに、活動は多岐にわたりますが、本稿では3つの取り組みを紹介します。

  1. Kurashiki Glamping SORANIA × AOKIHIFUKU
  2. 【BLUE DRIVE】Fagassent × MINI Okayama
  3. 【AOHARE】Ryobi Bus × KANKO × AOKIHIFUKU

Kurashiki Glamping SORANIA × AOKIHIFUKU

倉敷市内のグランピング施設「OKAYAMA GLAMPING SORANIA(おかやま グランピング・ソラニア)」とのコラボレーションでプロデュースした、グランピングドームです。青木さんは監修者として製作に参加しています。

藍色の幻想的な世界観を具現化するため、「PREMIUM DOME TENT AI‐藍‐」と名付けられました。

PREMIUM DOME TENT AI‐藍‐(写真提供:青木被服)

デニムの藍色が持つ「華やかさ」と「静けさ」という、一見相反する二つの要素を見事に共存させたラグジュアリーな空間を実現しました。

岡山デニムの美しい藍色が、晴れの国・岡山の空に浸透していく情景を表現した天井パネル。その着想のヒントになったのは、藍染めのプロセスに見られる一瞬の美しさだそうです。

BLUE DRIVE】FAGASSENT × MINI Okayama

「ブルー・ドライヴ」オフィシャル・トレーラー

MINI 岡山とFAGASSENTが、コラボレーションで制作したコンセプトカー「BLUE DRIVE(ブルー・ドライヴ)」です。

車の外装は、クロキ社製の銀糸が練り込まれたブルーデニムと、ブラックデニムをつなぎ合わせてダメージを施したオリジナルの特殊素材を使用しています。

本社で制作されたデニム素材(写真提供:青木被服)

内装には、藍色の箔(はく)を施したPLAZMA LEATHER(プラズマ・レザー)を使用し、内側から光を放つような華やかさとラグジュアリー感を巧みに演出しています。

このBLUE DRIVEのインスピレーション源となったのは、ロンドンの石畳をMINI車が疾走する光景だったのだとか。

目を惹くディーラー展示(写真提供:青木被服)

疾走感際立つアグレッシブな外装と、ラグジュアリーな藍色の内装とのコントラストは、BLUE DRIVEの名に相応しい個性を表現しています。

AOHARE】Ryobi Bus × KANKO × AOKIHIFUKU

両備ホールディングス株式会社、菅公学生服株式会社、そして青木被服による三社のコラボレーションで誕生したのが、SDGsアートバス「AOHARE号」プロジェクトです。

「青春の力」をテーマにデニムと学生服でバスを装飾。青木さんは内・外装デザインの監修を務めました。

AOHARE号ワークショップ(写真提供:青木被服)

プロジェクトの一環として開かれたワークショップでは、子どもたちがデニム地や制服地を使って制作したアート作品がバスの内装を彩り、手作りのメッセージが込められた世界観を演出しています

AOHARE号の天井デザイン(写真提供:青木被服)

バスの天井には、デニムで作られたセーラーリボンや学生ボタンが装飾され、仮想の青空に生命感が宿ったかのようです。AOHARE号のユニークな仕掛けとして、停車ボタンを押すと、子どものアナウンスが車内に流れました。

【岡山市北区】「SDGsアートバスを走らせよう!」。子供達作成のアート25点を乗せて出発!(岡本康史) - エキスパート - Yahoo!ニュース

青木被服の専務、そして自社ブランドのデザイナーを務める青木俊樹さんに話を聞きました。

青木被服株式会社のデータ

団体名青木被服株式会社
業種デニム製品を主軸とするアパレル製造・販売
代表者名代表取締役 青木茂
設立年1961年
住所岡山県井原市西江原町501
電話番号0866-62-1105

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久米真也
備後ふくやま在住。「高梁川流域ライター塾」受講。目を向けられなくなった地域の特徴から、実は今でも(今だから)、何らかの価値を見出すことができる。そうした視点で取材をしていきたいと思います。

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