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ぼっこう堂の店主 堀伸二さんにインタビュー
ぼっこう堂の歴史を教えてください
堀(敬称略)
矢掛商店街のおせんべい屋さんに奉公に出ていた父が、独立しておせんべい屋さんを始めました。
昭和60年(1985年)にやかげ郷土美術館前のお店が手狭になり、西町のお店に移転したんです。
移転先の築100年以上の古民家はかなり痛んでいましたが、世間では古民家を再生する動きも流行り始めたころで、うちもおせんべい屋さんに生まれ変わりました。
ぼっこう堂の「ぼっこう」の名前の由来は何ですか?
堀
岡山弁の「ぼっけえ」がもとで「すごい」という意味です。
おせんべい屋さんを継ごうと思われたのはいつですか?
堀
高校を卒業して地元企業に就職しましたが、母が体調をくずしてしまい、おせんべい屋の仕事が忙しい父に代わって、仕事を辞め病院の送り迎えなどをしていた時期がありました。
それからしばらくして、東京で大学に通っている友人から「遊びにこないか」と誘われ、友人のところでゆっくりしていたときに、おせんべい屋を継ごうと思ったんです。
せっかく東京に来たから有名な草加せんべいを習って帰ろうと思って、東武鉄道、東武線に乗り埼玉県草加市の役場をたずねました。
役場で手焼きの草加せんべい屋さんを紹介してもらい、住み込みで修業させてもらえることになったんです。
我ながら思い切った行動だったなと思います。21歳のときでした。
草加せんべいは、うるち米を粉にして餅のようについてのばし天日で干したあと、炭火で焼く固いおせんべいです。
関西のおせんべいは、砂糖、小麦粉、卵を使った甘いおせんべい、関東はもち米を使ったおせんべいが主流です。
実家は関西風の甘いおせんべい屋でしたが、草加せんべい屋さんで住み込みで働かせていただき、貴重な経験となりました。
変わらない味を守り続ける理由
ぼっこう堂のおせんべいはたくさん種類がありますが、みなさんで考えられたのですか?
堀
レシピと焼き方は先代の父がすべて考えました。
とくに古くからお付き合いのあるお客さんは、先代の味を求めて来られますのでこれからも変えるつもりはありません。
いろいろな形のおせんべいがありますが、すべて機械で焼いているのですか?
堀
薄焼きおせんべいは店舗奥にある新しい機械で自動で焼きますが、それ以外は1枚1枚、表にある機械で手焼きをしています。
原料や産地にこだわりがありますか?
堀
産地には、とくにこだわりはありませんが小麦粉、砂糖などの材料は質の良いものを使っています。
材料屋さんから「おせんべいにこんな良い砂糖を使うんですか?」と、驚かれたこともあって。
先代の父は「原料をケチったら美味しいものはできんのよ」と、よく言っていました。
観光地であり生活圏である矢掛商店街
矢掛商店街の魅力はなんですか?
堀
観光とかで注目度があがっているけれど、「ここで人が生活をしていること」が一番の魅力ですね。
同じような街並みが有名な観光地は、昼は観光客でにぎわっているのに、夜は誰もいないところのほうが多いと思います。
矢掛は学校があるし病院も行けるし、市役所もあるしスーパーマーケットで買いものもできる、人が普通に生活しているところなんです。
矢掛のように、観光地と生活圏が同じなのはめずらしいんです。
また矢掛は18歳(高校3年生)の年度末まで医療費が無料など、子育ての助成制度が充実しています。
ここで生まれた子たちが、「ああやっぱり矢掛が良い」と思える環境を作ることが我々の世代の役目だと思っています。
矢掛町の人口減少の歯止めは効かないでしょうが、右肩下がりを少しでもゆるやかにしたいですね。
矢掛町をお店や人が集まっていく町に
ぼっこう堂さんのこれからの展望はありますか?
堀
実は駐車場の隣の家を買ったんです。
この家もかなり古いです。
きれいにして自分でやってもいいんだけど、矢掛で何かやりたい子にチャレンジショップとして使ってもらうのもいいかなと考えています。
ラーメン屋をやってみたい子に1、2週間貸してあげたり、アクセサリーを作って売ってみたい子に1か月貸してあげたりと、道具をそろえて環境を整えてあげて。
実店舗を構える前にチャレンジショップのお店をやって実際に体験して、自分のお店を持つ夢を叶えてほしい。
矢掛商店街には飲食店などのお店がまだまだ不足しています。
新しいお店でぼっこう堂がクリームソーダや焼き芋をやってもいいし、居酒屋経験者の三代目がショットバーをやってもいいし。
なんでもできるお店が1軒できて人が来てくれて、そこからまたお店が増えていって、新しいお店がゆくゆくはこの町のために役に立てたらうれしいですね。
おわりに
矢掛商店街の歴史のある建物や町並みを眺めながら歩いていると、確かにここで生活をしている人々の暮らしが感じられます。
旧矢掛本陣石井家住宅や旧矢掛脇本陣髙草家住宅など、国の重要文化財のあいだあいだに昔からあるお肉屋さんやお花屋さん、美容院やおしゃれな古民家カフェなどが並んでいます。
午前中の早い時間にぼっこう堂へ行くと、お店の表にある鉄の機械でおせんべいを焼くようすが見られるかもしれません。
歴史のある観光地であり人々が普通に生活している商店街で、変わらない味を守り続けているおせんべい屋さんです。
堀さんはぼっこう堂の味を守りながら、観光で矢掛町を盛り上げようとDMO一般財団法人矢掛町観光交流推進機構での活動にも力を入れています。
天璋院篤姫のロゴが微笑んでいるように、ぼっこう堂さんのこれからがとても楽しみです。
ぼっこう堂のデータ
名前 | ぼっこう堂 |
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住所 | 〒714-1201 岡山県小田郡矢掛町矢掛3198 |
電話番号 | 0866-82-0369 |
駐車場 | あり 店舗の東側に2台 |
営業時間 | 午前8時~午後6時 |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 不可 |
座席 | |
タバコ | |
トイレ | トイレなし |
子育て | |
バリアフリー |