高校生が、地域に住む人生の先輩たちに聞き取り取材をおこなう「聞き書き」という取り組みを知っていますか。
備中「聞き書き」実行委員会では、岡山県内の高等学校に呼びかけて、高校生へ聞き書き体験を提供しています。
まちで暮らす匠(たくみ)への「聞き書き」フォーラムは、高校生や大学生が書いた聞き書き作品の発表の場です。当日は、連携している北海道教育大学釧路校地域文化研究会とリモートでつなぎ、発表をしました。
筆者は2024年から、「やかげ聞き書き人の会」に参加し、歴史・文化・生活・習慣などを地域のかたから聞いて残す活動をしています。
聞き書きに携わる一人として、興味を持ったので参加してきました。
記載されている内容は、2026年1月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
まちで暮らす匠への「聞き書き」とは
まちで暮らす匠への「聞き書き」は、高校生が地域に住む人生の先輩を訪ねお話を聞き、知恵や技術、生きざまなどを聞き、異なる価値観などを学び、先人の叡智をつなぐことを目的として活動しています。
以下のように定義されています。
話し手の話した喋り言葉だけで作品が構成されています。しかし、実際は話し手と聞き手の会話から作られていくものです。
郷土史や民族調査が事実・史実の積み重ねなのに対し、それらの行間を埋める作業が「聞き書き」です。
その人の職業や想いを通じ、そこに生きた人間の人生を浮かび上がらせます。引用元:「聞き書き」2016白石島
第16回まちで暮らす匠への「聞き書き」フォーラムの概要

まちで暮らす匠への「聞き書き」の特徴は、毎年テーマが設けられていることです。今年(2025年)のテーマは「引き継がれる大切なもの」でした。
そして、その年の「聞き書き」の集大成として開催されるのが、「聞き書き」フォーラムです。
16回目となる今回は、2025年12月14日(日)の午前10時40分からきび工房「結」宍粟会場で、午後1時から総社市チュッピーホールで開催されました。
フォーラムのようす
当日の流れを紹介します。
午前の部
午前は、それぞれが書いた聞き書き作品を振り返るワークショップをおこないました。
振り返りワークショップは、以下の方法で進めます。
- 自分が話を聞いた語り手から受け取ったものをA4用紙に書く
- 書き終わったらグループに分かれて、聞き書きの感想や学んだことをほかの人に伝える

次に、北海道教育大学釧路校地域文化研究会の聞き書き作品の発表がありました。

また、今回は特別に、岡山県立倉敷古城池高等学校の生徒が聞き書きをおこなった「みんなのお家ハルハウス水島こども食堂ミソラ♪」の活動を応援するため、昼食のカレーをお願いしたそうです。

井上さんは倉敷市水島から総社市までカレーを提供するため会場に足を運んでいました。
昼食を食べながら、井上さんにおこなった聞き書きの成果を発表しました。

昼食を食べたあと、車に乗り合わせて、総社市チュッピーホールに向かいます。
午後の部
午後からは、小学生による聞き書き作品の発表と高校生の聞き書き作品の発表がありました。
この記事では、スライド資料を使って発表した高校生の聞き書きを紹介します。
佐野祐二さんへの聞き書き
岡山県立総社高等学校の生徒が聞き書きをおこなったのは、佐野祐二(さの ゆうじ)さんです。
佐野さんは、平成30年7月豪雨が発生したとき、社会福祉協議会の職員として現場に立っていました。この経験から、自主防災活動や防災コミュニティづくりに取り組んでいます。
夢を作るためには、いろいろな人の話を聞いたり、人の姿を見たりしてほしい。そして、興味を持ったものに取り組んでほしい、と佐野さんは高校生にエールを送ります。
「社会貢献や学校の活動に精いっぱい取り組み、人のために動く姿勢を身に付け、自分を磨いていきたい」と発表した高校生は語っていました。

渋沢寿一さんへの聞き書き
岡山県立倉敷古城池高等学校の生徒が聞き書きをおこなったのは、渋沢寿一(しぶさわ じゅいち)さんです。
渋沢さんは、NPO法人共存の森ネットワークの理事長を務めています。
高校生に対して、「人と会うことをめんどうくさがらないこと」「話をしている相手に興味を持つことを忘れないでほしい」と言葉を送ります。
発表した高校生は聞き書きをするなかで、「会話することの大変さ」や「表情など、言葉だけではないコミュニケーションを大切にすることの大切さ」を感じたそうです。

山川隆之さんへの聞き書き
岡山県立玉野光南高等学校の生徒が聞き書きをおこなったのは、山川隆之(やまかわ たかゆき)さんです。
山川さんは、吉備人出版という地域の出版社を経営しています。
山川さんは「高校生には、紙の本をしっかり読んでほしい」と言います。インターネットだけだと情報の前後や背景がわかりにくいので、情報にたどり着く過程で頭に入ってくるものを大切にしてほしいからです。
発表した高校生は「会話をしながら内容を聞き出すので、新しい話題に変えるタイミングが難しかった」と語っていました。

おわりに
筆者は、高校生が聞き書きの楽しさと難しさをしっかりと感じ取ってくれたのがうれしかったです。また、特に印象的だったのは、「人と会うことの大切さ」を伝える聞き書き作品が多かったことでした。
高校生や大学生が書いた聞き書き作品は、『備中「聞き書き」』という冊子にまとめられます。
冊子は「備中聞き書き実行委員会」から入手可能です。関心のあるかたは、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
第16回まちで暮らす匠への「聞き書き」フォーラムのデータ

| 名前 | 第16回まちで暮らす匠への「聞き書き」フォーラム |
|---|---|
| 開催日 | 2025年12月14日 午前9時20分~午後3時10分 |
| 場所 | きび工房「結」宍粟会場 |
| 参加費用(税込) | 無料 |
| ホームページ | 「備中」聞き書きInstagram |










































