倉敷市美観地区にある観光案内施設「倉敷館(観光案内所)」が、約2年間の改修工事を終え、2020年2月16日にリニューアルオープンしました。
「倉敷館」は、竣工から100年以上経つ、倉敷の顔ともいえる観光案内所です。
「待望のリニューアル」が完了して、バリアフリー化し、休憩スペースを拡大。
子供連れにも便利になりました。
倉敷観光の力強い味方になってくれそうです。
リニューアルオープン日に開催された、記念式典のようすをお届けします。
記載されている内容は、2020年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
倉敷館(観光案内所)リニューアル記念式典のデータ
名前 | 倉敷館(観光案内所)リニューアル記念式典 |
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期日 | 式典の日時:2020年(令和2年)2月16日午前10時~ 倉敷館の営業時間:午前9時~午後6時 |
場所 | 倉敷市中央1丁目4-8 |
参加費用(税込) | 利用無料 |
ホームページ | 倉敷館(観光案内所) | 倉敷観光WEB |
「倉敷館(観光案内所)」とは
倉敷館(観光案内所)は、観光案内所と無料休憩所を兼ね備えた施設です。
「倉敷館」の建物は、1917年(大正6年)に倉敷町(現倉敷市)の役場として建てられました。
市役所・職業紹介所などさまざまな用途を経て、1971年(昭和46年)に観光案内施設としてオープン。
2016年(平成28年)には、倉敷市指定重要文化財になりました。
実写映画『るろうに剣心』や、NHKの連続テレビ小説『カーネーション』のロケ地にもなっているんです。
改修工事の概要
工事前に倉敷館を見たことがあれば、「工事前とほとんど変わらないな」という印象を持つかもしれません。
しかし実は、半解体工事と呼ばれる大掛かりな工事を行っています。
柱の軸組だけ残し、壁や床をすべて取り払ったそうです。
主に3つの目的に沿った工事を行いました。
- 活用促進工事
- 耐震補強工事
- 保存修理工事
主な改修点は以下のとおりです。
- エレベーター棟の増設(11人乗り、車いす対応)
- 多目的トイレ(ユニバーサルシート、オストメイト対応設備設置)
- トイレの洋式化
- 2階を休憩コーナー兼ホールに
- 授乳室、おむつ交換台、流し台の設置
文化財の工事は制限も多く、元の資材をなるべく残し、耐震基準をクリアするよう工夫が施されています。
たとえば内壁木材も、解体時に番号を振り、補修して元の場所に戻しているそうです。
また、電気関連機器はできるだけ目立ちにくいように工夫されています。
上の写真の縦格子の部分にエアコンが入っているそうですが、言われるまで筆者は気がつきませんでした。
照明はすべてLED化。
外から見える照明は、2005年(平成17年)に世界的な照明デザイナー石井幹子さんプロデュースのもとで倉敷美観地区の夜間景観照明を整備した際に、設置された器具です。
電球の部分だけをLEDに変えました。
2階はもともと事務室だったため、ふつうの蛍光灯が使われていたそうです。
建物の雰囲気に合う照明機器に変更しています。
トイレは、洋式を増やし、洋式トイレはウォシュレット付きになりました。
建物の外からも中からも直接行けるので便利です。
建物の変遷
1917年(大正6年)に竣工し、2020年(令和2年)現在では103年の歴史を持つ「倉敷館」の建物。
103年前、と聞いてどんな時代だったかイメージは湧くでしょうか?
1918年(大正7年)に倉敷名誉町長をしていた原澄治(はら すみじ)さんが残した回想録によると、当時の倉敷町役場の従業員は十数名。
当初はみんな着物で、新しいことを取り入れようと、役場のお金で洋服を揃えたそうです。
また、文化都市として栄えるために水道整備に力を入れたそう。
水道が整備でき、初めて澄んだお風呂に入り感動したという話が残っています。
倉敷館は、そんな時代に建てられた建物なんですね。
1970年(昭和45年)と1985年(昭和60年)には保存修理が、2005年(平成17年)には外壁塗替え工事が行われます。
半解体工事ほどの大掛かりな工事は、竣工してからこの度が初めてでした。
記念式典のながれ
伊東香織(いとう かおり)倉敷市長のあいさつ
今日のリニューアルの日を迎えられましたことを、地域の関係者の皆さまがた、伝建地区にまつわる有識者のかたがた、建築施工にかかわる事業者の皆さまがたに、心より感謝申し上げます。
中橋の目の前に位置し、観光の名所となっている「倉敷館」。
観光客のみなさまがたに、倉敷の街の風情を残し、観光の発信案内場所としてみなさまにご活用いただけますようお願いします。
日本遺産を構成する文化財の一端としても、さらに役割を果たしていけるよう頑張ってまいります。
祝辞
【倉敷市議会 副議長 三村英世(みむら ひでよ)さんによる祝辞】
素晴らしい施設が完成したと感じています。
倉敷館は、倉敷市指定重要文化財に指定されている歴史的建造物でもあります。
白壁の街並みの中で独特の存在感を醸し出している、文化的価値のある館内で休憩していただきゆったりと美観地区を眺める。
そんな贅沢(ぜいたく)な時間をお過ごしいただけたらうれしい限りです。
倉敷館が多くの人に愛され親しまれる施設として発展すること、復興に向けて歩む倉敷全体を元気にしてくれることに期待しています。
【倉敷商工会議所 会頭 井上 峰一(いのうえ みねひと)さんによる祝辞】
美観地区を訪れる年間360万人の観光客に対して案内の役目をしていく倉敷館。
新しく芽吹き、大変素晴らしい形で蘇(よみがえ)りました。
観光客のみなさまがたにいろいろな案内・発信していく倉敷館を、我々も大事にしていき、商工会議所としてもバックアップしていきたいと思います。
テープカット
関係者がテープカットをし、ファンファーレが鳴り響きました。
内覧会
建物の中を見てみましょう。
1階は、観光案内所、ベンチ、コインロッカー、自動販売機などが設置されています。
くらしき川舟流しのチケットも、ここで購入できますよ。
2階には、休憩コーナー・授乳室・おむつ交換台があります。
窓からは倉敷川沿いの景色が見えました。
古いガラスなのでしょうか。味わいのある窓ガラスです。
ベンチやテーブルは、倉敷市真備町の竹家具ブランド「TEORI」のもの。
まっすぐな木目が美しく、気持ちいいなあと感じました。
さりげなく、倉敷の良いものを体感できるのがよいですね。
倉敷小町よりマスキングテープのプレゼント
リニューアルオープン式典の来場者には、倉敷の名産品であるマスキングテープが配られました。
倉敷町家をモチーフにした柄が、シックでかわいい!
くらしき作陽大学生による演奏
最後は、くらしき作陽大学生のサックスカルテット「Creation-クレアシオン-」による演奏です。
『津軽海峡・冬景色』のような馴染みのある曲から、オリジナル曲、実際にサクソフォーンを壊しながら演奏する「サクソフォーンが壊れちゃった」など、幅広くユニークな演奏が響き渡り、老若男女のお客さんが楽しんでいました。
おわりに
倉敷美観地区の景観の代表的な建物のひとつである、倉敷館。
工事前は老朽化が目立っていましたが、約2年の工事を経て、安心して使える建物に生まれ変わりました。
2階の窓から見る景色も良いものです。
これからますます、倉敷観光が便利になることでしょう。
倉敷を訪れた際には、ぜひ活用してください。
倉敷館(観光案内所)リニューアル記念式典のデータ
名前 | 倉敷館(観光案内所)リニューアル記念式典 |
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期日 | 式典の日時:2020年(令和2年)2月16日午前10時~ 倉敷館の営業時間:午前9時~午後6時 |
場所 | 倉敷市中央1丁目4-8 |
参加費用(税込) | 利用無料 |
ホームページ | 倉敷館(観光案内所) | 倉敷観光WEB |